ロシアによるウクライナ侵攻

ロシアがウクライナに侵攻しました。

ロシアの、力による現状変更の試みを非難致します。

 

 

 

ロシアの論理

さて、露国は、昭和20年より我が国に侵略中の隣国でありますので、ロシア人の考え方、ロシアの論理を知ることは、我が国にとっては死活的に重要です。

テレ東の豊島さんの解説動画が、38分間ですごく分かりやすくまとめてありますので、これは見る価値ありです。

 

  • ロシアは、自ら欧州に侵略したことはない。
  • ロシアは、ドイツからもフランスからも侵略されてきて、数千万人規模の死者を出してきた。
  • NATOは、かつては反共同盟、いまは反ロシア包囲網であり、ロシアを侵略するためのビークルに他ならない。
  • ロシアにとっては、緩衝地帯が必要。

 

プーチン氏「他に選択肢なかった」、ウクライナ侵攻巡り

[モスクワ 24日 ロイター] – ロシアのプーチン大統領は24日、安全保障を巡る状況を変える政府の試みが全て無に帰したことを受け、ウクライナに対する特別軍事作戦を命じる以外選択肢はなかったという認識を示した。 プーチン大統領とはビジネスリーダーらとのテレビ会議で、ロシア政府は行動を余儀なくされたとし、制裁が発動されることも理解しているとし、「何らかの形で制裁への備えはできている」と語った。

これらのロシアの論理を踏まえれば、ロシアにとってはウクライナの北大西洋条約機構加盟は到底受け入れられるものではなく、プーチン大統領の「他に選択肢はなかった」という発言が出てきた真意が理解できます。

 

 

 

ところで、上記テレ東の動画の中で、参考文献として、

大木 毅, 『独ソ戦』, 岩波書店, 2019

 

が、オススメされています。

おっ、さっそく読んでみよう!と思ったら、3年前に買ったまま、机の上で積ん読状態になっていました(笑)

早速、読み始めております。

 

 

逢坂冬馬, 『同志少女よ、敵を撃て』, 早川書房, 2021

こちらは、綿密な歴史の研究を下敷きにして描かれた、スターリングラード攻防戦における赤軍女性スナイパー兵士を描いた小説として、オススメされています。

表紙の絵柄はラノベっぽいですけど。

さっそく、koboで買って読み始めております。


英国のEU離脱

先日の英国におけるEU残留か離脱かを求める国民投票において、英国がEUを離脱することが確実な状況になりました。

個人的には、まさか離脱派が勝つことはないだろう、と腹の中ではたかをくくっていたので、かなりびっくりです。

これが何を意味するかというと、単純に、欧州における国家間の戦争の危機が高まる、ということです。

 

 

EU、というか、EEC設立以来の欧州統合の本質は、非軍事的な集団安全保障体制です。
(集団安全保障体制は、集団的自衛権とは全く異なる概念です)

欧州は、わずか数十年前まで、お互いに血で血を洗う戦争を繰り広げてきました。

欧州の国家間の戦争を防ぐために編み出された方法が、「統合し続けること」でした。

欧州統合の本質は、経済同盟ではありません。経済同盟は、あくまでも欧州統合の一要素に過ぎません。

 

現下の、欧州における社会不安の最大の要因は、移民問題です。
移民問題に関する詳しい分析はしませんが、現下の移民問題のほとんどは、シェンゲン協定を破棄ないし一時停止すれば、解決するものです。

欧州の多くの人は、「人の移動の自由」が欧州統合に絶対不可欠なものだと思い込んでいるようですが、そんなことはないのではないでしょうか。

「人の移動の自由」は、欧州統合の一側面の、更にその一要素に過ぎません。

 

ということで、英国のEU離脱は、個人的にはかなり残念です。
欧州における戦争は見たくありませんね。

 

 

 

2016年5月のGWに、国民投票直前の英国を初めて見てきましたが、ナチスドイツと戦った遺跡だらけですね。

ロンドン市内は想像以上に多民族なのも驚きました。

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セントポール大聖堂前のブリッツにおける消防士記念碑。

セントポール大聖堂は、救国の偉大なネルソン海軍提督(我が国における東郷平八郎大元帥のような存在)の遺骸が地下の中心部に安置してある。靖国神社みたいな感じ。

空襲に備えて消防団が24時間態勢で聖堂内で待機したそうです。

ブリッツとは、ナチスドイツによるロンドン空襲のこと。米軍による東京大空襲のような組織的な大虐殺ではなく、場当たり的なものだったみたいだけど。

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首相官邸の目の前の大通りの中央分離帯にある記念碑。

銃後で戦った女性の記念碑、ということだと思う。

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ロンドン市内のバッキンガム宮殿近くの公園内にある、爆撃機隊の記念碑。

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ロンドンから特急電車で4時間の軍都バロー・イン・ファーネスの駅もブリッツの攻撃を受けたようだ。不幸にも命を落とした駅職員の慰霊碑。

バロー・イン・ファーネスは、ヴィッカース社のドックがあった街。
海軍が拠点を置いていたわけではないみたいだけど、佐世保みたいな感じかな。

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バロー・イン・ファーネスのドック跡。

そのものではないけど、ほぼこの近くにあったヴィッカース社の別のドックで、戦艦三笠や戦艦金剛が建造された。

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こんかうちゃんの模型。
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初訪問の英国では、チャタムとかポーツマスとか海軍のいろいろな遺跡を巡ってきたので、別の機会に写真アップします。


ギリシャに難民を見に行ってきた。

シリアで大量の難民が発生していて、西欧・北欧に流れ込み、様々な問題を引き起こしている。私は日本国の難民・移民の受け入れには反対だが、そもそも難民というものを見たことがなくて、どんな感じなのか、ギリシャに見に行ってきた。

シリア難民のルートはだいたい決まっていて、トルコを経由して、ボートでギリシャに渡り、そこから割り当てられた西欧・北欧各国に散っていくらしい。おそらく。

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アテネの外港、ピレウス港。

横浜みたいなもんなんだろうけど、規模は小さい。
ギリシャといえば海運王国だったはずだけど、この港を管理する国営港湾企業は、中共の国営海運企業に買収されることに決まったらしい。

資産の切り売りですね。

尚、経済が破綻して、失業率が25%という国がどんなもんなのか?という点にも興味があったのだが、なんか、ふつーだった。

ちょうどクリスマスシーズンで、BMWやベンツみたいな高級車がばんばん狭い路地を走り回り、繁華街は愛を囁き合うカポーや、プレゼントを喜々として選ぶ家族連れで賑わい、公園や広場は大きなクリスマスツリーが飾られ、噴水はライトアップされていた。

震災以来、噴水が止まっている東京の方がよっぽどみすぼらしいかもしれない。

 

難民の最初の入口:レズボズ島

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ピレウス港から、フェリーで一晩掛けて、レズボズ島の中心地、ミティリーニ港に到着。
飛行機だと1時間もかからないんだけど。

夏の観光シーズンは甲板まで人でわんさか溢れるらしい。
バイク乗りの姿も多々見掛けた。
大洗-苫小牧フェリーみたいな感覚なんだと思う。
冬のこの時期は、人は少ない。

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ミティリーニ港の税関事務所でたむろする難民たち。

寒くなってきたからか、難民もオフシーズンらしい。
もっとたくさんいると思ってたんだけど。

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たぶん、この後、フェリーに乗ってギリシャ本土に渡るのだと思う。

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市街で、洗濯物を干している。

こりゃ、迷惑ですわ。

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メシ屋で。

着の身着のままなので、やはり近付くと臭い。

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当たり前だけど、家族連れが多い。

しかし、男性だけのグループも多い。家族を捨てて友達だけで来たのかな?

手持ちの荷物は、驚くほど少ない。
20リットルくらいのバックパック一つ+支給品のUNHCRマークが入った寝袋、という人が多い。

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グレーの毛布は、同じものを持っている人が多かったので、支給品だと思う。

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市街にて。

ギリシャのこの地域は、東京より寒い。
夜は氷点下、昼は、日差しがさせば8度くらい。

雨はあまり降らないみたい。

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営業時間外のオフィスビルの入り口で。

これじゃ浮浪者と同じですわ。

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日当たりのいいところで暖をとっている。

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港に戻る。

港湾事務所付近は、夏はわんさか難民で溢れていたのだと思う。
建物に近づけないように、がっしりしたフェンスが設置されている。

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市内の公園。

ギリシャ語は、ラテン系の言語と異なり、単語の片鱗すら英語と似てないので、さっぱり読めないのだが、たぶん、「夜間立ち入り禁止」とか書いてあるんだろう。

夏は公園で野宿する難民が多くて困っているのだと思う。

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港の仮設トイレ。

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「ゴミはゴミ箱へ」と書いてある。
やはり、マナーが悪い人もいますわね。

 

レズボズ島の旅行代理店は、難民バブル

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レズボズ島のぬこ様。
日本語通じました。

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ミティリーニ市内の旅行代理店。

観光シーズンは、欧州各地からバカンスにやってくる浮かれた観光客を相手に商売をしていて、例年なら、冬は商売にならないのだろうけど、今は忙しいみたい。

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フェリーでキバラまで渡り、そこからバスに乗って国境まで送り込む、難民向けのパックツアー。

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旅行代理店が両替やるのって、外為法違反じゃないのかな?

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尚、ギリシャ国内は鉄道網が極めて貧弱で、長距離移動はバスが中心。
高速道路インフラはけっこうしっかりしていて、時間も意外と正確だった。車内でwifiがつかえる車輌も多かった。

充電できるかどうかというのは、重要だよね。

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料金40ユーロ。

ちょっと読めないけど、たぶんこれも国境までのフェリー+バスのパックツアーだと思う。

 

難民ボート上陸地点:モリボスへ

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ミティリーニのバスターミナル。

ここから、レズボズ島の北側のモリボスという小さな街に向かう。
地図で見るとせいぜい3-40kmの距離だけど、延々と山道を越えていくので、1時間半かかった。

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UNHCRのバスが停まってた。

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モリボスに到着。

丘の上には城がある。
日本の山城みたいな城。

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取り敢えず、山道に揺られて疲れたので、メシを食おうとカフェに入ったのだが、もうランチタイム終わってた。仕方なくビールを飲んでいたら、漁港に曳航されてくる難民ボートを発見。

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ビールを飲み終わってから、漁港に行ってみる。

おそらく、ギリシャ官憲の入国審査?難民申請?は終わった段階。
NGOのメディカルチェックっぽい。

フェンスで仕切ってあって、どんなボートに乗ってきたのか見てみたいので「やべー、網直さなきゃー」みたいな感じで、地元の漁師のふりをして入っていこうとしたのだが、止められてしまった。

スタッフによると、彼らが本当にシリアから来たのかどうかは分からないし、確認しようもないらしい。内戦に巻き込まれたわけではなく、単に豊かな生活に憧れて欧州を目指す、シリア以外からやって来た人たちも多いらしい。
ほとんどパスポート持ってないのだろうし。
日本かも来たのかもしれないし、チャイナかもしれないかも、とか言ってたけど、そんなわけないでしょ。

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この到着したばかりの人たちが歩いているところに、この後出くわしたのだが、

はろー!
はわゆー!

みたいな感じで、みんなニコニコ笑顔ですごくフレンドリー。

取り敢えず、一段階クリアしてほっとしているのだろうし、未来への希望に満ち溢れているのだろうし、これから他人の善意に頼ってやっていかなきゃならない訳だし。

この人達も、ミティリーニ市内までこれから歩いて行くのかバスで行くのか知らないが、ミティリーニに到着する頃には、顔からはすっかり表情が消えてしまうんだろう。

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モリボスの城に登ってみる。

対岸のトルコがすぐそこに見える。
なんか、泳いで渡れそう。
地図見たら、7-8kmあるし、どんな風が吹き潮が渦巻いているかも分からないので、実際には無理だろうけど。

天気良ければ、トルコからの難民ボートといっても、1時間くらいの呑気な船旅だ。

小高い丘の上の建物は、貸し別荘らしい。
こんなのんびりしたところで一夏過ごすのは楽しいだろうね。

 

尚、トルコのエフェス遺跡はここから100kmくらいのところ。
去年行ったけど、あそこは完全にギリシャ風味の遺跡だった。

この地域は、トルコとギリシャが紀元前の昔からお互いに侵略を繰り返して、血も文化もぐちゃぐちゃに交じり合っている。

不思議な事に、宗教だけは交じることはないんだね。
ギリシャにはモスクは(ほとんど)無いし、トルコには正教会は無い。

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帰りのバスの車窓から、UNHCRの難民テントを見つけた。

やはりオフシーズンのため、中はがらーんとしていた。

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モリボスにボートで到着した難民を、一時的に収容する場所なんだと思う。

 

夜は寒い

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ミティリーニ市内に戻る。

旅行代理店は、夜遅くまで賑わっていた。

国境までの移動の手配を、ギリシャ政府がやってくれるわけではないんだね。
自分で手配して、自分でお金を払わないとならない。

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市内の雑貨屋では、野宿する難民向けに、寝袋やダウンジャケットを売ってる。

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レズボズ島は、魚がうまい!

タコのワイン煮、mulletのフライ。
mulletって何だろう?と今、調べたら、ボラのことだった。

ワインもウゾも島の中で作っている。

ウゾって初めて飲んだけど、これ、トルコのRAKIと、まったく同じものですな。
酒も、ギリシャとトルコは同じらしい。
しかし、トルコではワインは作っていなかったかも。

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夜のミティリーニ港に再び行ってみた。
氷点下近い寒さ。
テントを張って寝静まっていた。

 

難民を中心としたNGOエコシステム

レズボズ島内では、様々な難民支援NGOを見掛けた。

UNHCRが中心となり、UNHCRがカバーできない範囲をNGOが活動していく、という図式なのだと思う。

世界中から、活動の場を求めてNGOが集まってきている。

それぞれのNGOは、目的も活動内容も違うのだろうが、難民支援という点においては、「世の中から難民がなくなるといい」という考えに基づいているはずだ。
しかし、難民がいなくなれば、自らの仕事がなくなってしまう。
NGOの財政事情はよく知らないが、おそらく収入のほとんどは、民間からの寄附のはずで、世の中から難民がいなくなれば、寄附も得られなくなってしまう、というパラドックスを抱えている。

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これは、NGOじゃなくて、警察。あるいは海保かも。

モリボス漁港にて、難民ボートを曳航してきた船。

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モリボス漁港で見かけたNGOの船。

Sea-Watch.orgという、難民ボートをレスキューすることを目的とした、ドイツのNGOらしい。

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ミティリーニ港にて。

human appealという、英国の難民の生活支援系NGOらしい。

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Samaritan’s purseという、米国の、難民や貧しい子どもたちにクリスマスプレゼントを贈ろう、というNGOらしい。

日本法人もある。

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Migrant Offshore Aid Stationという、イタリアの難民ボートレスキュー系NGOらしい。

甲板では潜水士が身体を洗ってた。
こういう船が一隻幾らして、運営コストが年間いくら掛かるか分からないが、すごい資金力だ。