ご支援者様と話をしていて、よく尋ねられるのは、
「新たに○×をやろう、と政策提案をするのならば、その財源案も示すべきではないのか?」
ということです。
議会での議員の発言は、
「新たに○×をやろう」
という新規の政策提案で溢れています。
もちろん何をやるにしてもお金も人手もかかります。
お金が黙っていたら降ってくる、あるいはどこかから湧き出てくる訳ではありません。
高度経済成長期のように、毎年毎年、人口も税収も増え続けていた時代とは違います。
財源は、
・既存の出費の何かを削る
・新たな税収を増やす
といったやり方で確保する必要があります。
しかしながら、議会での議員の新規政策提案において、共に財源案が示されることは少なく、それどころか、その新規案に幾らくらいのお金がかかるのかというざっくりした予算の規模感すら示されることはあまりありません。
冒頭の発言は、それはおかしいのじゃないか?という不満、あるいは素朴な疑問です。
おそらく、「社会保障の充実のために、消費税率を上げる」というようなものをイメージされているのかと思います。
これに対しての、私の見解を以下、申し述べます。
私は、地方議会における議員の新規政策提案においては、以下の理由で、財源案を示す必要はないものと考えます。
- 行政当局が提示する新規政策案と、議会の新規政策提案は、違う。
行政当局が示すのであれば、可決されれば即、実行フェーズに移れるような、精緻で完璧な状態な案である必要があります。
行政と議会とは、求められる役割が異なります。
行政当局を動かして「精緻で完璧な案を作らせる」のが、我が国の地方自治の在り方における、地方議会の役割です。
議会において議員が提示するのは、「アイディア段階」のもので構わないと考えます。単なる思いつきだと困りますけどね。
また、行政当局と議会には、情報の非対称性があります。議会は、能力もリソースも限られています。
- 住民の身近なテーマを扱う地方議会での発言は、カジュアルでラフなものでも構わない。
何丁目何番地のゴミ置き場がカラスの被害がひどいとか、どこそこの交差点に信号を設置してほしい、といったような、住民の身近なテーマを扱うのが市町村議会です。
そうであるからこそ、漠然とした不満、漠然とした要望、漠然とした問題提起のようなものでも構わないと考えます。
- 地方自治体では、税収を操作できる余地があまりない(国と比べて)。
新たな税制を設けたり、税率をちょこっといじったりして、短期的に税収を増やすなんてことは、そんなに簡単には出来ません。
中期的には、人口を増やしたり、企業誘致を図ることによって税収を増やすことは出来るかもしれません。しかしながら、蕨市は、空いている土地もほとんどなく、首都圏におけるベッドタウンという街の位置付けからしても、新たな産業を起こしたり、外から企業を誘致する余地はありません。