蕨市 令和4年度予算を解説 その3 歳出編(2)

「その2」からちょっと時間が経ってしまいましたが、その3です。

 

以下、元となる資料は、↓こちらにあります。
この資料の各ページにそって解説します。

蕨市webサイト:当初予算書について
https://www.city.warabi.saitama.jp/shisei/zaisei/kouhyo/1002880.html

ダイジェスト版が↓
蕨市webサイト:令和4年度 蕨市当初予算(案)概要 (PDFファイル)

 

画像はすべて(c)蕨市
(クリックすると拡大します)

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ここから先のページは、個別の「事業」のピックアップですね。

ここでいう「事業」というのは、自治体経営における、行政サービスの一つの単位を指します。

一般的な言葉の使い方、規模感としては、例えば、ソニーという会社の「エレキ事業」、「ゲーム事業」、「音楽事業」のように使いますが、自治体が用いる場合は、まったく違います。

 

自治体経営においては、例えば、
・新庁舎建設事業
・生活保護扶助
・健康長寿事業
・塵芥処理事業
・徴収事務
などのように使います。

単発の案件もあれば、半永久的に続くような経常案件もあります。

蕨市においては、億円規模のものもあれば、数十万円程度のものもあります。

「○☓費」と名付けられたものもあります。

一般的な言葉の感覚でいうと、「○☓案件」あるいは「○△プロジェクト」みたいなイメージの方が近いかもしれません。

行政組織から見ると、一つの課が、一つ ないし 複数の事業を抱えている、というイメージです。逆に、一つの事業が、複数の課にまたがることは、(私の理解では)あり得ません。

 

 

ここに取り上げられている項目は、全ての「事業」ではありません。
蕨市の全「事業」の、ごく一部に過ぎません。

金額規模が大きいものが取り上げられているわけでもありません。

主に、

・新規案件
・既存案件を大きく変更した案件
・市長公約に関連があるなど、目玉の案件

のうちの、ごく一部がピックアップされています。

つまり、この「令和4年度 蕨市当初予算(案)概要 」(PDFファイル)に取り上げる案件の選択に、そもそもバイアスがかかっています

 

 

 

では、いよいよ中身を見ていきましょう。

それぞれの項目について、資料の中に書いてあることは繰り返しませんので、まずはそちらを読んで下さい。その上で、これまでの経緯、背景、今後どうなるか、議会でどのような話し合いが行われたのか、個人的な意見等を、私なりの視点で解説していきます。

 

 

 

  • 市役所新庁舎建設 2,251百万円

建て替えの継続案件です。

昭和三十年代築で、耐震診断結果が不合格だった古い庁舎を取り壊し、同じ場所にて、現在、建設工事が進められています。

素人目に見たざっくりした工事スケジュールとしては、令和3年度に基礎工事が終わったようです。本年度、令和4年度は、上モノの工事が進められています。

竣工(建物建設が完成すること)は、令和5年6月で、令和5年秋から使い始める予定です。

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建設工事中の仮住まいとして、今はプレハブの仮設庁舎を使用しています。(2020年撮影)
新庁舎への移転後は取り壊し予定です。

 

 

市庁舎建設といえば、ちょっと苦い思い出がありまして、

コンセプト案のパブリックコメントに市内の中学生が応募を寄せてくれた中に、

「自分たちの学校の建物はボロボロだ。大人が、自分たちのために市庁舎の建物の建て替えを優先するのではなく、学校を優先してほしい」

という意見がありました。

市庁舎の建て替えは、「古くてボロいから、新しい建物に建て替えて、新築で気分良く過ごそう」というのが理由ではないんです。

旧庁舎は、耐震基準を満たしておらず、大きな地震が起きたら使えなくなる可能性がありました。市役所の庁舎は、単なる事務作業のためのオフィスということではなく、災害発災時は、市民の生命と財産を守るための災害対応拠点となります。地震が来たから使えません、では困るのです。

市内小中学校の校舎は、既に耐震工事は完了していますので、建て替えは必要ありません。

件の中学生も、もちろんちゃんと説明すれば理解してもらえたのだろうと思いますが、そもそも、このようなパブリックコメントが出てきたということは、市議会、そして行政当局の広報活動が不十分であったという証左であります。

 

 

  • 橋梁改修 298百万円

先のエントリで解説した通り。

 

 

  • 公設留守家庭児童指導室の保育開始時間繰り上げ 0.5百万円

留守家庭児童指導室とは、いわゆる学童保育のことです。
保育園とは別モノです。

留守家庭児童指導室は、学期中は授業終了後に開かれるわけですが、夏休み等の長期休暇中は、朝から開かれています。

朝の時間は、どこの家庭でも忙しく、1分、2分の差が極めて重要だったりするわけですが、「保育開始時間を早めてほしい」という要望は以前からありました。

 

 

  • 留守家庭児童指導室の増設 48百万円

保育園の待機児童問題については、以前よりマスメディア等でも大きく取り上げられ、自治体ごとの待機児童数などが話題になったりしますが、同じように、留守家庭児童指導室も不足が続いており、近年、蕨市内では増設が続いています。

 

 

  • 民間認可保育園の増設・運営 1,009百万円

保育園は、依然として恒常的な不足状態であり、民間の認可保育園の増設が続いています。
これは、概ね、全国的なトレンドです。

子供の数が減っていて、かつ、保育園を増設しているのに、なぜ、保育園不足が続いているの?
と素朴に疑問を抱く方が多いでしょう。

要するに、供給が増えているにもかかわらず、需要がそれを上回るペースで増えているからです。

需要の増、とは、すなわち、その背景にあるのは、「働く女性が増えている」ということです。

これはもちろん良いことで、私達の社会は、長い年月をかけて、女性の社会進出を増やしていこう、女性の人生における選択肢を増やしていこう、という方針を掲げて、政策的、社会的に努力してきたわけですから、その成果が上がってきている、ということであります。

 

保育園には、民間経営と公営(市営)のものがありますが、蕨市では、公営の増設は近年は行われていませんし、これからもありません。
近年、新規に開設された保育園は、全て民間経営のものです。

 

 

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  • 幼稚園における0-2歳児の預かり 24百万円

正直、まったく詳しくないので、コメント飛ばします。

 

 

  • 18歳までの入院に係る子供医療費無料化 1.5百万円

子供医療費無償化の

・対象年齢の拡大
(例えば、乳幼児だけ→小学生まで→中学生まで→18歳までという流れ)

・対象の条件の拡大
(入院のみ→通院も)

については、近年の全国的なトレンドです。

この流れは更に推し進められていくことと思いますが、最終的には、「18歳まで、通院も含めて」ということなるでしょう。

 

今、世の中的には、

・子育て支援策の一つ
・シニア世代から若い子育て世代への、世代間の資源の再配分の一つ

と捉えられています。

 

裏の理由として、「子育て支援に手厚い街」であることをアピールするために、無償化の拡大を自治体間で競い合う雰囲気も背景にあります。

 

他方で、バラマキとして否定的に捉えられる場合もあります。

所得制限を設けない場合もあり(例えば、世帯年収1億円の家庭の子供医療費を無償化する必要があるのか?という議論があります)、また、完全に無料であることによって無駄な医療費が発生する可能性もあり(例えば、自費であればわざわざ医者に行かないほどの軽度のケガであっても、無料なので医者に行き、薬を処方してもらう、等。不正ではないが無駄と言える)、バラマキと言えなくもありません。

 

  • 学校体育館空調設備の整備 104百万

空調設備、というのは、要するにエアコンのことです。

「学校にエアコンを設置する」と言うと、未だに出てくる意見が、
「昔はエアコンなんて無くて当たり前だったんだ!
子供にエアコンなんて贅沢だ!
そんなもの要らん!」
という意見です。

エアコンは、もはや贅沢品ではありません。
温暖化が進展し、昔と比べると真夏日が増えましたし、屋内にいたとしても場合によっては熱中症になり生死に関わる危険性があることが分かってきました。

また、学校施設は、いざ災害発災時には、避難所となり、大勢の人が自宅を離れて仮の住まいとして生活を共にすることになります。災害はいつやって来るか分からず、それは真夏かもしれません。ストレスを抱え、体調が弱った人がひしめき合う避難所にエアコンは必須です。

 

ということで、数年間に渡って、順次、小中学校体育館へのエアコン設置を進めています。

令和4年度は、北小学校と中央小学校の設置工事を、夏休みに行う予定です。

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2021年、蕨二中の体育館エアコン。

一般家庭やオフィスにあるような対流式(空気をかき混ぜる方式)ではなく、輻射式という、広い空間においては効率がいいものです。

休日にスポーツ団体が利用する場合は、コイン式で使用することが出来ます。

 

 

尚、小中学校の教室には、既にだいぶ前に全てエアコンは設置されています。

順次リースアップしており、無償譲渡を受けた後もまだ使えるので使い続けております。

 

 

  • 学校トイレの改修 23百万円

学校設備は、全て耐震化は完了しておりますが、老朽化はそれぞれ、それなりに進んでおります。

今の蕨市のファシリティ・マネジメント方針は、「長寿命化を施して、可能な限り長く使う」というものです。

 

ところで、近年の学校トイレのトレンドとしては、

トイレのウェット床のドライ床化

というものがあります。

 

清潔衛生という観点から、特に感染症対策のために、ドライ床化が有効とされております。

 

また、議会において学校トイレが取り上げられる際は、

「和式トイレの様式化を!」

と訴える議員が多いです。

近年、各家庭のトイレは洋式が標準となり、和式トイレを使えない(?)子供たちが増えているのだとか。
確かに、和式便座は、座る際に独特の足腰の筋肉の使い方をしますしね。

また、前述のように、災害発災時の避難所となることを考慮すると、足腰が弱った方やお年寄りが避難所として使うことを想定すると、洋式の方が良い、と。

それぞれ一理あります。

 

しかしながら、個人的には、私は別の考えも持っていまして、
「和式トイレ」といいますが、決して本邦独自のものではなく、広く世界のあちこちにこの種の「和式便座」は存在します。

子供たちが、将来、世界に羽ばたく際に戸惑わないようにするために、幼時より「和式トイレ」に使い慣れてもらうという教育もある程度は有効なのではないかと思料します。

ということで、和式トイレも多少は残しておいてもいいのではないでしょうか。

 

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2010年、共産中国の新疆ウイグル自治区の公衆トイレ。

 

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2009年、カンボジアのシエムリアップの、そこそこちゃんとした外人ツーリスト向けメシ屋のトイレ。

 

 

  • 公共施設内感染対策の強化 12百万円

コロナ感染対策の一つです。

今後、公共施設に限らず、民間の建物も含めて、「触らなくていいように」なっていくのが、世の中の流れです。

例えば、
・ドアの自動化
・洗面台の水栓の自動化(蛇口をひねらずに、手をかざすと水が出てくる仕組み)

など。

 

 

  • 新型コロナウイルス自宅療養者への支援 1百万円

保健所の指示による自宅療養者は、自ら買い物に出かけることができないため、食べ物、飲み物などを、県が支給します。

従来は、保健所(県の予算で、県が運営している)が行っていましたが、全国的に保健所がキャパオーバーなので、市が下請けしています。

費用は全て、県負担です。

 

 

(続く)


蕨市 令和4年度予算を解説 その2 歳出編(1)

先のエントリ:その1 歳入編に続いて、歳出を見てまいりましょう。
詳しく書いていくと際限がないので、簡単な解説・コメントのみにとどめて一気にいきます。

 

以下、元となる資料は、↓こちらにあります。

蕨市webサイト:当初予算書について
https://www.city.warabi.saitama.jp/shisei/zaisei/kouhyo/1002880.html

ダイジェスト版が↓
蕨市webサイト:令和4年度 蕨市当初予算(案)概要 (PDFファイル)

 

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款別リストです。

「款」とは、要するに、大項目のことです。

予算決算の項目の体系は、款 – 項 – 目 – 節という4段階のピラミッドとなっております。
言葉そのものに大きな意味はなく、「大-中-小-もっと小」程度の意味です。

 

さて、ここでも、その1 歳入編の時と同じ手法を用いて、令和3年度 → 令和4年度で増減の変化率が大きく、絶対額がそれなりに大きい項目をピックアップして見てみましょう。

総務費 -14.4%
土木費 +17.4%
公債費 +12.3%

この3項目です。
それでは、一つずつ、どのような理由で前年比1割以上の増減が生じたのか、中身を見ていきましょう。

 

 

  • 総務費の減

7.6億円の減のうち、大きな増減があったものは、
・市役所新庁舎整備事業 +4.2億
・職員退職手当 -0.6億
・土地開発公社経営健全化 -12.2億
と内訳が示されています。

新庁舎建設整備事業は、令和5年秋竣工を目指して着々と進められているところですが、議長室から工事現場を眺めつつ、素人判断も交えて推測すると、令和3年度に基礎工事が終わり、令和4年度から上モノの工事が始まるといったところかと思います。それぞれの工事の種類が異なるので、費用が年度ごとに平準化されるわけではなく、年度ごとに大きく変動するものです。

職員退職手当は、その名の通り、市職員の「退職金」です。
20代で退職して転職していく方の退職金額は微々たるものですが、三十数年勤め上げた定年退職者の退職金額はそれなりに大きなものになります。令和4年度は1名の退職が予定されており、予算計上されました。
なお、民間企業では、退職者の年度ごとの増減に備えて、販管費を平準化するために、退職給付引当金を計上しておくことがあり得ますが、同じように、市の一般会計においても、職員退職手当基金というものがあります。令和元年度末残高は189百万円となっています。

 

土地開発公社経営健全化は、バブル期に高値掴みして市が買った土地の借金の精算です。
バブル期に地価が上がり続けたわけですが、「今後もっともっと上がり続けるに違いない」と予測して、取り立てて使い道がないのに市が土地を買ったのです。購入資金の原資は、市の余剰資金ではなく、全額が借り入れです。
当時の市政の失敗ですね。

ちょっと分かりにくいスキームなのですが、
当時、土地を購入した主体は、市(市の一般会計)ではなく、市の100%子会社の土地開発公社というペーパーカンパニーです。この土地開発公社が全額借り入れを起こして、土地を購入しました。当然、土地開発公社は借入金の利息を支払わなくてはならないのですが、この利息分は、全額を市が補填し続けてきました。
バブル崩壊後、地価が下落し、土地開発公社は含み損を抱えることになりました。土地開発公社が高値掴みした土地は、売却するならば簿価よりも遥かに低い金額でなければ売ることが出来ず、その場合は、損失が発生してしまいます。あまりにも膨大な金額であるために、一気に損失を処理することが出来ず、毎年度、少しずつ処理し続けております。

この、損失の処理が、土地開発公社経営健全化です。
市(市の一般会計)が、土地開発公社から、土地を簿価で買い取る、という形を取ります。土地開発公社は、購入資金の借り入れを金融機関に返済します。土地は、簿価で、市の資産に移ります。
これで、借り入れはなくなります。
(しかし、簿価で資産計上しているので、含み損はそのまま残るのですけど)

土地開発公社の保有土地は、様々なサイズのものが多々あり、金額もまちまちなので、経営健全化の金額は、毎年度、大きく変動します。
金額を年度ごとに平準化しようとすると、土地を切り分けて登記せねばならず、余計な費用が発生するし、将来売却したりする時に面倒なので、現実的ではないのです。

 

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  • 土木費の増

4.0億円の増のうち、大きな増減があったものは、
・駅西口地区市街地再開発事業補助金 +1.9億
・橋梁改修事業 +1.4億
・中央第一地区まちづくり事業 +0.6億
・公園等整備事業 -3.4億
と内訳が示されています。

一つずつ見ていきましょう。

 

駅西口地区市街地再開発事業補助金は、名前の通り、蕨駅西口再開発への補助金です。

ここしばらくは、再開発事業の主体である再開発組合の合意形成などに時間が費やされていました。目に見える形で工事が行われていたわけではないので、何も知らないと止まっているようにみえたかもしれません。

再開発事業が、いよいよ目に見えて動き始めます。
既存の建物の取り壊しがほぼ完了し、令和4年度は、高層建築物の建設が始まります。
令和7年度の竣工予定です。

 

橋梁改修事業
平成24年(2012年)に、中央道笹子トンネルで天井板落下事故がありました。この事故により、高度経済成長期に大量に造られたインフラの老朽化が深刻な課題であることが顕在化しました。
平成26年(2014年)には、国交省により、トンネル・橋梁を5年に1度定期点検することが義務化されました。

蕨市内にトンネルはなく、橋梁もそれほど大きなものはありませんが、5年に1度というのはけっこうな頻度であり、
定期点検後に、問題点を改修工事するだけで5年間くらいはあっという間に経ってしまうので、常に点検か工事かどちらかをやり続けている、といったイメージです。
直近では、令和3年度に定期点検が行われました。

 

中央第一地区まちづくり事業は、蕨駅西口~中山道のエリアの古い町並みを整備していくものです。細い路地が多く、防災面で危険があります。道路工事などの費用です。

 

公園等整備は、毎年あちこちで改修工事を行っているのですが、令和3年度に、塚越の蕨市民公園の木製遊具設置工事という大きなものが行われたため、減少しております。

 

 

  • 公債費の増

公債とは、市の借入金のことを指します。
市債とも呼びますが、同じものです。

公債費は、借入金の元本返済と利子払いの合計です。
ここしばらくは、トレンドとして元金返済額が増加しています。
利子払いは、低金利の長期化を反映して、今のところは微々たるものです。
借り入れの金利は、全て固定金利です。今後、起債する(=新たに借り入れることをこのように呼びます)時は、金利は上がっていくでしょうね。
なお、民間の借入金と異なり、繰り上げ返済やローン借り換えは出来ません。一度、起債すると、その固定金利が完済するまで数十年間続きます。

 

ちょっと長くなったので、一旦、ここで切ります。

続く。


蕨市 令和4年度予算を解説 その1 歳入編

さて、4つ前のエントリで述べたように、先月の蕨市議会 令和4年(2022年)3月定例会にて、令和4年度予算が確定しております。

蕨市webサイト:当初予算書について
https://www.city.warabi.saitama.jp/shisei/zaisei/kouhyo/1002880.html

 

ダイジェスト版が↓
蕨市webサイト:令和4年度 蕨市当初予算(案)概要 (PDFファイル)

 

以下、ページごとに解説していきましょう。

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一般会計予算が「過去最大」という点が特徴です。
令和3年度の時点で既にかなり巨大化しており、令和3年度→令和4年度の比較でいうと、微増といったところです。

令和3年度、4年度と、突出して大きくなった理由は、コロナ対策です。
ワクチン接種、経済対策など。

国からの言わば下請け事業もあれば、国の補助金によって市の独自の判断によって行う事業もあるし、市自らの財源による事業もあります。

大きいことが良いことか?というと、そうではありません。

コロナ禍のような災害の渦中あるいは事後には、予算規模は大きくなるものです。

 

 

・一般会計
・特別会計
・企業会計

という3種類があります。

一般会計・特別会計は、単式簿記。
企業会計は、複式簿記。

それぞれ、歳入と歳出の部があります。

一般会計は、行政経営の基本的な部分に関わるもの。
特別会計は、独立性が高く、会計を単体で切り出して管理した方がよいとみなされるもの。
企業会計は、更にもっと独立性が高く、それなりの採算性が求められるもの。

 

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歳入の大項目別リスト。

 

この種の数表を見せられても、初めて目にした時は、どこにポイントを置いて見ればいいのかちんぷんかんぷんな気持ちになりがちですが、

見るべきポイントの一つは、

・令和3年度→4年度 大きく変化した点
・よその市との比較

です。

 

ここでは、前年度との比較のみ見ていきましょう。

 

大きく変化したと言っても

・金額の増減ではなく、変化率に注目
・ベースの金額が小さいものは、小さな要因で増減しても変化率が大きくなってしまうので、あまり注目する要なし(例:法人事業税交付金は、233%増ですが、60百万円に過ぎません)

です。

 

それでは、
令和3年度→令和4年度で、金額がそれなりに大きく、変化率が大きいものをピックアップしていきましょう。

 

・市税 市民税 法人分
339百万 前年比+36%

・地方交付税
1,600百万 前年比+16%

・市債
2,659百万 前年比ー35%
市債というのは、市の債務、すなわち、市が金融機関等からその年度に新たに借り入れるお金のことです。

 

ここらあたりが、大きな変化と言えるかと思います。
尚、「繰入金」は、前年度決算の余りですので、当年度予算を評価する上では重要なポイントではありません。

 

次のページをめくってみましょう。

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主な増減内容について解説されています。

法人市民税の増加については、「経済活動の活性化のため」という議会答弁がありました。コロナ禍で落ち込んだ市内経済の回復を見込んでいる、ということです。

地方交付税の増加については、今ひとつこの解説を読んでも分からないし、また議会答弁の中でも詳らかにされていません。
というよりも、そもそも、地方交付税の計算はかなり複雑で、限りなくブラックボックスに近い、というのが実態のようです。
(基準財政需要額 – 基準財政収入額)という計算式によって算出され、それぞれの数字は明らかにされているのですが、その内訳は国から明示されるわけではなく、複雑な計算式を経てアウトプットされた数字だけがポンと示されるだけ、という仕組みのようです。

市債の減少については、内訳をみると増えた項目もあるのですが、減った項目については、市庁舎建設のための借入金、臨時財政対策債とで半分ずつといったところです。

市庁舎建設は、ただ今、建設工事が進められており、令和5年(2023年)秋に竣工予定です。後に見ていくように、令和3年度よりも令和4年度の方が多額のお金がかかるのですが、総合的なやり繰りの結果、新たな借り入れ額は減る予定である、ということになります。

臨時財政対策債は、これは奇怪な仕組みなのですが、本来は国が為すべき借金を、地方自治体が便宜上、代理で借金をしているという制度で、後に利子負担も含めた全額が国から地方自治体に支払われることになっています。つまり、この金額が幾ら増えようが減ろうが、最終的には、市のフトコロが痛むものではありません。

 

さて、歳入は以上です。

次に、歳出を見てみましょう。

(続く)


公約の達成度評価と格付けサービス

そもそも公約とは

政治家が立候補する時に、「私は、当選した暁には、これを実現(あるいは実行)します!」という箇条書きのアレです。

基本的には、世のあらゆる選挙における、全ての立候補者は、公約を掲げているはずです。

かつてマニフェストという言葉が流行った時期もありましたが、意味するところはほぼ同じでした。

 

「公の約束」なので、当然、当選して任期が終了するときには、どのくらいその約束が果たされたのか、結果は検証されて然るべきです。

 

新人ではない現職の首長選挙立候補者の場合は、「私の今期の実績」ということで、「公約達成率○△%」などと宣伝材料とすることが増えてきました。

 

 

 

首長の公約と、議員の公約は違う

首長は、自身の政策案を予算案として採用するための予算編成権を持っていて、かつ、それを実行するための権限とリソースを持っています。

 

最大のネックになり得るのは、議会の予算審議です。
議会が予算案を否決すれば、首長は実行することはできません。
逆に言うと、予算案が議会を通ってしまえば、後は「やるだけ」です。

 

実は、よほど無茶苦茶でない限りは、予算案が議会で否決されることはあまりありません。

蕨市議会においては、首長が日共、議会最大会派は自民党系と、ねじれ議会となっておりますが、私が初当選以来この11年間、当初予算が否決されたことは一度もありません。

予算案というのは、議会においては、一括審査です。
つまり、「全部賛成」か、「全部反対」か、どちらかであり、その中間はありません。予算案全体の「この一部だけ反対、それ以外は賛成」という反対の仕方は、通常はできません。
否決して予算案が成立しなければ、新年度の行政サービスは止まってしまいます。
従って、予算案のごく一部に強引で納得できない項目が含まれていたとしても、新年度の行政サービスの全てを停止させるほどではない・・・という総合的な判断として、不満を抱えながらも「賛成する」という結論に至ることは、議会においては日常的にあります。

 

 

首長に対して、議員は、何かを実行するための権限もリソースも持っていません。

何かを実行しようと思ったら、
・議会内で働き掛けて、多数のコンセンサスを得る。
・首長・行政府に働き掛けて、新たな政策案・予算案として採用させる。
・首長・行政府に実行してもらう。

という段階が必要になります。

「誰かに働き掛けて」、「やってもらう」という点で、他力本願とも言えます。

 

個人的には、首長の公約達成度評価は意味があるものの、議員の公約達成度評価にはあまり意味が無いような気もしますね。

 

余談ですが、昔は首長の公約もいい加減なものが多かったみたいですね。
今でも、某都道府県の現職首長の公約にその残滓を見ることができます。

小池都知事 公約どうなった?/「7つのゼロ」苦しい言い訳| 「しんぶん赤旗」

小池百合子東京都知事が前回知事選などで掲げた公約は、この4年間で一体どうなったのか検証しました。  「挑戦して良かった」。15日、都知事選(7月5日投票)の政策発表で小池氏は、築地市場問題の対応などについて記者から問われ、こう述べました。 …

 

 

 

努力公約、実行公約、実現公約

さらに、世の様々な立候補者の公約をよく眺めてみると、

 

(1)商店街の活性化

というような、何をもって「活性化」とするのか基準が曖昧なものがあります。
これは、ほとんど努力目標です。
たとえ、会議に一回出席しただけでも、「商店街の活性化に向けて頑張りましたので、達成です」ということになってしまいます。

 

(2)商店街活性化のために、○☓補助金制度を設ける

というような、具体的な政策案の実行公約もあります。
その補助金制度が設置されたのか、されていないのか、公約の達成/非達成がデジタルに判断できます。

しかしながら、そもそも、その○☓補助金制度が出来たところで、商店街活性化にまったく役に立っていない可能性もあります。
商店街活性化という目的はいいとしても、そのために「○☓補助金制度を設ける」という戦術が間違っていた、あるいは、業界への利益誘導にしかならなかった、ということであれば、「公約達成」と見なしていいのでしょうか?

 

(3)商店街活性化のために、平日昼間の商店街歩行者数を2年以内に30%アップ

さらに具体的に、数値目標と期限を設定したものです。
この目標を達成するためには、案Aを実行して・・・だめなら案Bを実行して・・・というように、PDCAを回しながら工夫する必要が出てきます。
ここまで具体的に掲げたらたいしたものです。

しかしながら、「平日昼間の商店街歩行者数の30%アップ」=「商店街活性化」と言ってもいいのかどうか?
近所に大規模マンションが出来たので歩行者数は増えたものの、誰も商店街では買い物していなかったとしたら?
KPI設定が間違っていた、ということになります。
公約は達成したものの、歩行者は商店街を素通りするばかりで、それぞれのお店には閑古鳥が鳴き続けている状況であれば、、「達成」と評価していいものだろうか?

 

 

 

公約の達成度評価

公約の達成度評価とは、単純ではなく、なかなか難しいものがあります。

 

当初から努力目標だけ掲げていれば、容易に「ぼく、頑張りました!」達成度100%になります。

実行公約を掲げていたとしても、その政策案が、本来の目的を達成することが出来ない無茶苦茶なものだったり、利益団体への利益誘導に過ぎないものだったりしたら、その利益団体以外の人たちにとっては、まったく意味がないどころか有害である、ということになります。

実現公約を掲げていたとしても、KPI設定が無意味なものではないかどうか、検証しなくてはなりません。

 

 

少なくとも、冒頭に述べた「新人ではない現職の首長選挙立候補者の場合の、自らの公約達成率○△%」などの宣伝は、客観的な視点によるものではないという点で、あまり意味がありません。

 

公約達成率を評価するのであれば、

・その公約がどのような種類(努力公約/実行公約/実現公約)のものか。
・KPI設定が適切かどうか。
・その公約の実現によって、何をもたらしたのか。

これを、第三者の視点で客観的に分析して公開されることが望ましいと考えます。

 

 

 

公約格付けサービス

ということで、公約の結果を調べて格付けしてくれるサービスがほしいですね。

非営利の組織がやってもいいのですが、ビジネスベースでも成り立つと思います。

いつかリタイアしたら、その種のサービスを立ち上げようかとも思っています。


市内道路照明灯LED化

先日閉会した蕨市議会 3月定例議会において、令和3年度予算が可決されましたが、その中で、市内のすべての道路照明灯、公園灯のLED化予算が計上されております。

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屋外、屋内とを問わず、ここ数年、すごい勢いで、家の中、コンビニの店内、クルマのヘッドライト・・・等、あちこちの灯火がLED化されております。

明るく、電気代は安上がりで、長寿命なので、良いことづくめです。
エコであり、地球温暖化対策としても適しています。

唯一の難点は、まだ単価が高いため、既存の灯火を大量に一斉に切り替える場合は、初期費用がそれなりに発生する、ということであります。

しかしながら、この点も、買い取りではなくリース等の手法を用いれば、負担を平準化することが出来ます。

 

 

と、いうことで、道路照明灯のLED化は大歓迎です。

 

 

道路上の灯りには様々な種類あり。管理組織、予算の出所も複数あり

ところで、道路には、様々な種類の灯りがあります。

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例えば、この上の写真。

蕨駅西口の大通りです。

写真中央の歩道上のポールの先端の大きな灯火が、道路照明灯です。
ポールの先端から道路側に数十cm張り出した位置にぶら下がっています。

このポールの中ほどには、歩道側に向けてまた別の灯火が設けられています。

車道の反対側には、1つのポールに白い灯火が4つぶら下がっているものがあり、これは商店街が管理しているものです。

この辺りは、終電過ぎまで人出が絶えない賑やかな区域ですので、マンションの灯火、お店の看板などもたくさんあり、かなり明るいですね。

このくらい明るければ、交通安全面でも防犯面でも安心です。

 

 

 

このように、一口に「街灯」あるいは「街路灯」などと呼んだりしますが、実は、詳しく分類すると、道路照明灯、防犯灯、商店街灯・・・など様々な灯火があるのですが、実はこれらは、管理している組織が異なるし、予算の出所も異なります。

 

 

 

灯りは灯り

しかしながら、灯火は灯火であって、この道を歩く人、通るクルマにとっては、管理している組織がどこか、予算の出所がどこか、という点は関係ありません。

灯火が適切に道路を照らしてくれていればいいのです。

 

 

 

道路照明灯の光が、足元の街路樹に遮られて、歩道に影を作ってしまっている場合がある

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これは中央の土橋会館前の大通りです。

街路樹が歩道に生えています。

決して、枝葉が空を覆い尽くすような大きなケヤキの木ではありません。
小さなかわいらしい木です。

しかしながら、道路照明灯の光が、この街路樹に遮られて、歩道上に大きな影を作ってしまっています。

 

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こちらは錦町のわらびりんご通り(元蕨法華田線)。

同じように、かわいらしい小さな街路樹が、道路照明灯の光を遮って歩道上に大きな影を作ってしまっています。

 

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こちらは錦町の錦町富士見線。

膝くらいの高さの背の低い街路樹が、延々と連なっておりますが、これが歩道上に延々と暗い影を作ってしまっています。

 

 

これらは、いずれも、道路交通面、防犯面で危険であります。

歩道が危険だからといって代わりに車道を歩くようになってしまっては、交通安全という点では本末転倒です。

 

ということで、先の令和3年(2021年)3月定例議会の一般質問においては、道路照明灯のLED化に当たっては、その灯火を設置する位置、角度、明るさなどを、その場所全体の明るさや他の照明とのバランスを考慮して最適化していただきたい、と申し述べました。


蕨市議会 会派「令政クラブ」にて、予算要望書を提出しました。

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昨日、令和2年(2020年)10月29日、私が所属している蕨市議会の保守系(自民党系)会派:令政クラブにて、来年度の予算要望書を、市長宛てに提出しました。

 

議会における最も重要なテーマは、主に税金という形で集めたお金を、どのように配分していくか、つまり予算を決めることです。
国と異なり、地方自治体の場合は、歳入をコントロール出来る余地はあまりありません。歳出が議論の的となります。

 

予算編成権、すなわち、予算を作る権限は、市長(行政側)にあります。
(あくまでも、予算を作る権限です。予算を決定する権限ではありません。)

議会は、市長が作った予算を審査するという立場です。議会が、自分たちが思う通りに、好き勝手に予算を作ることはできません。

議会は、予算を認めるか(可決)、認めないか(否決)を話し合います。
議会が可決することによって、予算は、正式な予算として決定することになります。

 

このような、絶妙なバランス、役割分担の下で、予算は作られていきます。

 

毎年、この時期から、次の年度の予算編成(予算を作る)の作業が行政当局の内部で始まります。

これに先立って、議会の各会派は、「予算をこのように作ってください」という予算要望書を市長宛てに提出するのです。


蕨市の学校ICT推進状況、コロナ禍をきっかけにGIGAスクール構想が変質

先日、蕨市議会6月定例会に上程される各種議案、補正予算案についての、行政当局からの説明会がございました。

この稿では、学校ICT推進が前倒しされる件を解説致します。

 

 

 

ビフォア・コロナ時代のGIGAスクール構想のざっくり概要

一言でいうと、「全国の小中学校を、コンピュータ1人1台体制にする」という、国の政策です。

昨年度、令和元年度(2019年度)の冬に、新設されたものです。

国が、学校に1人1台パソコンを配ってくれる??

こちらで解説したように、「我が国の教育は如何にあるべきか?」という教育政策の発想から持ち上がってきた政策ではなく、ケインズ的な経済対策として持ち上がってきたものです。

パソコン(デスクトップパソコン、ノートパソコンではなくてタブレットでも構わず、どちらかというとタブレットを導入する自治体の方が多いようです)は、マシンだけ買っても教育の現場では使い物にはならず、

・ハードウェア
・ソフトウェア
・指導体制

をセットで導入する必要があります。

ハードウェアは、生徒児童、一人一台の人数分のコンピュータ端末機器と、学校内のネットワークです。有線LANではなく無線LANが想定されています。

ソフトウェアは、コンピュータ端末で使用するコンテンツ、アプリケーション、デジタル教科書など、狭義のソフトウェアです。

指導体制は、これらのツールを用いて、先生がどうやって教えていくかという方法論、トレーニング・バックアップ体制のことです。

 

もちろん、膨大なお金がかかるし、買って設置したら終わり、というものでもないので、複数年単位での導入期間が必要です。

 

小中学校教育というのは、もちろん市町村の教育委員会が行うものなので、国が全国の市町村に補助金を配って、それを元にして、市町村が独自の考え方に基づいて、推進していく、という流れになります。

 

この、ビフォア・コロナの時点で、GIGAスクール構想が想定していた学校ICTの仕組みは、

従来のGIGAスクール構想が想定していたICT教育

学校の教室の中で、ICTを用いて授業を行うというものでした。

従来であれば、教科書、ノート、鉛筆、黒板などを用いていたものを、ICT機器に置き換えていくというものでした。

 

 

 

ビフォア・コロナ時代の、GIGAスクール構想に基づく、蕨市の小中学校へのICT導入計画

蕨市議会 3月定例会が始まります。

以前にこちらの記事にてご説明した通り、今年度、令和2年度(2020年度)当初予算にて、3.2億が計上されました。

体育館も含めて小中学校内にLAN環境が整備され、小学5・6年生、中学1年生、特別支援学級の全員にコンピュータ端末が配備されることになりました。

この時点では、令和2年度(2020年度)から令和5年度(2023年)までの4年間かけて、全ての学年に配備する計画でした。

 

急に決まった国の経済対策の補正予算を受けて、大慌てでざっくりした計画を立てたものです。この時点では、詳細はほとんど決まっていませんでした。

ネットワーク整備については、1/2が国補助。
コンピュータ端末の購入あるいはリースは、1台当たり4.5万円の国補助が出ますが、この当初予算の時点では、詳細は決まっていなかったので、歳出の全体の金額のみを決め、国の補助金は計上していませんでした。

 

 

 

コロナ禍によって、国のGIGAスクール構想が前倒しに

そして、このコロナ禍がやってきて、全国の小中学校が一斉に休校になりました。

諸外国では、zoom等のツールを用いたオンライン授業が行われ、我が国においても、先進的な企業はリモートワークに、大学、私立高校など高等・中等教育機関はリモート授業に移行する中で、我が国の小中学校は、なす術があまりありませんでした。

紙ベースの宿題を課したり、ワークブックを配ったり、試行的に自習用スマホアプリサービスのアカウントを配ったりしてみたものの、授業が開けない以上、学力の衰えは避けることが出来ません。

 

ここで、

オンライン授業をやらなくてはならない!

という需要が、急遽、新たに発生しました。

 

新たにGIGAスクール構想が想定するオンライン教育

 

オンライン授業は、ビフォア・コロナ時代には全く想定していなかったものです。

ビフォア・コロナ時代に想定していたICT教育は、前述の通り、あくまでも、一つの教室の中で、先生も生徒も全員が集まって、その中でICTツールを用いて授業を行う、というものでした。

今、そしてこれからのアフター・コロナ時代に求められるオンライン授業は、先生と各自の自宅にいる生徒・児童をインターネットで繋いで、完全にネット上で授業を行う、というものです。

 

リモートワークにて、Zoomや MS Teamsでオンライン会議を、しかも座長の立場で参加したことがある方であれば、大勢の児童・生徒の集中力を途切れさせることがなく、適切に双方向のコミュニケーションを行いながら、オンライン授業を行うのが、どれほど大変なものであるか、ちょっと考えれば想像がつくでしょう。

これ、本当に大変ですよ、先生は。

 

・ハードウェア
・ソフトウェア
・指導体制

これらのセットのうち、ハードウェア、ソフトウェアについても、ビフォア・コロナ時代に想定された従来型ICT教育とは、異なるものが必要となります。

生徒・児童の各家庭にネットワーク環境が必要になりますし、ソフトウェアもそれ用のものが必要になります。

 

「GIGAスクール構想」前倒し 積極推進の自治体も

政府は新型コロナウイルスへの対応としてまとめた緊急経済対策に、「GIGAスクール構想」の前倒し実施等の施策を盛り込んだ。児童・生徒「1人1台端末」の整備はこれまで令和5(2023)年度の達成を目指していたが、現状を踏まえ、令和元年度補正予算と2年度補正予算に端末整備等に係る予算を計上した。「1人1台端末」や在宅オンライン学習に必要な通信環境の整備等を加速する考え。 …

このように、GIGAスクール構想そのものが、性格を変えながら、前倒しでやることとなって、国の予算が付きました。

 

 

 

蕨市の学校ICT整備も前倒し

国のGIGAスクール構想が前倒しになったのに伴い、蕨市の学校ICT整備も前倒しすることになりました。

これが、6月定例会に1.1億増額の補正予算案として上程されます。

当初予算では、コンピュータ端末を配るのは、小学5・6年生、中学1年生、特別支援学級のみ、1,560台の予定でしたが、3,500台分に拡大します。全ての生徒・児童のうち、約8割に行き渡ることになります。

 

 

詳しいことは、6月定例会の中で、活発に質疑や意見が出てくる中で明らかになるでしょう。