ビットコインの取引サイト運営企業:マウントゴックス社が経営破綻した。
経営破綻の原因は、システムをクラックされて、保有しているビットコインを全て盗み取られてしまったからということだ。一部の報道によると、そもそも自社保有分と顧客預かり分を分別管理していなかったようでもある。また、私の理解では、ビットコインのデータは全てロギングされているはずなので、仮に盗み取ったとしても使えないのではないかと思うけど、ちょっと曖昧な知識なので、実はよく分からない。
一般的な世間の反応は、平たく言うと「ざまーみろ」といったところかと思う。
よく考えて見れば、金融詐欺に騙された被害者に対して「お気の毒に」と思うことはあっても「ざまーみろ」などという酷いことを言う人はそうそういないはずで、これは異常なことだ。
この背景には、暗黙裡のうちに、主権国家体制を脅かすアナキズムに対する本能的な恐怖が在る。
多くの人は、国家の力が及ばないビットコインに恐怖を感じており、あんなものは潰れて欲しいと思っているのだ。
horiemon.com : メタップス佐藤航陽が考える“通貨の未来”とは?その1
オン・ザ・エッヂ(後のライブドア)の堀江さんとメタップス佐藤さんの対談記事なんだけど、堀江さんは、ネットの領域が拡大して、いずれはネーションステートが溶けてなくなり、グローバル社会が実現すると予言している。
人は全て、複数の何らかのコミュニティに所属し、守られている。
それは、家族、友達、学校や会社の仲間、趣味の仲間、地域社会(町会とか)、部族、民族、国家といったものだ。
堀江さんが予言する、ネーションステートが溶けてなくなったグローバル社会というのは、個人が(所属するコミュニティを介さずに)グローバルネットワークと直接結びつく社会ということである。
原始的な獣の世界と一緒だ。
それは、社会の進化ではなくて退化に他ならない。
断っておくけど、私は、黎明期からネット業界で仕事してて、堀江さんとは間接的に関わっていたこともあるし(当時のエッヂと僕がいたサイバーエージェントは、ジョイントでアドネットワークビジネスを展開していた)、堀江さんは本当に天才だと思うし、大好きだし、私の世代にとっては当然だけどスーパーヒーローだ。
堀江さんは、国策捜査で会社を取り上げられて実刑判決を受けたので、ネーションステートを憎んでいるんだろうと思う。
(この点は、同じように国策捜査で公職を追放されて実刑判決を受けていながら、あくまでも体制を擁護する側であろうとする佐藤優氏とは異なる。)
ちなみに、今でも私は、あの堀江さんの実刑判決は間違っていると思うけどね。国策捜査と言っても、誰か悪い黒幕がいて「堀江さんをやっつけろ」と指示したわけではなく、佐藤優氏が言うところの「国家の内在的論理」によって、追放されたんだろうと思うけど。
話がちょっと脱線したけど、
ビットコインは、主権国家体制の存立を脅かしている。
なので、この際、マウントゴックス社のトラブルをきっかけに、ビットコインなんか潰れてなくなってしまえばいいと、私は思っています。