蕨市立病院整備検討審議会の委員を募集しています。

蕨市立病院の建て替えは喫緊の課題

昭和45年(1970年)築の蕨市立病院の現行の建物は、老朽化著しく、また、平成10年(1998年)耐震診断の結果が不合格であったにもかかわらず25年間に渡り、耐震化・建て替えの対応を行わず、放置され続けてきました。

私が蕨市議会議員時代に所属していた自民党系・保守系会派では、強く耐震化を求めてきたところです。

(一般的に耐震化とは、耐震補強工事を行うことと、建て替えることの2パターンがあり得ます。しかしながら、蕨市立病院の場合は、そもそも老朽化しているので、多額の費用をかけて耐震補強工事を行ったところで、その後何十年も使い続けることはできません。従って、耐震化と言った場合、これすなわち建て替えを指します。)

 

 

市は、錦町3丁目への移転建て替えの方針を示す

この度、令和5年(2023年)12月 蕨市議会定例会において、市は、「錦町3丁目の西公民館・高齢者福祉施設 松原会館を取り壊し、この地への建て替え移転」という方針を示しました。

 

 

市の突然の方針発表には、多くの批判が集まる

しかしながら、これは、公の場での議論がまったくなされておらずに、あまりにも突然で、あたかも思いつきをそのまま口にしたかのような話であり、多くの方から、その検討プロセスに対して批判の意見が上がっております。

また、現行の蕨市立病院の立地が、北町2丁目という、市の中心であるのに対して、錦町3丁目は、市の西の端に位置するため、市の東側住民からも、移転先の場所の選定について疑問の意見が上がっています。

 

 

蕨市議会は、市に対して、丁寧なプロセスを求める決議を行う

これらの市民の批判の声を受けて、蕨市議会 12月定例会では、

議員提出議案第8号「議案第87号「令和5年度蕨市立病院事業会計補正予算(第1号)」に対する附帯決議」として、

事業の進め方については議会・市民への一層の情報提供が必要である。
・・・・・・
議会、市民、地域医療関係者、有識者等の意見を広く聞くとともに、十分な議論を尽くす必要がある。
今後、数十年の活用を鑑み、巨額の公金を投じる新たな病院の建設事業において性急に事を進めることは必ずしも賢明ではない。

と述べた上で、

1 市立病院移転に係る審議会の設置及び予算措置を行うこと。市立病院の建替えは喫緊の課題であるが、性急に事を運ぶことのないよう、議会、市民、有識者など関係者から広く意見を聞くこと
2 地域医療を守るため、候補地や市立病院の在り方と医療連携の在り方など、必要な内容について医師会との協議を行うこと

3 基本構想の策定にあたっては、策定に係る経緯を明らかにするとともに、常に情報発信に努め、審議会などの意見について十分な検討を果たすこと
4 市立病院の建替えの場所の決定にあたっては、地域住民、利用者団体、施設関係者の十分な理解が得られるよう、丁寧な説明を行うとともに対話を重んじ、要望等に対しては真摯な対応を以って必要な措置を講じること
5 どの場所に建て替える場合でも、市内各地からアプローチできる手段を検討すること
6 市立病院として地域の医療提供体制において果たすべき役割・機能を見直し、明確化、最適化すること
7 具体的根拠を有する実現可能な経営強化策、経営計画を策定すること
8 将来の市民の負担とならぬよう、また病院の健全経営を進めるにあたって足枷とならないよう、適切な事業規模を見極めること

と決議しています。

 

 

蕨市立病院整備検討審議会が設置され、一部委員を公募

市議会の上記決議を受けて、蕨市立病院整備検討審議会が設置されることとなりました。

審議会メンバーは、市議会議員、学識経験者、地域団体の代表者、公募委員から構成されることになります。このうち、公募委員を3名ほど、ただ今、募集しています。

ご興味ある方、市に対して意見を述べたい方は、申し込んでみてはいかがでしょうか。

締め切りは、令和6年(2024年)月1月13日です。

 

 

蕨市立病院の経営改革、建て替え問題については、来年令和6年(2023年)の蕨市のホットトピックスとなります。私も、市議会議員時代に力を入れて取り組んできたテーマであります。引き続き、市議会の保守系会派:新翔会と連携して参ります。


蕨市立病院は、黒字化しておらず、安定経営でもない。

蕨市立病院事業の決算書を、平成22年度(2010年度)から12年間分、紐解いてみましょう。

決算書から、以下の数字を抜き出しました。

 

医業損益
企業経営における、営業損益に当たります。

医業損益 = 医業収益 ー 医業費用

 

経常損益
一般会計からの繰入金、県や国からのコロナ禍対策の補助金などが、医業外収益として加えられます。
医業外収益は、企業経営における、営業外収益に相当します。

また、借入金の支払利息などが、医業外費用として減じられます。
医業外費用は、企業経営における、営業外費用に相当します。

経常損益 = 医業損益 + 医業外収益 - 医業外費用

 

当年度純損益
その年度だけの特別な理由による、特別利益を加え、特別損失を減じたものです。
公立病院は法人税が非課税なので、利益が出たとしても「法人税を払う」という概念は存在しません。(消費税はもちろん払います)
当年度純損益は、企業経営における、当期純損益に相当します。

当年度純損益 = 経常損益 + 特別利益 ー 特別損失

 

従って、最終的な経営成績として評価の対象になるのは、「当年度純損益」ということになります。

 

平成22-25年度

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黒字の年もあれば、赤字の年もある、といったところですね。

 

平成26-29年度

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平成26年度は、経常損益は黒字ですが、会計制度が変更したことにより大きな特別損失を計上したために、当年度純損益は-6億9千2百万の赤字となっています。

 

平成30-令和3年度

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令和元年1月頃からcovid-19の感染拡大が始まり、全世界的に病院経営には大きなネガティブインパクトがありました。
令和2-3年度は、大きな赤字に沈んでいます。

 

ということで、例外的な平成26年度、令和2年度、令和3年度を除いたとしても、+87百万の黒字から、-78百万の赤字まで、黒字と赤字を行ったり来たり、上下に揺れ動いているといったところです。

 

とてもとても、「黒字化して安定経営となった」とは言えない状況です。

 

 

現職の頼高英雄市長は、折に触れて「自分が病院事業を、赤字から黒字に転換した、安定経営にした」の述べており、先日、2月28日の3月定例会 本会議においても、同じ趣旨の発言をしていました。

本日、3月3日に開かれた予算決算常任委員会 環境福祉経済分科会において、私が所属する会派の議員が、「何をもって、黒字化したと言うのか?」、「何をもって、安定経営というのか?」と、上記の市長の発言の真意について問い正したのですが、

 

代理として答弁した病院事務局の次長は、

・東日本大震災の影響で、産科の分娩件数が減ったから。
・平成26年度に会計制度が変更したので引当金の計上が必要になったから。

などという、損失が発生するに至った、それぞれの時期における特殊な要因を説明し、論点をずらしてはぐらかすのみで、市長の「自分が病院事業を、赤字から黒字に転換した、安定経営にした」という発言の真意についての説明を行いませんでした。

 

ごく控えめに言って、頼高市長の発言は、虚偽です。

現職市長を嘘つき呼ばわりするのは、あまり品が良い行いとは言えないかもしれません。しかしながら、本日の予算決算常任委員会 環境福祉経済分科会においては、市長に対して虚偽発言の釈明あるいは訂正の機会を与えたつもりだったのですが、何らの説明も聞くことが出来なかったのは残念です。


蕨市立病院の駐車場に、発熱トリアージ仮設待合室を設置

蕨市立病院の正面玄関脇の駐車場に、トレーラーハウスが設置されました。

簡易なキャンピング用という感じではなく、エアコンも付いているし、常置して住めそうな本格的な仮設ハウスといった感じで、車輪がついています。

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これは、発熱患者向けの、発熱トリアージ用の待合室です。

従来は、本館正面玄関を入って入口近くにある小部屋を使っていたものですが、独立したトレーラーハウスを設置したものです。


蕨市 平成30年度決算(3) 蕨市立病院が黒転したって、ほんとなん?

これもよく聞かれますね。

赤字垂れ流しだった蕨市立病院が、コミュニストの現市長の下でバリバリ再建されてピカピカに黒字化されたって本当なの?
と。

 

結論から言うと、そんなことはないですね。

虚偽とがプロパガンダと言うと、言い過ぎですが、まあ、「黒字基調になった」とまで言うと、明確にウソですね。

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それでは、蕨市立病院事業会計の平成30年度決算資料を見てみましょう。

 

 

平成30年度は、-78百万の純損失

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平成30年度は、78百万の純損失でした。

なお、昨年度 平成29年度は、38百万の純利益でした。

 

 

直近5年間の推移は?

それでは、過去5ヶ年度分を見てみましょう。

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平成26年度
-6億44百万の赤字

平成27年度
-14百万の赤字

平成28年度
1億37百万の黒字

平成29年度
91百万の黒字

平成30年度
-29百万の赤字

 

となっております。

 

会計年度によって、黒になったり、赤になったり、と言ったところですね。

 

財務会計上の決算の数字なんて、ある程度いじれる部分がありますので、単年度で見てもあまり意味がないかもしれませんね。トレンドを見ないと。

ビジネスをやっていて、銀行にお金をお借りしに行く時は、直近3期分の決算を見られます。
3期連続して黒を出していないと、そもそも融資検討の対象外で、門前払いを食らいます。
私も本業で経験ありますけどね・・・アハハハハハッハ
ついでに言うと、プライベートカンパニを経営している社長個人は、会社の決算が3期連続して黒を出していないと、個人で借金することも不可能です。

 

 

累積では?

それでは、累積で見たら、どうか?

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利益剰余金は、
-6億60百万です。

これは、要するに、累積赤字を意味します。

 

資本金 22億83百万
ですが、この資本を毀損していることになります。

 

 

異次元の赤字に突入

ところで、↑ この2つ上の画像:直近5ヶ年度の推移の中で、

医業収益-医業費用

を見てください。

 

この数字は、要するに、医業そのものの損益を示します。
要するに、粗利ということです。

 

メーカならば、研究開発の先行投資が必要だし、
卸ならば、在庫をたくさん抱えてしまうこともありますし、
サービス業ならば、先行投資でシステム開発をしたり、広告宣伝費を打ったりして、

粗利が赤になることもあるでしょう。

 

しかしながら、医業の費用というものは、
人件費
薬やら点滴液やらの仕入れ
減価償却費(建物、設備などの、医業そのものに必要な資産に関わるもの)

から構成されています。

どうやら人件費の中には、管理部門の部分も入っているようで、一般的な、民間企業のビジネスにおける財務会計であれば、販管費に含みそうな部分も若干あると言えばあります。
しかしながら、言わば、医業という本業そのものにおいては、よほどのことがない限り、粗利が赤になることなどはあり得ないのではないでしょうか。

 

直近5年間、純損益は黒転したり赤転したり行ったり来たりといった状況でしたが、平成30年度は、粗利が初めて赤転しました。

これは、今までになかった、異次元の赤字に突入したということになります。

 

 

異次元の赤字の理由は、医師の確保の失敗

それで、平成30年度の業績悪化の原因なのですが、
決算書の説明によると、

常勤医師の確保の失敗、と解説されております。

産婦人科において7月と11月に常勤医師が各1名退職したことのほか、外科において常勤医師が病に倒れたことによる影響もあり・・・

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まあ、人が辞めてしまったものは仕方がないのですが、辞めた分を適切に補充するのが経営者の仕事であります。

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常勤医師が減った結果として、
・入院患者数
・外来患者数

が、大幅に減ってしまっています。

昨対でも減っておりますし、予算に対する達成率は93%です。

 

 

蕨市立病院の経営におけるKFSは、「常勤医師の安定的な確保」です。

8年前から、これ、各種の資料に書いてあります。

常勤医師が16人しかいない小規模な病院ですので、一人辞めただけでも、収益へのインパクトは極めて大きいのです。

今まで、ベストの経営努力をして果たせなかったのか、そもそも経営努力をしてこなかったのかは分かりませんが、なお一層の経営努力を望みます。

 

 

その他

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ちょっと気になるのは、これ。

 

建物の償却残が、9億70百万あります。

建物、というのは、市立病院の
・本館(昭和45年築)
・サービス棟(昭和45年築)
・リハビリ棟(平成12年築)

のこと。

大規模修繕の費用も、「建物」に入っているはずです。

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定額法で8~39年ということになっていますけど、

市立病院の建物は、耐震診断の結果が不合格となっており、耐震対応(建て替えか、耐震補強か)が喫緊の課題となっています。

取り壊す際は、残を一括償却しなくてはならない可能性があり、これが隠れた爆弾かもしれません。

 

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あともう一つ、

一般会計からの繰入は、

2億57百万です。

このうち、↑ の画像の中の
・救急医療負担金
・企業最利息負担金
・児童手当補助金
・院内保育所負担金

は、公営企業への繰出基準に基づくものですが、

・企業再償還金負担金
1.3百万

は、基準外のようですので、金額は小さいですが、一般会計からの赤字補填と言えます。


【蕨市議会】2014年6月定例会一般質問 市立病院における今期経営改革プランの成果と、次期経営改革プランの策定について

蕨市立病院では、様々な問題点をクリアするために、5ヶ年の「経営改革プラン」を作って、実行してきました。

5ヶ年計画というのは、上場会社がよく作ったりします。一般的に「中期経営計画」と呼ばれる事が多いですね。業績が良い時も悪い時も作ります。会社の中期的な方向性を示すものなので、株主にとっては投資判断の材料の一つとなります。

 

前回(2009-2013年度)経営改革プランの策定フロー

綿密な調査を行い、9ヶ月間かけて、経営改革プラン懇談会が、提言書をまとめました。

蕨市:「蕨市立病院経営改革プラン」の策定フロー
web魚拓:http://megalodon.jp/2014-0611-2159-38/www.city.warabi.saitama.jp/ct/other000001900/no1-7.pdf

同懇談会のメンバは、病院業界の人、市議会議員、病院長、市内の各種団体の代表者、公募した人から成っています。

蕨市: 蕨市立病院経営改革プラン懇談会委員名簿
web魚拓:http://megalodon.jp/2014-0611-2208-04/www.city.warabi.saitama.jp/ct/other000001900/no1-1.pdf

経営改革プラン懇談会がまとめた提言書は、↓こちらです。
蕨市:今後の病院経営の方向性に関する提言(平成20年11月)

 

そして次に、この提言書を元に、病院内で「経営改革プラン」を策定しました。
議会に対しては、2009年3月議会の前に(2月頃?)説明が行われたようです。

蕨市:市立病院経営改革プラン

 

前回経営改革プラン懇談会が提言書の中で挙げた課題

幾つかあるうちの主たるものをピックアップすると、以下の通りです。
(上記提言書pdfファイルの26ページがダイジェストです)

・病床(130床)の一部休床の検討(入院機能の縮小の検討)
・薬剤の院外処方の検討
・経営形態:現行は「地方公営企業法の一部適用」であるところを、「全部適用」の検討
・職員の意識改革
・常勤医師の確保
・患者へのサービスレベルの向上
・建物の老朽化対策の検討

この中で、キモとなるのは「常勤医師の確保」です。常勤医師、特に整形外科の常勤医師が確保できれば、入院患者の増大し、医業収益の拡大につながります。医業利益も増えるため、建物の老朽化対策の原資を確保することにも繋がるでしょう。

市立病院経営改革のキモは、一にも二にも「常勤医師の確保」です。

これは、懇談会の第一回目の会議の冒頭で市長が以下のように述べた通り、「常勤医師の確保」が最大の課題であることは、誰の目にも明らかでした。
蕨市:第1回 蕨市立病院経営改革プラン懇談会 会議概要(平成20/2/7議事録)
web魚拓:http://megalodon.jp/2014-0611-2226-37/www.city.warabi.saitama.jp/ct/other000001900/no1-gaiyou.pdf

市長の発言:
今の医師不足や診療報酬等の影響もあり、当病院の平成18年度決算では、赤字額が1億7千700万円になり、その一番の原因は医師不足という点と考えています。

また、上記箇条の中で「検討」とした4項目は、懇談会の中では結論を出さず、行政に対して、行政自身が検討して結論を出すことを求めたものです。

 

前回経営改革プランの内容

「懇談会」による「提言書」を元に、病院内部で作り上げたのが「経営改革プラン」です。

尚、「提言書」の中で「検討するべし」と述べた項目について、「経営改革プラン」の行動計画の中では、以下のように結論を出しています。

・薬剤の院外処方の検討
→ 「対応に努めます」
・運営形態の変更の検討
→「全部適用には移行せず現行の一部適用のまま・・・経営改善に努めることに決定する」
・建物の老朽化対策の検討
→ 「建替えが望まれるところ、多額の費用を要することから現在の経営状況では困難であると考えられるので、まずは経営の健全化を第一優先し、建替えはその後の検討とする」
・病床の一部休床の検討
→ 「病床利用率の向上に努めます」

 

前回経営改革プランの成果:私の評価

数字をみると、この5年間、黒字の年もあれば赤字の年もある、という状況で、改善しています。

病院長をはじめとする医師、看護士、技師、事務スタッフ、その他スタッフの皆様の努力の成果であろうかと思います。

ここで、公営企業会計上の病院会計における、「黒字」と「赤字」の解釈については、2つの見方があります。
公営企業会計においては、市の一般会計からの繰入が前提とされています。
この繰入分について、
・制度に基づく、受け入れて当然のお金
・赤字補填としての性格を持つお金
という2通りの解釈があります。
前者の解釈によれば → 病院会計は、黒字になって素晴らしい!
後者の解釈によれば → 病院会計は、市から赤字補填されてかつかつ黒字を保っただけだ!
ということになります。

ここでは、この会計上の数字の見方については触れずに、収支以外の部分で、前回経営改革プランが目指した目標が達成出来たのかどうかをみていきましょう。

前回経営改革プランのキモである、常勤医師数について、
2009年1月:13人
経営改革プラン上の目標値: 18人
2014年2月:14人
5年間の間に人の出入りはありましたが、残念ながら未達でありました。

 

目標の常勤医師数が確保できていないので、
前回経営改革プラン上で目標として設定した、
・患者数
・病床利用率
・医業収益(売上)
は達成できませんでした。

これらが未達の上で達成した、「黒字」は、要するに、現場の努力による苛烈なリストラによって医業費用を縮減したことによるです。

これは単なる破綻に向けての縮小均衡です。

 

現場の努力には敬意を払いますが、残念ながら、前回の経営改革プランの成果については、私個人的にはネガティブに評価します

 

前回経営改革プランの成果:行政当局の評価

最終的には、本年2014年6月頃にレポーティングされるとのことですが、2014年3月議会定例会の時点で私の質疑に対する答弁によると、

 経営改革プランの成果及び医師と事務系医療専門職の採用状況についてでありますが、まず経営改革プランの成果につきましては、平成21年度よりプランに掲げた目標達成のため、院長を先頭に職員が一丸となり、行動計画を着実に遂行してきたところであります。
主な成果につきましては、地域医療連携担当を設置したことにより病病連携、病診連携が強化され、患者の紹介、逆紹介率の向上、あるいは受託検査の拡大につながったこと。費用コストの削減では、診療材料の統一化や「ムダ取り運動」の実施によりコストの削減はもとより、各医療現場からの提案で実施したことで職員個々の意識の向上にもつながったことなど、さまざまな成果が上がっております。
その結果、経営状況といたしましては当初計画期間の4年目以降の黒字化を目標としておりましたが、計画の着実な実施により、計画初年度の平成21年度から黒字に転じ、その後、診療報酬のプラス改定と相まって平成22年度には累積欠損金も解消されました。平成23年度は東日本大震災の影響を受け、約3,300万円の赤字を出したものの、平成24年度には再び黒字化したところであります。

ということなので、ポジティブな評価をしていることが分かります。

 

次回(2014-2018年度)経営改革プランの策定フロー

2014年3月議会において、次回の経営改革プランの策定スケジュールについて質疑したところ、

・・・今回つくるプランについては、こういった今までの資料等をもとにしながら、今までの実績を踏まえて院内の対応ができるだろうという判断のもと、院内での策定作業を進めているということでございます。

という答弁が得られました。
つまり、前回プランをポジティブに評価した上で、同じ方向性の上で、同じようなプランを作っていくのだろうと推測できます。

 

次回経営改革プラン策定における課題

前回の経営改革プランの成果をネガティブと評価するならば
→ 抜本的に練り直さないと!

前回の経営改革プランの成果をポジティブと評価するならば
→今までのままでいい!

ということになります。

 

行政当局と、私との間では、この部分の考え方が根本的に異なっております。

前回経営改革プランのKFSであった常勤医師の確保が上手く行かなかったという点を真摯に認めて、抜本的な改革案の練り直しを求めます。

・常勤医師が確保できなかった理由は何なのか?
→理由の分析
・何をすれば常勤医師が確保できるのか?
→「とにかく頑張って採用しろ」という根性論ではなく、具体的なアクションプランの策定

この2点を明確にしないことには、次回の経営改革プランは画竜点睛を欠くことになってしまいます。

 

一般的に、ビジネスマンであれば、転職を考えるに当たっては、転職先企業の以下の様な要素を重視することになるでしょう。
・待遇の良さ(給料、福利厚生面など)
・仕事における権限の大きさ、役職
・キャリアアップ、スキルアップ出来るかどうか
(最新鋭の設備、充実した研修制度などの環境があるかどうか)
・居心地が良く、風通しが良い組織かどうか
・職場の周りのお店とか雰囲気とか
・休みがガッツリ取れるかどうか。
もちろん、人によって大切にする要素は違うでしょう。

医師の人材市場を綿密に研究して、人材確保のための具体的なアクションプランを作らなくてはなりません。
おそらく、何をやるにしても、お金はかかるでしょう。

「お花を飾って綺麗な職場にしましょう」とか「ハキハキ元気よく挨拶して明るい職場にしましょう」とか、そんなことでは解決しないでしょう。

 

市立病院改革は、土壇場にある

上記で述べたように、市立病院事業の収支は、市の一般会計からの繰入を前提として、かつかつ黒字と赤字の線上をさ迷っている状況です。

他方で、病院の建物は寿命を迎えつつあり、近いうちに大規模に投資をして建て替えることが必要です。
前回の経営改革プランで述べられていたように「収支が改善してから考えよう」ではなく、喫緊の課題です。

常勤医師の確保と建物の建替えをしないことには、病院事業は継続出来なくなります。

①市立病院の事業継続を目指すのであれば、次回の経営改革プランを策定する、今このタイミング(2014年夏)に、
・医師を採用する具体的なアクションプラン
・建物の建替えプラン
を決める必要があります。

上述のように、現在の行政当局すなわち市長の姿勢は、これらに目をつぶって「②今のままダラダラ」路線であり、これは問題の先送りに過ぎず、破綻への道をまっしぐら、経営責任者としては無責任極まりないと考えます。