香港の反送中デモを見て来ました。

2019年6月12,13日(水木)の、反送中デモの一つのピークのタイミングで、現地を見に行ってきた。

夕食後にたまたまニュースを見ていたら、明日もデモをやるという報道をやっており、よし今から見に行ってみようと思い立って、25時発のLCCで現地入りして1泊2日(2泊2日か?)という弾丸ツアーだった。

 

 

これは、以下の一連のシリーズの続きとなる。

 

2014/10/9 香港の雨傘革命を見学

香港の雨傘革命

 

2015/1/20 雨傘革命のその後を見学

香港の雨傘革命のその後

 

2016/1/25 銅鑼湾書店を見学

銅鑼湾書店

 

2014年の雨傘との違いは、かなり大きいものがあった。
上の、2014/10/9「香港の雨傘革命」記事の中の写真と比べて見ると、違いがよく分かる。

 

 

6月12日(水)

金鐘の市政府庁舎へ。

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市庁舎・立法院庁舎へ向かう幹線道路は閉鎖されていた。

 

 

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まだ午前中だが、既にかなり殺気立った雰囲気。

2014年の雨傘のときは、午前中はだらだら場所取りの人がいるくらいで、夕方涼しくなってから人が集まってくる、という感じだったのだが。

 

 

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写真右側の高架の車道は、この時点では閉鎖されているが、数時間後、デモの参加者たちがバリケードを撤去して、歩行者天国となった。

 

 

バリケードを撤去していくデモの参加者たち。

 

 

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マイクを握って演説をしている人。

今回は、雨傘のときと異なり、このような演説をしている人はほとんど見かけなかった。

まったく組織化されていない感じ。
参加者は、一人で来たり、友人数名と来ている、といった感じ。カップルもいた。
どこかの団体から動員されてきた人たちではない。
団体名の旗やら幟やらをこれ見よがしに掲げてアピールしている人はいない。

 

マスメディアの報道においては、「学生団体のリーダー」みたいな人たちが出てきてインタビュに応えていたりするが、現地では、「リーダーに率いられた団体・集団」といった雰囲気はまったくなかった。

 

 

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警察当局が道路を閉鎖するために設置したバリケード(パイプ製のフェンスを、結束バンドで結びつけたもの)を、デモ参加者が取り除いていく。

 

 

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抗議の意を示すために、黒い服を着ている人が多い。

香港は、ビジネスのカルチャーはイギリス式なので、夏でもスーツ姿が多いのだが、ここにいたのは普段着姿がほとんど。
仕事を抜け出てきた、といった感じではない。

若い人ばかり。

我が国の国会前デモのようなシニア層の姿は皆無。

催涙ガスに備えて、使い捨てマスクをしている人が多い。

 

 

警察当局と相対している前線に傘を渡していく。

 

 

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このような看板、プラカード、垂れ幕の類は、まったく見かけなかった。
この上の写真が唯一くらい。

皆、準備する間もなく、急いで駆けつけて来た、といった感じだ。

 

 

前述のように、デモは組織化されておらず、烏合の衆といった感じ。

時折、このように掛け声をかけたりする人たちが出てくるが、大きな動きにはならず、尻すぼみになってしまう。

我が国の国会前デモのように、鳴り物を用いてアジテートする運動員はいない。

「何をすればいいか分からないけど、取り敢えず来ないといけないと思ったからここに来た」といった雰囲気。

 

 

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デモ参加者と警察当局が睨み合っている前線を見下ろす。

 

 

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道路を埋め尽くす人たち。

わしゃわしゃ人がいるだけで、動きはないし、暴力的な雰囲気もない。

2014年の雨傘革命のときのような、雨傘マンのようなオブジェや展示物は皆無。

 

 

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別の前線。

緊張感が漂っている。
時折、警官隊が大声を上げて威嚇している。

2014年の雨傘のときは、警察当局はもっとのんびりした雰囲気だった。

 

 

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警官が、放水銃を水平に構えている。

 

 

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一連の運動のシンボルともなっている、雨傘を向けて構える人たち。

 

 

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たまたま集会のようなことをやっている現場に遭遇したが、このようなことをやっているシーンはほとんど見かけなかった。

 

 

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一旦、宿にチェックインして、ご飯を食べてから再び地下鉄で金鐘に戻ってくると、地下鉄の一部の出口は閉鎖されていた。

この後、地下鉄駅そのものが閉鎖され、列車は止まらずに通過するようになっていた。

 

 

催涙弾が目の前に降ってきた。
逃げ惑う人たち。

 

 

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ペットボトルの水をかけて煙を消す。

 

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催涙ガス初めて吸ったけど、何とも形容しがたい感覚。
酸っぱいような煙いような。

報道によると、ゴム弾とプラスチック弾も使われたようだけど、そのような現場は見かけなかった。

 

 

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催涙銃を持ったチーム。

 

 

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向かい合うデモ参加者たち。

 

 

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警官隊に、上から飲料入りのペットボトルを投げた人がいて、盾を構えているところ。

デモ参加者側からの暴力を見かけたのは、この時が唯一だった。

 

 

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幕を掲げて大声を上げるデモ参加者。

 

 

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怖いので、プレスの後ろに移動して、自分もプレス関係者であるかのようなふりをする。

 

 

警官隊が、前線を押し出してきたところ。

 

 

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地下鉄駅に隣接するショッピングモールのロビー。

ヘルメット、使い捨てマスク、ゴーグルなどを大量に持ち込んで置いていく人がおり、参加者が自由に持って行けるようになっている。
私にもマスクを手渡してくれる人がいて、ありがたく頂戴した。

 

 

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夜になると、仕事帰りの人たちが合流してくるのか、人数が増えていた。

ユニオンジャックを振っている人がいるのだが、これはどういう考え・心理に基づくものなのだろうか?

私も、本来であれば、英国が旧宗主国として関与するべきだし、その責任もあると思うが、内政が大混乱をきたしている今の英国にはその余裕はなさそうだ。

 

 

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中環の路上で、デモ参加者に囲まれて立ち往生しているバス車両。

 

 

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工事現場から資材を勝手に持ち出して、バリケードを補強している。

 

 

雨傘を掲げて、声を上げるところ。

 

 

そして、翌日。
6月13日の朝に行ってみると、

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雨が降っていたこともあり、市庁舎前のデモ隊は散開していた。

 

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道路の閉鎖も解かれて、一応は平常運転に戻ったかのようだった。

 

 

結局、この後、さらに規模の大きなデモが行われ、容疑者引き渡し条例案は審議が延期された。しかしながら、撤回されたわけではなく、まだ行方がどうなるか予断を許さない状況だ。

中共からのじわじわと強化されていく締め付けに対する、香港の若者の危機感、恐怖がよく分かった。
2014年の雨傘の時よりも、事態は逼迫している。

2014年の雨傘は、結局、香港の行政・立法当局にそれほど影響を与える事はできなかった、という点で、失敗だったとも言える。

中共による、香港の行政・立法当局への影響力はますます増している。

一国二制度の下での「自由な香港」の維持は、我が国の国益でもあり、東アジアの安定にも繋がることであるので、我が国政府は、国際社会と協力してより積極的に関与するべきと思料する。

Ich bin ein HongKonger.