和光市の自動運転バス社会実証に試乗

和光市では、自動運転バスの社会実証をやっています。

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このたび、令和6年(2024年)12月13日、試乗してきました。

 

自動運転のレベル分けについて

この領域は、猛烈な勢いで開発競争が進んでおり、進化が激しい領域です。

国際的なレベル分けが以下のようになされています。

  • レベル0:ドライバーがすべての操作を行う
  • レベル1:ドライバー主体。一部の機能が自動化される(例:クルーズコントロール、車線維持支援)
  • レベル2:複数の機能が自動化される。ドライバーは常に運転状況を監視し、必要があれば介入する。(例:アダプティブクルーズコントロール、レーンチェンジアシスト)
  • レベル3:特定の条件下で自動運転が可能。ドライバーはシステムの要請があれば介入する必要がある。(例:渋滞時、高速道路での自動運転)
  • レベル4:ほとんどの状況で自動運転が可能。ドライバーは介入する必要がない(例:限定された地域での自動運転タクシー)
  • レベル5:完全自動運転。ドライバーは不要

我が国における市販車でも、特定条件下での手放し運転、自動レーンチェンジなど、レベル2が実現しています。

しかしながら、これらは、高速道路などの特定条件下のみを想定した機能です。

高速道路では、横からの飛び出し、歩行者・自転車などの混合交通、以上な舗装路面等の悪条件は想定されないので、自動運転もやりやすいのです。

 

テスラやBYDなど、米国、中国の先進的な車種も、レベル2です。

市販車でレベル3以上は、今の時点ではありません。

 

 

国ごとの自動運転についての考え方の違い

国によって道路交通に関する法律は異なるので、自動運転に関する法的許容度は異なります。

そのため、開発競争の進め方も、国ごとに考え方が異なります。

米国、中国、日本、それぞれの自動車メーカごとに、開発思想が異なります。

 

 

自動運転の開発での先進国は、米国と中国です。

この領域では、日本メーカは立ち遅れていると言わざるを得ません。

 

 

米国では、Google傘下のWaymoが、レベル4の自動運転タクシーを実証実験しています。

まだ実験段階の技術なので、当然ながら、交通事故も発生しています。

 

 

米国・中国と日本と、何がどう違うのか?

なぜ日本の自動運転開発は遅れているのか?

私が考えるに、新しい技術に関する社会的・心理的許容度が大きく異なります。

 

米国では、技術進化を促し、長期的に社会全体の効用を拡大するのであれば、多少の交通事故が生じても、それによって少なからぬ死者が生じたとしても、これを許容しよう、という感覚があります。

明示的に社会全体のコンセンサスがあるわけではないと思いますが、そのような風土があります。

中国は、そもそも社会のコンセンサスがなくとも、共産党政府がokならokとなります。

 

 

翻って、我が国には、このような新しい技術に関する社会的・心理的許容はありません

自動運転の実証実験に伴い、もし仮に死亡事故が一件でも起きれば、開発は即時完全停止し、数年間は再開できないことになるのではないでしょうか。

 

 

和光市の自動バスは、レベル2

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和光市駅北口にて。

 

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車両のあちこちにセンサが取り付けられています。

 

また、路上に設置したセンサが取得した画像情報を、LTE経由で受信する機能もあります。

 

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ASMobi(先進モビリティ株式会社)のエンジニアが2人同乗していました。

助手席にサーバ機が設置され、センサからの情報の処理と自動運転の操作が行われています。オンラインで指示を受けているわけではなく、スタンドアロンです。

 

レベル2の市販車が実現している自動運転機能は、高速道路などの限定された条件下のみを想定したものです。

和光市の自動バスは、様々な障害物が行き交う街なかでの運転を実現した点が、大きな違いです。

一口にレベル2と言っても、かなり幅広いのです。

 

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「交差点情報受信中」と表示されています。

 

見通しの悪い交差点において、道路上に設置したセンサが取得した画像情報をLTE経由で受信していることを示しています。

 

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自動運転中です。

運転席の運転士さんが、ハンドルから手を離しています。

 

但し、あくまでもレベル2ですので、運転士さんは、常に運転状況を監視し、必要があれば介入する必要があります。

路駐のクルマがある場合には対応できません。

犬くらいならば識別可能ですが、15cm以下の鳥などの小動物は識別しません。
(技術的に不可能ということではなく、そのような仕様となっている)

街路樹の根本から路上に張り出した雑草を障害物として認識して止まってしまい、運転手による介入が必要になるシーンもありました。

 

ということで、レベル5まではまだまだ道のりは長いですね。

MaaSによる省人化は、スマートシュリンク埼玉2050の実現のために不可欠ですので、引き続きこの領域の動向をウォッチして参ります。


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