仙台市の保育行政 視察レポート

こちらの先のエントリで述べたように、
hoya_t blog : 2014/7/17 陸前高田視察レポート
2014年7月1日(火)に所属している蕨市議会 保守系会派 新生会の面々で、陸前高田市に災害対策・復興政策の視察に行った。

気仙沼市で一泊し、翌日は仙台市に保育行政の視察に行った。

一泊二日の視察ツアーの場合は、2ヶ所以上を訪れなくてはならないというルールがある。気仙沼からの帰路途中で立ち寄れる、もう1箇所の視察先を選ぶようにということで私が任を受けた。私が候補を幾つか挙げて、蕨市議会事務局に交渉してもらった上で、仙台市の保育行政を観に行くことにfixした。

仙台市は、小坊、厨房の時に住んでいたことがある。当時の私は鉄ちゃんで、一眼レフを持って市内の駅とか線路沿いの撮影ポイントをチャリであちこち走り回っていた。

 

仙台市の保育行政の家庭保育福祉員(保育ママ)とせんだい保育室(認証保育園)

2013年4月定例会において、保育ママ制度について取り上げて、蕨市でも制度を作って、待機児童の受け皿とすべきだと主張した。
hoya_t blog : 2013/4/13 【蕨市議会】3月定例会一般質問(4) 待機児童解消に向けた自治体保証型昼間里親保育マッチングサービスの立ち上げについて

その時に、各地の先進的な保育ママ制度の事例を調べたところ、
・横浜市
・京都市とその周辺の市
・仙台市
が、なかなか情報が充実しており、しっかりと制度として機能している印象だった。
これは、網羅的に日本全国の全ての自治体を調べたわけではなく、webでググってヒットしたサイトを見ての主観的な印象だ。

保育ママ制度は、質の確保と維持が大変で、おそらく行政としてある程度の体力(人員規模と予算)が必要だろうというのが私の推測で、実際のところどんなもんなのか、仙台市の担当部署の責任者に話を聞いてみたいと考えた。

また、仙台市は、「せんだい保育室」 という名称の認証保育園制度がある。
どのように待機児童を「せんだい保育室」と「家庭保育福祉員」へと誘導を図っているのか知りたいと考えた。


仙台市役所本庁舎玄関

 

それでも待機児童はゼロになっていない

蕨市をはじめ、多くの自治体では、認可保育園は定員いっぱいでウェイティングリストが溢れている(=待機児童がたくさんいる)にもかかわらず、認証保育園(蕨市における名称:家庭保育室)、認可外保育園は定員割れしている、すなわち需給がアンマッチングな状況が発生している。
待機児童を、認証保育園や認可外保育園に誘導できればいいのだが、料金体系も違うし、ハード的にもソフト的にもサービス内容が若干劣る点は確かなので、なかなか上手くいっていない。

それでは、認証保育園(仙台市における名称:せんだい保育室)、保育ママ(仙台市における名称:家庭保育福祉員)が充実している(ように見える)仙台市においてはどうなのか?

→やはり仙台市も「待機児童の認証、保育ママへの誘導は成功していない」

待機児童は平成26年度(本年度)頭は0,1歳児を中心に570人おり、震災後の編入増を受けて、増加トレンドにある。
他方で、
せんだい保育室(認証保育園)は、平成26年度頭の定員充足率:85.0%で定員割れ。
家庭保育福祉員(保育ママ)は、平成26年度頭の定員充足率:68.5%で定員割れ。

せんだい保育室、家庭保育福祉員ともに年央に入所率が向上するので、待機児童の受け皿として機能していることは間違いない。
しかし、「待機児童がいるのに認証、保育ママは定員割れ」という状況を解消できている訳ではない。

 

家庭保育福祉員(保育ママ)の運営体制

hoya_t blog : 2014/6/11 【蕨市議会】2014年6月定例会一般質問 市内認可保育園、家庭保育室の管理監督状況について
このエントリで解説し、本年2014年6月定例議会で取り上げたように、しっかりしたまともな法人(社会福祉法人と株式会社)が運営しているはずの認可保育園ですら、人材育成が追いつかずに(決して悪意があるわけではないものの)保育の質が確保できていないケースがあるものと思う。
行政による管理監督をしっかりやることが必要だ。
定期的に巡回チェックしたり、何らかの事故、ケガなどのインシデントが発生した際は報告書の提出を求めるなど。

家庭保育福祉員は、一般家庭のママが、自宅で、他人の子供を預かって保育する制度であるので、認可、認証以上にしっかりした、行政による管理監督が必要なはずで、実際のところ、仙台市ではどんな体制で運営していて、どのくらい大変なのか?


人員体制は、事務スタッフが1人、巡回サポートは公立認可保育園の園長経験者(定年を迎えた人)4人という体制らしい。
これで53ヶ所の家庭保育福祉員をサポートしている。
1サポート担当者当たり13.3施設を担当している。
1日当たり2.5施設を巡回サポートすると仮定して、1施設当たり月間で3.8回巡回サポートを受けられる、つまり週に1回くらい訪問を受ける、というイメージだろうか。

このくらいの規模の人的リソースで十分に運営できるのであれば、
例えば、蕨市が施設数10規模で保育ママ制度を創設するとしたら、
・事務スタッフ:(他の業務と兼任で)1人
・巡回サポートスタッフ:0.75人
くらいで十分、ということになる。

事前に想像していたよりも、人的リソースは小さくても制度の運営が出来るようだ。
蕨市程度の体力でも、十分に運営可能だ。

 

保育サービス相談員

横浜市の保育コンシェルジュ制度を参考にして、同様の制度を作っている。
3-40代の子育て経験者(お母さん)を嘱託として採用し、各区役所に配置しているとのこと。
今のところ、うまくいっているようだ。

一般的に、保育行政の担当部署というのは、認可保育園の入園審査をする部署でもあるので、保護者にとっては、なかなか気軽に相談できる雰囲気はない。
気軽に相談できる、保育コンシェルジュ制度はなかなか意味のあるものだと思う。

蕨市の規模であれば、取り急ぎ、市役所に一つ席を用意して、週に2,3日勤務くらいの体制で保育コンシェルジュ制度を作ってみてもいいかもしれない。