2014年12月衆院選雑感–「昔の中選挙区制の時の方が、今の小選挙区制の時より良かった」?

hoya_t blog (2014/12/17) : 2014年12月衆院選雑感–全体編
こちらの記事の続き。

私が所属している自民党は、蕨市のような郊外ベッドタウンでは、60代、70代のリタイアしたシニアセグメントが表に立ってメインの選挙活動を手伝ってくれる層、ということになる。
これらの方々は、それこそ何十年も前から選挙が好きで(一種の、祭りに参加するような感覚)、ディープに関わり続けて方が多い。
本当に、ありがたいことです。
(商店街地区、工業地区や農村地区であれば、これらの商工自営業者・農家の現役・若年セグメントも加わることになる)

選挙中に限らないのだが、これらの60代、70代シニアセグメントの方から、よく、

「今の小選挙区制の時代より、昔の中選挙区制の時代の方が良かった。
衆議院議員が個性が強くて、優秀で、元気だった。
今は、衆議院議員が、粒が小さくなった」

というような言葉を聞くことがある。

もちろんこれは、自分たちの選挙区の特定の誰かの代議士をどうこう批判・批評する話ではなくて、日本全国の一般論として語られる言葉だ。

衆議院議員選挙が中選挙区制から小選挙区比例代表並立制に変わったのは1996年で、私は中選挙区制時代を経験していないので、特に感想もなく、
「はぁ、そうですか。」
というくらいの返事しか出来ないのだが、何か違和感があって、頭の中で引っ掛かっていた。

 

中選挙区制下においては、一つの選挙区で複数の自民党公認候補が立候補し、激しく争うことになる。同じ政党に所属し、同じイデオロギー、政策を信奉している以上、イデオロギー面、政策面で競い合う要素は無く、畢竟、人柄やら個性やらを前面に出し、選挙運動の派手さを競い合う金権選挙となってしまう。

 

世界史的な冷戦終結に伴い、国内においても保革イデオロギー対立が無くなったため(何故か我が蕨市だけには残っているけど)、これからは純粋な政策を競い合う政治を作っていこうという理想と、金権政治への反省から、 我が国は(日本国民の総意として)、1996年に小選挙区比例代表並立制に選挙制度改革を行って、健全な二大政党制の実現を目指したわけだ。

その理想イメージの下では、
・お金の流れを主とした繋がりに過ぎない、自民党内の派閥は消滅し、
・二大政党それぞれの内部争いにおいて、派閥の力学が消滅し、純粋な政策の議論が闘わされるようになり、
・人柄と個性のみしか取り柄のない、「元気な政治家」は存在意義がなくなり(ハマコーみたいな)、
・選挙にお金はかからなくなり、
・衆議院議員は、真の政策のエキスパートだらけとなる。

 

60代、70代シニアセグメントの方々には、昔の派手な選挙へのノスタルジーとともに、「衆議院議員の粒が小さくなった」ということを不満に感じられるのだろうが、これらは、日本国民が総意として思い描いた、健全な二大政党制下の理想イメージに近付きつつある、ということなのだ。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください