高齢者が加害者となる、不幸な交通事故を防ぐために

新年早々、気分が暗くなるような、高齢者が加害者となる交通事故が幾つか発生しております。

毎日新聞 2018/1/9 : 自転車の女子高生2人、はねられ重体 前橋
NHK 2018/1/12 : 1歳女児はねた疑い 男を逮捕

報道だけからは、事故の詳細は分かりませんが、どうも、上記2ケースともかなり悪質なものです。
他にも様々なパターンがありますが、認知症ではなく、身体能力・運動神経などが加齢によって衰え、AT車のアクセルとブレーキを踏み間違えてクルマを急発進させてしまうことによる事故は、近年、多数見受けられます。

定量的な調査をしたわけではなく、あくまでも印象論ですが、ここ数年、急激にこの種の事故が増えたような気がします。

 

推測ですが、高齢者による事故率が近年急激に増えたわけではなく、高齢化の進展に伴い、高齢者の母数が増えたことによって事故件数が増えたのではないかと思います。
核家族化の進展に伴い、従来ならば、同居家族が面倒をみてくれていたために自ら運転する必要がなかったような高齢者が、自分で運転しなくてはならないケースが増えたことも、一つの理由かもしれません。

高齢化が理由であるならば、益々高齢化が進む今後は、今のままだと、事故件数も更に増え続けていくことは間違いありません。

 

 

昨今、急激に世界中で技術開発が進められている、自動車の自動運転が実用化されれば、ある程度はクリアされるかもしれませんが、高齢者が加害者となる不幸な事故は、毎月のように発生している目の前の課題であり、新しい技術の実用化を気長に待つ余裕はありません。

 

この問題について、市町村レベルでできることも幾つかあり、その一つは、
・高齢者に運転免許証の返納を呼び掛けること。
です。

運転免許証は、有効期限が来る前に、高齢者自らが、「身体能力・運動神経が衰えてきて、危険なので、もうこれからは運転しない!」と宣言し、返納することが出来ます。

埼玉県においては、運転免許証と引き換えに、顔写真付きの運転経歴証明書を発行する仕組みがあります。

埼玉県警:運転免許の自主返納 考えてみませんか(PDF)

免許証は、顔写真付きの公的身分証明書として使える数少ないものなので、なくなると困る、という方も多いでしょう。
(パスポートは毎日持ち歩くには大きいし、保険証は顔写真がついていないし)
免許証を返納しても、運転経歴証明書は、公の身分証明書として認められますし、その後引っ越したとしても、新たな住所で再発行してもらうことが出来ます。

また、市町村によっては、タクシー券、バス券、その他商品券の類などをインセンティブとして付与しているケースもあります。

 

地方都市の場合は、最寄りのスーパー・商店街までクルマで何十分もかかるようなこともあるのかもしれませんが、蕨市は、平地ばかりで坂がなく、市内のどこに住んでいても最寄り駅、最寄りスーパー・商店街まで自転車・徒歩で移動できる範囲内にありますので、クルマがないと生活が成り立たない、ということはあり得ません。

 

行政として、様々な高齢者との接触機会を捉えて、運転免許証の返納を促すようにと、2016年12月定例議会の一般質問で取り上げたところです。

hoya_t blog 2016/12/16 : 蕨市議会 2016年12月定例会が終わりました。

 

 

ところで、つい先日、地元の交通安全に関わるボランティア団体の新年会があったのですが、75歳以上の方が運転免許証を更新する際の、認知機能検査が話題に挙がりました。

警察庁webサイト : 認知機能検査について

この認知機能検査の趣旨は、認知症の疑いがあるかどうかの一次チェックを行い、疑いがある場合は医師の診断を経て、認知症であると診断された場合には、聴聞等の手続きの上で運転免許を取消または停止する、というものです。
身体能力・運動神経の加齢による衰えをチェックするものではありません。あくまでも、認知症の方の免許更新を防ぐためのものです。これは、交通事故を防ぐためであり、被害者を出さないため、本人が加害者になることを防ぐためのものです。

件の新年会の参加者のお一人が、75歳を過ぎて2回目の免許更新で、2回目の認知機能検査を無事クリアできてよかった!というエピソードを冗談めかして紹介されていたのですが、2回目なので、やり方も仕組みも理解しているので、緊張もせずに簡単にクリアできた、とおっしゃっていました。

その方は、高齢になってもなお、心身の健康を維持できているわけで、素晴らしいことだと思います。

 

 

その話を聞いて、私自身が、75歳を過ぎて、認知機能検査を受ける立場になったら、どうだろうか?と考えたのですが、何としても検査をクリアできるように、念入りに準備をして臨むだろうし、万が一、検査に落ちてしまったら、まるで今までの人生を否定されたかのようにガックリと落ち込むだろうな、と。

自分と同い年の○☓君や、年上の★△さんは合格したのに、自分は落ちてしまった!となったら、本当に悲しくなるだろうし、「いや、この検査はやり方がそもそもおかしいんだ!」と、検査の結果を受け入れられないかもしれません。

検査に合格したとしても、身体能力・運動神経の衰えを理由に免許の返納はしたくない!と考えるかもしれません。

「生まれたときから加齢が始まる」、「二十歳を過ぎたら身体能力は少しずつ衰えていく」というような言い方をすることもありますが、人は誰しも、加齢による衰えは認めたくないものです。

私も最近、白髪が少しずつ目立ってきたのですが、やはりショッキングであります。

 

 

かように考えると、自主的な免許返納は、難しいかも。
認知症でなくとも、身体能力・運動神経の検査、あるいは、一律に年齢での線引きによる、何らかの強制力を伴った返納制度(取消制度)を検討することも必要かもしれません。

産経新聞 2018/1/13 : 【主張】高齢者の運転免許 強制返納の仕組み検討を

 

交通至便な蕨市の場合は問題になりませんが、地方都市においては、クルマがないと生活が成り立たない!という場合もあるかと思います。
だからといって、毎月のように発生する、高齢者が加害者となる不幸な交通事故を、社会的コストの一つとして許容し続けることは、もはや不可能だと考えます。


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