賃上げのトリクルダウンをどうやって実現するか

今年の春闘は、多くの企業で、けっこうな賃上げが実現しそうです。

コストプッシュ型という悪いタイプながらも、インフレが進行しているということと、構造的な人手不足が続いているということが理由と言えるかと思います。

 

統計的なデータは見つかりませんでしたが、新卒初任給もじわじわ上がっているようです。

ここしばらく、マス広告で、コンシューマ向けではないB2B企業による、イメージ広告のようなものが増えてきました。かつてバブル期によく見かけた「やわらか頭してます」みたいな類の広告ですw

これもまた、人材市場における人手不足によるものです。

 

 

しかしながら、当面は、賃上げは、大企業に留まるでしょう。

 

 

これからの課題は、賃上げをいかにして中小零細企業にも広げていくか、
言わば「賃上げのトリクルダウン」です。

これを、政策的にどうやって後押ししていくか。

これは、国政レベルではなく、都道府県、市町村といった地方レベルでも、できることはあるのではないかと思いますね。

それは、おそらく、賃上げを行った民間企業に向けたインセンティブ付与政策という形になります。

まだjust課題認識といったところで、具体的な政策案に落とし込むのはまだ先の話ですが、この課題認識は、持ち続けていきたいと思っています。

 

 

逆に言うと、これらは結果として、賃上げを行わない(賃上げを行う体力がない)企業に対して、市場からの退出を緩やかに促していくことになります。


政治家の仕事は家業なのか?

岸田首相が、31歳の息子を首相秘書官に登用して、批判を浴びております。

ははは。個人的には、何というか、別に興味ありません。
どうでもいいんじゃないですか?
私がもし仮に首相と親しい知り合いであり、事前に相談を受ける立場ならば、「ぜったい止めた方がいい!」と止めましたけど。

 

 

政治家の世襲が折に触れて批判されますけど、個人的には、その問題には興味ないです。

デメリットも大きいけど、メリットもそれなりに大きいんじゃないですかね。

 

 

但し、この際、指摘しておきたいのは、

「世間では、政治家は家業だと思われている」ということです。

家業というのは、すなわち、ファミリービジネスです。
先祖代々の田んぼを家族全員で耕している、とか、夫婦で飲食店を経営していてそのカウンターの片隅で小さい子供がTVを見ながら宿題をやっていて忙しい時は手伝っている、とか、あの種のファミリービジネスです。

選挙の時は、家族が出てきて奴隷のように罵倒されながら頭を下げるのが当たり前だし、家族が地域コミュニティ組織の役員やらを引き受けるのが当たり前だ、と思われています。

まあ、昔は、その見返りとして、親族全員にいろいろな役得、利権が及んだような時代もあったのかもしれません。知らんけど。

 

この「政治家は家業」という世間の認識の延長線上で考えるならば、息子を首相秘書官に任命しても没問題なんじゃないですかね? 興味ないですけど。

 

 

 

個人的には、「政治家は家業」という世間の認識は、この業界への人材供給の点で大いに問題があり過ぎるので、変えた方がいいと思ってます。

私なりに、蕨市の将来を考え、蕨市議会へ若くて優秀な人材をリクルーティングするために、「政治家は家業」という蕨市内の世間の認識を変えなくてはならないと思い、自分なりの努力はしております。
自分なりに頑張っているつもりではあるのですが、しかし、残念ながらまだ成功しているとは言い難いですね。


リスキリング支援 5年で1兆円

昨日、令和4年(2022年)10月3日の臨時国会冒頭にて岸田首相が所信表明を行い、その中の目玉が、

・リスキリング支援 5年で1兆円

なのだそうです。

 

 

 

リスキリングとは、聞き慣れない言葉ですが、

要するに、「スキル」(=技能)という名詞の動詞形に、re-(再び)を付けた単語で、「学び直し」という意味ですね。

学生ではなく、社会人(失業者を含む)向けに、学習支援を、国のお金で行う、というものです。

 

 

 

ある人より、

「どうして、国のお金で、個人の学習を支援しなくてはならないのか?」

という質問を受けました。

要するに、「それは、単なるバラ撒きではないのか?」という懸念の声ですね。

おっしゃる通り、個人のキャリアアップのための学習であるならば、その人自身の費用負担で行うべきです。

 

 

政府による、労働者・失業者の学び直しサービスは、昔からあります。

ハローワークでは、様々なジャンルの職業訓練を実施しています。

これらは、失業対策という目的で行われているサービスです。

失業が増えると、(順不同ですが)税収は減り、治安は悪化し、自殺者数は増え、世の中の幸福の総和が減ります。

失業をなくす・減らす、というのは、政府の最も重要な役割のうちの一つです。

 

 

昨今のリスキリングは、従来型のハローワークによる職業訓練から更に一歩進んだ概念です。

 

 

近年のAIの技術進化があまりにも急激過ぎて、ここ数年で、多くの職業がAIに置き換わり、多数のホワイトカラー労働者が失業する(社内失業を含む)と予想されています。

 

 

財閥系のような余裕のある大企業であれば、社内でのリスキリング+配置転換を行う余裕がありますが、そのような余裕がない企業からは、大量のホワイトカラー労働者がリリースされる可能性があります。

あまりにも急激かつ大規模であり、大きな社会不安を生み出しかねないことが予想されるために、政府がお金を出して、リスキリング支援を行うのです。

 

 

 

やはり、このような大きな技術革新、技術革新による労働市場の変化は、国単位で起こるものですので、今般のホワイトカラー労働者向けリスキリング政策は、国レベルのものであるべきであり、地方レベルで行うべきものではないと思います。
(国の政策を、地方が下請けするパターンはあり得ます)

 

地方レベルで独自のリスキリング政策を行うとしたら、例えば、

・特定の産業(農業、林業、漁業などの一次産業や、地場の製造業、観光業、鉱業など)が盛んな地域において、急激に産業動態が変化して当該産業が廃れ、大量の失業が発生するために、その産業の労働者向けにリスキリングを行う。

・特定の企業城下町(大きな工場がある街など)において、当該企業が撤退することとなり、大量の失業が発生するために、当該企業に勤務していた労働者向けにリスキリングを行う。

といったパターンであれば、あり得ると思います。

 

 

実は、本年、蕨市の近隣に位置する某市において、リスキリング補助金制度が出来ています。
(この某市の政策については、その自治体なりの個別の事情があることでしょうから、私としては特に意見は述べません。)

おそらく、今後、「蕨市でも真似して同様の制度を作ろう!」という提案がこれから、市議会内でも出てくるのではないかと予想します。これは、ちょっと慎重に考えないとならないと思いますね。


企画型と調整型

人の仕事上のセンスとかスキルセットとか経験を類型化する

・企画型人材
・調整型人材

の2つに概ね分かれます。

これは、私の経験上、くっきりはっきり分かれます。

 

両方を兼ね揃えたハイブリッド型を目指したら最強じゃね?と思いがちですが、これは普通は無理です。

なので、ビジネスパーソンは、キャリアの早い段階で、どちらに自分が向いているのかを見極めて、そちらのスキルと経験を磨くように特化するのが良いでしょう。

 

なお、リーダーシップとマネジメント力は、センスに由来して伸びる部分もありますが、概ね、トレーニングと経験によって磨くことが出来ます。

従って、
・企画型リーダー
・調整型リーダー
の両方が存在し得ます。

 

 

企画型人材

戦略を考えて、リサーチして、新しい何かを立ち上げて、回して、結果を評価していく仕事が、好きで、得意な人。

ネット系業界のような新しい業界・領域で、シード/アーリー段階の企業であれば、トップはほぼ100%が企画型人材です。企画型にしか、新しいビジネスは作れません。

 

企画型と言っても、もちろん成功率が100%ということはあり得ません。
シリアルアントレプレナーの方々でも、せいぜい1-2割といったところではないでしょうか。
(先日、ユーザーローカルのitomasaが、新しい事業なんて、おそらく打率1割、高いものでも3割ぐらいだと思う。とFBで投稿していました)

なので、当たり前ですけど、企画を立てる時は、出口まで考えます。
撤退条件と撤退プランを含まない企画は、あり得ません。

 

おそらく、業界ごとに、企画型といってもいろいろな小分類があります。

地方政治家であれば、
・モデル屋 (仕組みを作る人)
・イベント屋 (イベントを行う人)
・ハコモノ屋 (ハコモノを建てたり誘致したりする人)
などに分類できるかと思います。
この小分類もけっこうはっきり分かれますね。

 

 

調整型人間

複数のステークホルダ間の利害調整が好きで、得意な人。
面倒見がいい性格の方が多いのかと思います。

ビジネスパーソンならば、例えば、バブル後に合併を繰り返したメガバンでは、調整型が出世するのではないでしょうか。知らんけど。

 

 

企画型と調整型は、お互いに理解できない

上記のように、私は企画型なので、調整型がよく分からないんですよ。ほんとに分からない。
そんな仕事やって楽しいの?つまんなくね?と本気で思ってしまうし、本質的に興味が沸かない。

 

企画型と調整型は、お互いにさっぱり理解できないのです。

お互いに相手を「あいつら馬鹿なのか?無能なのか?やる気が無いのか?」とすら思ってしまうことがしばしばあります。

しかしながら、もちろんそのようなことはありません。

 

優劣もありません。

ついつい、自分が所属する型の方が優れていると思いがちなのですが、それは間違いです。

 

企画型人材にも、調整型人材にも、それぞれ、それなりの活躍の場があります。

組織の歴史や、目的にもよりますが、企画型人材と調整型人材が適材適所で配置されているのがベストです。どちらかの人材だけで成り立つ組織というのは、ほとんどあり得ないのではないでしょうか。

 

 

例外というのはありまして、私が今まで勤めていた会社でいうと、デジタルガレージの社長の林さん。この方は、企画型でかつ、アライアンスを作るのが天才的に上手いという、まあ、天才でした。
「AとBをガッチャンコして、Cを作ろう」
みたいな話をすると、周りの人があまりよく理解できていなくても、いつの間にか形になって成功しているという事例をたくさん目の当たりにしました。もちろん、失敗事例も多く拝見しましたけど。

 

 

地方議員として求められるのは、圧倒的に調整型人材

私は、ネット系業界で企画型(なおかつ、小分類で言うとモデル屋の)仕事をしてきて、この方面のスキルと経験を用いて社会貢献がしたかったので、地方議員職に就くことを11年前に選択しました。

まあしかし、実際にやってみてから分かったのですが、地方議員職として求められる人材は、ほぼ調整型なんですよね。

・利益を、支持母体に持ってくる
・行政と調整する
・地域内のステークホルダ間の利害調整をする
など。


彩の国さいたま人づくり広域連合の議会がございました。

「彩の国さいたま人づくり広域連合」という組織がありまして、これは、埼玉県と県内市町村すべての共同出資による、行政職員の教育研修機関です。

広域連合というのは、複数の自治体が、共同で行政サービスを行うために設けた団体のことです。

ちょっと分かりにくいのですが、この広域連合もまた、特別地方公共団体と言って、「地方公共団体」の一種なのです。
地方公共団体の一種なので、予算・決算があるし、条例もあります。
それらを決めるための、議会もあります。

 

ところで、私は今、蕨市の議長を務めているのですが、議長には「充て職(あてしょく)」が多くあります。
議長に就任すると、自動的に、関連する他の組織の役員などにも自動的に就任するルールが予め設けられています。

そのうちの一つで、私は、今、彩の国さいたま人づくり広域連合の議会の議員を務めております。
これは、県議会議員、県内全市町村の首長・議会議長が持ち回りで議員を務めることになっています。

 

 

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本日は、その議会の定例会がございました。

 

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令和4年度の予算を決めました。

 

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「令和4年度の職員研修のポイント」は、3つあり、

(1)新たな時代に対応する力の育成
(2)チームで働く全体力の向上
(3)研修等のオンライン化の推進

 

(2)は、全体力という言葉はいま一つ意味がよく分からない造語ですが、組織運営におけるリーダーシップとかフォロワーシップの育成というのは、今更新しいテーマでもなく、当たり前に必要ですね。

(3)も、コロナ後を今更見据えなくとも、オンライン教育はかなり広まっていますので、これも当然の流れと言えます。

 

(1)のうちの、「デジタル人材の育成」というのが、タイムリーなテーマと言えます。

私は、かつて市議会の一般質問で2回に渡って主張したことがあるのですが、
蕨市程度の小さな自治体には、財政的にもHRの量的にもいっぱいいっぱいなので、最先端のDXのやり方を研究開発して試行錯誤を重ねて取り入れていく余裕が無いんですよ。

規模が大きく、余裕がある先進自治体が、研究開発して試行錯誤を重ねて成功したノウハウの上澄みを上手くパクって取り入れるのが、蕨市くらいの自治体の最適なやり方です。

 

従って、よその自治体の成功事例をうまくパッケージ化して教育研修してくれるのであれば、願ったりだと思います。

(しかしながら、研修内の詳しい中身までは分かりません)