戸田市立笹目中学校でのモデル校研究発表会

掲題のイベントがあり、戸田市議にお誘いいただいて参加してきた。
モデル校研究は、県教委の指定を受けて、市教委と中学校が行っているものなので、おそらく県からもお金が出ているのだと推測する。
公開授業+講演会という形式での成果発表会。

この種のイベントには初めて参加したが、最新の教育界・教育現場でのトレンドが把握出来たという点で有意義であった。

 

協調学習


幾つかの公開授業を見学したが、正直、真新しさはまったく感じない。
「先生が一方的に話すだけのマス授業」ではなく、「3,4人程度のグループ毎に課題に対して話し合って回答を出させ、皆の前で発表する」という形式で、こんなもの、昔からあったような気がするけど?
今さら予算取って研究するような新しい教育法だとは思えないのだが?

 

ICTの活用

上の写真のように、3,4人のグループ毎にタブレットが与えられている。(1人1台ではない)
OSはMIcrosoftのWindows RTだった。

教材データと、授業の中で作成するデータは、後述のようにオンラインストレージ上(Google Drive)に置いてある。

調べ物をするため端末とネットを使うのではなく、作業環境として使っているだけだ。
紙とペンで出来る作業を、必要もないのに、無理やりコンピュータとネットに置き換えている。
昔だったら、大きな模造紙にみんなでワイワイいいながらマジックで書き入れて、それを発表する、みたいなことをやったけど、あれと同じことをタブレット上でやっているだけだ。

現時点でのタブレットはインターフェースが(特に入力系が)貧弱過ぎるので、とても効率が悪く、バカバカしい。
何のためにタブレットを使っているのかさっぱり分からない。
Windows RTは私も使っているけど、動きが渋いし、しょっちゅうアプリが落ちるし。

と、いうのは2014年秋の現時点での私の見解であって、OSやデバイスが進化すればこの限りではない。
理想的には、机全体あるいは教室の壁全体がコンピュータのインターフェースとなって、そこに指でタッチして自由に文字や絵を入力したり、情報を検索して出力出来るようになれば、利用する価値はあると思うが、そこまでいかないなら、「紙とペン」の方が遥かに媒体としては優れている。


教卓の内側の、先生のPC。
これが、大型ディスプレイに表示される。


プログラミングの授業。
これも、「協調学習」。
これは面白い。これは、コンピュータを使わないと出来ない教育だ。(スタンドアロンでも十分だけど)

10代の若いうちにプログラミング教育をすることの是非にはいろいろ議論があるが、個人的には賛成だ。特に根拠はないけど、何となく。

 

ゲームニクスの導入

ゲームニクスというのは、ゲーム(ファミコンから始まるテレビゲーム、コンピュータゲーム、ネトゲ、ソシャゲの類) におけるスティッキネスさのノウハウ体系のこと。
いわゆる「ゲーミフィケーション」という概念とほぼ同じだと思う。

私はこの種のゲームはあまり好きではないので殆どやらないが、艦これだけは別だ。艦これの例でいうと、
・育成要素(艦娘のレベルを上げ、近代化改装をして育てていく)
・砲雷撃がヒットした時の気持ちいい音
・近代化改装すると艦娘に感謝されて気分がいい
・マップやクエストを1つずつクリアして、次の段階に進んでいく
・コレクション要素(未だ見ぬ新しいレア艦娘やレア兵器をコンプリートしたい)
など。

ゲーム業界出身の学者のプレゼンを聞いたのだが、この分野は既に理論体系化されていて、(ゲーム開発における)ノウハウ集のレベルにまで落とし込まれているらしい。
後は、これを教材作成のレベルにまで更に落とし込めばいい。

例えば、コンピュータ上の教科書をめくると気持ちいい音「ぺろりんっ」と鳴るとか、
問題をクリアすると何かカード・スタンプ的なものがもらえて、1つずつ段階をコンプリートしていくと、更に先に進める的な育成要素を設けるとか、
そんなの。

 

Google Appsの利用

上述のように、教材などの各種データは、Google Drive上に置いてある。
要するに、ただそれだけ。
Googleの社員がスピーチするというのでそれなりに楽しみにしていて、どんだけすごいのかと思っていたら、クラウド環境としてGoogle Driveを使っているだけで、これはもちろんDropboxでもMicrosoft Skydriveにも置換できる。

個人的には、官公庁・教育領域でこの種の外国のストレージサービスを利用することについては、安全保障上の理由から(資源の再配分という視点からではなく)懸念を抱いている。全てのデータは抜かれる可能性があることを前提にしなくてはならないので、国産のサービスを使うべきだ。
この点で、米国の覇権に挑戦しようとしている中共が、Google、Facebook、Twitterを完全に国内からシャットアウトしている政策は、正しい。

現状では、有力な国産オンラインストレージサービスは存在しないのだけど、個人的には楽天に期待している。逆に言うと、楽天とソフトバンクくらいしかクラウドサービスに参入しそうな企業は国内には存在しない。

 

反転学習

佐賀県武雄市で行われている新奇的な学習法なのだが、公開授業の教室がわんさか見学者で溢れていて、見ることが出来ず。

結局のところ、どんなものなのかよく分からない。

講演会の席でたまたま近くに座っていた人達(おそらく、どこかの中学校教師)が、
「反転学習って、要するに、予習をちゃんとやってこい!ってことだろ?」
と話し合っていたが、当たらずと言えど遠からずだと思う。
昔からやっている当たり前の教育方法を、新奇性がありそうな名前を付けてありがたがっているだけではないかと思っている。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください