某市議会の海外視察への批判に関する雑感など

北九州市議会、海外視察廃止へ 昼間の飲酒に批判が殺到:朝日新聞デジタル

北九州市議が海外視察先で昼間に飲酒していた問題を受け、市政与党の自民とハートフル北九州は12日、慣例的に行ってきた海外視察の廃止を井上秀作議長に申し入れた。共産、公明も同様の申し入れをしており、来週…

海外視察報告書 – 北九州市議会

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北九州市議「海外視察ツアー」謎だらけの顚末 | 国内政治

「日中の飲酒は、公務に対する信頼性を低下させるおそれがある。国外、私費でも認められない」――。9月10日、福岡県の北九州市議会(定数57)は、井上秀作議長名で「公務出張中の日中の飲酒を禁止する通知」を出…

 

九州の某政令指定都市の市議会の海外視察が、ブランドショッピングやサグラダファミリアへの観光など、遊びだらけであり、視察という制度を悪用した、悪質な無駄遣いだという批判がニュースとして取り上げられているようです。

このニュース、つい昨日、初めて知りました。

 

 

基本的にはまったくの他人事なので無責任に感想を述べます。

以下、あくまでも一般論です。
私個人の話ではなく、蕨市とは全く関係ありません。一般論です。一般論。

 

 

自治体の政策を考えるに当たっては、他者事例の研究が有効

ビジネスと異なり、自治体の経営においては、各プレーヤはお互いに地域独占であるために、基本的には競合するものでもありません(首都圏内の子育て支援策・教育環境の整備や、グローバルな大都市のベンチャー育成策といったように、競合するものもありますが)。ビジネスモデル特許のようなものはないし、各種の政策・施策には知的財産権はありません。
そこで、よそでやっている成功している政策・施策を研究して、うまく自分たちに取り入れる、ということがよく行われます。(もちろん、よそに移植してうまくいくものもあれば、失敗するものもあります。)

つまり、ビジネスと同じく、政策を考えるに当たっても、よその事例を研究することは、一つのアプローチとして有効な手法です。

ビジネスであれば、競合相手に話を聞きに行く、なんてことは出来ませんが、自治体であれば、お互いに競合という意識はほとんどないので、話を聞けば、喜んで説明してくれます。

 

 

現地に直接見に行って他者事例研究をすることも、場合によっては意味がある

以上のように、具体的に考えている政策なり何らかのアイディアがあり、その先行事例を、成功しているパターン、失敗しているパターンとを問わず、研究することは有効ですし、必要があれば現地に行って直接見ること(=視察旅行すること)は、有効であり、ムダではありません。

昔は、今と異なり各市町村のwebサイト上で各種の資料や議事録が公開されていることもなかったので、直接現地に行って話を聞きに行くしかない、ということが多かったのだろうと思います。
今は、これらはヤフーでググって検索すれば情報を一瞬のうちに閲覧することが出来ますし、その上で不明なことがあれば、メールを送るなり電話をかけるなりすれば、先方の担当者は、基本的には懇切丁寧に教えてくれますので、わざわざ現地に行く必要は少なくなった、ということは言えると思います。

 

 

総計予算主義の弊害=「予算は使い切らなくてはならない!」

他方で、そもそも市町村政府というのは総計予算主義です。

ビジネスであれば、特に未上場企業であれば、いちいち予算なんか組んでいないところも多いでしょうし、決裁権者がOKすればOKということが多いでしょう。市町村政府では、たとえ1円でも予算が組まれていない出費は許されません。
道路を補修するなり、学校のトイレを直すなり、新たに何らかの施策を行うことを決めたので、その分の見積もりを出して、その度毎にその金額の補正予算を組む、というのは手続き的に面倒であり、効率良くありません。

そこで、毎年、道路やトイレの修理を何回くらいする、と予測した上で、予め年度当初に予算を確保しておくことになります。
視察旅行も同じように、視察旅行に○回行くことを前提として、○円分の予算をあらかじめ確保しておく、ことが行われます。

そして、役所はどこもそうですが、一旦確保した予算は必ず使い切らなくてはならない、というインセンティブが働きます。これは役所(行政)に限らず議会も同じで、○回分の視察旅行の予算があるのだから、どこかに視察旅行に行かなくてはならない!という発想になりがちです。

こうして、何の問題意識もなく課題設定もなされずに、ただ予算を使い切ることが目的な視察旅行が発生するわけです。
(このような場合も、視察旅行という体裁を整えることは必要なので、たいして興味も関心もない視察先が無理やり探し出されて用意されることになります。先方にとっては失礼で迷惑極まりない話です)

 

 

かつて、旅行できることが特権でありステータスだった時代があった

おそらく、想像するに、新婚旅行が熱海か伊香保みたいな時代に、毎年何回かずつ、全国あちこちに旅行に行ける地方議員の視察旅行制度が、議員特権の一部だったのでしょう。

更についでにいうと、私が知る限り、冒頭の九州の某市のように、海外都市に視察旅行に行けるのは政令指定都市だけであり、それ以外の市町村で海外都市に行くことは無いと思います。
これもまた、政令指定都市の特権であり、ステータスだったのだと思います。

既に、大学生がちょっと頑張ってバイト代を貯めて気軽に海外旅行に行ける時代になってますので、今日では視察旅行にステータス性はありません。

 

 

飲みニケーションならぬ、視察ニケーション

視察旅行では、日頃あまり会話することもない、相対立する立場の政党・会派の人たちと行動を共にすることもあります。夜は酒の入った食事会(酒宴)となります(一般論)。

このような場で、何らかの交渉・取引が円滑に進んだり、お互いの理解が進むことはあり得るでしょう。

しかし、それはもちろん、視察旅行のおまけのそのまたおまけ的な副次的効果です。
それを目的として視察旅行をするのであれば、本末転倒です。

 

 

飲みハラならぬ、視察ハラ!?

視察旅行が特権であり、スタータスだから、遊びに行きたい!と言う人がいる一方で、お酒は飲めないし、旅行は好きじゃない、お家で愛する家族と一緒に過ごしていたい、という人もいるでしょう。家族に小さな子ども、病人や介護が必要な人がいるので、あまり家を空けたくない、という人もいるでしょう。

冒頭の某市の視察旅行は、ヨーロッパに7泊8日だったそうですが、こんなに長期間行きたくない!という人もいたのではないかと思います。

しかしながら、総計予算主義で、年功序列のタテ社会ですので、自分一人だけ行きません!と突っぱねることは、勇気が要ります。
自らが掲げる政策を実現するためには、組織内での人間関係を円滑にしておくことも必要です。

本音では行きたくないのに泣く泣く参加せざるを得ない、という視察ハラスメントは、今も昔もあちこちの地方議会でまかり通っているのではないかと想像します。(一般論)
もしかすると、参加者全員が、表面的に楽しそうなふりをしているだけで、実は心の中では行きたくなくてうんざりしていた、というお笑いコントのような状況のツアー御一行もあるかもしれません。

 

 

いずれなくなるでしょう

ということで、この記事はあくまでも無責任な一般論の雑感なので結論はないのですすが、緩やかな世代交代とともに、いずれこの種の半強制的な視察旅行制度はなくなると思います。

冒頭に取り上げたフジテレビの番組のように、視察旅行ではしゃぐ姿を面白おかしく茶化して取り上げるのは、良い試みだと思います。

逆に言うと、この種のニュース報道がなされたとしても、すぐに根絶されることは無いと思います。しばらく時間がかかるでしょう。

 

 

さらについでに言うと、個人的には、旅行大好きです!
サグラダファミリアも見に行きました!(自費)
自然災害の現場とかもよく見に行きますけど、自費です。

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2017年1月、バルセロナにて。


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