県議会 県土都市整備委員会にて、東京都下水道局の再構築事業の視察に行ってまいりました。
老朽化した都市インフラの更新(造り直し)は大変
全国各地で、老朽化した都市インフラの更新が大きな課題となっています。
更新には膨大な費用がかかります。
人口減少が進み、社会・経済が成熟化する中で、更新費用を捻出することも大変です。
また、道路、上下水道、鉄道など、今まさに現役で使われている都市インフラを、機能を止めることなく造り変えていくのは、極めて難しい仕事です。
道路や鉄道であれば、場合によっては、人の動きが止まった深夜~早朝にしか、工事をすることは出来ません。
下水道に至っては、バックアップルートが無い場合は、常に下水が流れ続けているわけですから、そのまま同じ場所に造り直すことは、不可能です。地下に仮設ルートを造ることは簡単ではありません。
東京都の下水道
東京の都心部には、明治時代に造られ、ななんと!今でも使われている下水道もあります。
しかし、大量の下水が常時流れ、水位が高い幹線では、調査や改修工事を行うこと自体が困難です。
東京都下水道局の再構築事業
東京都の下水道は、合流式です。
下水道には合流式と分流式があります。
- 合流式 汚水と雨水を、一つの管路に一緒に流す。
- 分流式 汚水と雨水を、二つの別々の管路に流す。
蕨市においては、
- 錦町以外は合流式
- 錦町は分流式
です。
一般的に、合流式は古いやり方で、分流式は新しいやり方です。
合流式は、大雨のときには、下水道の処理キャパシティを越えてしまうために、汚水と下水の両方が混ざった下水を、未処理のまま河川に流すことになります。
分流式においては、大雨の時に下水道の処理キャパシティを越えてしまった場合も、未処理のまま河川に流すのは雨水のみですので、それほど環境へのインパクトは大きくありません。
旧式でデメリットが大きい合流式ですが、造り変える際には、大きなメリットがあります。
雨が降っていないタイミングでは、下水管路を流れる下水量が減るために、人が入って、検査をしたり改修工事をすることが可能となります。
分流式は常に大量の下水が流れ続けているために、人が入ることは不可能です。
東京都の下水道再構築事業は、このような合流式のメリットを活かしたものです。
- 既設幹線に並行して、バックアップ幹線を造る。
- バックアップ幹線に、下水の流れを切り替え、既設幹線の下水流量を少なくする。
(流量はゼロにはならない) - 既設幹線の内側に塩化ビニル製の帯を巻き付け、内側からリニューアルする。
これを更生工法と言う。
管路の内径は小さくなるが、ツルツルになるために下水の流れは速くなる。
この工事は、既設幹線に下水を流したまま行うことができる。
新設管と同等以上の強度を持ち、耐震性も確保できる。 - 既設管の更生工法終了後も、バックアップ幹線と既設幹線は、冗長化したまま両方とも利用し続ける。
- 将来、バックアップ幹線が老朽化したら、こちらも更生工法で長寿命化する。
- ・・・交互に繰り返し
この上記のバックアップ幹線が、今回見学した千代田幹線です。
なんと、東京都は、令和7年(2025年)1月の八潮道路陥没事故が起こる前から、バックアップ幹線を造る工事を進めていたのですね。
芝浦水再生センターへ
高輪ゲートウェイ駅近くの、芝浦水再生センター。
尚、埼玉県では水循環センターと呼んでいますが、同じ役割の施設です。
下水処理プラントのことです。
高輪ゲートウェイ駅の近くに位置しています。
埋立地だそうです。
周囲は、高層マンション、高層オフィスビルが立ち並んでいます。
説明してくださった東京都下水道局の職員の方からは、大都市の暮らしを支えるインフラ事業者としての誇りと使命感を感じました。
深さ64mの千代田幹線 立坑へ
芝浦水再生センター 敷地内にある、深さ64mの立坑へ。
工事現場のエレベーターで、ごとごと揺れながら、ゆっくり下りていきます。
こんなエレベーターです。
写真左側は、非常用の階段です。
深さ64mの底面から見上げると、かなりの高さがあります。
建物でいうと、20階建てくらいの高さです。
地下鉄と干渉しないようにするために、これだけの大深度地下に位置しています。
この日は猛暑日でしたが、地下64mは、ひんやりとした涼しさです。
内径4.9mの管路。
飯田橋から、ここ芝浦水再生センターまで、8.7kmの掘進は、令和6年度には完了しています。
飯田橋の発進立坑から、中間立坑を設けることなく、一気にシールドマシンで掘り進めました。
現在は、既設幹線から千代田幹線へ下水を取り込むための施設などの整備が進められています。
まだ使われていませんので、視察させていただくには絶好のタイミングでした。
千代田幹線の長さは8.7kmもあるゆえ、移動は自転車が用いられています。
老朽インフラ対策は、壊れてから直せばよいというものではありません。
膨大なお金がかかっても、都市機能を止めることなく次の世代へ引き継ぐため、何十年も先を見据えて計画的に更新していく必要があります。
「使いながら造り変える」都市インフラの更新。
埼玉県においても、道路、橋梁、河川、下水道などの老朽化が進む中、更新とともに、冗長性を持たせたインフラ整備を長期的に考えていかなければなりません。
県土都市整美委員会の委員、東京都下水道局の職員さんと記念撮影。
東京都下水道局の皆様、ありがとうございました。









