大雨の際に、荒川の外水氾濫を防ぐべく、荒川第二・第三調節池の建設工事が進んでいます。
荒川が外水氾濫した場合、市内全域が水没してしまう蕨市民としては、待ち望んでいた土木事業です。
↑上記の特設webサイトは、ドローンによる動画映像などがふんだんに盛り込まれており、とても見応えがあります。
事業開始が決まった平成30年(2018年)の記事。
令和4年(2022年)、荒川第二調節池の建設進捗について、外から眺めた様子の記事。
現在の建設工事の様子について、現地視察して参りました。
現地でアテンドしてくださったのは、国土交通省 関東地方整備局 荒川調節池工事事務所(この建設工事だけのために開設されている部署です)、
埼玉県 県土整備部にアレンジしていただきました。
同行したのは、以下の4名の県議・市議でした。
林薫県議(さいたま市南区・自民党県議団)
比企孝司市議(蕨市議会新翔会)
栃本由兼市議(蕨市議会新翔会)
岡田三喜男市議(蕨市議会新翔会)
荒川第二調節池は、既設の第一調節池に対して羽根倉橋をはさんで上流部に位置しています。
まずは、羽根倉橋のたもとに建つ、あらいけDX体験館にて説明をお聞きしました。
右から、
岡田市議、栃本市議、比企市議、林県議。
建設工事の進捗
計画上の建設期間は、
平成30年(2018年)~令和12年(2030年)の、13年間
です。
現在の建設工事進捗は、6割方と言ったところで、順調とのことです。
ダム工事のように用地買収がほぼ不要であることと、地盤沈下などの不測の事態がほぼ発生していないことが、順調であることの要因のようです。
用地内にはかつて2つの河川敷ゴルフ場がありましたが、国有地を貸し付けていたものであり、返却してもらったそうです。上尾市平方地区などの一部地域では、水田を用地として購入しました。
完成は、上記のように令和12年(2030年)となりますが、2段階サービスインを予定しています。第一弾として、部分的に令和8年(2026年)出水期にはサービスインするそうです。
もう間もなく、2年後の話です。
驚くべき猛烈なスピードで建設工事が進んでいる様子がよく分かります。
遅々として進まず、ズルズル、ダラダラと計画よりも遅れていく蕨市の蕨駅西口再開発、錦町土地区画整理と比べると、国が本気で進めるとこんなに速く物事が動くのか!と驚くばかりです。
荒川第二・第三調節池によって見込まれる効果
大雨の際に、荒川の水を引き入れることによって、荒川を流れる水の量を減らし、氾濫を防ぐ、という、至ってシンプルな仕組みです。
第二・第三調節池あわせて、治水容量は、5,100万m3です。
参考までに、既設の第一調節池は3,900万m3、八ッ場ダムは6,500万m3です。
シミュレーション上の大雑把な表現としては、
10年に1度クラスの大雨の際に、第二・第三調節池を稼働させる(水を引き入れる)、
100年に1度クラスの大雨にも、外水氾濫を起こさずに耐えられる、
ということになります。
とは言え、これに安心して水害への備えを怠ってはいけません。
令和元年 台風19号のケース
あの時は、既設の荒川第一調節池はフル稼働しました。
治水量3,900万m3のうち、3,500m3まで貯留しました。
9割がいっぱいになり、余裕は1割しか無かった、ということになります。
台風の翌日 令和元年(2019年)10月13日に、荒川第一調節池を訪れましたが、もう本当に「ふち切りいっぱいまで満水」という印象でした。
令和元年(2019年)10月13日、台風19号翌朝の荒川の幸魂大橋。
令和元年(2019年)10月13日、台風19号翌朝の秋ヶ瀬公園。
令和元年 台風19号を振り返り、考察した記事。
それでは、もし仮に、台風19号の時に、荒川第二・第三調節池が供用されていたら、どうなったか?
シミュレーションすると、赤羽岩淵水門の地点において、荒川の水位を30~40cmも下げる効果が見込まれたそうです。
建設工事現場の様子
囲繞堤(いぎょうてい)と川の間の部分。
消波ブロック(いわゆるテトラポッド)を作っています。
第二調節池の排水門。
第二調節池に引き入れられた雨水を、大雨が収束した後に、荒川に流していく役割を果たします。ポンプで強制的に排水するのではなく、自然流下です。
飛島建設(株)が請け負って建設中です。
エンジニア全員のヘルメットに、おにやんま君(c)が付けられていました。スズメバチが多いのだそうです。タヌキも多いそうです。マムシなどのヘビはいない、とのことでした。
余談ですが、ハチ毒アレルギー持ちの私は、山に入る際は必ずオニヤンマ君をリュックに装着し、エピペンとポイズンリムーバを携行しています。
今後の防災対策を考える上で、今回の視察の知見を活かしてまいります。