TVのワイドショーを見る層と、TVを信頼せずネットで情報収集する層の分断

今朝の日経に、

日経新聞 2018/6/4 : 動かすTV 守るネット層

こんな面白い記事があった。
このタイトルは、中身を正確に表してはいないのだが、ざっくりまとめると、

・シニア・女性層 = 安倍政権への支持率が低い
・20-30代 男性層 = 安倍政権への支持率が高い

という統計的な事実があり、その原因として、

・シニア・女性層
= TVのワイドショーをよく見るから。
・20-30代 男性層
= TVを信頼せず、情報源としてネットメディアを活用しているから。

という仮設を立て、これを統計的に証明しようと試みたものだ。

この記事では、相関関係は明らかにしたものの、因果関係の論考はちょっと曖昧だが、まあ、巷間よく言われていることでもあり、私自身の身の回りの人たちを観察して得られた実感とも近い。

 

尚、この記事の中での「女性層」の定義は曖昧だ。
ステロタイプな「暇を持て余して昼間からTVばかり見ている専業主婦たち」というイメージで語られているようで、反フェミニズム的な香りがするし、個人的には抵抗がある。
しかしながら、「20-30代 男性層」と「20-30代 女性層」の政権支持率が圧倒的に異なることもまた統計的な事実であるようだ。

 

 

繰り返すが、因果関係はこの記事の中では明らかになっておらず、
・TVメディアは、政権批判に偏向している。
・TVのワイドショーばかり見ていると、考えが偏ってしまう。
というのは言い過ぎだ。
あくまでも一つの仮説に過ぎない。

しかし、私の実感としては、かなりこの仮説に近い。

 

シニア層の中には、伝統的な保守・自民党支持者であり、私のご支援者でもありながら、「安倍政権のモリカケは酷い。安倍首相は即辞めるべきだ」というようなことを語る方もいたりして、唖然とすることもある。

 

 

まあ、それはそれとして、

いずれにしても、

・シニア・女性層 = TVのワイドショーをよく見る層
・20-30代 男性層 = TVを信頼せず、情報源としてネットメディアを活用する層

この2つの層の間で意識の分断があるのは、間違いないと思われる。

シルバー民主主義の今日、TVメディアは巨大な権力を有しているわけだが、ゆるやかな世代交代とともに、その力は失われていくだろう。


憲法改正についての世論調査結果は、メディアによってこんなにも違う。

(先のエントリ
hoya_t blog : 自民党蕨支部総会がございました。
の続きです。)

 

主要各メディアの直近1ヶ月以内の世論調査結果をざっくり取り出してみると、
改正そのものの賛否を問う設問についての回答は、以下のような感じです。

 

日経新聞 2017/5/3 : 憲法改正、賛否が拮抗 施行70年、改憲支持伸びる

賛成:45%
反対:46%

 

朝日新聞 2017/5/2:現行憲法「日本にとってよかった」89% 朝日世論調査

賛成:41%
反対:50%

 

産経新聞 2017/5/15:憲法、自衛隊の存在明文化「賛成」55・4% 現行憲法が「時代に合っていると思わない」59・1%

賛成:50%
反対:44%

 

毎日新聞 2017/5/3:毎日新聞世論調査 憲法改正「賛成」48% 9条は「反対」46% 施行70年

賛成:48%
反対:33%

 

読売新聞 2017/4/28:施行70年、憲法の役割「評価」89%

賛成:49%
反対:49%

 

東京新聞 2017/4/30 :不戦「9条が貢献」75% 安倍政権で改憲「反対」51% 世論調査

賛成:60%
反対:37%

 

 

ということで、驚くほど、メディアによって比率が異なります。

各リンク先のページをざっと読めば分かりますが、設問の文章、選択肢の文言がそれぞれ絶妙に異なるために、このような違いが生じています。

「これって悪質な誘導質問じゃないの??」と疑わしく思ってしまうような聞き方をしているところもあります。

 

中立的、客観的な調査を行おうとするのであれば、、あらゆるバイアスからフリーにならなくてはならないわけですが、「憲法をどう考えるか?」という、根本的な国家観そのものを問う調査に当たっては、それがとても難しいのです。

 

かように、世論というものは、これを読み解くことが難しいのです。

 

末端の一自民党員としては、直近数年間の国政選挙における自公圧勝の状況などから、「何となく、憲法改正へ向けての気運が高まってきたような気がする」と感じてしまいがちなのですが、この点はとても注意深く考える必要があります。

 

憲法改正の手続きは、一度チャレンジして国民投票で否決されれば、二度目のチャレンジはかなりハードルが高くなります。
改憲派としては、「何度でも気軽にチャレンジしよう」ではなく、「失敗してはならない、一発必中で進めていこう」という心構えが必要となります。


市政より国政の方が身近であるというパラドックス

国政については、新聞、テレビをはじめとする様々なマスメディア上で、日々、ニュースとして取り上げられ、学者や専門家からお笑いタレントやアホっぽさを売りにするおバカタレントまでがコメントをし、更には、国会中継などの生情報(TV中継、演説の書き起こし文章など)までも含めて、膨大な量の情報が配信されている。

これらと比べると、
市政(市町村レベルの地方政治)については、マスメディア上で情報が配信されることはほとんどない。そもそも市政について報じるメディアはほとんど存在しない。

当たり前だけど、情報に関する需要が圧倒的に少ないために、広告モデルとしてもコンテンツ課金モデルとしてもどちらであったとしても、メディアビジネスとしてペイしないからだ。

このことは、以前もこのblogで同じことを書いた。
hoya_t blog 2013/12/20 : 地方には健全な批判的ジャーナリズムが存在しない。

 

ネットには、既存の4媒体と比べると、運営コストが安く済むために、このような小さな市場を相手にしたローカルメディアが成立するポテンシャルがあるのだが、未だに、市政レベルを詳しく報じるような健全なネットメディアというのは、どこの地方に行っても誕生していない。

おそらく、順番としては、ローカルにビジネスを行っている、飲食業、サービス業、小売業などの広告主を、リスティング広告やクラシファイド広告などの既存の広告プラットフォーム上に、広告業界が開拓してローカルの広告市場が育てきた後に、そのようなメディアが生まれてくることになるのだろうと思う。

 

 

市政について詳しく報じるメディアが存在しないので、どうしても、多くの人々にとっては、市政について知る機会もないし、興味もない、ということになってしまう。

市内に新たに原発を誘致するとか、基地を作るとか、あるいは市町村合併するとか、迷惑施設(ゴミ焼却場、葬祭場など)を新設するとか、自らの生活に直接関係してくるようなトピックスがあれば別だが、蕨市のような郊外ベッドタウンで、直近で大きなトピックスもない場合は、昼間は東京で働いていて、夜寝るだけのために家に帰って来て、市内には友人がいなくて、休みの日はどこか遠くに遊びに行くような生活をしている人達には、市政の存在を感じる暇すら無いだろうと思う。
自分が昔そうだったから分かる。市長が共産党員だったなんて全然知らなかったしw 川口市・鳩ヶ谷市・戸田市との合併の話も、当時既に蕨市に住んでいたはずなのだけど、全然興味なかったwwそもそも知らなかったwww

 

とうことで、このエントリには結論はないのだが、

そろそろ蕨市議会議員の選挙も近付きつつある今日この頃なのですが、地元の方と話をしていても、結局、議会が何をやっているのか、まったく知らない人が多くて、まあガッカリすることが多いんですよね。

私のメイン支持層は、地元錦町地区のアクティブシニアの方々ですが、しこしこ更新しているこのblogもほとんど読まれていないし。

何か、愚痴みたいなっちゃいましたが、市政を詳しく報じるメディアが存在しない以上、市議会議員としては、国政以上に(国会議員以上に)コストをかけて、広報活動を充実させなくてはならないのだと改めて思いました。


梅の蕾がほんのり色づいてまいりましたね。


人体がメディア化する時代がやってくる — 「アウトメディア」ではなく、「メディアイン」(和製英語)を。

以下のエントリで、いわゆる「アウトメディア論」なるものについて論考を試みつつ、忙しさにかまけて放置してしまった。

hoya_t blog : 2013/10/23 私的アウトメディア論

 

そうこうしているうちに、さらに時代は進化してしまっているようだ。

日経ビジネス 2014年5月26日号で、元google米国本社副社長、日本現法社長の村上憲郎氏の、とても興味深いインタビュが載っていた。
この記事は、webにも転載されている。
日経ビジネスdigital : メガネ型の次はコンタクト、目玉へと進化

 

googleが、googleグラスという、メガネ型インターネット端末を開発しているが、更にこの流れを推し進めると、いずれは「googleコンタクトレンズ」を作り、さらに「google目玉」を作ることになるだろう、と予想している。

最近流行りのワードであるIoTの流れは、言葉の定義通り「モノのインターネット化」に留まらず、「人体のインターネット化」へと進化していくだろうと予言している。

眼球がインターネット端末となるということは、人体がメディアと直結する、というよりも、人体がメディアそのものになるということである。

まさに攻殻機動隊の世界だ。

攻殻機動隊では、脳に電脳(コンピュータ)を埋め込み、インターネットに接続した世界が描かれている。人は、自らの頭に埋め込んだ電脳を介してインターネットに繋がり、情報を収集したり、外部のリソースをフレキシブルに使ったり、他人と瞬時にコミュニケーション出来るようになる。

ある種、気持ち悪くもあるが、好むと好まざるとにかかわらず、世界は間違いなくこの方向に向かって進化しているし、googleもこの方向に向かって技術開発を進めている。

10年後には、世界中のヒトの数%は、頭に電脳を埋め込んでインターネットと直結しているようになるだろう。
私もできるだけ早く自分の身体を義体化してみたいと思う。
(現実的には、レーシックすら怖くてチャレンジ出来ないんだけどねww)

 

 

 

もはや「アウトメディア運動」などといって、新しい技術を毛嫌いしている場合ではなく、近い将来に必然的に導入される新しい技術をどう使いこなすかを、具体的に考え始めないとならない段階に入りつつある。

バグの無いシステムは存在せず、セキュリティが完璧なシステムというものも存在しないので、攻殻機動隊の世界では、コンピュータウイルスを送り込んだり、電脳をハッキングしたりして相手方を攻撃したりする。

来る「人体がメディア化する時代」においては、コンピュータとネットワークのセキュリティのリテラシ・技術教育が必須となってくるだろう。


地方には健全な批判的ジャーナリズムが存在しない。

健全な批判的ジャーナリズムの必要性

ここでいう健全な批判的ジャーナリズムというのは、誠に正しい意味での、理想的な、世のため人のため、権力とは距離を置き、権力を監視し、市井の声無き声を取り上げ・・・というもので、そもそもそんなものが存在するのかどうか分からないが、中央と比べると、地方にはこれが存在しない。

権力から距離を置き、権力を監視する健全な批判的ジャーナリズムが存在が、権力の暴走、不正、腐敗を防ぐことになる。

歴史を振り返ってみると、権力というものは、必ず腐敗するものなので(100%絶対に!これは歴史の必然だ、歴史を学べば中学生でも知っていることだよ!)、健全な批判的ジャーナリズムの存在は、フェアで公正な社会、正義の実現のためには必要不可欠だ。

中央というのは、国全体という意味で、中央には、健全な批判的ジャーナリズムは存在すると思う。
少なくとも、そのように信じたい。
徳洲会から5,000万円を借りた問題で都知事を辞任することになった猪瀬直樹氏は、作家時代には少なくともこの健全な批判的ジャーナリストであったと思う。

 

健全でないジャーナリズム

ところで、健全ではない、批判的でないジャーナリズムは、何かというと、権力におもねったり、取り込まれたり、あるいはマスに迎合したり、自らの利益を極大化することを目指すもの。

ミス・インターナショナルグランプリ受賞者の吉松育美さんが、大手芸能プロダクションの幹部から脅迫を受けていることを発表した事件について、国内のメディアが一切報道せずに沈黙を保っている。
これは権力におもねっているわけだ。

RBB Today : 茂木健一郎氏、脅迫被害のミス世界一・吉松育美さんの支援呼びかけ
2ch式ニュース : 【話題】現役ミス世界一吉松育美さんがストーカー被害訴える…自殺した川田亜子さんの名前出し「娘さんが彼女のようになることを心配しています」脅迫も

また、「今でしょ!」で有名になった予備校教師の林修さんがキャバクラ通いしていることを面白おかしく報道している。
個人のプライバシに関わる、他人にとってはどうでもいいことを報じる類のものは、マスへの迎合でしかない。
livedoor news : 林先生がキャバクラで実践した『今でしょ!』の応用術

 

これらの類は、すべて、不健全なジャーナリズムと言えるだろう。
市場があるから存在するわけで、別に悪いものではない。

 

地方における健全な批判的ジャーナリズムの不在

これは、まさに、地方には無い。
地方誌は、残念ながらそれほど強力な取材力はないので当り障りのないことしか書かない。唯一、反骨の批判的ジャーナリズムが存在するのは、沖縄の琉球新報と沖縄タイムスだが、彼らの強烈で極端なイデオロギーへのカウンターパートが存在しないので、個人的には、あまり好ましい状況ではないと思う。つまり、琉球新報、沖縄タイムスともに左翼・反米イデオロギーに染まっているが、この反対側の方針(右翼・親米)を掲げるメディアが沖縄に存在しない状況というのは、ジャーナリズム市場としては健全ではない。

地方に多々存在するCATV放送も、だいたい3セクだったりするし、行政から広報予算をもらっていたりする。

ブラックジャーナリズムは多少はあるね。

 

何でそもそも地方に健全な批判的ジャーナリズムが存在しないのかというと、ずばり、市場が存在しないからでしょう。

たんねんに調べて記事を書いても、商売にならないってこと。
新聞、雑誌、テレビ、ラジオといった既存マス4媒体を使った健全な批判的ジャーナリスムは、地方ベースでは商売にならない。

自分のことを振り返ってみると、市議会議員になる前は、中央政治には興味があっても、地元の地方政治はあまり興味なかったからね。

 

しかし、インターネットには可能性がある。
ネットを使って、たとえ少数でも興味関心を持つ人に配信するプラットフォームを作れば、商売としてはそれほど大きなものにはならないと思うが、社会へ与えるインパクトは大きい。
イメージとしては、ハフィントン・ポストとかBLOGOSの地方版みたいな感じのプラットフォームサービスは、成立し得るかもしれない。


自民懇話会、新聞への消費税軽減税率求める

ぽかぽか陽気が続く師走の週末、皆様いかがお過ごしでしょうか。
蕨市議会議員、自民党の党員の保谷武(ほやたけし)で御座います。
私はもちろんエブリディ仕事ですw

 

日経:自民懇話会、新聞に軽減税率求める 過半の207議員が賛同署名 (2013/12/6 21:05)

さて、日経によると、自民党の新聞販売懇話会という団体が、消費税率アップを目前に控えて、新聞に消費税軽減税率適用(=特別にほかの財・サービスより税率を低くすること)を求めて、党内で署名を集めて、自民党の税制調査会に出したそうです。

自民党の国会議員のうち207名が署名したとのことですが、自民党の全国会議員数は409名ですので、50.6%ということになります。

本件に関するねらーの反応は、痛ニューにまとめがあります。
痛いニュース : 新聞に軽減税率導入へ 自民党207議員の署名提出

 

この新聞販売懇話会は、主に新聞記者出身者を中心とした、自民党内の国会議員から成る団体のようです。
ググってもあまり情報が出てこないので、詳細不明ですが。
会長の丹羽雄哉代議士(自民党・無派閥・茨城6区)は、読売の政治部記者出身とのことです。

自民党 新聞販売懇話会は、要するに、社団法人日本新聞販売協会のロビー活動の受け皿団体っぽいですね。
この情報は裏取りしていませんが、自民党 新聞販売懇話会の主要議員は、社団法人日本新聞販売協会からの政治献金を受けているようです。
My News Japan : 「新聞族」議員への献金、一位は中川秀直幹事長 新聞と政界、癒着構造続く 09:52 12/24 2006

上記記事は、これらの政治献金に対して批判的ですが、私個人的には、この政治献金には違法性はないし、民主制にはカネがかかるので、政治献金は法の範囲内でもらえるものはじゃんじゃかもらえばいいと思います。

社団法人日本新聞販売協会は、全国の新聞販売代理店から成るロビー団体ですね。
新聞社と、新聞社から成るロビー団体である一般社団法人日本新聞協会との関係は不明です。

 

ところで、冒頭の日経記事中によると、「全国の市町村など122地方議会が新聞への適用を求める決議を採択していることも紹介した。」ということですが、同じような内容の請願が、蕨市議会の2013年12月定例会にも提出されていて、私は一応、紹介議員の一人ってことになってます。
いろいろ大人の事情がありまして、本件は、詳細コメント控えます(笑)