昨日2015年11月1日(日)、彩湖道満グリーンパークにおきまして、埼玉県消防協会蕨戸田支部特別点検が行われました。
要するに、蕨市と戸田市合同の、消防団の観閲式のようなイベントです。
空気が冷たく澄み渡り、風もほとんどなく、晴天に恵まれました。
整列して開会の挨拶。
消防車で現場に到着して、ホースを伸ばして放水するまでの一連の作業のデモ。
放水デモ。
消防団は、あくまでもボランティア組織です。
ボランテイアとはいえ、いざ火災の際には現場に飛び込んで命を危険にさらすために、定期的に激しい訓練を行い、練度と規律の高さを大切にしているようです。
例えば、「ホースを持って走る」というだけの動作にも、掛け声を掛けて確認しながら右肩に担いで走る、といったように、定められたルールがあります。いざというときにはその場の判断による臨機応変の対応も必要ですが、それらは必ず定められた基本動作の積み重ねでなくてはならず、基本動作から外れた動作は、事故・怪我に直結する可能性があります。
消防団の活動分野が消火活動だけならば、もちろん高い規律の維持、激しい訓練による練度の維持は必要不可欠です。
しかし、最近、蕨市内の古参の消防団員の方にお話を聞いたのですが、最近は、消防団が消火活動に出動して前線で活動する機会はほとんどないらしい。
建物の難燃化はどんどん進んでいるので、火事の件数自体が減っているし、発生してもプロの消防署員だけで対応出来てしまうケースがほとんどらしい。
消防団員も含めた、多大な人的リソースが現場で必要になるケースは殆ど無いらしい。
その話を聞いた消防団員の意見であり、私も同感なのですが、
今後の蕨市(戸田市も)の消防団の活動は、消火ではなく、水防にシフトしていくべきではないか、と。
蕨市(戸田市も)において、現実的に最も可能性が高い大規模災害は、大地震と荒川の決壊です。
川は、堤防が決壊すると、一瞬のうちにどばっと流れていきます。チョロチョロではありません。
荒川の戸田市部分の堤防が決壊したら、一瞬のうちに戸田市、蕨市は、市内全土が水浸しになるシナリオが現実的に想定されます。
「市内の一部にチョロチョロ床上浸水が始まって、道を挟んで隣りの街区は、これから土のうを積んでいこう」というような状況ではなく、一気に一瞬のうちにドバっと市内全域が水浸しになる可能性が現実的にあります。
現在の消防団は、どうやら、このような荒川の決壊への対策はあまりやっていないらしい。ボートなどの道具もあまり整っていないらしい。
そして、市内全域が一気に水浸しになるような状況であれば、被害エリアは首都圏の極めて広範囲に渡るはずで、つい先日の鬼怒川決壊の時のように、陸上自衛隊のヘリがすぐに助けに来てくれる、ということも期待しにくい。
まずは、自分たちでボートなりを手配して、自分たちの生命と財産を極力守らないとならない。
市内全域が一気に一瞬のうちに水浸しになるならば、対応には膨大な人的リソースが必要で、練度も規律も低くてもいいので、消防団員を千人規模に増設した方がいいかもしれない(今の蕨市の消防団員数は約100人)。
但し、荒川の堤防決壊は、何の前触れもなく当然起こるわけではなく、数時間以上に渡る大雨の結果として起こるわけだから、数時間~数日間の準備時間はある。
そのような時は、蕨市に住んで都内に通っている「埼玉都民」の人たちも会社を休んで家にいるだろうから、こういう層にもどんどん入団してもらった方がいい。