ハチ毒アレルギーによるアナフィラキシー体験 1/2

先程、夕食後に妻とお茶を飲みながらだらだらTVを見ていたら、NHK「ダーウィンが来た!」で、スズメバチとニホンミツバチの戦いを取り上げていました。

自分たちよりも大きく強いスズメバチから、家族を守るための決死のミツバチたちの行動は、ついうっかり感情移入して心を揺すぶられてしまいそうになります。

 

ところで、ちょうど5週間前に、全長7cmのオオスズメバチにお尻を刺されてハチ毒アレルギーによるアナフィラキシーを起こし、救急車に乗るという貴重な体験をしたので、記録としてメモ。

 

 

お尻を刺される

奈良県内の熊野古道をコースとする、トレイルランのレースに参加していて、集団の中の一人として山の中を走っていました。

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トレランレースでは、集団がドタドタとトレイルを走り抜けることによる振動のために、ハチが怒って、選手たちを刺しまくる、ということが、度々あります。

 

今回のレースは、参加者2-300人程度の小規模なものでしたが、スタート直後のロード区間における集団のペースが速過ぎで、私は集団の後ろの方を走っておりました。

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こんな感じの、早朝ながらも木々が生い茂って薄暗いところ。

 

突然、前触れもなく、左臀部に激痛が走り、やられた!と思いました。

この痛みはハチ以外はあり得ない。

もうほんと痛い。すごく痛い。

振り返ると、全長7cmくらいの黒い虫が飛んでいく姿が見えました。
後に地元の方が巣の状況を確認しに言ったのですが、オオスズメバチだそうで、巣を木の上ではなく、土の中に作る習性があるそうです。
針を刺したらその場で死んでしまうミツバチと異なり、スズメバチは、何回でも針を刺せるそうです。

 

 

黒いタイツの上から刺された

私は、レース、練習問わず、山を走る際は常に下肢はロングタイツ派なのですが、この種のタイツって、黒色しか売っていないんですよね。

当然、黒タイツを履いていました。

局部がもっこりすることを恐れて、国内トレラン界ではタイツの上からカラフルな短パンを履く人がほとんどなのですが(と言うか、国内では私以外の人はほぼ100%)、私は、タイツオンリー派です。

海外レースでは、オンリータイツ派が多く、女子選手でもけっこういます。
短パンは、内股ズレの原因になることもあるし、そもそも軽量化命なので、必要ないものは履かない方がいいと思うんですよ、個人的には。

 

それで、この黒色の下肢オンリータイツスタイルが仇になりました。

ハチは、黒色のものを狙う習性があるようです。

お尻を狙われてしまいました。

 

ハチがぶんぶん飛び回っていた姿を目にしていたら、何らかの対処も出来たのですが、突然背後からお尻をヤラれたので、避けようがありませんでした。

 

 

応急処置出来ず

トレランレースによっては、ポイズンリムーバーが必携品として指定されており、持っていない場合は失格になる場合もあるのですが、このレースでは、そのような指定はなされていませんでした。多少はかさばるものでもあり、軽量化のために、私も持っていませんでした。

 

コースの地図は概ね頭に入っており、すぐ先にチェックポイントがあり、スタッフもいることが分かっていたので、そのまま、お尻を押さえながら歩いて、数百m先のその地点へ。

しかし、ここには、ポイズンリムーバーはおろか、救急医療キットもなし。

お尻をまくって見てもらい、「ああー、腫れてますねー」と確認して、本部からクルマを呼んでもらう、という対応しか受けられない状況でした。

「今のこのお尻を写真に撮ってもらったら、ネタ的においしいな」、という考えがちらっと頭をかすめましたが、それを実行する心の余裕はありませんでした。

 

じきにやってきた最後尾の選手の後をついてくるスウィーパーも、ポイズンリムーバーは持っておらず。

2-30分経てばもうハチ毒は体内に回ってしまって、吸い出す意味がないので、ここで応急処置を受けられなかったのは、致命的ではあります。

 

 

ハチ毒アレルギーによる症状の経過

07:00
刺される。
刺された箇所の激しい痛み。歩けないほどではない。

07:10
口の周りに軽い痺れ。

07:20
痺れは徐々に収まる。
軽い頭痛。前頭葉を締め付けられるような、押されるような痛み。これは1時間ほどで収まる。

 

お尻を刺されたのに口が痺れてきた時は、ちょっと焦りました。
呼吸器系にダメージがあれば、呼吸困難等になる可能性も考えられ、その場では何らの対処も受けられる状況ではなかったのですが、どうすることも出来ず。

徐々に痺れが収まったので、まあ、大事になることはないだろう、まあなんとなかるだろう、とは一応思いました。

この時点で、レースはDNF。

 

 

救急搬送受ける

レーススタッフ(村の職員さんだったようです)のクルマ(村の公用車かと思います)で本部に搬送されました。レース本部には、この地域の消防一部事務組合の救急車が待機してくださっていました。

村内の診療所は休みで、医師も対応不可能とのことで、搬送先を探してもらったところ、クルマで1-1.5時間程度の、隣県の新宮市の救急医療機関への受け入れ可能とのことでした。

この時点で、既に私自身の意識は問題なく、お尻は痛いものの、自ら運転しようと思えばできるくらいだったので、「自分でクルマ運転していきますよ」と提案したのですが、救急隊員による「運転中に急に意識不明になって事故を起こしたら、自分たちの責任になっちゃうんで」というお言葉で、救急搬送してもらうことになりました。

(私自身の判断で、救急搬送を断って事故を起こした場合、救急隊員の責任になるとは思えないのですが、まあそれはおいといて)

救急車に乗るのは、20代のバイク事故の時に次いで、人生2回目ですね。

 

 

救急病院で診察後、薬を処方され、帰宅

なんか思いのほか文章が長くなってしまったので、端折ると、救急病院で診察を受けて、当番の整形外科医による10秒診察で塗り薬と内服薬を処方してもらい、レーススタッフさんが運転するクルマでレース会場まで移動。

もうこの時点ではお尻の痛みもだいぶ弱くなってきていたので、温泉に入って、玉置神社を参拝してから、クルマを10時間運転して帰宅(高速道路を使ってもそのくらいかかるほど遠い)。

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川沿いの露天風呂。
熱くなったら、川に入って身体を冷やす仕組み。

 

17:00-20:00(運転中)
依然として痛みは続く。
内股〜睾丸に痒み。
患部に痒みは無し。

21:00(運転中)
軽く発熱しているような自覚症状。体温計手元になく、正確な体温不明。
軽く頭痛。寒気。倦怠感。

2200(運転中)
これらの症状は少しずつ収まる。
患部の痛みは強くなり、クルマの座席から立ち上がると、真っ直ぐの歩行が困難なほど。

24:00 帰宅。
患部の腫れひどい。
左内股も腫れている。
左臀部、左内股ともに、触ると熱を持っている。

体温37.9℃

 

だいぶ長くなったので、一旦切ります。後編に続く。

 

 

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エピペン(右)とエピペン練習用ダミー(左)