本年、令和7年(2025年)7月12日(土)の蕨戸田衛生センター火災の様子と、3日後に蕨・戸田市内のゴミ回収が再開した様子は、先日の記事で書いた通りです。
その後、依然として今日においても、回収したゴミの処理は、他の自治体にお願いして、費用をお支払いして処分してもらっている状況が続いています。
昨日、8月18日(月)、記者会見にて、復旧スケジュール・費用等が明らかになりましたので、以下に解説します。
出火原因
粗大ゴミラインのベルトコンベアで出火。原因は不明。
「リチウムイオン電池の発火が原因ではないか?」と予測されていましたが、調査の最終的な結論は「原因不明」です。
復旧スケジュール
一般ゴミ焼却施設と、粗大ゴミ施設に分けて復旧作業が行われます。
一般ゴミ焼却施設については、復旧工事を行い、来年 令和8年3月から順次再稼働を目標。
「順次」というのは、焼却炉が3つありますので、1つ目が稼働再開するタイミングが来年3月という意味だと思います。
粗大ゴミ施設については、引き続き検討。
被害がかなり大きいらしく、まだ目処が立たない、といったところです。
復旧のための費用
- 来年3月までの、他の自治体へのゴミ処理委託 18億円
- ゴミ処理設備の点検整備 2億円
- 一般ゴミ焼却施設の復旧工事 21億円
3つを合計すると、41億円です。
前述のように、「粗大ゴミ設備の復旧」については、まだ検討中の段階ですので、含まれておりません。
3つのうち、
- 一般ゴミ焼却施設の復旧工事 21億円
については、100% を災害復旧事業債が起債可能です。
「◯◯債を起債する」=「借金をする」という意味です。
地方自治体は、どんな目的にでも幾らでも自由に起債できるわけではありません。
起債できる条件は「◯◯のために、◯%まで起債できる」と決まってます。
償還期間(=返済期間)は、おおむね20年間になるものと予想します。
また、この災害復旧事業債には、交付税措置はありません。交付税措置とは、「国が借金の肩代わりをしてくれる」という意味です。つまり、蕨・戸田市が自前の財源から返済していくことになります。
- 来年3月までの、他の自治体へのゴミ処理委託 18億円
- ゴミ処理設備の点検整備 2億円
この2つの合計 20億円の50%については、特別交付税が措置されます。つまり、半額を国が肩代わりしてくれる、ということです。
おそらくこの20億円は、全額が今年度に発生するものだと思います。
記者会見での発表からだけでは、この費用負担の財源をどうするのか、起債するのか(=借金するのか)、そもそも起債が可能なのか、今年度に全額を支払うのかは分かりませんね。これから補正予算案を組んで、議会で審議することになります。
蕨戸田衛生センター組合は、蕨市と戸田市との2市による一部事務組合です。
一部事務組合とは、ある業務について複数の市町村が共同で行っていくために設立した、言わば「合弁会社」のようなものです。蕨戸田衛生センター組合は、ゴミ処理、リサイクル、し尿処理のために蕨市と戸田市が共同で設立した一部事務組合です。
一部事務組合も、一つの地方自治体として見なされますので、議会が存在します。
蕨市と戸田市のそれぞれの市議会から、蕨戸田衛生センター組合議員が選出されています。例えるならば、「親会社の役員が、子会社の役員も兼務している」といったところです。
上記の費用については、蕨戸田衛生センター組合議会で審議し、さらに、蕨市と戸田市のそれぞれの市議会でも審議することになります。











































