(詳細は書きませんが)、近隣市の某認可保育園(株式会社が経営)において、子供の腕が脱臼するという事故がありました。園側の対応を巡って保護者側が不信を抱き、当該市の某市議会議員と協力して折衝を行ったのですが、その過程で、以下の感想を持ちました。
大手保育サービス事業者の成長スピードは早過ぎて、現場の人材育成が追い付いていない
保育サービスの現場の保育士、管理職(園長や中間管理職)は、保育士の資格を取ればすぐにバリバリ出来るようになるものではなく、現場での数年に渡る経験が必要です。
大手保育サービス事業者の成長スピード(=保育園の新規出店スピード)は早過ぎて、現場の人材育成が追い付いていないようです。
これは定量的な分析をしたわけではありませんが、業界内部ではそのような意見を持っている人が多い、という印象を受けました。
他方で、保育サービスの供給量を増やして待機児童問題を解決しよう、というのが国の大方針です。現今の蕨市でも同じ方針です。また、私が現在立案中の「存在感大きな街 ビッグシティ蕨」構想においても教育・子育て支援分野には行政の経営資源を傾斜配分し、保育サービスの質・量の充実を図る政策を掲げていく予定です。
保育サービス業界全般的に「人材育成が追い付いていない」という状況は、数年タームで解消されずに続いていくものと思います。
保育サービス業界は、市場原理が働かない業界
この業界は、圧倒的に「供給過少-需要過多」の状況です。
認可保育園は常に定員いっぱいで、待機児童が列をなしています。
厳密に言うと、認可保育園への待機児童が多数いる一方で、自治体独自の認証保育園・家庭保育室や認可外保育園は定員割れしており、需給がアンマッチングとなっている、歪んだ市場です。
つまり、市場原理が機能していません。
冒頭の今回のケースにおいては、当初、脱臼した子供の親御さんは共働きで、「園側の対応には不信を感じるけど、これからも保育園に預かってもらわないと困るし、保育園辞めたら仕事出来なくなっちゃうし、泣き寝入りしようかな・・・」と考えていたようです。
「供給過少-需要過多」の売り手市場においては、このようなことが起こります。
尚、冒頭の今回のケースは、株式会社経営の認可保育園におけるものですが、経営形態が株式会社であることが問題だったとは、個人的には思いません。業界全体が「供給過少-需要過多」である以上、社会福祉法人だからといって人材育成が必ずしも完璧であるということもなく、また、全ての株式会社が金儲け第一主義なわけでもありません。
事故、ケガ、その他トラブル防止、抑止のためには、最終的には市場原理の導入が必要。当面は行政の管理監督の強化が必要
市場原理が有効に機能していれば、低質・悪質なサービスは淘汰されていきます。
最終的に「供給過少-需要過多」状態が解消されれば、市場原理が有効に機能するようになるでしょう。
しかしながら、ここ数年しばらくは「供給過少-需要過多」状態が続くために、市場に期待することは出来ません。
当面は、行政による管理監督、情報公開の仕組みを強化するしかないものと思います。
ということで、今回の一般質問では、蕨市の管理監督とその結果の情報公開の現状を問い質します。