議会側と行政側には圧倒的な情報の非対称性がある

議会(議員)の主要な役割の一つが、行政のチェックです。
行政のやる仕事が正しい考え方、やり方に基づいて、適正に行われているかどうか、事前に、あるいは事後にチェックしていきます。

その、事後チェックの主要な舞台が、先のエントリで述べた決算委員会です。
hoya_t blog 2016/9/14 : 蕨市議会 9月定例会の決算委員会

 

チェックすると言っても、もちろん制約が大きく、全てを完璧にチェックするのはほとんど不可能に近いと言えます。

 

議員は、基本的には様々なバックグラウンドを持った人たちで、その分野に関しては専門家ですが、当然ながらそれ以外の分野に関しては素人ですので、まず、能力的に限界があります。
何かの決算項目に対して、その結果や金額が適正なのか?というのは、かなりその分野に精通していないとなかなか判断できるものではありません。
行政側に対して、「これは適正なんですか?」と間抜けなことを聞くことも多いのですが、当然ながら、回答は「はい、適正です」の一択となります。
国政レベルでは、官僚出身の国会議員は多いですが、地方レベルでは少ないと思います。蕨市議会においては、過去には部長クラスの出身者がいましたが、今はおりません。

蕨市議会においては、議員数は18人であり、そのうち、決算委員会は9人です。
秘書や政策スタッフがいるわけではないので、全て自分で調べなくてはならず、リソースの量的にも限界があります。
人数が多ければいいというものでもありませんけど。

また、そもそも、持っている情報量に限界があります。
議会が(議員が)持っている情報は、基本的には公開情報のみです。そもそも、NDAベースで議会に(議員に)対してのみ公開されている(市民に対しては非公開の)秘密情報というものは存在しません。

決算委員会などの場では、個人情報などの本質的に秘密にしなくてはならない情報を除いては、議員側(委員会メンバ)が質疑したことに対しては、基本的には、行政側は必ず答弁しなくてはならないはずですが、

・その情報は、記録していません
・その情報は、今は持ち合わせがありません

と回答して、事実上、答弁を拒否するという裏ワザがあります。

 

また、本会議における答弁は、百戦錬磨の部長級が行うのですが、委員会における答弁は、現場の実務レベルの課長級・係長級が行います。

どうやら、委員会における答弁のやり取りが、彼らの人事評価にも関わっているようで、私が所属する自民党系会派は、現在は野党の立場ですが、いずれは与党に復帰しますので、あまり個人的に恨みを買いそうなエグい質疑はしたくない、という事情もあります。

ハフポスト 2015/6/10 : 民主・小西洋之氏「政権を奪い返し、官僚を必ず処分する」 (書き起こし)

(集団的自衛権の限定容認という)憲法違反のお先棒をかつぐというような官僚の皆さんは、絶対に許さない。政権を奪い返してから、必ず皆さんを処分する

2015年6月の参議院外交防衛委員会で民進党の議員がこのような発言をしたとのことですが、そもそも本気で政権を取り返すつもりはないんでしょうね、たぶん。


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