釜山のいわゆる従軍慰安婦像問題の背景、マジョリティの考えは?

昨年末に、釜山の日本国総領事館前に、いわゆる従軍慰安婦像が民間団体の手によって不法に(おそらく韓国の国内法的にも違法だし、ウィーン条約にも反し、2015年12月日韓合意にも反している)設置され、問題になっています。

我が国は、外交プロトコルに基づき、不満の意を伝えるために、駐韓大使と在釜山総領事を一時帰国させました。

その、例の像とその周辺の雰囲気がどんな感じなのか、たまたま久しぶりに休みが取れたので、現地に見に行ってきました。

何気に、釜山行くの6年ぶりでした。

20170110_在釜山日本領事館前

在釜山 日本国総領事館の前の歩道。
総領事館の目と鼻の先で、領事館警備の警官が24時間体制でパトロールしている場所です。

写真の後ろの緑色半透明の建物は、地下鉄のエレベータ。

昼間は、15人くらいの人だかりが出来ていました。

20170110_在釜山日本領事館前

地元(おそらく?)のTV局の取材が入っていました。

また、通りすがりの人は、碑文を覗き込んで読んだり、写真を撮ったりしていました。

ソウルの像のように、周りで座り込んでいるような人は見当たらず。

20170110_在釜山日本領事館前

歩道上の樹木に結びつけて横長サイズの垂れ幕が設置されていました。

こういうのは、道路交通法(に相当する韓国の国内法)違反じゃないのかな?

 

尚、夜遅い時間と、早朝にも見に行ってみましたが、領事館警備の警官の他は、誰もおらず。

 

20160322_在ソウル日本大使館前

参考まで、昨年2016年3月に、ソウルマラソン参戦のために訪れたソウルの日本大使館前の像。当時は、像の隣で座り込む運動家がいました。背後の工事フェンスには、多数の寄せ書きや付箋のメモが貼ってありました。

 

 

ということで、市内は平穏な感じですね。

この件に関しては、ネット上には「今すぐ国交断絶しよう!」とか「国際法違反の幼稚な国とは付き合ってられない!」といった様々な感情的な発言が飛び交っております。

また、我が国のマスメディア上においては、韓国におけるマジョリティの意見や、エリート層の意見を詳しく適切に分析した記事がありません。この点には不満に思います。

 

 

まず重要なのは、我が国の国益をいかに実現していくか、という視座です。

・朝日新聞の捏造記事に端を発した、架空のいわゆる従軍慰安婦問題を収束させ、韓国内及び国際社会における誤解を解消し、毀損した我が国の名誉を回復すること。

・中共と露国の影響力が韓半島で強まるのを防ぐために、韓国との経済的・軍事的友好関係を維持するとともに、米軍の韓半島におけるプレゼンスの維持を助けること。

・北朝鮮の暴発(韓国への南侵、我が国への核攻撃、テロ攻撃など様々なパターンがあり得る)を防ぐこと。そのために、日・米・韓が国際社会の支持を得つつ、結束すること。

・韓国が侵略中の、我が国固有の領土である竹島を取り返すこと。

・既に分かちがたく経済的に結びついている日韓関係を益々盛り上げていくこと。

と言ったところかと思います。

 

 

一時的な激情に駆られて「ふざけるな!もう国交断絶だ!国交断絶だ!」などと叫ぶのは、愚の骨頂です。

 

2015年12月日韓合意に反し、ウィーン条約にも反している今回の事象は、韓国の法治主義、民主制の不完全性によるものなのですが、だからといって、それを声高に「幼稚な国だ!未熟な国だ!」と批判しても、この問題の解決には至らず、我が国の国益には合致しません。

 

法治主義、民主制は、本来は普遍的な概念で、国家・民族によって異なるものではないはずなのですが、現実には、ネーションステートによって、様々な形が存在します。

我が国の法治主義・民主制も、本来の普遍的な概念としての法治主義・民主制と比べると、不完全な部分が多々存在します。
それは幼稚だからでも未熟だからでもなく、長い歴史・伝統・国柄とすり合わせながら、叡智と努力を重ね続けてきた営為の結果なのです。

欧米が完全で非欧米が不完全なわけでもありません。
先の米国大統領選挙の結果や、西欧各国における極右勢力の伸長を例に持ち出して説明するまでもないでしょう。
国際法の遵守よりも、国内の身内の論理を優先させるのは、米国も同じです。

 

韓国には韓国の法治主義・民主制の形が存在し、それを理解した上で、「どこをどのように押せばどのように反応するか」を考え、我が国の国益を実現していく冷徹な姿勢が求められています。

 

私は、韓国の国内政治には全く詳しくないのですが、とにかく今必要な情報は、

・韓国のマジョリティがどう考えているのか。
・韓国のエリート層がどう考えているのか。

ということです。

マスメディアからは、「安倍首相のお面をかぶった運動家が、いわゆる従軍慰安婦像に向かって土下座するパフォーマンス」の映像を流すなど、絵になりやすいシーンを取り上げがちなのですが、これらの声は、ごく一部に過ぎないはずです。

釜山市内をちょっと歩くとラーメン屋とかカレー屋とかトンカツ屋とか居酒屋とかの日本料理屋だらけで、ひょいっと覗いてみると若者で溢れているわけですが、彼らは本当はどう考えているんですかね?

 

また、政治家や外交官の、↓以下のような、表面的な発言だけを取り上げても意味がありません。

ハンギョレ新聞 日本語版 2017/1/11 : 次期大統領選挙の有力候補10人とも「慰安婦合意の無効化・再交渉」

早期大統領選挙を控えた主要候補たちは、概ね12・28合意は無効化するか、少なくとも再交渉すべきだという立場を示している。

政治・外交には、当たり前ですが、表と裏があります。
そのような発言に至った背景、内在的論理を分析する必要があります。

 

もちろん私も韓国政府、釜山地方政府、現地の運動家の態度には頭にきているのですが、今は焼き肉をつつきながら冷静になりたいと思います。

DSC_0355

昼から一人焼き肉!
デジカルビとサムギョプサル。
(゚Д゚)ウマー


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