私は今年度、埼玉県議会において産業労働企業常任委員会に所属しております。
埼玉県議会の常任委員会は年に2回程度、委員全員で視察に行きます。
このたび、日帰りで、2箇所の県内施設の視察を行ってきました。
その1つ目が、SAITEC 埼玉県産業技術総合センタです。
埼玉県が運営している施設です。
川口市のSKIPシティの中に位置しています。
SKIPシティは、蕨市民としてはあまり縁が無い場所ですが、かつては、NHK中波ラジオの送信所がありました。4年後に、NHKの番組制作スタジオが渋谷から移転してくる予定とのことで、建物の建設工事が進められていました。
記念撮影ぱちり。
こちらでは、金属、機械、科学、電気、電子、食品、バイオの先端技術を持ったエンジニアと研究設備を有しており、民間企業に対して無償で提供しています。
対象は県内企業が多いのですが、県外企業からの相談にものっております。他都県の同様の技術センタとは、それぞれ得意分野が異なることもあるため、お互いにユーザ企業を紹介し合うこともあるそうです。
無償というのがびっくりなのですが、県内企業への支援の一環ということです。
3Dプリンタによるプロトタイプ製作の支援。
プラ素材のみならず、金属でも製作できます。また、カラー化も可能です。
AIのディープラーニングを用いた不良品識別プロセス開発。
ナットの不良品識別プロセスについて説明を受けました。
ナットの良品1,000、不良品1,000をカメラで読み取ります。ディープラーニングさせて、不良品識別が出来るようになります。
とはいえ、不良品はすぐに廃棄してしまうことが多いでしょうし、なかなか手元に1,000も用意できないでしょうから、わざわざ不良品を製作して学習させることもあるとのことでした。
Raspberry Pi(ラズベリーパイ)を用いた簡易なIoT化。
ラズベリーパイというのは、Linuxベースで動く簡易、単純なコンピュータハードウェアです。コンピュータと言っても、手のひらに乗る程度の大きさの基板です。価格は数万円程度です。
これをサーバとし、何らかのセンサを接続することにより、IoT化が実現します。
導入企業が元々持っていたスタンドアロンの機械における作業プロセスにおいて、作業数を計測する仕組みを、ラズベリーパイを用いて作ったデモ環境です。インターネット経由で、別の場所からブラウジングすることが可能となります。
例えば、部品をAからBに動かすみたいな単純な動作をする機械があったと仮定します。古い機械であり、回数を計測する機能はついておらず、スタンドアロンである(ネット接続されておらず)と仮定します。
機械のあるその場に見に行かないと、作業個数は分かりませんでした。
常に機械の横に人を貼り付けておくわけに行かず、別の部屋に人がいる場合は、時々見に行ってカウントする作業が必要でした。
上記デモのような仕組みをアドオンすることにより、別の部屋のオペレータが、直接機械を見に行かなくても、リアルタイムに作業個数を把握することが出来るようになります。
SAITECでは、様々な試験機器を有償で時間貸ししております。
ここは、稼ぎ柱である、電波暗室。
あらゆる外部からの電磁波がシールドされています。
コンシューマ向け製品(例えばパソコンとか)を開発するに当たり、製品の回路から様々な電磁波が発出されることがあるそうです。これらは、電磁波が出ないようにしないと商品化出来ません。
開発段階において、この電波暗室を用いて、製品のどこの部分から、どの角度で、どのくらい電磁波が発せられているのか、少しずつ位置、角度をずらしながら測定するのだそうです。
測定結果をフィードバックして回路を設計し直すのだそうです。
エンジニアとして豊かなキャリアをお持ちのセンター長の体験談はとてもおもしろいものでした。