蕨市議会議員の議員報酬額

さて、確定申告のシーズンです。
申告書類の作成手続きそのものは顧問税理士さんにお任せしているのですが、諸々伝票の整理と粗々の集計までの作業は、結局は自分でやらなくてはならないので、けっこうしんどいです。

蕨市議会議員の議員報酬がどのくらいあるのかまとめてみました。

議員報酬の金額は、「蕨市議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例」で決まっているので、これは内緒の数字ではなく、オープンな情報です。

蕨市議員報酬           7,021,800円
蕨市費用弁償、委員報酬等   40,400円
蕨戸田衛生センター議員報酬等 790,656円
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計 7,852,856円

議員報酬額は一律固定なので、年齢や当選期数によって違いはありません。
委員会の委員長、副議長、議長には役職手当がつきます。
費用弁償は、議会・委員会出勤日数によって決まるので、議員によって異なります。
蕨市の議員は、全員が蕨戸田衛生センター組合か戸田競艇組合に出向しているのですが、これも金額は異なります(競艇の方が高い)。
ということで、議員によって多少の差はありますが、ヒラ議員はほとんど同じです。

ここから、租税公課、議員厚生会費、会派費(会派の通信費、茶菓子代、視察旅行代などの原資となる)などが天引きされた手取り(名目手取り)は、600万ちょいとなります。

ところで、高待遇で知られた議員年金という制度は、既に廃止されています。

政治活動に使うための政務活動費(旧:政務調査費)というものが、月額33,000円あるのですが、これは議員個人に対してではなく、会派に対してまとめて支給される仕組みになっています。
私が所属する保守系会派:新生会では、以前は会派から一人当たり○円が再分配されて、新聞代、本代に使うことが出来たのですが、会派のローカルルールが厳しくなって、今は個人への再配分がゼロになってしまいました。そのほとんどは、会派広報誌発行(印刷費用、配布費用)、視察旅行に使っています。

議員業には様々な経費、例えば以下のようなものが掛かるわけですが、これらは一切、税務上は経費として損金算入することが出来ません。
・名刺印刷
・通信費(携帯電話、郵便、fax、インターネット)
・印刷(プリンタインク、紙)
・交通費(電車代、自転車パンク修理代)
・冠婚葬祭
(以下、細かく書くとアレなんで大人の事情で割愛)

自営業者であれば、これらはもちろん経費として税務上は損金算入出来るので、名目報酬(上記で言うと785万の部分)から経費合計額を差し引いた金額に、所得税がかかることになります。

つまり、議員業は、税務上は事業(職業)ではなく、ボランティアと同じような扱い(納税後の余ったお金で行うべきもの)になっています。

これらの経費を控除した上での手取り(実質手取り)は、これは議員によって大きく違うと思いますが、ざっくり言うと、400万円代前半といったところかと思います。

私が所属している保守系会派:新生会は、私も含めた全議員が議員業とは別に本業を持っているかあるいはダブルインカム家庭でありますが、他の会派には専業議員の方もいます。


【写真レポート】バンコクにデモ見に行ってきた。

総選挙が終わった後も混乱が続くタイ王国のバンコクに、デモを見に行ってきた。

対立の構図は、
・与党タクシン派(インラック首相)が、農村部-持てざる層
・野党反タクシン派が、都市部-既得権益層

現地では、駐在している大学同期にもアテンドしてもらって、いろいろおもしろい話を聞いてきた。

基本的には、都市部-既得権益層から農村部-持てざる層への資源の再配分のスピードを巡る争いという解釈で間違っていないと思うが、王位継承に関わる争いという視点で捉えることもできるそうだ。

考察は別途書くので、取り敢えず写真レポートのみ。
(すべての写真はクリックすると拡大する)


BTSサイアム駅の下。
バンコクの大型ショッピングエリア。
デモ隊に占拠されている。

尚、どこのデモ会場に行っても、警察の姿は皆無。


中に入るためには、デモ隊による荷物検査を受ける。
それほど厳密なものではないが、ナイフを持っていたりすると没収されるようだ。


観光客もぶらぶらしていて、お祭りのような雰囲気。


反タクシン派のグッズ販売をしている屋台。


タイ国旗の色である、青、赤、白を使ったグッズを身につけていることが、反タクシン派支持表明なのだそうだ。デモ隊による交通検問を突破するために、言わば魔除けとして持っているタクシー等も多いとのこと。


グッズ販売の屋台。


食べ物や、服や、その他全然デモとは関係無いモノを売っている屋台も多数。
お祭りだね。


靴売りの屋台。


焼きスルメ売り。


昼間は閑散としているが、夕方涼しくなってきてから、屋台の準備が始まる。
夜市だね。


行政の職員(?)が掃除中。


プラカードを持って集まっている人たち。


デモ隊のテント。
日中はかなり気温が上がり、日なたのテントの中は蒸し風呂状態なので、どこか別の場所に退避しているようだ。


大きな仮設ステージ。
ここの模様は、別の会場に同時中継されている。かなり組織的。
昼間の日なたは暑いので、人影はまばら。
夕方くらいからは音楽のライブが始まる。


演説会場。


街宣車が帰ってきた。


街宣車の後には、バイク軍団が続いて帰ってきた。
お揃いの服で、おっさんツーリングチームといった雰囲気。


サイアムのMBKセンター横には、こんな大きな仮設テントが設置されていて、その下に大量の寝泊まりテント。


むにゃむにゃ。


ぐーぐー。


「REJECTED THAKSIN REGIME」と書いてある、タクシン氏の似顔絵。


タイ語は読めないが、タクシン氏とインラック首相の写真には、たくさんイタズラ書きがなされている。


メッセージボード。


衝突で亡くなった犠牲者かな?


デモはかなり組織的で、大型の発電機が持ち込まれている。


別のバリケード。

不思議なのは、水、食べ物、電気はあるものの、トイレがまったくないこと。
これだけの人数が寝泊まりしているのに、仮設トイレがないのはおかしい。
どこで排泄しているのだろうか。


大学は閉鎖中。
しかし、デモ隊で、テントの中で寝っ転がっているの中には、大学生らしい姿はまったくない。
ちょっと小汚い格好をした、いかにも地方農村部から動員されてやってきた風の人たちがほとんど。


ルンピニ公園。
公園の一部にテント村が出来上がっている。


カップラーメン、お湯、水の配給所。


記念撮影ボード。


テント村。
日中は、暑くて中にいるのは無理でしょう。


湖畔でもそんなに涼しいわけではないかと。


ちょうどランチ時だった。
水と食べ物の配給所。


食べ物を配っている。


散髪コーナー。


写真だとちょっと分かりにくいけど、医療コーナー。
医薬品が置いてある。


グッズ販売。


シーロムの交差点の仮設演説会場。
ちょうどBTSの高架の影になっており、ここは昼でも(暑くないので)人が集まれるため、昼も演説をやっていた。


演説に聞き入る人たち。
昼休み時なので、近くのサラリーマン、OL風もいた。


演説中。
舞台にはドラムなどの楽器が並んでおり、時間帯によっては音楽のライブ会場になることが分かる。


シーロムのBTS下の通り。
デモ隊に占拠されている。
歩行者天国ではない。
屋台がたくさん出ている。


チッロムとサイアムの間の、伊勢丹がある交差点の仮説演説会場。
夕方気温が下がってきてから、人が集まってくる。
最初は、音楽のライブをやっている。


同じ場所の夜。
演説が始まる。


演説に聞き入る人たち。


BTSナショナルスタジアム駅近くの路上脇(デモ占拠地帯の外)に、陸軍の仮設テントが設置されていた。
武器は持っていない。
医薬品が置いてあるのが見える。
情報収集拠点だろうか?
兵士に威圧的な雰囲気はなく、カメラを向けても笑顔。


近くの別の場所では、土のうを積んで作業中だった。


軍のテント。翌日の昼の様子。緊張感はない。


アソークの演説会場。
ここもデモ隊に占拠されている。


演説を聞く人たち。
小綺麗な格好の人たちは、動員されてやって来たわけでなく、自分の意志で聞きに来たのだと思う。


柏市に、交通政策の視察に行きました。

2014年1月23日(木)、埼玉県南都市問題協議会の視察ツアーとして、千葉県柏市に交通政策の視察に行ってきました。

県南都市問題協議会は、蕨市、戸田市、川口市の市議会議員から構成される組織です。

柏市の交通問題概要

新卒で入社したニチメン(当時の社名。今は双日)の独身寮が流山市(最寄り駅は南柏)にあって、2年間住んでいました。寮の裏手の雑木林を抜けるとすぐ柏市という位置にあり、よく雑木林を抜けてカレーを食べに行ったり、バイクでぶらぶらパトロールしたりしておりましたので、柏市についてはかなり土地鑑があります。しかし、つくばエクスプレスが開業し、東大柏の葉キャンパスが開業して、今まで何もなかった場所に人工的に新しい街が出来上がり、当時と比べるとかなり変わった部分もあります。

柏市の交通問題の特徴は、幾つかの問題が、すべて市内で完結している点です。

例えば、蕨市であれば、埼京線のラッシュ時増発・終電の延長などの交通政策を考えるに当たり、蕨市単体で考えて実行することは出来ません。沿線各自治体との調整が必須となります。
柏市も蕨市と同じようにベッドタウンであり、常磐線・千代田線に関わる沿線各自治体と共同で当たらねばならない問題もあるのですが、以下のような大きな交通政策上の課題は、全て市内で完結するものとなっています。

  • 柏駅中心の商業エリアの駐車場へのクルマの誘導・渋滞回避
  • 人口流入が続く柏の葉住人(今後、東大生が大幅に増える)の利便性向上
  • 農村地帯である旧沼南町エリアの公共交通を維持しつつの低コスト化

 

柏市の交通政策の体制

これが大きな特徴で、柏市と東京大学の都市工学系研究室とが全面的に提携して、様々な社会実験が出来る体制が出来上がっています。
これは真似するのは無理。

 

柏市の具体的交通政策・実験

  • 柏駅中心の商業エリアの駐車場へのクルマの誘導・渋滞回避

柏辺りは、まさに蕨市と同じく、中途半端なクルマ社会なので、保有率も高く、週末はクルマで出かける人が多い地域です。柏駅中心には十分な駐車場の量は供給されているものの、高島屋などの一部の商業施設に需要が偏ってしまっており、交通渋滞を招いている点が問題となっています。

対策としては、このエリアにやってくる全てのクルマ(運転手)のスマホアプリからGPS情報を吸い上げ、全駐車場のリアルタイムな空き情報を吸い上げた上で、駐車場を探しているクルマに最適な駐車場に誘導するような仕組みを作りたい、そしてユーザのデモグラフィックデータと購買トランザクションデータを結びつけてビッグデータ分析系ビジネスを作りたいという構想があるようですが、暗礁に乗り上げているとのことです。

まあ難しいでしょう。少なくとも行政が主導でやることではないでしょう。地元の商業界が音頭を取ってやればうまくいく可能性はあります。それも、政治力を持っているだけで集客力も駐車場供給力も小さい小さな商店主ではなく、集客力が大きく大口駐車場サプライヤである高島屋が音頭を取る必要があります。もしくは、駐車場誘導に関しては、タイムズのような既に会員システム・ポイントシステムを保有している駐車場運営管理会社に、この地域の全駐車場のアグリゲーションを委託する、というやり方もアリかと思います。
その際の課題は、
・ユーザにアプリをインストールさせ、会員登録させ、GPS情報を吸い取らせるパーミッションを取るためのインセンティブ設計。おそらくポイント制度を作ることになるのだろうが、もちろんそのためにはポイント付与原資が必要。
・西口の高島屋にやってきたクルマ(ユーザ)を、東口の空いている駐車場に誘導した場合の、双方でのお金のやり取りをどうするかという制度設計。
ビッグデータ分析系ビジネスとかは先走り過ぎです。

  • 人口流入が続く柏の葉住人(今後、東大生が大幅に増える)の利便性向上

人工的に出来た街で、言うならば私が大学時代に住んでいたつくばみたいな街なので、住人はかなり不便な状況だと思います。例えば大学生であれば、イオンなどの郊外型ショッピングモールにちょっとした買い物に出かけたり、バイトに出かけたりするために数kmの移動が必要で、こういう場合にエンジン付きの乗り物が必要となります。この政策問題のターゲットは、大学生と新住民で、これらのユーザがクルマを所有すれば不便は解決するのだが、環境問題を考えると、出来るだけクルマを所有しなくても不便を感じなくて済むようしよう、というのが課題です。

対策として、電気自動車、電動バイクと電動自転車のカーシェアリングをサービス提供しています。

面白いのですが、ビジネス的にはペイしていないとのこと。
乗り捨てを許す仕組みとしているために、運営者が、車輌を溜まってしまった車庫から空いてしまった車庫に移動する管理の手間がかかる上に、車庫を大量に確保しなくてはならないので、賃借料がたくさんかかるとのこと。

欧州では、クルマの路上駐車が違法でない場合があり、そういう場所では20万規模の都市でもカーシェアリングがビジネス的にペイするものの、我が国では無理だろうとのこと。

そういえば、タイムズのカーシェアリングって利益出ているのかな?
IR資料見てみよう。私も何気に会員登録しているのだけど、一度も使ったことありません。放送大学の学籍を持っているゆえに学生会員なので、月会費がタダなんですよねw


スマートの電気自動車


電動バイク


駐車場に設置された、管理ボックス。
乗るときはここでカードをかざしてボックスを開け、鍵を取り出す。
返却するときも同じ。

 

  • 農村地帯である旧沼南町エリアの公共交通を維持しつつの低コスト化

民間のバスが撤退し、市営のコミュニティバスを運営していたものの、それもコストがかかりすぎて大変なので、オンデマンドタクシーのシステムを作りました。

市営コミュニティバスというのは蕨市でも運営していますが、民間バス事業者がビジネス的にペイしないにも関わらず、市民の利便性を増すために行政が敢えて経営しているバス事業なので、当然赤字となっています。(逆に、そのバス路線が黒字になるのであれば、行政が直営するのは民業圧迫となりますので、行政は撤退して民間に任せるべきです。)

旧沼南町エリアのコミュニティバスは、乗客一人当たり1,907円のコスト(=行政からの赤字補填)がかかっていたところ、オンデマンドタクシーにしたことで、893円に半減することが出来たとのことです。これは素晴らしい。


「サンプル調査の結果だからあてにならない」という人たち

統計学が最強の学問である
西内啓
ダイヤモンド社

ちょっと前にベストセラーになった本、今さらだけど読み中(まだ読み終わってない)。

ビッグデータ分析系サービスが流行っており、「統計学」というワードがバズっている昨今、この書名は、平積みになっていたらおおっ!と思わず手にとってしまうような、営業的にいい名前だ。

中世ヨーロッパのペスト対策において、様々な条件別に羅患率を調べた結果、水道会社が異なると羅患率が大幅に異なることが分かった。投薬したり患者を調べたりといった医学的なアプローチではなく、公衆衛生分野における統計学的なアプローチから、数万単位の人命を救うことが出来た。

大恐慌において、街に失業者が溢れつつも、当時は失業率を正確に把握する調査手法がなかった。そこで、サンプル調査を史上初めて実施して、正確な失業率を把握し、有意な政策立案に活用することが出来た。当時の経済学のオーソリティたちは、全数調査じゃないと意味が無いと言ってサンプル調査に対して否定的だったらしい。

というような史実を引いた上で、著者は、統計リテラシ(統計学をうまく扱うセンス)がいかに重要かということを説いている。反面、未だにサンプル調査に対して感覚的に「ランダムに抽出したサンプル調査なんて信用出来ない。全数調査しか信用するに値しない」という人が多過ぎるという現状を嘆いている。

(今のところ、読んだのはこの辺りまで)

 

私は永年、ネット業界でマーケティング、リサーチ領域の仕事をやってきたのだが、 世の中の平均的ビジネスマンの統計リテラシの低さにイラつかされることが多々あったので、大いに頷きながら読み進めている。

 

行政、政治分野においても、様々なアンケートやらの調査をやっている。そもそも選挙そのものが統計的にマスの意思を集約していく作業だし。

 

蕨市では、毎年、市民意識調査というのをやっている。
蕨市:市民意識調査(平成25年度調査結果を公表しました)

調査のやり方は、以下の様なもの。

・調査期間:平成25年8月
・調査対象:市内在住の満20歳以上の男女
・対象者数:1,000人
・抽出方法:住民基本台帳から各地区の年齢層別の人口比率に基づき、男女別に無作為抽出
・調査方法:行政連絡員による送付、郵便による回答
・回収率:35.5%(配布数1,000票のうち355票回収)

この手法は、よくあるもので、コストもそれなりにかかっている。
毎年同じ内容を調べて、トレンドを比較することに意味がある。

この「対象者:1,000人、回収率:35.5%」を取って、「こんなに回収率が低い調査結果は信用出来ない!」とか、「市民7.2万のうち、0.1万人を対象に行った調査はいいかげんだ!」とか「有効回答数355票のうち、蕨市に愛着を感じているという回答が256人ということは、72,000人-256人が蕨市に愛着を感じていない可能性がある」とか、無茶苦茶な暴論を耳にしたことがあり、その時はかなりうんざりした。

マーケティングとリサーチの領域は、長い学術的な研究に裏打ちされたサイエンスの世界である。感覚的に理解できないからといってこれを否定するのは間違っている愚かな態度だ。

私はネット業界でマーケティングとリサーチ領域の仕事をしていた(といっても、体系的に学んだ訳でもないし、言うならば膨大な研究成果のうちの上澄みをうまく利用させてもらってただけみたいなもんだけど)ので、統計的な成果物を感覚的に理解できないからといって否定するような発言を聞くと、自分の仕事が否定されているようにも感じて、残念で悲しい感じがします。