南町の避難所運営訓練がありました。

本日、2017年2月19日(日)蕨市立南小学校におきまして、避難所運営訓練が行われ、見学しました。

参加者は、南町地域の各町会、南小学校、消防本部、市役所の安心安全推進課など。

実際の災害現場を多々見学したことがありますが、体育館などの避難所の中にまでは、遠慮して足を踏み入れることはなかなかありません。
いろいろと得るものがあった、貴重な体験でした。

以下、順不同、非体系的に、思いついたことなどをメモ。

 

 

校庭に集まった後、避難所である体育館へ。

災害発災時に、一旦、各家庭から校庭に集まってきた、という想定です。
学校の校舎内、体育館へは、勝手に判断して入っていいわけではありません。
校長の許可を得た上で、入ることが出来る、というのが前提となります。
では、校長と連絡が取れないときは?教頭とも連絡が取れないときは?学校教職員の誰とも連絡が取れないときは?

真冬で冷たい雨が降っていて、建物内に入らないと生死に関わるような状況では、勝手にガラスを割って鍵を開けて中に入ってもいいものだろうか?

 

校舎、体育館に入る許可を得ても、全ての部屋・設備を勝手に使っていいわけでありません。

トイレは、排水管が壊れていないかどうか点検してからでないと、使ってはいけません。
職員室などには生徒の個人情報がありますし(基本的には平時においては鍵がかかる金庫やキャビネット類に保管されているはずですが、災害によってそれらが壊れて、個人情報を含む書類が散乱しているかもしれない)、どこの教室・設備の使用を許可するかは、校長の判断、ということになるようです。

20170219_蕨市 避難所運営訓練

学校で保管している災害用ブルーシートを広げて、各町会ごとに座るスペースを確保。

今日は日差しは暖かいものの、気温は低く、体育館の床は冷たい。
そのままずっと座っていたら、痔になりそう。
座布団類を持ってきた方が無難です。
それがなくても、せめて、服を丸めて座布団代わりにするとか。

 

 

災害用の備蓄品保管室を見学。

20170219_蕨市 避難所運営訓練

毛布。

20170219_蕨市 避難所運営訓練

乳幼児用のおむつ。

20170219_蕨市 避難所運営訓練

アルファ米。

 

基本的に、これらは新品だと思います。
発電機のガソリン燃料や、食品類などは消費期限がありますが、適切に管理されています。

基本的にみんな譲り合って秩序が保たれると思いますが、このような資材を置く場所は、立哨を置くなどのセキュリティは必要かもしれませんね。

20170219_蕨市 避難所運営訓練

災害用トイレの組み立て。

パイプでフレームを作って、キャンバス素材のカバーをかけます。
排水路が確保できれば水洗となりますが、なければ、利用する都度、ビニール袋に排泄して処理する必要があります。

20170219_蕨市 避難所運営訓練

炊き出し訓練。

プロパンガスで湯を沸かして、アルファ米を炊き、レトルトカレーを作る。

20170219_蕨市 避難所運営訓練

管理者からの情報伝達は、放送(スピーカマイク)の他、ホワイトボードでの掲示を利用。

これは・・・日本語が読めない外国人には分かりませんね。

自分の町会名を知らない人も、分からない。
蕨市の町会名は、行政上の地名と異なり、古い地名を用いているところが多いので、自分の住む地域の町会名を知らない人は意外と多いと思います。

町会未加入者、たまたまこの地域を外から訪れていて被災した人(通行者、来客など)は、どうすればいいのだろうか?

 

コミュニケーションは意外にも、けっこう重要だ。
言葉の使い方一つが、要らぬフリクションを招いてしまうかもしれない。
避難所内の放送によるアナウンスは、何度も何度も繰り返す必要がある。
全てのコミュニケーションは、基本的には、明るく前向きなものが良い。話し方、言葉遣い、声の質にも気をつけたい。
コミュニケーション経路は、出来るだけ多重化せずに、一元化するべき。

20170219_蕨市 避難所運営訓練

カレーをおいしくいただきました。もぐもぐ。

そう言えば、ごみの処理ってどうやればいいんだろう?
夏だったら、生ゴミとか1日も置いたらヤバいですよね。
取り敢えず仮に、校庭に穴を掘って埋めてもいいのかな?

 

 

今回の南町の訓練では、この地域にお住まいの、近隣市の消防幹部の方がいて、この方がスパスパ仕切っていました。
地元の皆様もこの方には一目置いているらしく、黙々と指示に従って、流れるように訓練が進行していきました。

これが他の地域だったら、意思決定過程、指揮命令系統はぐちゃぐちゃで、ああでもないこうでもないと議論百出し、船頭多くして船山に登ってしまうかもしれません。

例えば、
・手が空いている力仕事が出来る若者が10人しかいない。
・X地点でガレキに埋まったお年寄りを発見。持病のクスリを服用しないとやばい。すぐに助けないと!
・Y地点で同じくガレキに埋まって息も絶え絶えな乳幼児を発見。すぐに助けないと!
・それぞれガレキ除去には10人くらいの人手が必要。
さあ、どうやって優先順位を付け、リソースを分配するか?
X地点が先だ、いやY地点だ、まあまあここは穏便にじゃんけんで決めましょう、いやいやそれより5人-5人ずつに分けたらどうですか?
みたいな。

結局、誰か仕切れるキーパーソンの存在が必要。
特殊なスキルは必要ないが、地域の地理・どういう人がいるのか等の状況をがっちり把握していて、的確な判断力があり、コミュニケーション力が高くて、明るく前向きな性格で、それなりの地域内での人望があって、仕切れる人。
このキーパーソンは、フットワーク軽くあちこち動き回ってはいけない。常に本部に腰を据えて、様々な課題が持ち上がる都度、どう対処するか意思決定して仕切っていかないとならない。

そもそも南町のこの方も、大規模災害時は、おそらくご自分の職場に駆けつけてしまって、この南町の避難所には来れないでしょうし、誰か他のキーパーソンを確保する必要があります。

 

 

課題をいろいろ発見したわけですが、私は、基本的にはまったく悲観していません。
いざとなればまあ何とかなるだろう、と何となく特別な根拠もなく、楽観しています。
明治天皇の御製「敷島の大和心の雄々しさは事有る時ぞ現れにける」にあるような、いざという時の日本民族の底力を信じております。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください