日米の戦没者遺骨帰還事業

産経 2014/9/30 : 「第2のトモダチ作戦!」 遺骨帰還へ日米共同作業 戦後70年に向け米側が打診

日米それぞれの戦没者ご遺骨帰還事業の担当部署が、それぞれの仕事を協力してやっていきましょうという、という検討を始めた、という記事。

そもそも今まで何で協力してなかったの?っちゅう話で、今まで日米双方で別々に重複して行っていた作業が、一回で済むようになれば効率もいいし、諸事情から我が国がアプローチしにくい戦地に対しても米国のコネクションを使えばアプローチ出来るようになる可能性もある。
「第2のトモダチ作戦」という見出しは、大げさ過ぎる。ご遺骨帰還の作業は、地味な作業の繰り返しだ。

 

大東亜戦争で斃れた皇軍将兵、軍属、民間人は、
海外・内地合わせて310万柱
海外のみで240万柱、その内、ご遺骨が内地にご帰還されたのは125万柱
つまり、115万柱が未だ海外に残されまま。115万柱の内、30万柱は海の底。

ご遺骨帰還事業は、厚生労働省が担当している。

国のために戦い、死してなお靖国の鬼として国をお護りくださっている英霊のご遺骨をできるだけ早く内地のご遺族の元にお返ししたいというのは、当然の願いだが、すごい膨大な数だし、当然お金もかかるし、海の底に沈んだ分なんて事実上無理だし、硫黄島なんかはご遺骨の上に滑走路作っちゃってるし、簡単に「国はもっと戦没者遺骨帰還事業に力を入れろ!」と言えるものでもない。

あと100年かかっても、1000年かかっても、日本国が存在する限り続けなくてはならないと思う。

 

日米のご遺骨帰還事業の人員体制の違い

冒頭紹介した記事の中でもさらっと触れられているが、これだけは気に留めておいた方がいい。

日本国
未帰還者:115万柱
担当部署:厚生労働省で、40人体制

米国
未帰還者:World War 2全体で73,000人。朝鮮戦争で8,100人。他にベトナム戦争などの分も対象。
担当部署:米軍の統合戦時捕虜行方不明者調査隊(Joint POW/MIA accounting command = JPAC)で、400人体制。

POW(捕虜)、MIA(行動中の行方不明者)と呼んでいるので、おそらく米国の考え方では、ご遺骨が見つかるまでは戦没者認定はしてはならない、ということなのだろう。


2011年10月、硫黄島の大阪山砲台近くの壕。

「厚生省処理済」というのは、遺骨帰還を担う厚生労働省が、その仕事を完了した壕である印としてつけたもの。逆に言うと、この印がない多くの他の壕はすべて、まだ調査していないということだと思う。


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