「新型コロナ関連の助成金・給付金・融資の総合的な窓口を作って欲しい」というご意見について

総合的、一元的な窓口が欲しいというご意見

新型コロナウイルスで経営が苦しい事業者向けに、国の各官庁、県、市(蕨市はまだ出来てませんけど)などが、様々な、助成金、給付金、融資制度などを設けております。

役所がやっているので、説明は分かりにくいし、受けるための条件、手続き方法も複雑です。

「お前ら、webページへのリンクをfacebookに貼り付けて投稿するだけで満足してないで、市役所の中でも、外部でも、どこでもいいから、総合的な窓口を作ってくれ!」
というご意見を、何人かの方からお聞きしました。

 

 

でも、これ、無理ですね。

まあ、無理やり作れば無理ではないけど、非効率ですね。

 

 

 

そもそも、巨大なガバメントの組織はピラミッド型・縦割りが最も効率が良い

国の様々な官庁 – 都道府県 – 市町村の役所全てをひっくるめて(各階層には上下はあっても、親子関係では無いんですけどね)、巨大なガバメントというシステムとして捉えた場合、これを最も効率が良く運営する方法は、結局のところ、

・ピラミッド型
・縦割り

しかない、というのが、その末端組織である蕨市役所を、市議会議員という立場で観察してきた経験からの実感です。
様々な弊害もありますが、それらを差し引いた上でも、全体最適が実現する方法だと思います。

 

 

営利の追求を目的として、費用対効果を極大化しているはずの民間の大企業においては、組織の仕組みは、実はかなり流行があります。

事業部制やら、カンパニー制やら、持株会社制やらが、時代の変遷とともに持て囃されてきました。
これらは、結局のところ、
・ピラミッド型
・縦割り
の亜種に過ぎません。

 

稲盛さんが唱えたアメーバ経営は、
・ピラミッド型
・縦割り
を否定するという点で(おそらく)画期的なものでしたが、分かりにくいし、さっぱり普及しませんでした。

 

組織運営の効率性を最大限重視すべき民間企業が、なぜ流行に囚われるかというと、「新しいモノに取り組んでる」感を出した方が、マスメディアや取引先、顧客に好意的に受け止められたり、その結果として、会社のイメージが向上し、人材採用に有利だったり、株価が上がりやすかったり、といった効果があるからだと思います。

 

 

民間企業のように外部の目を一切意識する必要がなく、かつ、組織運営の効率性を最大限重視なくてはならない、軍隊においては、古今東西、
・ピラミッド型
・縦割り
は不変です。

 

 

役所の「すぐやる課」

市民のため 素早く対応 「すぐやる課」 発足50年

6月には「道路をカメが歩いている」との通報を受けて巨大なリクガメを捕獲  千葉県の松戸市役所には「すぐやる課」という変わった名前の部署があります。役所の部署は「観光課」や「保育課」など担当する分野が名前になっていますが、すぐやる課は「困り事に素早く対応する」という姿勢に由来し、今年で発足50周年。一時ブームとなり、最盛期には300を超える自治体がまねをして同じような部署をつくりました。 …

昭和40年代に、当時の松戸市長(マツキヨの創業者)が作った「すぐやる課」という組織があり、話題になりました。

地方政府は、話題になったモノを横並びで導入しようという気質があるので、あっという間に全国の自治体に広まったようですが、今はほとんど廃止されています。

詳細は私もよく存じませんが、一種の「総合的・一元的な窓口」として機能しているようです。

たらい回しせずに、どんな細かい内容でも、部署をまたぐような微妙な案件でも相談に乗ってくれて、本来の適切な部署に繋いでくれる、というのは、確かに、便利かもしれません。

しかし、話を聞いた上で本来の適切な部署に連れて行ってくれるだけであり、何らかの付加価値を加えることをしないのであれば、私には、屋上屋を架しているだけのように見えます。

 

 

総合的・一元的な窓口業務は、民間のブローカービジネスに任せた方がいい

「話を聞いた上で、どこの助成金、給付金、融資を受けられるのか判断して、手続きを代行してくれる」のは、民間のブローカービジネスに任せるのが、最も効率がいいと考えます。

(ブローカーと言うと、ネガティブなイメージで用いられることも多い言葉ですが、単なる仲介業者という意味で用いております。)

 

 

税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士なども、広義のブローカービジネスでありますし、「成功報酬型、助成金獲得コンサル」みたいな怪しい業者もたくさんあります。

これらの民間のブローカービジネスに、競争原理の下で総合的・一元的な窓口業務を任せるのが、最も効率が良い、全体最適が実現する方法だと考えます。

この種のブローカービジネスを使うカネがもったいない、無駄だ、と考えるのであれば、自分自身の手で全部やるしかないし、その手間ヒマを惜しむべきではありません。


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