令和2年7月九州北部豪雨災害 被災地の天ヶ瀬温泉の復興状況

令和2年(2020年)7月は、全国的に豪雨が続きました。特に九州北部には線状降水帯が発生し、あちこちで大規模な水害発生しました。

この時の大きな水害としては、熊本県の球磨川の氾濫が有名ですが、大分県日田市の天ヶ瀬温泉でも、玖珠川が氾濫して、温泉街は壊滅的な被害を被っています。

 

私は、同年12月に妻とこの温泉地を訪れたことがあります。

PXL_20201229_064943086

(この写真のみ、2020年12月撮影)

 

空中で寸断されたまま垂れ下がった橋など、被災したままの姿が生々しく残る中、復興に向けた地元の方々の力強い動きも感じることができました。

 

このたび、5年ぶりに、現地を視察しました。

結果として、復興状況というよりも、「復興していない状況」を視察することになりました。

 

PXL_20251221_232203891

玖珠川の両岸に沿って、温泉街が立ち並んでいます。

両岸ともに、後背にはすぐに山が迫っいます。

 

堤防はありません。

川沿いの一段低くなったところに、露天の共同温泉浴場が何箇所か設けられています。これが、天ヶ瀬温泉の名物となっていました。

 

PXL_20251221_224959567

こんな感じで、見晴らしのいいオープン構造です。

程よいぬるさで、いつまでも入っていられるほどです。

更衣室はないので、その辺の岩の上に服を置いて入浴する仕組みです。

赤色のボックスに、入湯料100円をお支払いします。

 

PXL_20251221_231816120

露店公衆湯の一つ、薬師の湯。

オープン構造はやはり女性には敷居が高いので、囲いを設けています。

地元の人だけが入って楽しめばいい、ということではなく、ツーリストにも楽しんでもらおうというホスピタリティが伺えます。

 

PXL_20251221_232156821

益次郎の湯。

 

PXL_20251221_231940607

新しく建物を建て直して旅館として営業しているところも複数あります。

 

PXL_20251221_231946446

水の高さによって注意を促すペイントが施してあります。

2020年7月豪雨の際は、「5」を遥かに超えて、橋を押し流してしまいました。

 

PXL_20251221_232049316

水害から5年が経ちましたが、まだ被害の大きさを物語るモノが残っています。

災害遺構として敢えて撤去せずに残しているのかもしれません。

 

PXL_20251221_232122446

写真左側奥(左岸側)のクリーム色字に茶色い格子柄の建物は、スイスの山小屋風の外観を特徴とした、ホテル水光園という名で営業してました。

2020年7月の水害の動画投稿を最後に閉館しています。

 

PXL_20251221_232035315

復興の桜

 

ということで、小さな温泉街を一通り見て回りましたが、建て替えて新たに営業を始めるなど、力強く復興に向けて歩みを進めている旅館・ホテルがある一方で、廃業した旅館・ホテルもあり、廃墟のような建物も多数ありました。

 

 

県の玖珠川改修計画と、その進展

大分県では、玖珠川の川底を深く削った上で、川幅を拡張する工事の計画を立てています。

上記に見来てきた通り、川沿いに家々が立ち並んでいるため、移転を迫られる家屋も出てきました。その中には、水害後、家を建て直した方もいます。

立ち退き交渉は、なかなか進んでいないようです。

 

 

この種の、復興計画は、どうしても、土木工事を行う自治体と、地元住民とで、復興に向けての意識の時間軸にズレが生じてしまう傾向があります。

 

自治体は、数十年後を見据えて、今後何世代にも渡って安心して暮らせるよう、防災・減災対策を行おうとします。そのような土木工事は、大規模なものになります。計画を建てるだけでも、数年間かかることもありますし、地域住民の合意形成には更に数年間、工事が始まってから完成するまでにさらに数年間・・・と、年単位での時間がかかります。

他方で、地元住民は、家が壊され、家財道具がだめになってしまった場合は、今すぐに生活を再建しなくてはなりません。宿泊業や、その他の小売・サービス業を営んでいた場合は、災害によって収入がゼロになってしまいますので、何らかの対応を今すぐにしなくてはなりません。
その地域で、すぐに家・店を建て直して商売を再開する方もいるでしょうし、その土地での暮らし・商売の再建を諦めてよその土地に移転する方も出てきます。

 

この時間軸のズレは、どうしても埋められないものがあります。

 

東日本大震災の被災地においても、盛り土、区画整理、高い堤防造りによる大規模な土木工事は完成したものの、地元住民は既にその土地で生活を再建することを諦め、よその土地に移転してしまい、誰も住まない広大な空き地が広がっている・・・という場所がたくさんあります。


荒川左岸水害予防組合の水防演習

本日、令和7年(2025年)6月21日、川口市内の荒川河川敷 三領運動場において、荒川左岸水害予防組合水防演習が行われました。

20250621 荒川左岸水害予防組合 水防演習

荒川左岸水害予防組合

蕨市、戸田市、川口市の3市によって組成されています。

それぞれの消防本部、消防団、市長部局(土木系の部署など)が参加しています。

水害には、外水氾濫(大きな河川が氾濫すること)と内水氾濫(街の中が冠水・浸水する都市型水害)の2種類がありますが、この組合は、荒川の氾濫に備えたものです。

 

 

 

水防演習

埼玉県防災航空隊や、国土交通省 関東地方整備局 荒川下流河川事務所なども参加しての、大規模な公開練習です。

3市持ち回りで開催しており、今年は川口市の当番回でした。

 

 

伝統的な3つの水防工法

本演習の中心となったのは、江戸時代から伝承され、今なお実効性の高い三種の水防工法の実地訓練です。科学的で、最小限のコストで最大限の効果を狙った工法です。

 

今回は炎天下での演習となりましたが、実際の現場では、大雨が降る中で行われることになるでしょう。横殴りの風が吹いていたり、夜間の場合もあり得ます。

どの工法も、基本的には文字通りの人海戦術であり、3市の消防本部職員、消防団員によって行われました。

 

 

土のうを作る

20250621 荒川左岸水害予防組合 水防演習

土のう作りが、全ての水防工法の基本です。

土のう袋に土砂を入れて、袋の口を縛ります。

 

 

(1)越水防止工法

川の水が市街地へ流れ込むのを防ぎます。

浸水被害の“第一防衛線”であり、堤防の機能を補完するものです。

20250621 荒川左岸水害予防組合 水防演習

こちらは、せき板工

板に沿って土のうを積んでいきます。

 

20250621 荒川左岸水害予防組合 水防演習

これが完成形。積んだ土のうの上から土をふりかけて、隙間を塞いでいます。

 

20250621 荒川左岸水害予防組合 水防演習

こちらは、シート張り式の改良積み土のう工

ただ土のうを積み上げるだけではなく、シートを張った上から積み上げることによって、隙間が生じるのを防ぐものです。

 

 

(2)漏水防止工法

堤防は、土を固めて作ってあります。土なので、中に水が染み込みます。

堤防の中に水が浸み込んで空洞化・崩壊を招くのを防がなくてはなりません。

チョロチョロと堤防の横腹から水が漏れ出てきた時に、このような漏水防止工法を用いて、水圧を逃がし、土砂が流出するのを防ぎます。

堤防が決壊するまでの時間稼ぎをするものです。

20250621 荒川左岸水害予防組合 水防演習

こちらは釜段工の、作業途中の様子。

ただ円形に積み上げているわけではなく、高度な技術と経験を要するものです。積み上げの指示と作業は、川口市消防局の消防士が行っていました。

 

20250621 荒川左岸水害予防組合 水防演習

こちらは、月の輪工の完成形。

 

ところで、「そもそも、堤防が土で出来ているから漏水が起きるのでは? 堤防をコンクリートでがちがちに固めてしまえば漏水しないんじゃね?」と思う方もいるかもしれません。

しかしながら、コンクリート製堤防は、

・お金がかかる。

・コンクリートで固めたところで、水の力はとても強く、漏水は完全には防げない。

・環境や生態系に悪影響を及ぼす。

・地震や地盤沈下・隆起に対して、剛構造のコンクリートは弱く、柔構造の土砂の方が対応しやすい。

という理由から、堤防をコンクリートで固めることは好ましくありません。

 

 

(3)洗掘防止工法

越水した水が堤防を削り取る「洗掘(せんくつ)」を防止するものです。

堤防は土で出来ているので、大きな水の流れに晒されると、やがて表面が削り取られてしまい、やがて決壊に至ってしまいます。

20250621 荒川左岸水害予防組合 水防演習

これは、シート張り工の完成形。

ブルーシートを貼り、竹の棒、ロープ、土のうを上に配置してあります。最小限の道具と労力で、最大限の効果を狙った工法だと思います。

 

 

このような3種類の伝統的な水防工法に加えて、

20250621 荒川左岸水害予防組合 水防演習

国土交通省 関東地方整備局の排水ポンプ車、などを用いて、堤防を守ります。

 

 

水難救助訓練

あわせて、川口市消防本部と埼玉県防災航空隊によって、溺れた人を助ける、水難救助訓練も行われました。

20250621 荒川左岸水害予防組合 水防演習

埼玉県防災航空隊のヘリコプターが下降してきました。

 

20250621 荒川左岸水害予防組合 水防演習

溺れた人を、懸垂上昇して救出しました。

 

 

20250621 荒川左岸水害予防組合 水防演習

溺れた人。

「助けてー!」

実際には、ウェットスーツを着込んだ、よく日焼けした屈強な消防士さんです。

本当に溺れてしまった時には、手を振ると身体が沈み込んでしまいます。既に発見されているならば、それ以上は合図をする必要はありませんので、救助隊を信じてください。じっと動かずに体力を温存するのが良いでしょう。とにかく、落ち着いて、冷静に行動しましょう。

 

20250621 荒川左岸水害予防組合 水防演習

川口市消防局が運用するジェットスキーによって救出しました。

 

 

演習を通じ、技術の継承、防災意識の啓発、組織間連携の強化と、複合的な成果が得られました。

現場で活動されたすべての関係者の皆様に、深く敬意と感謝を申し上げます。


埼玉県 令和7年度(2025年度)予算案 県土整備部の蕨市部分

ただ今、埼玉県議会では、令和7年(2025年)2月定例議会が開かれており、来年度(令和7年度 – 2025年度)の予算案が審議されております。

 

県土整備部関連、つまり道路、河川、橋梁などの土木に関するもののうち、蕨市に関する項目を以下に解説します。

R7蕨市箇所付け一覧

蕨市に関する部分は、3点です。

 

 

①県道 蕨停車場線(和楽備神社~北町歩道橋) 障害者誘導用ブロック(点字ブロック)修繕

県道117号 蕨停車場線の、和楽備神社(上記地図のA地点)から、北町歩道橋(同B地点)までの300m区間です。

片側1車線の車道の両側には、それぞれ歩道があります。

両側歩道の障害者誘導用ブロック(点字ブロック)の修繕を行います。

令和7年度埼玉県当初予算案 点字ブロック修繕

ブロックの歩道に、点字ブロックも埋め込まれています。

点字ブロックは、規格が変わっております。
現地の点字ブロックは古い規格によるものであり、最新の規格では不合格のものなのだそうです。

最新の規格では、点字ブロックの角が、杖などが引っかからないようにもっと丸みを帯びているそうです。

 

これらの修繕を行います。

新しいものは、点字ブロックではなく、点字シートを上から接着剤で貼り付けるタイプになるそうです。

 

 

②県道 川口蕨線(南町~西川口) 電線地中化 本体工事

こちらの記事にて、工事進捗にて解説した、県道110号 蕨川口線の電線地中化問題です。

前任の須賀敬史 前県議会議員の時代からの、蕨市から県に対する要望事項であり、少しずつ工事が進められてきていました。

私も、令和4年(2024年)2月定例会 県議会一般質問にて地元要望として取り上げ、県土整備部に対して強くリクエストしたところです。

 

令和7年度埼玉県当初予算案 県道川口蕨線 電線地中化本体工開始

第一中学校正門前の丁字路にて。

 

 

この道路の電線地中化は、蕨駅側から南へ向けて進められており、今は塚越陸橋のたもとの丁字路(蕨南町郵便局の近くの丁字路。上図のA地点)までは完成しております。

ここから西川口方面に向けて、これまでは、支障物(電線以外の、例えば通信ケーブルなど)の地中化工事が進められてきており、いよいよこれが終わりました。

上記写真を見ると、既に何度も掘り起こして工事を行ったため、歩道の舗装がボコボコになっている様子が分かります。

 

 

来年度からは、電線本体工事に着手することになります。

電線本体の地中化工事が終わった後も、横の電線との接続の工事や、既存の空中の電線・電柱の撤去工事を行う必要がありますので、まだまだ完成までには年月がかかりますし、今の時点ではその時期は未定です

 

 

 

③緑川(中田橋~稲荷橋の300m区間) 護岸修繕

緑川については、水害対策としての河川拡幅が、永年の地元要望です。

この件もまた、令和4年(2024年)2月定例会 県議会一般質問にて取り上げました。

 

令和7年度埼玉県当初予算案 緑川河川管理施設修繕

この写真は、塚越小学校の付近です。

護岸の表面はコンクリで固められている用に見えますが、コンクリの下をのぞくと、鋼矢板が上から下に差し込まれています。

かなり老朽化しており、金属が腐ってボロボロになっている箇所も見られます。

これらの修繕です。

 

 

 

さらによりよい、住みやすい蕨市のために、活動してまいります。


蕨市総合防災演習がございました

先日、令和6年(2024年)11月17日(日)、南小学校におきまして、蕨市総合防災演習がございました。

蕨市、蕨市消防本部、蕨市消防団、市内全地域の自主防災団体(町会など)に加えて、陸上自衛隊第32普通科連隊、埼玉県警、NTT東日本・東京ガス・市内の水道工事業者などのインフラ事業者が参加しました。

以前は毎年夏に開催しておりましたが、暑くてたまらないので、この時期に変更したものです。

開催場所は、毎年市内各地を巡回しております。

 

20241117 蕨市総合防災演習

オープニングは、消火器を用いての消火訓練。

WSS(蕨サポーティングスチューデンツ。市内中学校有志による自主防災団体です)、町会有志、ボーイスカウトが練習用ダミー消火器を用いて消化する訓練を行いました。

上記写真では、ホースから放出されているのは水ですが、これは、練習用ダミー消火器だからです。本物の消火器であれば、消火剤の泡が放出されます。

 

消火器の使い方なんて、たいして複雑なものではないし、何なら、本体に使い方の解説もあります。

しかしながら、いざ火災が発生した時に、焦らず慌てずに操作するためには、日頃から繰り返し訓練をしておくことが大切です。

 

20241117 蕨市総合防災演習

蕨市消防本部の消防士による、はしご車を用いての火災現場からの救出訓練。

建物で火災が発生して、屋上に逃げ遅れた人が取り残されてしまった、という想定です。

一点のムダもない華麗な動きには見惚れてしまいます。

蕨市消防本部の皆様の、市民の安心と安全を守るための活動に感謝申し上げます。

 

20241117 蕨市総合防災演習

ドローン事業者による、ドローンを用いた現場撮影デモ。

このドローンは、チャイナのDJI社製でした。

 

ところで、令和6年度より、埼玉県では、災害現場の上空緊急観測の実証実験を行っております。

本年2月の予算特別委員会にて、私は、産業用ドローン市場においてチャイナメーカのシェアが高いこと、中共の国内法によってチャイナ企業は共産党政府に対して、これらのデータの提供義務を負うこと、諸外国では政府機関がチャイナ製デバイス・アプリの使用を禁止している例が多いことを指摘しました。その上で、災害現場をチャイナ製ドローンで撮影することは、ドローンによって収集される映像と位置情報によって、被害の状況、道路交通ネットワーク上、脆弱な位置の地理的な情報、自衛隊、消防、警察、消防団等の民間団体の活動状況、装備、練度、士気の高さ、相互連携状況といった情報が中共政府に筒抜けになってしまう可能性は否定できず、安全保障上の懸念があると指摘しました。

あわせて、県においては、チャイナ製ドローンの使用を禁ずる内規を設けるべきだと主張したところです。

 

20241117 蕨市総合防災演習

ドローンによる空撮映像。

最近はもはや珍しくなくなりましたね。

 

20241117 蕨市総合防災演習

火災現場の煙体験コーナ。

ダミーの煙なのですが、甘い香りがします。

 

20241117 蕨市総合防災演習

スタンドパイプによる消火訓練。

スタンドパイプとは、街中の消火栓にホースを繋いで、消火活動のための放水ができる装置のことです。

プロの消防士が使うものとはことなり水圧が低いようで、素人でも使えるようになっています。

とはいえ、やはり日頃から訓練を繰り返しておかないと、いざ火災が発生した時に迅速に使いこなすのは大変でしょう。

 

20241117 蕨市総合防災演習

陸上自衛隊第32普通科連隊のメガクルーザの運転席に乗させてもらいました。

このクルマ、いいな~。

しかし、燃費悪そうだし、デカ過ぎて運転はしにくそうです。車両の左前の先端は、よく見えません。シートは安っぽいシンプルな造りで、長時間乗るとお尻が痛くなりそうです。

 

20241117 蕨市総合防災演習

市内物流業者による、物資運搬訓練です。

この他、各インフラ事業者が、それぞれの専門分野の訓練デモを行いました。

 

20241117 蕨市総合防災演習

締めは、消防団による消火訓練。

 

20241117 蕨市総合防災演習

消防団員が一斉に校舎に向かって放水を行いました。

 

関係者の皆様、お疲れ様でした。


中川・綾瀬川の流域治水シンポジウム

20240826 流域治水シンポジウム 中川・綾瀬川緊急流域治水プロジェクト

先日、令和6年(2024年)8月26日、越谷市中央市民会館におきまして、中川・綾瀬川の流域治水シンポジウムがあり、参加してきました。

参加者は白ワイシャツの行政パーソンが多かったようです。

 

 

中川・綾瀬川緊急流域治水プロジェクト

中川・綾瀬川流域(春日部市、草加市、越谷市、八潮市、三郷市、吉川町、松伏町)では、昨年、令和5年6月の台風2号による内水氾濫によって、大規模な家屋浸水被害が生じています。

この地域は、中川と綾瀬川に挟まれたお椀のような地形になっています。中川・綾瀬川は、河川勾配が小さく、ただでさえ水が流れにくい(排水能力が低い)川です。排水能力を越えた雨が降ると、溜まってしまって流れにくいのです。

 

 

この時のことは、私もよく覚えております。

須賀敬史 前県議が立候補した蕨市長選挙の最中で、連日、県内の自民党議員が選対に応援に入ってきていました。

蕨市では浸水被害はありませんでしたが、毎日来てくれていた草加市の議員さんから翌朝一番で、「市内での水害がひどく、一晩中市内を駆けずり回ってきて、今、家に帰ってきたばかりなので、一眠りしてから蕨に向かいます」と連絡を受けたのでした。

 

 

対策として、国・県・市町が連携して、中川・緊急流域治水プロジェクトが動き始めております。

 

 

流域治水という考え方は、2度目のパラダイムシフト(であるべき)

学者の加藤孝明氏の講演で、面白い話がありました。

 

20240826 流域治水シンポジウム 中川・綾瀬川緊急流域治水プロジェクト

「流域治水頑張ろう!」という関係市町の首長の決意ポーズを軽く揶揄した上で、

 

流域治水という考え方は、本来であれば、2度目のパラダイムシフトであるべきなのだ、と。

 

 

古代~中世:人類文明は、自然の脅威に抗う術を持ちませんでした

文明 < 自然の脅威のフェーズです。

大雨の時に浸水して流され、少なかぬ被害が生じるのは当たり前で、高台に住むくらいしか対策はありませんでした。

いざ自然災害が発生したら、人々は一丸となってこれに対処する必要がありました。

 

 

近世~近・現代(江戸時代~平成):土木技術・防災インフラが自然災害から人々を守りました

これが第1のパラダイムシフトです。

文明 > 自然の脅威のフェーズです。

人類文明は、自然の脅威と戦う道具として、土木技術を手に入れ、防災インフラを整備していきました。

堤防、ダム、河川改修などの土木技術・防災インフラがあれば、人々は、自然災害を恐れる必要はなくなりました。

土木技術・防災インフラが、人々を自然災害から守ってくれました。
人々は、自然災害と直接対峙する必要はなくなりました。

 

 

今(令和~):流域治水

これが第2のパラダイムシフトです。

文明 < 自然の脅威のフェーズです。

気候変動により、自然災害は頻発化・激甚化し、防災インフラ整備のスピードが、追いつかなくなりました。

土木技術・防災インフラ整備が、自然災害から人々を守りきれなくなりました。

人々は、自然災害をある程度は受け入れていく覚悟が必要になりました。
いざ自然災害が発生したら、人々は一丸となってこれに対処する必要が出てきました。これが流域治水です。

つまり、古代~中世に戻った、ということになります。

 

 

加藤教授は、この考え方に基づき、葛飾区において浸水対応型市街地構想を進めています。

 

 

はっはっは。ここでも、人類は、自ら作り出した地球温暖化によって、大きなしっぺ返しを受けているわけです。何と言う皮肉でしょうか。


荒川第二・第三調節池 建設現場を視察

大雨の際に、荒川の外水氾濫を防ぐべく、荒川第二・第三調節池の建設工事が進んでいます。

荒川が外水氾濫した場合、市内全域が水没してしまう蕨市民としては、待ち望んでいた土木事業です。

↑上記の特設webサイトは、ドローンによる動画映像などがふんだんに盛り込まれており、とても見応えがあります。

 

事業開始が決まった平成30年(2018年)の記事。

 

令和4年(2022年)、荒川第二調節池の建設進捗について、外から眺めた様子の記事。

 

 

現在の建設工事の様子について、現地視察して参りました。

 

現地でアテンドしてくださったのは、国土交通省 関東地方整備局 荒川調節池工事事務所(この建設工事だけのために開設されている部署です)、

埼玉県 県土整備部にアレンジしていただきました。

同行したのは、以下の4名の県議・市議でした。

林薫県議(さいたま市南区・自民党県議団)
比企孝司市議(蕨市議会新翔会)
栃本由兼市議(蕨市議会新翔会)
岡田三喜男市議(蕨市議会新翔会)

 

 

20240801 荒川第ニ調節池

荒川第二調節池は、既設の第一調節池に対して羽根倉橋をはさんで上流部に位置しています。

 

20240801 荒川第ニ調節池

まずは、羽根倉橋のたもとに建つ、あらいけDX体験館にて説明をお聞きしました。

 

20240801 荒川第ニ調節池

右から、

岡田市議、栃本市議、比企市議、林県議。

 

20240801 荒川第ニ調節池

 

建設工事の進捗

計画上の建設期間は、

平成30年(2018年)~令和12年(2030年)の、13年間

です。

 

 

現在の建設工事進捗は、6割方と言ったところで、順調とのことです。

ダム工事のように用地買収がほぼ不要であることと、地盤沈下などの不測の事態がほぼ発生していないことが、順調であることの要因のようです。

用地内にはかつて2つの河川敷ゴルフ場がありましたが、国有地を貸し付けていたものであり、返却してもらったそうです。上尾市平方地区などの一部地域では、水田を用地として購入しました。

 

 

完成は、上記のように令和12年(2030年)となりますが、2段階サービスインを予定しています。第一弾として、部分的に令和8年(2026年)出水期にはサービスインするそうです。
もう間もなく、2年後の話です。

 

驚くべき猛烈なスピードで建設工事が進んでいる様子がよく分かります。

遅々として進まず、ズルズル、ダラダラと計画よりも遅れていく蕨市の蕨駅西口再開発、錦町土地区画整理と比べると、国が本気で進めるとこんなに速く物事が動くのか!と驚くばかりです。

 

 

荒川第二・第三調節池によって見込まれる効果

大雨の際に、荒川の水を引き入れることによって、荒川を流れる水の量を減らし、氾濫を防ぐ、という、至ってシンプルな仕組みです。

 

第二・第三調節池あわせて、治水容量は、5,100万m3です。

参考までに、既設の第一調節池は3,900万m3、八ッ場ダムは6,500万m3です。

 

シミュレーション上の大雑把な表現としては、

10年に1度クラスの大雨の際に、第二・第三調節池を稼働させる(水を引き入れる)、

100年に1度クラスの大雨にも、外水氾濫を起こさずに耐えられる、

ということになります。

 

とは言え、これに安心して水害への備えを怠ってはいけません。

 

 

令和元年 台風19号のケース

あの時は、既設の荒川第一調節池はフル稼働しました。

治水量3,900万m3のうち、3,500m3まで貯留しました。
9割がいっぱいになり、余裕は1割しか無かった、ということになります。

台風の翌日 令和元年(2019年)10月13日に、荒川第一調節池を訪れましたが、もう本当に「ふち切りいっぱいまで満水」という印象でした。

IMG_20191013_123832

令和元年(2019年)10月13日、台風19号翌朝の荒川の幸魂大橋。

 

IMG_20191013_132024

令和元年(2019年)10月13日、台風19号翌朝の秋ヶ瀬公園。

 

令和元年 台風19号を振り返り、考察した記事。

 

それでは、もし仮に、台風19号の時に、荒川第二・第三調節池が供用されていたら、どうなったか?

シミュレーションすると、赤羽岩淵水門の地点において、荒川の水位を30~40cmも下げる効果が見込まれたそうです。

 

 

建設工事現場の様子

20240801 荒川第ニ調節池

囲繞堤(いぎょうてい)と川の間の部分。

 

20240801 荒川第ニ調節池

消波ブロック(いわゆるテトラポッド)を作っています。

 

20240801 荒川第ニ調節池

第二調節池の排水門。

第二調節池に引き入れられた雨水を、大雨が収束した後に、荒川に流していく役割を果たします。ポンプで強制的に排水するのではなく、自然流下です。

飛島建設(株)が請け負って建設中です。

エンジニア全員のヘルメットに、おにやんま君(c)が付けられていました。スズメバチが多いのだそうです。タヌキも多いそうです。マムシなどのヘビはいない、とのことでした。

余談ですが、ハチ毒アレルギー持ちの私は、山に入る際は必ずオニヤンマ君をリュックに装着し、エピペンとポイズンリムーバを携行しています。

 

 

今後の防災対策を考える上で、今回の視察の知見を活かしてまいります。


緑川 蕨市内に河川監視カメラが新設

緑川において、蕨市内の2階所で河川監視カメラが新設されています。

場所はこちら。

 

 

埼玉県 県土整備部の、さいたま県土整備事務所 管内の河川監視カメラの一覧です。

 

 

ページを開くと、最新の河川監視カメラ画像が閲覧できます。

当日0時00分から2分おきの画像が記録されているようです。それ以前の画像を遡ることは出来ないようです。

かなり解像度が荒い画像ですが、水面の高さは見られます。

夜間でもそれなりに明るく撮影出来るようです。

 

 

他の監視カメラ設置地点では、監視カメラによる画像データに加えて、cm単位の水位計を備え水位データまでも表示しているところもあります。

しかしながら、埼玉県 さいたま県土整備事務所に確認したところ、蕨市内の2地点に関しては、あくまでも簡易なものであり、画像データのみしか記録・掲載しないとのことでした。

 

 

その1 南町 桜並木末端部との合流地点近く

202405 緑川 河川監視カメラ

緑川と桜並木末端部との合流地点から、少し上流位置、右岸側に設置されています。

この写真は、下流側から上流に向けて撮影したもの。

 

この敷地は、緑川拡幅事業用地です。

 

202405 緑川 河川監視カメラ

太陽光発電設備を備えております。

「埼玉県 簡易型河川監視カメラ 太陽電池制御盤」と書いてあります。

 

202405 緑川 河川監視カメラ

上流側から下流に向けて撮影したもの。

緑川拡幅事業用地は、上記の以前の記事に記載した通り、耐水性舗装が施されています。

 

 

 

その2 塚越小 留守家庭児童指導室の横

202405 緑川 河川監視カメラ

緑川右岸の街路樹の中に設置されています。

下流側から上流に向けて撮影したもの。

左側の建物は、塚越小学校敷地内の、留守家庭児童指導室です。

「その1 南町」の河川監視カメラと同じように、ポール + 太陽光発電設備 + カメラですね。

 

202405 緑川 河川監視カメラ

よく見ると、緑川をまたいで、川の表面に向けて、何かの」機器が新たに設置されています。

 

202405 緑川 河川監視カメラ

拡大したところ。
川面に対して垂直に向けられています。

カメラでは無さそう。

水位を測定するセンサでしょうか。

 

202405 緑川 河川監視カメラ

このセンサの制御ボックス。

「機器名:水位計(危機管理型水位計)」と書いてあります。

 

上記webページ上には、あくまでも画像データしか掲載されておらず、水位データは表示されていません。

前述のように、管理者である埼玉県 さいたま県土整備事務所に確認しましたが、「あくまでも提供しているのは画像データのみであり、水位データは提供しない」とのことでした。

従って、何らかの実験的な機器か、平時においては稼働せず有事においてのみ稼働する機器ではないかと予想します。