蕨のコミュニティバス

さて、昨日2015年6月17日(水)より、蕨市議会2015年6月定例会が始まっております。
初日は単なるセレモニーみたいなものなので(但し、市長演説の中に重要な初出のインフォメーションが含まれる場合もある)、あっさりと30分くらいで終了。

ということで、今回の定例議会で何を一般質問のテーマとして取り上げるか諸々調べ中です。

 

市長・日共がコミュニティバスの1台増設を目指している

蕨市webサイト : 頼高市長3期目のマニフェスト(PDFファイル)

日本共産党籍を持つ共産主義者の頼高英雄市長は、3期目の公約の一つして、
・ぷらっとわらびのルート拡充(4台運行、逆回りなど)(4年以内)
を掲げている。

今までの議会の中で日共議員が主張してきたことでもあるし、他の日共議員が、この度2015年5月の市議選において署名集めを行っていたことでもある。

現在のコミュニティバスに関わる予算(市の出費)は年間4,000万で、1台増設すると+1,500万らしい(後述)。

おそらく、市長は、来年2016年度か、2017年度か2018年度の予算案に、前年比1,500万円増を盛り込んでるものと思われる。

個人的には、小さな政府が好きだし、市長の思惑をそのまま通すのも癪に障るので、何らか反対・批判のロジックが組めないかどうか調べてみた。
この時点では、正直、「反対のための反対」みたいなもんです。
ちなみに、私はこの蕨のコミュニティバス、使い勝手が悪いので、一度も乗ったことがない。

そういえば、私も、市議会議員1期目の選挙の時の政策案として、
・戸田市のコミュニティバスとの共同運行
みたいなことを唱えていたような気もするが、それは取り敢えず棚に上げておきますw

 

蕨のコミュニティバスの現状

2002年にサービスインした。当時、どういう経緯でどのような議論を経て導入が決まったのかは知らない(そこまでは調べてない)。
ブランド名は、ぷらっとわらび。

車輌は3台で、3路線。

基本的にコミュニティバスのモデルは、単体で収支均衡をそもそも想定しておらず、市の一般会計で赤字補填をしている。
2015年度年間予算(赤字補填総額)は、40,784,000円。
7.2万蕨市民の一人当たりで言うと、せいぜい550円とかそのくらい。

1台増車すると、+1,500万かかるらしい(内訳不明だが、人件や車輌リース代など一式だと思う)。
対して、売上(運賃収入)は、800万。

年間乗客数は、
2008年 162,770人
2009年 166,672人
2010年 164,334人
2011年 165,831人
2012年 184,193人
2013年 198,255人

75歳以上の人に無料パスが発行されている。

 

コミュニティバスの歴史的背景

バス、電車、飛行機、船などの公共交通は、本来ならば市場に委ねるべきなのだが、市場がカバーできない場合、あるいは資源の再配分の一環として、行政が赤字補填し続けることを前提に直営でバス経営を行うことがある。
その目的は、過疎地や、街中の道路狭隘地区などの交通空白地域や、病院への通院ルートの確保、高齢者・障がい者などの交通弱者対策など。

このモデルは北欧あたりから始まったものかと勝手に考えていたのだが、どうやら1995年にスタートした武蔵野市のムーバスが初らしい。ここは、1998年には早くもEBITDAベースで(車輌の減価償却を除いて)黒転している。

行政サービスのモデルには、ビジネスモデルのように知的財産権はないので、どこかで成功事例が生まれたら、他の自治体も競うようにパクりまくる。
今では、全国津々浦々にコミュニティバスが走り回っている。

武蔵野市のように黒字化しているところは例外的で、ほとんどの自治体のコミュニティバスが、自治体の財政から赤字補填を受け続けている。

利用者にとっては、市場原理を無視した激安のプライシングなので、当然、「ありがたい」、「バス路線があって良かった」という高評価になりやすい。
運営経費は、市の財政から赤字補填しているわけだが、広く薄く負担しているわけだから、そんなに大した金額ではない。批判の声が高まることはほとんどない。
いったん運営を始めると、財政難などの特別な理由がない限り、途中で辞めることは政治的に難しい。

 

結論

民間のバス事業者、タクシー事業者への民業圧迫という視点などで攻めてみようかと思ったが、正直、ロジック的にかなり無理がある。

金額はわずか4,000万円ほど、1台増車しても5,500万円ほどで、蕨市の一般会計226億の中では、ごくごくわずかに過ぎない。

市民が得られている効用を定量化することは難しいし(というか面倒なのでそこまではやってない)、現状の路線・台数・ダイヤが最適化されたものなのかどうかは分からないが、取り立てて問題視して廃止・縮小・増車の反対を唱えることは、難しい。

高齢者、障がい者などの交通弱者に対する資源の再配分という視点から見れば、しっかり役割を果たしている、とも言える。

ということで、今回取り上げて「反対のための反対」をやることは止めましたw
1台増設の予算案が出てきても、賛成することになると思います。


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