自殺は減少、生活保護は増加、倒産は減少?

新型コロナウイルス関連での人々の生活、経済への影響を観測する上で、注目すべき数字は、

・自殺
・生活保護
・倒産

のトレンドです。

 

直近の4月の数字が、各ニュースサイトにて報道されていました。

これらの数字は、継続的に目を光らせておくべきと思います。

また、目先の数字の上下に一喜一憂するのではなく、トレンドの変化と、背景についても分析する必要があります。

 

 

 

自殺は減少

4月の自殺者数が前年比で約2割減 「職場や学校に追い込む何かが…」という声も

4月の自殺者数が前年比でおよそ2割減っていることが、厚労省や警察庁のまとめで分かった。 警察庁が ウェブサイトで公開した2020年4月の自殺者数は1455人で、2019年4月の1814人から19.8%減。同庁などによる まとめ によると、少なくとも2015年以降、4月の自殺者数としては最も少なかった。 …

取り敢えず、直近の自殺件数は減っています。

「自殺の原因の多くが人間関係によるストレスであり、職場や学校での他人との接触機会が減った結果、自殺も減った」という背景の分析には、個人的にはかなり納得感があります(笑)。

今後、増加トレンドに転じる可能性は多々あります。

 

新型コロナの感染拡大によって、なぜ自殺が増えるかというと、その理由の1つは、短期的には、

(1)経済の縮小 → 企業の廃業・倒産、失業、資産の毀損

ということなのですが、これに加えて、中長期的には、

(2)ニュー・ノーマルへの移行に対応出来ない人達が出てくるから

というのも、2つ目の理由として挙げられます。

 

政策的な努力によって、自ら死を選ぶ人が一人でも少なくするようにしなくてはならない。

これは、国~都道府県~市町村、それぞれのレベルで、出来ることは色々あると思います。

(1)については、市レベルでは、最後のセーフティネットである、生活保護が、漏れなく、確実に機能するようにすること。
これについては、次項にて。

(2)については、うーん。なんだろう?職業訓練の強化とか?ITリテラシ教育の強化とか?
そもそも、市場に委ねるべきであって、政府が介入するべきではないのか?
これについては、これから考えます。

 

 

 

生活保護は増加

<新型コロナ>生活保護受給 急増の兆し 申請リーマン上回る可能性 電話相談2日で5000件

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で解雇や雇い止め、休業が相次ぎ、生活保護受給者が急速に増加する兆しが出ていることが分かった。支援団体が四月中旬に行った電話相談会には事業主などから二日間で五千件超が寄せられた。福祉関係者の間では「リーマン・ショックを超える申請数増加になる可能性もある」との観測が広がる。自殺者が増える懸念もあり、一時的に審査を簡素化するなど、困窮者への早急な支援が急務だ。 …

具体的な被保護世帯数については、まだ統計データは上がってきていません。蕨市の数字もまだ不明です。

上の記事では、支援団体への相談件数が増加している状況から、「急増するだろう」、「リーマン・ショックを超えるかもしれない」という見立てを紹介しています。

 

 

 

市議会レベルで、今考えるべきテーマなど

こちらのエントリで、生活保護の増加に備えるべきという課題認識を提示して、

 

【蕨市議会】会派:令政クラブにて、市長宛て新型コロナ対策提言書を出しました。

こちらのエントリにて説明したように、私が所属している蕨市議会の保守系・自民党系の議会会派:令政クラブでは、市長宛てに生活保護の増大に備えて、

・ケースワーカーの緊急増員
・制度利用促進の広報

を提言したところです。

私たちの会派は、従来は、「共産党員の市長の下で生活保護が増え続けている」という蕨市の現状に不満を持ち、不正受給を防ぐための厳格な調査、個別外部監査の導入、低家賃の築古アパートの建て替え促進など、生活保護を減らすための施策を訴えてきたところです。

しかしながら、現下の状況ではそうも言っておられず、生活保護が本当に必要な人が、自ら死を選ぶことがないように、漏れなく確実にこの制度を使ってもらえるように、「制度利用促進の広報」を提言したところです。

 

 

 

倒産は減少?

https://www.tdb.co.jp/tosan/covid19/index.html

帝国データバンクによると、新型コロナ関連倒産は、147件。
たったの?
そんなに少ないの?

倒産阻む司法の旧弊

新型コロナウイルス感染拡大に伴う国の緊急事態宣言を受けた休業などの影響で、苦境に陥る企業が増えている。にもかかわらず、4月の都内の倒産件数は前年同月比で1割減となった。政府の支援策が効いているのか。事情はそれほど単純ではない。 5月上旬、都内の弁護士は悩んでいた。複数の中小経営者から破産についての相談が寄せられているが「どの案件で破産手続きを裁判所に申し立てるか」精査する必要があるからだ。 …

日経では「4月の都内の倒産件数は前年同月比で1割減」という数字を取り上げつつ、裁判所が感染拡大防止のために業務を縮小しているので、破産手続きが出来ないケースが増えているという背景を分析し、緊急事態宣言解除後に倒産ラッシュが起こるだろう、という法曹界における見立てを紹介しています。

米国、韓国、シンガポールでは、オンラインで破産手続きの申請が出来るようですが、我が国は紙ベースでの手続きが必要、とのこと。

 

アフター・コロナの世界では、人と人とのコミュニケーションのやり方、あらゆる仕事の流れ(民間セクタ、公的セクタの両方とも)、行政手続き、司法手続き、教育、医療において、一気にDXが進みます。

新型コロナによって、必要に迫られてしまったので、やるしかない。
必要に迫られれば、物事は一気に動きます。

前述の話に戻りますが、ニュー・ノーマルへの移行に対応出来ない人たちは、気の毒ですが、今後は淘汰されていかざるを得ない。
(※追記 淘汰というのは、文字通り死ぬとか解雇されるとかという意味ではなく、組織の中で出世できなかったり、権限がなくなったり、情報が回ってくるのが遅くなったり、といった意味で。)
残念ながら格差は拡大しますが、悪いことばかりではなく、世代交代が一気に進むという良い面もあります。

個人や企業だけの話ではなく、地方自治体もまた同じく、ニュー・ノーマルに必死で対応していかないと淘汰されてしまいます。


自殺は減少、生活保護は増加、倒産は減少?」への2件のフィードバック

  1. ケースワーカーは業務は、新規相談もあるが、現に保護をうけている人を担当すること。
    いま、真に必要とするのは、ワーカーでなく前段の支援(仕事とお金)をする人員(組織)。あるいは応急(無理でしょうが親族への扶養調査をしないで)保護して、その後、保護からの自立を支援する人員(組織)。名付けるなら、困窮自殺防止担当

    • なるほど、ありがとうございます。
      現場の実務をよく理解していない部分もありますので、とても参考になります。

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