一昔前は、年が明けて年度末になると、あちこちで道路がほじくり返され、やたらとたくさん公共工事が行われている、といったイメージがありました。
あまりにも年度末に公共工事が集中するために、「予算が余ったから、年度内に使い切るために無駄遣いをしているのではないか?」と勘繰る方が多かったものと思います。
これは、もちろん、本当に無駄遣いをしていたわけではなく(全てが違うかというと、私も正確には分かりませんが)、単年度予算システムの弊害で、どうしても1会計年度の中で、業務量が後半に集中してしまったから、であります。
国でも、都道府県でも、市町村でも、予算というものは、単年度制です。
ある年の会計年度は、4月に始まり、3月に終わります。
その年の予算は、4月に入ってから、使い始めることができます。
3月のうちに、あらかじめ、4月以降に発注する予定の工事の見積もり出しをしてもらったり、入札をしたり、発注したり、打合せをしたり、といったことは、一切できません。
4月に入ってから、諸々の作業に着手することになります。
従って、年度当初(4、5、6月くらい)はほとんど公共工事は行われず、7月くらいからようやくちょろちょろ工事が始まるようになって、年度末にはバタバタと慌ただしくあちこちで工事をやっている、といった状況になってしまっていたのです。
工事量を平準化しよう、という試み
このような、月毎の、公共工事の量の偏りは、誰にとっても何のメリットもなく、世の中全体にとっては害悪しかありません。
土木・建設業界は、仕事量が偏って大変だし、そこで働く人たちも大変です。
そこで、公共工事の量を、月毎に平準化していこう!ということになりました。
平成26年に新・担い手3法(と通称される、3つの法律)改正が行われ、作業量の平準化は、発注者(国とか、都道府県とか、市町村とか)の責務となりました。
今では、「債務負担行為の設定」という会計上の手続きを行うことによって、新年度が始まる前の1,2,3月くらいに、打合せ、見積もり出しの依頼、入札、契約の手続きなどを進めておき、4月に入ったら、すぐに公共工事に取り掛かれるようにしております。
本日、令和5年(2023年)12月18日は、埼玉県議会 総務県民生活常任委員会が開かれ、上記のような話が出ました。