指定管理者制度導入によるリストラ効果

指定管理者制度の概要

「指定管理者制度」という仕組みがある。
行政の一部の業務を、民間事業者に5年程度の中期契約でアウトソーシングするというもの。

蕨市webサイト : 指定管理者制度

蕨市においては、以下の施設運営が指定管理者にアウトソーシングされている。
・市民体育館
・市民会館
・市民プール
・社会福祉センター内の施設
・駅前のくるる と、旭町公民館

メリットは、ざっくりいうと、リストラ効果。
市が直営している時と比べると、市の職員が要らなくなるので人員削減できるし、民間事業者のノウハウを活かして低コストで運営できるようになる。

デメリットは、正直、個人的には今ひとつよく分からない。
アウトソーサー選定の入札の手続きや、発注金額の見積りを適切に行えば、デメリットはないような気がする。逆に言うと、これらに失敗すると、無駄に高い金額で契約してしまったり、おかしな業者に発注して、サービスレベルを不当に低下させてしまうこともあり得るかもしれない。
また、市の直営からアウトソーシングに切り替える時は、それまでのスタッフの処遇をどうするのか、雇用の問題は発生する。

 

蕨市民体育館における、指定管理者制度のマクロのリストラ効果


市民体育館においては、平成18年度から5年契約で指定管理者制度が導入されている。
現在は、23年度からの2期目で、27年度に契約終了する。
今のところ、28年度以降はどうするかという議論は議会で話題になっていないけど、たぶん、5ヶ年契約の入札を再度行うことになるのかと思う。
17年度までは市が直営していた。

市民体育館は、個人的には使ったことない。
選挙の開票立会いの仕事で、3回だけ足を踏み入れたことがあるけど、それ以外の利用体験はまったくない。

そんなわけで、ユーザ視点から見た、サービスレベルの変化は私にはまったく分からない。
昔から市民体育館使ってた人は、教えて下さいませ。

そこで、取り敢えず、マクロの数字をみて、経年で、どのくらいリストラ効果があったのか見てみよう。

(以下、数表とグラフは、クリックすると拡大する)

余談だけど、紙ベースの決算書のページをめくって、excelで手打ちでデータを作った。しんどい作業。早くオープンデータ実現して欲しい。

15-17年度は、市の直営の時代。
管理運営費は、平均で71百万円。
この中には、バイト・パートの人件費は含まれているものの、市の正規職員の人件費は含まれていないはず。
何人の市のスタッフが関わっていて、人件費総額が幾らなのかは、ちょっと今は分からない。
7-8人くらいか?
ざっくり年俸500万、販管費50%として、一人当たり人件費750万と仮定すると、人件費総額は5,250万-6,000万くらい?

18年度から指定管理者制度が導入された。

第1期(18-22年度)は、指定管理料の年間固定額は、43.4百万円。
第2期(23-27年度)は、36.4百万。どういう計算式か分からないが、年ごとに若干変動があるので、固定費+従量費のような契約体系に変更したのかもしれない。契約金額を削減できたようだ。他方で、管理運営費全体に対して、指定管理料以外の部分が拡大しているので、契約範囲を縮小したようである。管理運営費全体は、第1期と比べると拡大している。

指定管理者制度の下においても、全てを丸投げしている訳ではないので、市の正規職員は何らかの形で何らかの業務を行っているはずだけど、何人月程度の工数が発生しているのは、分からない。

ということで、
市の正規職員の人件の内訳はよく分からないので、人件費を除いた、
管理運営費全体は、

市の直営期(15-17年度):71.1百万円
第1期 指定管理者制度期(18-22年度):45.7百万円
第2期 指定管理者制度期(23-27年度):48.9百万円

と、ざっくり、年間で-33.5%、-23.8百万円くらい、けっこうなリストラ効果があったことが分かる。

尚、この指定管理料の算出根拠は、分からない。
従って、リーズナブルなものなのかどうかは、何とも判断しがたい。他の自治体における市民体育館の指定管理料の事例を調べて比較してみるといいが、ちょっと今はそこまで手が回らず。


(単位:百万円)


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