タイのクーデターの現況

さて、先月2014年6月下旬に、(本業の)仕事を作って、タイ王国のクーデターの現況を見に行ってきた。

バンコクには、2014年2月に訪問し、反タクシン派デモ隊に市内中心部を占拠された模様を見学してきた。
hoya_t blog : 2014/2/7 バンコクにデモ見に行ってきた。

その後、軍がクーデーターを起こして戒厳令を敷いたので、(本業の)仕事のついでに、その変化をウォッチしてきた。

尚、クーデター施行直後は夜間外出禁止令が発令されていたが、私が訪問した時点では、既にこれは解除されていた。


チッロムの交差点。
ふつう。


BTSサイアム駅の高架下。
ふつう。
あの土産物売りや食べ物売りの屋台の人達はどこに行ってしまったんだろう?


サイアムのMBKセンター前。
ふつう。


シーロム。
歩行者天国のようにカラフルなパラソルで埋め尽くされていた姿は見る影もない。

ということで、市内は平常通りに戻っていた。

軍や警察の姿は皆無。
クーデターらしいものは全く感じられず、期待はずれ。

Nanaなどの繁華街もいつも通り。
(外人ツーリストは少ないよ、特に日本人は少ない、という声は聞いたけど)

尚、バンコクでも田舎でも、ソーシャルツールにおけるLINEのシェアが急激に上がっていてびっくりした。お店でも乗り物でも、あっちでもこっちどLINEのデフォルトのメッセージ着信音が響き渡っていた。

 

日にちは前後するが、スコータイからレンタのスクで、遺跡の街、カンペーン・ペッへ。


もちろん、国際免許は持っています。

カンペーン・ペッから北10kmくらいの幹線道路沿いの学校(中学校?高校?)で、何やら祭りのようなものをやっていて、移動中にたまたま通りかかって、立ち寄った。
何の祭りかはさっぱり分からない。


JK(JC?)が何か食材を売っている。


何故かバイクの新車が展示されている。
他にも、農機具の展示などのブースがあった。
祭りの趣旨が謎だ。


体育館では、軍人の宣誓式(?)のようなものをやっていた。
とても厳かな雰囲気。
もしかして、祭りではないのか?


そして、今回の出張を通じて、唯一、クーデターっぽかったのが、このシーン。

自動小銃を抱えた若い軍人が、二人一組で、二組ぐらい、警備をしていた。

どうやら、地元の人にとっても珍しいシーンらしく、女の子がはにかみながら一緒に写真撮ってもいい?とお願いして、写真を撮り合っていた。

 

この学校、帰朝してからgoogle mapを辿って調べてみたら、Phran Kratai Pittayakhom Schoolという学校らしい。
http://www.prankratai.ac.th/
webサイトもあるけど、タイ語オンリーなので、どんな学校なのか中学校なのか高校なのかすら分からない。

 

 

岡崎久彦氏曰く、「タイにおいては、文民政府とクーデターが、民主主義の基本である、チェック・アンド・バランスを果たしている」

ところで、読売新聞朝刊の「時代の証言者」コーナーに現在連載中の、元外交官 岡崎久彦氏の回顧録の中で、ちょうど2014年7月2日(水)号で、駐タイ大使を務めていた1991年当時に、タイでクーデターが発生したときについて触れている。

当時、タイが得ていた外国援助の7割近くが日本からのもので、クーデターを受けてこれを見直すべきかどうかの議論が日本国内で起こった。
岡崎氏は、「この事態は、クーデターではなく、ただの政権交代に過ぎない」と評価し、当時、力を持っていた金丸信 副総理に進言して、援助の継続を促したとのこと。
国際社会において、我が国の「クーデター支持」とも受け取れられかねない動きは批判の的になりかけたものの、ジャーナリストからの質問に対して
「民主主義の基本はチェック・アンド・バランスであり、タイにおいては、文民政府とクーデターがその機能を果たしている。民主主義よりも、プラトンの哲人政治が実行されれば、それが良いに決まっている」と回答したとのこと。

 

欧米流の手続き論的な民主主義が、どこの国家、民族においてもベストかどうかは分からない。タイにはタイの国情にあった、ベストのやり方がある、ということだ。

これは私も同感。
立憲君主制の存在を前提として、今回のクーデターが収まった後も、定期的にお祭り騒ぎ的な大衆運動とクーデターは繰り返されることだろう。

タイの現状の問題は、都市部の持てる層から、田舎部の持たざる層への所得の再配分が進んでいないことだ。
そもそも、不動産の固定資産税と、相続税が存在しないとのこと。
今後、タイ流のやり方で、税制を改正して、緩やかに所得の再配分の仕組み作りを続けていくことになるのだろうと思う。


【写真レポート】バンコクにデモ見に行ってきた。

総選挙が終わった後も混乱が続くタイ王国のバンコクに、デモを見に行ってきた。

対立の構図は、
・与党タクシン派(インラック首相)が、農村部-持てざる層
・野党反タクシン派が、都市部-既得権益層

現地では、駐在している大学同期にもアテンドしてもらって、いろいろおもしろい話を聞いてきた。

基本的には、都市部-既得権益層から農村部-持てざる層への資源の再配分のスピードを巡る争いという解釈で間違っていないと思うが、王位継承に関わる争いという視点で捉えることもできるそうだ。

考察は別途書くので、取り敢えず写真レポートのみ。
(すべての写真はクリックすると拡大する)


BTSサイアム駅の下。
バンコクの大型ショッピングエリア。
デモ隊に占拠されている。

尚、どこのデモ会場に行っても、警察の姿は皆無。


中に入るためには、デモ隊による荷物検査を受ける。
それほど厳密なものではないが、ナイフを持っていたりすると没収されるようだ。


観光客もぶらぶらしていて、お祭りのような雰囲気。


反タクシン派のグッズ販売をしている屋台。


タイ国旗の色である、青、赤、白を使ったグッズを身につけていることが、反タクシン派支持表明なのだそうだ。デモ隊による交通検問を突破するために、言わば魔除けとして持っているタクシー等も多いとのこと。


グッズ販売の屋台。


食べ物や、服や、その他全然デモとは関係無いモノを売っている屋台も多数。
お祭りだね。


靴売りの屋台。


焼きスルメ売り。


昼間は閑散としているが、夕方涼しくなってきてから、屋台の準備が始まる。
夜市だね。


行政の職員(?)が掃除中。


プラカードを持って集まっている人たち。


デモ隊のテント。
日中はかなり気温が上がり、日なたのテントの中は蒸し風呂状態なので、どこか別の場所に退避しているようだ。


大きな仮設ステージ。
ここの模様は、別の会場に同時中継されている。かなり組織的。
昼間の日なたは暑いので、人影はまばら。
夕方くらいからは音楽のライブが始まる。


演説会場。


街宣車が帰ってきた。


街宣車の後には、バイク軍団が続いて帰ってきた。
お揃いの服で、おっさんツーリングチームといった雰囲気。


サイアムのMBKセンター横には、こんな大きな仮設テントが設置されていて、その下に大量の寝泊まりテント。


むにゃむにゃ。


ぐーぐー。


「REJECTED THAKSIN REGIME」と書いてある、タクシン氏の似顔絵。


タイ語は読めないが、タクシン氏とインラック首相の写真には、たくさんイタズラ書きがなされている。


メッセージボード。


衝突で亡くなった犠牲者かな?


デモはかなり組織的で、大型の発電機が持ち込まれている。


別のバリケード。

不思議なのは、水、食べ物、電気はあるものの、トイレがまったくないこと。
これだけの人数が寝泊まりしているのに、仮設トイレがないのはおかしい。
どこで排泄しているのだろうか。


大学は閉鎖中。
しかし、デモ隊で、テントの中で寝っ転がっているの中には、大学生らしい姿はまったくない。
ちょっと小汚い格好をした、いかにも地方農村部から動員されてやってきた風の人たちがほとんど。


ルンピニ公園。
公園の一部にテント村が出来上がっている。


カップラーメン、お湯、水の配給所。


記念撮影ボード。


テント村。
日中は、暑くて中にいるのは無理でしょう。


湖畔でもそんなに涼しいわけではないかと。


ちょうどランチ時だった。
水と食べ物の配給所。


食べ物を配っている。


散髪コーナー。


写真だとちょっと分かりにくいけど、医療コーナー。
医薬品が置いてある。


グッズ販売。


シーロムの交差点の仮設演説会場。
ちょうどBTSの高架の影になっており、ここは昼でも(暑くないので)人が集まれるため、昼も演説をやっていた。


演説に聞き入る人たち。
昼休み時なので、近くのサラリーマン、OL風もいた。


演説中。
舞台にはドラムなどの楽器が並んでおり、時間帯によっては音楽のライブ会場になることが分かる。


シーロムのBTS下の通り。
デモ隊に占拠されている。
歩行者天国ではない。
屋台がたくさん出ている。


チッロムとサイアムの間の、伊勢丹がある交差点の仮説演説会場。
夕方気温が下がってきてから、人が集まってくる。
最初は、音楽のライブをやっている。


同じ場所の夜。
演説が始まる。


演説に聞き入る人たち。


BTSナショナルスタジアム駅近くの路上脇(デモ占拠地帯の外)に、陸軍の仮設テントが設置されていた。
武器は持っていない。
医薬品が置いてあるのが見える。
情報収集拠点だろうか?
兵士に威圧的な雰囲気はなく、カメラを向けても笑顔。


近くの別の場所では、土のうを積んで作業中だった。


軍のテント。翌日の昼の様子。緊張感はない。


アソークの演説会場。
ここもデモ隊に占拠されている。


演説を聞く人たち。
小綺麗な格好の人たちは、動員されてやって来たわけでなく、自分の意志で聞きに来たのだと思う。