【蕨市議会】新型コロナ対策の臨時議会がございました。

先日、令和2年5月1日(金)、蕨市議会の臨時議会が開かれました。

会期はわずか1日間だけという異例のもので、新型コロナ禍のために急いで設けられる緊急対策の予算案、条例案を通すための臨時議会でした。

 

緊急対策の、お金の出どころ別の分類

まず、

(1)国の一律10万円給付金
(2)市単独事業

この2つに分類出来ます。

 

 

(1)国の一律10万円給付金

すったもんだした挙げ句に決まった、国の一律10万円の給付金は、給付に伴う諸々の事務作業(案内書類を発送したり、返送を受け付けて確認したり、振り込んだりといった作業)は、市町村が下請けします。

 

蕨市の人口は、75,654人(4月1日時点)なので、

75,654人 ☓ 10万円 = (ちょっと余裕を持って多めに)76億円

が予算として計上されました。

よく理解していませんでしたが、これって、市内在住の外国人にも給付するんですね。

 

一連の事務作業の費用として、9,357万7千円も計上されております。
印刷代、送料、銀行振込手数料といったものに加えて、職員の人件費も含みます。
職員は、6人から成るプロジェクトチームが既に動き始めているとのことです(専任か兼任か、正規職員か会計年度任用職員かは不明)。

これらの原資は、全て国費です。
国のお金で、市が下請けをする、ということです。

 

(2)市単独事業

市が、基金(会計年度をまたいで貯めたり使ったり出来る、言わば貯金箱のようなもの)を原資として、独自に行うものです。

各自治体ごとに、首長の腕の見せ所とも言えます。

 

(1)国の給付金の財源は、全額が国債の新規発行です。日銀は令和2年4月27日の金融政策決定会合にて国債の買いオペの上限を撤廃しておりますので、要するにこれって、ヘリコプターマネーですよね。「お金を刷って配る」ということです。

(2)市単独事業の財源は、(私の理解によると、国と異なり、地方政府は、新型コロナ対策のための起債は出来ないはずなので、)基金を取り崩すしかありません。基金は、過去に貯めてきたお金であり、将来何かに使うはずだったお金です。当然に、将来何かをやるための原資が減ることになります。

財源は、国の経済対策と、市単独事業の経済対策の大きな違いです。

 

 

緊急対策の、対象別・お金の出し方別の分類

(1)経済対策
(2)生活支援

この2つに分けられます。

 

(1)経済対策というのは、企業の廃業・倒産を防ぐ、失業の発生を防ぐ、マクロの地域経済の疲弊を防ぐ、経済を回す(お金を使わせる)ことを目的とするものです。
対象は、営利を目的とした民間企業・個人事業主・フリーランスです。
市町村が行う経済対策は、主に、その地域に本店を置く中小零細企業、個人事業主、フリーランスを対象とし、いわゆる大手企業は対象とはしません。

・給付金
一定の条件に従って、差し上げるもの(返済を求めない)

・制度融資
一定の条件に従って、有利な条件で貸付をおこなうもの(返済を求める)

があります。

 

(2)生活支援は、市民個人を対象とするものです。
条件に従っての給付金(お金を差し上げる)、何らかの金券類の配布など様々なパターンがあろうかと思います。

生活を支援することが目的であって、経済を回すこと(お金を使ってもらうこと)が目的ではないので、配ったお金は、市外で使われてしまっても、貯金されてしまっても構いません。

 

 

 

蕨市の緊急経済対策を、川口市、戸田市と比較

3市の経済対策を比較できるように一覧にしてみました。

 

  • 川口市の経済対策

埼玉・川口市 小規模事業者に10万円給付 総額35億円の緊急経済対策

埼玉県川口市は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、総額35億円超の緊急経済対策を実施する。売り上げが減少するなど影響を受けた小規模事業者に、10万円程度を一律給付する支援策などを盛り込む。補償の財源は市の財政調整基金の一部を活用する。 …

まず、4月9日に川口市がいちはやく経済対策を発表しました。
売上が減った小規模事業者に、条件付きで一律10万円を配るという、異例の給付金には、度肝を抜かれました。

川口市は中小零細企業が多いので、想定対象数は15,000件ということで、給付総額は15億。

しかも、これを議会を通さずに市長が専決処分(事後的に議会の承認を得る仕組み)で決めた点にもびっくりしました。

尚、給付金の総額が15億、これを含めてパッケージ総額が35億とのことですが、残りの20億の内訳は不明です。
従って、真水で何億かも不明。
川口市のwebサイトをじっくり探してみたのですが、さっぱり見つかりませんでした。余計なお世話ですけど、川口市のwebサイトはちょっと見にくいですね。

 

 

  • 戸田市の経済対策

4月22日に発表されております。
戸田市も、川口市と同じく、市単独事業については、市長による専決処分。
(後、国の10万円給付関連の予算を通すために臨時議会を開くことになりました)

https://www.city.toda.saitama.jp/site/press/hisyo-press2020-kisyakaikenkinkyuusien.html

戸田市は、菅原市長の下で広報がすごく上手ですね。
資料がとても分かりやすい。

総額12億とのことですが、内、8億は制度融資です。
制度融資は、一部は貸し倒れることでしょうが、いずれは返済されるべきお金です。
(利子補給と信用保証料は、供与するもの)

この制度融資の分を除いて、真水は4億というところですね。

 

川口市と同じく、小規模事業者・個人事業主向けの10万円給付を行います。
川口市と比べると対象者数が少なく、総額は2億48百万となっています。

ひとり親世帯、生活困窮者向けの生活支援として、3万円も給付します。これは独自のものです(この時点では)。

 

 

  • 蕨市の経済対策

これらを参考にして、蕨市は4月28日に、総額2.7億からなる経済対策を発表しました。

https://www.city.warabi.saitama.jp/shisei/kouhou/1006028/1006029.html

詳細はこちらをご覧ください。

蕨市は、川口市、戸田市と異なり、市長による専決処分ではなく、臨時議会を開くことになりました。

 

川口市・戸田市と同じく、小規模事業者向けに10万円給付を行うほか、家賃補助として一社当たり5万円。総額2億4千万。

戸田市はひとり親世帯・生活困窮世帯に一律3万円、総額3千8百万を給付しますが、蕨市は、ひとり親家庭のみ一律3万円、総額9百万を給付。
その他、妊婦さんに1万円分の交通ICカードを配布。

 

ということで、先に発表された川口市、戸田市の政策パッケージと遜色が無いようにコピーした上で、独自性を醸し出すためのプラスαを付け加えたという努力の跡が見られます。

戸田市の真水が4億であることと比べると、蕨市2.7億はかなり頑張った大判振る舞いと言えます。

もちろん、前述の通り、多ければいいというものではありません。基金を取り崩して原資とするわけですから、将来何かをやるためのお金が減ってしまうということになります。

 

コロナ禍の長期化に伴い、祭りの類のイベントは軒並み中止になっています。この種のイベントへの市からの補助金は不要となります。
市の当初予算の中で、他にも、執行出来ないものがたくさんあるでしょう。
オリンピック・パラリンピック関連のように、翌年度に繰り越さざるを得ないものもあるでしょう。

今後は、それらを精査した上で、経済対策パッケージ2.7億の原資の一部に充てる補正予算が組まれることになると思います。


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