蕨市 令和4年度予算を解説 その1 歳入編

さて、4つ前のエントリで述べたように、先月の蕨市議会 令和4年(2022年)3月定例会にて、令和4年度予算が確定しております。

蕨市webサイト:当初予算書について
https://www.city.warabi.saitama.jp/shisei/zaisei/kouhyo/1002880.html

 

ダイジェスト版が↓
蕨市webサイト:令和4年度 蕨市当初予算(案)概要 (PDFファイル)

 

以下、ページごとに解説していきましょう。

画像はすべて(c)蕨市

 

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一般会計予算が「過去最大」という点が特徴です。
令和3年度の時点で既にかなり巨大化しており、令和3年度→令和4年度の比較でいうと、微増といったところです。

令和3年度、4年度と、突出して大きくなった理由は、コロナ対策です。
ワクチン接種、経済対策など。

国からの言わば下請け事業もあれば、国の補助金によって市の独自の判断によって行う事業もあるし、市自らの財源による事業もあります。

大きいことが良いことか?というと、そうではありません。

コロナ禍のような災害の渦中あるいは事後には、予算規模は大きくなるものです。

 

 

・一般会計
・特別会計
・企業会計

という3種類があります。

一般会計・特別会計は、単式簿記。
企業会計は、複式簿記。

それぞれ、歳入と歳出の部があります。

一般会計は、行政経営の基本的な部分に関わるもの。
特別会計は、独立性が高く、会計を単体で切り出して管理した方がよいとみなされるもの。
企業会計は、更にもっと独立性が高く、それなりの採算性が求められるもの。

 

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歳入の大項目別リスト。

 

この種の数表を見せられても、初めて目にした時は、どこにポイントを置いて見ればいいのかちんぷんかんぷんな気持ちになりがちですが、

見るべきポイントの一つは、

・令和3年度→4年度 大きく変化した点
・よその市との比較

です。

 

ここでは、前年度との比較のみ見ていきましょう。

 

大きく変化したと言っても

・金額の増減ではなく、変化率に注目
・ベースの金額が小さいものは、小さな要因で増減しても変化率が大きくなってしまうので、あまり注目する要なし(例:法人事業税交付金は、233%増ですが、60百万円に過ぎません)

です。

 

それでは、
令和3年度→令和4年度で、金額がそれなりに大きく、変化率が大きいものをピックアップしていきましょう。

 

・市税 市民税 法人分
339百万 前年比+36%

・地方交付税
1,600百万 前年比+16%

・市債
2,659百万 前年比ー35%
市債というのは、市の債務、すなわち、市が金融機関等からその年度に新たに借り入れるお金のことです。

 

ここらあたりが、大きな変化と言えるかと思います。
尚、「繰入金」は、前年度決算の余りですので、当年度予算を評価する上では重要なポイントではありません。

 

次のページをめくってみましょう。

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主な増減内容について解説されています。

法人市民税の増加については、「経済活動の活性化のため」という議会答弁がありました。コロナ禍で落ち込んだ市内経済の回復を見込んでいる、ということです。

地方交付税の増加については、今ひとつこの解説を読んでも分からないし、また議会答弁の中でも詳らかにされていません。
というよりも、そもそも、地方交付税の計算はかなり複雑で、限りなくブラックボックスに近い、というのが実態のようです。
(基準財政需要額 – 基準財政収入額)という計算式によって算出され、それぞれの数字は明らかにされているのですが、その内訳は国から明示されるわけではなく、複雑な計算式を経てアウトプットされた数字だけがポンと示されるだけ、という仕組みのようです。

市債の減少については、内訳をみると増えた項目もあるのですが、減った項目については、市庁舎建設のための借入金、臨時財政対策債とで半分ずつといったところです。

市庁舎建設は、ただ今、建設工事が進められており、令和5年(2023年)秋に竣工予定です。後に見ていくように、令和3年度よりも令和4年度の方が多額のお金がかかるのですが、総合的なやり繰りの結果、新たな借り入れ額は減る予定である、ということになります。

臨時財政対策債は、これは奇怪な仕組みなのですが、本来は国が為すべき借金を、地方自治体が便宜上、代理で借金をしているという制度で、後に利子負担も含めた全額が国から地方自治体に支払われることになっています。つまり、この金額が幾ら増えようが減ろうが、最終的には、市のフトコロが痛むものではありません。

 

さて、歳入は以上です。

次に、歳出を見てみましょう。

(続く)


蕨市議会:3月定例会が終わりました。

先週、蕨市議会の令和4年(2022年)3月定例議会が終了しました。

市議会の定例議会は、3,6,9,12月と、年に4回開かれます。
各回は、ほぼ一ヶ月間に及びます。

このうち、3月定例議会は、その翌年度の予算案を審議して決めるために、最も重要であり、忙しいものとなります。

 

 

蕨市webサイト:当初予算書について
https://www.city.warabi.saitama.jp/shisei/zaisei/kouhyo/1002880.html

3月定例議会で確定した、令和4年度(2022年度)予算は、↑こちらのページに掲載されております。

 

 

ボリュームが多いので、これ全部に目を通すのはなかなか大変なのですが、

ダイジェスト版に相当するものが↓

蕨市webサイト:令和4年度 蕨市当初予算(案)概要 (PDFファイル)

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※注 上記では「予算案」と表記してありますが、3月定例議会によって確定しておりますので、「案」ではありません。

ダイジェスト版と申しましたが、新規案件を中心に記載したものです。
継続案件は、重要かつ大規模なものであっても書いていないものもあります。

 

 

それでは、次のエントリ以降で、令和4年度(2022年度)予算のポイントについて解説していきましょう。


蕨市議会報告会の動画が公開されました。

令和3年度、蕨市議会報告会の動画が公開されました。

YouTube配信の他、蕨ケーブルビジョンWinkでも放送されております。

 

コロナ以前は、市内各地の公民館等を巡回して、リアル会場での対話形式で行っていたのですが、このコロナ禍によってそれもままならないため、昨年に引き続き、対話要素を盛り込んだオンライン配信形式となりました。

 

関係者の皆様、お疲れ様でした。広報広聴委員会の古川委員長のプロデュース力のおかげで、おもしろいものになっています。

 

冒頭あいさつ。

 

3つの常任委員からの活動報告。

 

市内4中学校の中学生からの質問におこたえします。

 

仮設庁舎の議会フロアのご紹介。

 

どうぞご覧いただき、コメントをお寄せください。


蕨市議会 12月定例会が始まっております。

さて、令和3年(2021年)11月26日(金)より、蕨市議会 12月定例会が始まっております。

蕨市議会の定例会(定例議会)は、年に4回開かれており、そのうちの一つです。
定例会の他に、臨時会というものがあり、蕨市議会の場合は、慣習的に、毎年7月に7月臨時会を開き、議会人事(役職や、委員会等の配属)を決める事になっています。

(毎年開くにもかかわらず、臨時と呼ぶとはこれ如何に?)

 

 

ところで、私は今年の7月臨時議会にて議長に就任しております。

議長の任期ってどのくらい?とよく尋ねられますが、明文化されたルールはありません。

上記で述べたように、毎年の7月臨時会で議会人事を決めるため、「7月始まり~7月交代」ということで、1年間ないし2年間というのが、議長の任期の慣習となっております。

 

 

議長という職は、議会運営のために中立の立場が求められます。

 

例えば、会社などで、社長なり管理職なりの立場で会議を主宰する際は、ファシリテートしつつ、自分も好き勝手に意見を発言することになります。場合によっては、自分以外の参加者全員が反対したとしても、社長なり管理職なりの権限で、独断で結論を出すこともあります。

しかしながら、議会では、議事進行役を務める議長は、自分の意見は一切言ってはいけないのです。
まあ、当たり前といえば当たり前ですね。

中立の立場を確保するために、過去の蕨市議会の議長の中には、所属している会派を一時的に離脱する(そして、議長退任後には元の会派に復帰する)方もいたようです。

私は、所属する会派:自民党系の令政クラブ(旧:新生会)は抜けておらず、所属したまま会派の活動も続けておりますが、どのように中立性を保つかという点については、思い悩むところがありました。

 

 

と言うことで、このブログでも、その他の公の場でも、国政やら県政やらについては思うままに発言をして参りましたが、蕨市政については、会派の一員としての立場の意見、議員個人としての考えにについての発言を控えることが多かったのですが、自分の考えを一切発信しない、というのは、とてもつまらないし、ストレスも溜まるものですので、そろそろこれも終わりにしようと思います。

議会内(委員会や、その他の付属の会議を含む)以外では、一議員の立場で、ある言いは、一個人として、好き勝手に発言していこうと思います。

議会内+その付属の会議の中に限定して中立に振る舞えばOKだろう、と割り切って考えることにします。


[蕨市議会]3月定例会が閉会しました。

昨日、令和3年(2021年)3月23日(火)、ほぼ5週間に渡る、蕨市議会の3月定例会が閉会しました。

3月定例議会は、翌年度の予算を決めるので、年に4回の定例議会のうちで最もボリュームがあります。

・個人の確定申告
・政治団体の収支報告書の提出
などが重なるので、一年で最も忙しい時期であります。
(まだ終わっておりませんが)

年度の切り替わりなので、何やかやで雑務が多い時期ですね。

 

 

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昨日は、閉会後、権現堂堤に花を見に行ってきました。

桜は五分咲きといったところ。
菜の花は満開で、花粉症ゆえに鼻汁が詰まったマスク越しの鼻にも、濃い香り。

 

 

あと、私事ですが、1,2年前から不調だった左足の底、中指~薬指の付け根のあたりの、負荷をかけたときの骨がゴリゴリするような痛みが強くなりました。

年明けに、彩湖~荒川CRを20キロほどラン錬した時に、痛みで走れないほどになり、歩いて帰ってきました。

中足骨 骨頭部痛というようです。

市内の整形外科でレントゲン診察をしてもらいましたが、疲労骨折ではないということが判明したのみで、神経なのか腱なのか、痛みの原因もよく分からない、といった感じのようです。

この故障とは、気長に付き合っていくしかなさそうです。

取り敢えず、インソールが効果があるとのことで、千円程度の安いものから、7,8千円の高いものまで、あれこれ買い揃えて試しているところです。

練習量は、月間150kmくらいに減らして、代わりにバイクとスイムを増やして様子をみております。


【蕨市議会】会派:令政クラブにて、市長宛て新型コロナ対策提言書 第2弾 を出しました。

昨日、令和3年(2021年)2月17日、私が所属している、蕨市議会の保守系議会会派:令政クラブにて、市長宛てに、新型コロナ対策提言書 第2弾を出しております。

 

いずれも、一見すると当たり前のような項目ばかりなのですが、会派内で時間をかけて市内各所のヒアリング、調査を行い、じっくり議論を重ねてまとめ上げたものです。

 

現状認識

第1弾を提言した昨年5月時点との比較で言うと、依然として

・感染拡大の状況
・医療崩壊の危機

には変化は無いどころか、当時の予想よりも長期化、一層深刻化しております。

 

当時と変化した点は、

・ワクチン接種がいよいよ始まる。迅速かつ効率よい接種が(市に)求められることとなった。
・学校は再開したもの、学びの格差が発生してしまっている。

 

この学びの格差には、実は、以下のようにいくつかの異なる次元があります。

・ビフォアコロナ世代と、アフターコロナ世代の格差
・ICT教育が進んでいる自治体と、遅れている自治体の格差
・ICT環境が整っている家庭と、ない家庭の格差

 

 

現状認識を踏まえた上での提言

・医療
・生活支援
・学校教育
・ニューノーマルへの対応

の4つの大項目ごとに提言をまとめております。

 

 

医療

感染拡大の防止、医療崩壊の防止に加えて、ワクチン接種がこれから力を入れて市町村が取り組んでいかねばならない課題です。

ワクチン接種に関わる諸々の費用(ワクチン代、注射に関わる費用、物流費用、コンタクトセンタの運営費用、確率論的に避けられない副反応の補償費用といったものは、全て、国が負担することになっています。

しかしながら、実は、「市職員の人件費は、市負担」なのです。

蕨市では、既に市の職員14人からなる特設チームを作って対応に当たっております。

このチームは、市民全員分のワクチン接種がいつ終わるか期間未定で、これから人数を増やす必要があるかも知れず、兼任か専任かもわかりませんが、12人が保健センターのスタッフです。
当然ながら、保健センターの通常業務や、「ワクチン接種以外のコロナ関連対応」業務もありますので、かなり業務が逼迫することになります。

現実的に、人口7.5万の蕨市くらいの規模の自治体で、14人のスタッフを割かれるのって、けっこう大変ですよ。14人て、けっこうな大人数です。

 

 

生活支援

市民の生活と、地域経済を守るための支援。
ここで、市内事業者支援は、個々の事業者を守ることが目的ではなく、あくまでも、地域経済全体を守ることが目的である点が、ポイントです。

具体策は、結局のところは、いかにお金を撒くか、ということになります。

給付金、補助金、助成金・・・など。
不正受給を防ぐことはもちろんですが、無駄がないように、公正であるように、乗数効果が極大化されるように、といった視点で考えていく必要があります。

個人的には、政府がお金を撒くのって嫌いなんですけど。

しかしながら、現下の局面は、そうも言っていられない部分もあり、会派内で議論した結果、

・国に対して、特別定額給付金第2弾の実施を求める
・(蕨市独自の)PayPayポイントバックキャンペーン第2弾を行う

などを提言致しました。

 

 

学校教育

上述のように、コロナ禍によって「学びの格差」が拡大しつつある状況を、いかにして防ぐか、押し止めるか、が課題です。

私見ですが、身の回りにおけるICT環境の有無、充実度合いによって、学びの量・質どころか、人生の選択肢の幅広さすらも格差が生じてしまうのが、今、そしてこれからの世の中だと思います。

ICT環境とは、要するに、コンピュータとインターネットです。

これらのツールが手元にあって、いつでも使える状況にあるかどうか?

それによって、学びの量・質、人生の選択肢の幅広さに格差が生じてしまうのであれば、可能な限り、ICT環境を整えてあげるのが、大人の責任ではないでしょうか。

 

 

児童生徒のメンタルヘルスについては、いわゆる「コロナ鬱」が密かに広がっているのではないか、と言われております。

お子さんが小さいほど、自分の心の不調を正確に認識できない、何かおかしいと分かっていても身の回りの大人に訴えることができない、といった理由で、統計に表れてきにくいのではないか、と言われています。

正確な実態は把握しにくいのですが、学校教育の現場における丁寧なケアをしようと提言致しました。

 

根本的な対策は、友達と遊ぶとか、外で走り回るとか、犬や猫と触れ合うとか、花を育てるとか・・・どういうことをすればいいんでしょうね?

個人的には、子供に限らず大人も含めて、コロナ禍によるメンタルヘルス対応は、宗教界に頑張って欲しいと思いますね。

人々の苦しさ、辛さ、悲しさを和らげ、心を穏やかに導いてくれるのが、宗教の役割の一つなのではないでしょうか。

お寺、神社などの伝統宗教は、こういう時こそ出番だと思います。

 

 

ニューノーマルへの対応

これは前3項目とは性格が異なる項目です。

コロナ禍によって、社会が変質しつつあります。
そして、コロナ禍が収まった後も、元に戻らないこともあります。

代表的な案件として、かつ、手近な案件として、

・行政サービスのDX
・テレワーク推進
・電子決済推進

を提言しました。
若干、大雑把かつ抽象的な部分もあるのですが、今回は「大きな提言」なのでこのような表現でよいのです。具体施策は、定例議会の一般質問などの機会に詳細に提案していくことになります。

 

 

 

尚、昨年 令和2年5月の提言第1弾は、↓こちらの記事にまとめてあります。

【蕨市議会】会派:令政クラブにて、市長宛て新型コロナ対策提言書を出しました。


【蕨市議会】令和2年度の議会報告会(オンライン版)

蕨市議会の令和2年度(2020年度)議会報告会ムービーがyoutubeにてリリースされました。

今年は、コロナ禍のために、会場での開催は行わず、ケーブルテレビ(蕨ケーブルビジョンWink)での放送とyoutube配信です。

期間限定ですので、お早めにご視聴ください。

 

質問、意見・要望もどしどし受け付けております。