地名を変えてはいけない。

2014年8月20日の豪雨によって、広島市内の山間部で大規模な土砂災害が発生した。
お亡くなりになった方、被災した方にはお悔やみ申し上げます。

土地のバリューが下がるのを恐れて災害が起こりやすいという指定をしようとする行政の動きに地元が反対したとも、広島市が気象台からの注意喚起faxを読み飛ばしてしまったとも言われ、人災的な面もあるようで、これらはこれから検証されることになるだろう。

 

広島市八木地区の昔の名前

それにしてもビックリしたのは、特に被害の大きかった広島市安佐南区八木の、昔の地名だ。

Jcast : 「蛇落地悪谷」と呼ばれていた広島・土石流被災地―蛇が降るような大雨たびたび

なんと、八木蛇落地悪谷と呼ばれていたのだという。
やぎじゃらくちあだに

蛇が落ちてくるというのは、蛇が落ちてくるように水害が多かったからとも、災害を収めるために水の神である龍の首を武将が落としたからだとも言われるみたいで、これから考証する人が出てくると思う。

 

地名には先人の知恵と思いが詰まっている

八木地区にお住まいの方々を揶揄するつもりは全くないのだが、八木蛇落地悪谷なんていうオドロオドロしい名前だったら、その地名の由来を調べるだろうし、水害が多いことが分かっていたら、もっと何か被害を減らすような工夫の余地があったのではないだろうか。

人は愚かなので、昔起こった災害を忘れてしまう。
だからこそ、先人が地名に「児孫よ、この土地は水害が多いから注意しろよ」という思いを込めて、このような地名をつけてくれた訳だ。

人は愚かなので、「先祖よりも現代を生きる自分たちの方が頭が( ・∀・)イイ!!」と思いがちだ。
しかし、人は昔から愚かだし、これからも愚かで在り続け、進化するはずがない。
テクノロジは進化するし、食生活が変わって最近の子供は脚が長くなったとかいうことはあるかもしれないし、個体としての人は齢を重ねて成長はするが、種としての人の頭の中は千年とか二千年の単位では進化しない。

先人の知恵と思いには、敬意を払わなくてはならない。

 

地名を変えてはいけない

先人に敬意を払えばこそ、地名は出来るだけ変えてはいけない。
地名は大切にしなくてはならない。

平成の大合併で、くだらない平仮名キラキラネームの地名が多数出現したが、とても愚かなことだ。

蕨市内にも、郷町とか春日町とか水深町とか、御殿町とか土橋町とか、行政上、地図上には存在しない昔の地名が、町会組織の名前として生き残っている。
法華田という、バス停と県道の名前としてのみ生き残っているような地名もある。

wikipediaの「蕨市」のページを読むと、昔の地名がたくさん載っている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/蕨市

このような地名は、余程の理由がない限り変えずに、後世に残さなくてはならない。

 

私見だが、古い地名を統廃合したり改名したりするのは、
・郵便制度を整備するため
・行政を合併して効率化を図るため
など、行政上の理由によることが多いのではないかと思う。

世の中のほとんどのデータが紙ベースで処理されていた時代ならば、地名は綺麗なピラミッド体系になっていないと効率が悪かっただろうし、郵便がちゃんと届かない、ということもあったかもしれない。
また、データを保存する装置(ハードディスクとか磁気ディスクとか)の値段も高かったので、1バイトでもデータ量を減らした方がいい、ということもあっただろう。

しかし、もはや、全てのデータが安価にネット上で管理できる時代なので、綺麗なピラミッド体系の地名システムを維持し続ける必要はない。

将来のどこかのタイミングで、昔の地名を復活させようという揺り戻しの動きが出てくると思う。

ついでに言うと、もはや、いわゆる電話番号も、番号(数字の羅列)である必要すらない。漢字や平仮名やアルファベットが含まれていても構わない。
(あ、日本語分からない人が電話するときに困るかな?数字と二重管理にして、どっちでも電話かけられるようにすればいい)

 

【追記 2014/9/2 02:03JST】

と、ここで、八木地区の地名の変遷について深く突っ込んで考察している方のブログを拝見した↓。ご一読を。
顧歩日記 : 広島豪雨災害:「八木蛇落地」の地名が変更されたのは江戸時代以前では


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