「蕨市水道ビジョン」という、10ヶ年計画があり、これがちょうど今年度(令和4年度)で終わりになります。
そして、今、令和5年度から始まる、次なる10ヶ年計画の策定が進められています。
この計画は、議会に諮られるものではなく、行政当局の内部で策定されるものです。
(= 議決事件ではない、ということです)
正式に策定される前に、先日、蕨市議会の各会派に対して、事前説明がありました。
内容については、上記で述べたように、正式策定前なので、解説することは控えますが、蕨市の水道の長期的な課題については、ここでメモとしてまとめておきます。
- 当面は安定的に黒字
蕨市は、古くから住宅都市として発展し、インフラは一通り整っています。
当面は大規模な投資は必要ありません。
管路の耐震化率は、全国平均よりもかなり高めです。
県水(県が荒川から取水し、浄水場を通じて市町村に供給している水):井戸水の比率のうち、井戸水比率が高いのが蕨市の特徴で、このため、製造原価が安く済んでいます。
地下水の供給量についても、変化ありません。
- 10年後くらいから、管路・施設が順次更新時期を迎える
12年後の令和17年から、毎年2~9億円規模の更新(管路を既存の古いものから、新しいものに交換する工事)が必要になります。
また、中央浄水場の施設は、耐震面で問題があり、老朽化も迎え、令和14年ころに更新(建て替えの工事)が必要になります。
これは、4.5億円規模です。
- 令和27年に単年度ベースで赤転
上記のように、管路・施設の更新需要と、人口減少を迎えるため、現行の料金水準のままでは、令和27年度からは単年度ベースで赤字が常態化します。
この段階では、内部留保を取り崩していくことになります。
景気・為替・物価の動向、ファッション・音楽の流行など、世の中には先を見通せないものだらけですが、社会科学においては、人口統計だけは、唯一ほとんど外れることはなく、かなり高い確度で将来が予測できるものとされています。
この収益シミュレーションも、蕨市の人口将来予測をベースに組み立てられたものですので、かなり確度は高いものです。
赤転するのは22年後の話ですが、どこかのタイミングで、料金値上げするか否かの判断を迫られることになるでしょうね。