県内の国の施設見学 — 国立女性教育会館

嵐山町に、国立女性教育会館があります。

 

男女共同参画、女性差別撤廃を目指した国の宿泊機能付き研修施設で、現在は独立行政法人によって運営されています。

建物は昭和52年(1977年)に建設されたもので、老朽化しております。

国は、このたび、施設廃止の方針を打ち出しました。

 

地元である嵐山町では、この廃止方針に反対の声が上がっています。

自民党県議団としても、令和5年12月、存続の要望を国に提出しました。

 

埼玉県議会でも、令和5年12月定例会にて、現在地での存続を求める意見書を可決して提出しております。

 

ということで、私のオフィシャルな立場としては、「現在地での存続を国に求める」ということになります。

 

 

ちょっと前の話になりますが、本年、令和6年(2024年)3月3日、嵐山町の国立女性教育会館を見学してきました。

場所は、関越道 東松山ICから5kmほど。
電車の場合は、東武東上線 武蔵嵐山駅から1.7km。

なぜ交通至便な都内ではなく、この地にあるかというと、「都会の喧騒を離れ、緑豊かな場所で、泊まり込みでじっくり研修をする」ための施設だからです。

 

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入口ゲート。

 

202403 国立女性教育会館

施設全体マップ。

広い敷地は緑豊かで、建物は点々と余裕をもって配置されています。

 

202403 国立女性教育会館

実技研修棟。

本部棟に相当します。

 

202403 国立女性教育会館

本部棟入口。

 

202403 国立女性教育会館

書架。

 

202403 国立女性教育会館

パネル展示コーナ。

 

202403 国立女性教育会館

男女共同参画を求める昔のポスターが展示されていました。

 

202403 国立女性教育会館

レトロポップな感じがいいですね。

 

202403 国立女性教育会館

研修棟。

大ホールがあります。

 

202403 国立女性教育会館

この日の利用団体リスト。

地元の団体が活発に利用している様子が伺えます。

 

202403 国立女性教育会館

左派政治団体による映画上映会をやっていました。

政治団体による利用もOKのようです。

 

202403 国立女性教育会館

敷地内には人口の池が設けられており、ゆったり散策できます。

 

202403 国立女性教育会館

研修棟は、泊まり込み合宿ができるようになっています。

朝早起きして散歩したら気持ちいいでしょうね。

 

202403 国立女性教育会館

テニスコート。

 

202403 国立女性教育会館

屋内プール棟。

 

202403 国立女性教育会館

屋内プール棟を窓から覗き込んでみると、水は抜かれており、使われていませんでした。

ネットの情報によると(真偽未確認)、2010年から営業休止しているようです。
老朽化のためでしょうか。

 

202403 国立女性教育会館

茶室。

 

 

ということで、至れりつくせりの、地元にとっては素晴らしい施設でした。
地元の方々が廃止に反対するのは当然ですね。


権現堂調節池にて湖面浮上式太陽光発電施設の設置計画

権現堂調節池は、利根川から水を引き、中川へと注ぎ込む導水路である権現堂川そのものが広大な調整池となっているものです。

埼玉県と茨城県の県境に位置しています。

 

この権現堂調節池、別名:行幸湖の湖面に、浮上式太陽光発電施設を作ろうという計画が持ち上がっています。

久喜市の事業で、埼玉県のスーパーシティプロジェクトに採択されています。

 

権現堂調節池の下流の中川は、たびたび氾濫を起こしています。

直近では、昨年、令和5年(2023年)6月に、草加市、越谷市などで広範囲に渡り床上浸水、床下浸水をもたらしました。

 

そこで、中川下流の自治体では、この太陽光発電施設設置について心配しています。

調節池の湖面に太陽光発電施設があるということは、大雨の時に上流から流れてきた浮遊物が引っかかるなどして、雨水排水・調整機能を阻害する可能性があります。

また、雨水の流れによって太陽光発電施設が破壊され、下流に流されていく可能性もあります。

 

 

先日開かれた、県議会 予算特別委員会においては、草加市の議員より、そのような懸念が表明されました。

 

単なる杞憂なのか、現実的に雨水排水・調整機能を阻害する可能性があるのか、素人には何とも判断できず、専門家の意見を聞いてみたいところです。

 

ということで、3月16日(土)、現地を見に行ってきました。

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権現堂調節池全体は、利根川からの取水口から、中川合流地点まで、5kmに及ぶ長いものです。池というよりも太い川という印象も受けます。

 

太陽光発電施設設置計画があるのは、久喜市の部分です。

 

池(川)の中心線が、埼玉県と茨城県の県境となっており、手前側が久喜市(埼玉県)です。

 

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釣り師が2,3人いました。

対岸の茨城県側には、キュピーの工場。

 

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ちょっとした遊歩道になっており、桜並木があります。

 

 

せっかく権現堂に行ったので、権現堂桜堤公園に足を伸ばしました。

ここは県営公園です。

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河津桜はピークでした。

 

ここは、様々な種類の桜が植えられています。

菜の花も、敢えて咲く時期がずれるようにコントロールして植えてあるようです。

 

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右側が河津桜。

左側の堤の上は、ソメイヨシノ。

 

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ソメイヨシノはまだまだでした。


IHI鶴ヶ島工場を見学

自民県議団有志にて、IHI鶴ヶ島工場を見学してきました。
とても有意義な体験でした。

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工場内は写真撮影禁止。

・圏央鶴ヶ島ICのすぐ近く、県農業大学校跡地に位置している。

・民間飛行機のエンジンの整備(定期点検保守、修理)を行っている。

・瑞穂工場と連携し、一連のプロセスを分担している。

・航空機エンジン開発は、膨大な資力を要するため、J/V形式で行うことが多い。20年くらいで損益トントン、40年くらいかけてリターンを刈り取るという長期の商い。

・整備の需要は安定して伸びており、商いは順調な成長を見込む。

・航空機技術開発の分野は、かなり成熟している。
これからの進化の方向性としては、新素材の導入、カーボンニュートラル化など。

・2019年に操業開始したが、まだ本格稼働状態とは言い難い。工場の立ち上げは、人の採用・育成がキモとなるため、軌道に乗るまでには年単位の時間がかかる。

・広義の航空機関連産業は、コロナ禍で低迷し、浮き沈みが激しいイメージが定着してしまったため、人材採用難が続いている。

・工場内では産業用ロボットはまったく使われておらず。ほとんど手作業。隣接地において県が立ち上げる予定のSAITAMAロボティクスセンタとのシナジはあまりないような?

 

この工場で整備している、PW-1100G-JMについて調べていたら、こんな記事を発見。

このエンジンについては、一種の「リコール対応」が発表されているのですが、一定の比率で参画しているJ/Vであるにも関わらず、IHIは、全体の意思決定には参画できておらず、実態は下請けと同じじゃないか、と指摘しています。


県北を流れる見沼代用水

蕨市内を流れる見沼代用水は、本来は農業用水です。

利根川の、行田市内の堰から水を引いて、埼玉県を北から南へ縦断して流れていきます。

 

先日、令和6年(2024年)2月16日、県北地域を訪れた際、たまたま地図上に「見沼代用水」の名前を見つけたので、ちょっと大回りして立ち寄ってみました。

 

見沼代用水(久喜市内)

久喜市内の、久喜市しょうぶ会館の横にて。

見沼代用水は、こんなにも水量が豊かなんですね。

恵みの農業用水です。

これが、見沼代用水のメインルート(本流)です。

まったく曲がりくねっておらず、まっすぐに流れている様子から、人工物であることが分かります。

 

見沼代用水(久喜市内)

フェンスで囲まれています。

 

見沼代用水(久喜市内)

管理者は、独立行政法人 水資源機構と、見沼代用水土地改良区。

この2団体の関係性については、調べたものの、今ひとつよく分からず。

 

 

こんなにも水量が豊富な、恵みの農業用水が、支流に分かれ、末端の蕨市に至ると、あんなにも汚く、ヘドロや不法投棄ゴミが堆積し、水量は減ってほとんど流れなくなり、夏になると悪臭を放つようになってしまうのですね。

 

 

20170306_見沼代用水_蕨市錦町付近

2017年3月の見沼代用水。
蕨市錦町、春日公園の横にて。

 

 

20230706 蕨市内の見沼代用水

2023年7月の見沼代用水。
上記写真の、橋を挟んで反対側。

 

昨年(2023年)7月のこちらの記事で書いた通り、見沼代用水土地改良区では、末端の支流については、地元自治体に対して払い下げを進める動きがあります。
こちらについては、詳細決まり次第レポーティング致します。


埼玉県茶業研究所

蕨市にはもちろん茶畑はまったく無いのですが、実は、お茶は、埼玉県の名産なのです。

入間市、狭山市、所沢市辺りに茶畑が集積しており、狭山茶ブランドは広く確立しています。

品種改良、栽培・製茶の技術開発・普及指導のために、埼玉県では、茶業研究所があります。

しかも、そろそろ開業100年を迎えます。そんなに昔から、埼玉県ではお茶の研究を行っていたんですね。

 

 

こんな研究機関があるなんて知りませんでした。

このたび、埼玉県議会の狭山茶振興議員連盟にて、茶業研究所の見学に行って参りました。

 

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茶業研究所。

圏央道入間ICの近く。
蕨からは、外環 – 関越 – 圏央道を乗り継いで、クルマで一時間強くらいです。
この辺りは、一面が茶畑です。

 

なお、茶の木は、苗木を植えてから成長して、茶葉が収穫できるようになるまでに、8年かかるとのこと。

上記写真の中で、手前の畝が、1年目です。

成長した後は、毎年2回収穫できます。
4~50年経って、徐々に収量が減ってきたら植え替えます。

 

 

狭山茶の歴史

鎌倉時代
禅宗の僧 栄西によって我が国に伝えられました。

江戸時代
この地域で広く生産されていたわけではなく、寺の敷地内で、薬のような用途で作られていた程度だったとのことです。

明治時代
米国に輸出するための農業産品として、この地域で生産が始まったそうです。
横浜港から出荷して、一時は輸出品として隆盛を極めたのですが、間もなく、米国への輸出は廃れてしまいました。
理由は不明ですが、米国人の嗜好の変化が背景にあるのかな?
今日においては、米国人が日本茶を好んで飲むようなイメージはありませんが、明治時代はよく飲まれたようですね。

大正時代以降
我が国の庶民が日常的にお茶を口にするようになったのは、大正時代以降のようですね。
この頃から、狭山茶は内需向けに生産するようになりました。


日本人の日本茶消費量は減っている。

全国茶生産団体連合会のこちらのwebページを見ると、平成21年(2009年)ころを境に、減少トレンドにあります。
紅茶の消費量は横ばいトレンドですが、烏龍茶の消費量も同じように平成21年ころから減少トレンドです。
平成21年というと、リーマンショックがあった年ですが、この頃にいったい何があったのでしょうか?

 

 

入間、狭山、所沢周辺に茶業が集積した理由

この地域の土壌が、水はけが良さ過ぎて、稲作に向いていなかったため。

 

 

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畝ごとに異なる品種が植えられています。

昔の茶畑の畝は、上辺が緩やかなカーブを描く「かまぼこ型」でした。
今は、コンバインのような、人が乗り込むタイプの収穫マシンで収穫作業を行うのに最適化するため、上辺は直線となっていることが多いようです。

 

 

茶の品種改良

地球環境の変化によって温暖化が進んでいるわけですが、気候変化に対応した品種を開発することも、この茶業研究所のミッションの一つです。

お茶は嗜好品なので、時代によって求められる品種は変わってくるが、普遍的な要素は、

・たくさん収穫できること。

・寒さに強いこと。

 

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もしゃもしゃに枝が生えているのが、品種改良のための母樹。

この木から種子をとって、品種改良の研究を行います。

種子採取の段階から、品種登録まで、一つの品種を開発するのに、35年以上かかるそうです。

 

こんなに長い期間だと、一人の研究者が、自らのキャリアの中で最初から最後まで手掛けることは出来ません。

昔の先輩研究者が採取してくれた種子を引き継いで研究し、また、今日採取した種子は、これから入所してくる未来の研究者に引き継いでいく、のだそうです。

ロマンティックですね。

 

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説明を聞いているところ。

 

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研究所施設ロビーの展示物。

かなり古い建物です。

 

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ほうじ茶の品評をしているところ。

お茶は、香り、味だけではなく、見た目、色も重要な要素です。

自然光を取り入れてお茶の品評ができるようになっています。

 

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明治時代に米国向けに輸出して頃のパッケージ。

 

 

 

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ほうじ茶。


緑川拡幅工事用地が、透水性舗装になる

蕨市内を、塚越から南町にかけて流れていく緑川については、昨年 令和5年(2023年)11月に、地元の各町会長、地元の蕨市議会議員、県土整備事務所、蕨市道路公園課の方々とともに緑川に沿って歩き、課題や要望を共有したところです。

緑川拡幅工事は、平成10年(1998年)にストップしています。

しかしながら、これ以前に買収済みの土地は確保され続けていますし、平成10年以降も土地所有者から申し出があれば交渉の上で県が買い取る手続きを行っています。

 

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例えば、ここがその拡幅用地。
昨年11月時点。

塚越5丁目の丁張稲荷公園付近です。
(左後ろの木々が、丁張稲荷の敷地です)

後ろ姿は、岡田三喜男 蕨市議会議員(保守系会派:新翔会)

 

 

この時点では、フェンスで囲まれた拡幅用地は、雑草が生えてくることを予防するために、雑草防止シートで覆われていました。

雑草防止シートは完璧ではなく、シートの隙間から雑草が生えてきますし、枯れ草がかなり繁茂していました。

 

 

その後、雑草防止シートから、浸透性舗装への張り替え工事が進められました。

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本年 令和6年(2024年)1月時点。

上記写真と同じ場所(別の角度から)。

浸透性舗装が、くろぐろと光り輝いています。

 

 

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同じく塚越5丁目の、別の場所。

 

 

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こちらは、南町3丁目5番地の、三和橋の角。

看板には「ここは河川用地です」と書いてあります。

この土地は、以前は、雑草防止シートすら設置されておらず、草ぼうぼうでした。

 

 

定期的に雑草の刈り取り作業を行うコストを考えたら、いっそのこと舗装してしまった方が安上がりだ、という判断なのでしょう。


緑川に沿って歩き、課題や要望を共有するツアー

蕨市内を、塚越から南町にかけて、北から南へ縦断して流れる川、緑川の水害対策について、来年、令和6年(2024年)2月の県議会一般質問で取り上げる予定です。

この度、

令和5年(2023年)11月10日、川に沿って歩きながら、課題や要望、過去の大雨の時の事例などをわいわい話し合おう、というイベントを行いました。

 

参加者は、

流域の地元町会(塚越6丁目、塚越7丁目、塚越5丁目、南町3丁目町会の町会長・防災担当役員など)
蕨市議会の保守系会派:新翔会議員、公明党蕨市議団議員
埼玉県 さいたま県土整備事務所河川部の幹部職員
蕨市 都市整備部 道路公園課の幹部職員

の方々でした。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

 

参加者皆様には、課題や要望のナマ声が共有できて有意義だった、という感想をいただきました。

私としては、冒頭に述べた来年2月の一般質問のみならず、今後の県議会活動に活かして参る所存です。

蕨市議会においても、それぞれの市議会議員各位におかれましては、議会活動に活かしていただけると幸甚に存じます。

 

 

緑川の概要

長さ4.75km、荒川水系の一級河川。

川の戸籍上は、川口市前川を起点に、蕨市・戸田市・川口市を南下して、菖蒲川に注ぎ込み、その菖蒲川はやがて荒川に合流する、という流れとなっています。

江戸時代~昭和初期に、六ヶ村用水という名の灌漑用水として人工的に作られました。

 

 

ここで、便宜上、「川の戸籍」と書きましたが、役所の管理上の川の流れと、実際の川の水の流れは異なります。

以下に見るように、「緑川の起点」と言っても、実際にそこで水が湧き出ているわけではなく、さらに上流に水の流れは続いておりました。
また、「戸籍上の緑川」の途中で、水の流れは分断されている箇所もありました。

 

 

緑川の管理者

埼玉県です。

埼玉県 県土整備部には、12の県土整備事務所という、出先機関があり、それぞれの県内地域に所在しています。

さいたま県土整備事務所が、蕨市・さいたま市・川口市・戸田市を管轄しています。

但し、さいたま市は政令指定都市なので、道路は市が管理しています。市内河川のみ、さいたま県土の整備事務所が管理しています。

 

 

緑川の管理者が、埼玉県 さいたま県土整備事務所であることは分かったけど、それでは、市道と河川の境目のフェンス等は、どちらが管理しているのか?

この点が、よく分からないんですよねー。

質問してみても「それは協議の上で・・・」みたいな感じで、明確な回答が返ってこない感じでした。

 

 

緑川の拡幅計画の進捗

氾濫対策として、下流域を拡幅するための事業計画が、昭和の時代に決定しています。

しかしながら、昭和40年代に戸田市において反対運動が起こり、事業休止しています。
(あくまでも休止であって、撤回・廃止ではありません)

近年、平成後期になって、戸田市においても住民の考えが変わり、再開を要望する声が高まっています。
今の時点では、「休止」の状態が続いています。

 

ざっくりした流れは、以上のようになります。

この当たりは、別途詳しく調べたいと思います。

昭和40年代なんて、まだ紙媒体の時代だったので、ネットでサーチ出来ないので、調べるのが大変なんですよ。

 

 

緑川全図

緑川説明図1

本稿の地図データは、全て、

Geoshapeリポジトリ – 地理形状データ共有サイト | ROIS-DS人文学オープンデータ共同利用センター (CODH)

より。オープンデータです。

 

 

益子病院 南東角の中田橋からスタート

益子病院(川口市)の南東角に位置する、中田橋が、蕨市と川口市の市境となっています。

川口市から流れてきた緑川は、ここで、蕨市に入りました。

今回のツアーは、ここからスタート致します。

 

 

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中田橋の南側より、中田橋を望む。
写真奥(橋の先の方)が川口市であり、緑川の上流部です。

橋の下は、自然な水の流れとはなっておらず、金属製パイプを介して水が流れてきています。

標高が、下流部(写真手前側)の方が高いために、このような仕組みになっています。

ある程度の量の河川水が溜まったところで、間欠泉のようにぶしゅっと水が吹き出すように流れてきます。

中田橋の上流部は、遊歩道のように整備されており、水質もきれいですが、中田橋の下をくぐって出てきた水は、茶色く淀んで汚らしくなっています。

中田橋の左右にも、緑川に流入してくる別の水の流れがあり、雑排水が流れ込んでいるようです。

 

 

産業道路(県道35号 川口上尾線)を斜めに横切ってくぐる

「下をくぐる」というのは、要するに、橋ということなんですけど、通行するクルマの方は、橋であることに気が付かないかもしれません。

道路は舗装の継ぎ目すらありません。

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ところが、よく見ると、舗装に斜めにヒビが入っています。

このヒビが、橋と、道路の根本との、継ぎ目です。

地元町会長曰く、よくヒビが入るとのこと。

 

 

尚、産業道路は県道なので、緑川と同じく、埼玉県 さいたま県土整備事務所が管理しています。

県土整備事務所の中は、ざっくり道路系と河川系の部署に分かれているのです。

それでは、緑川と産業道路が交差する、この橋の部分は、道路系と河川系のどちらが管理しているのかな?

それは、道路系部署です。
橋は、河川ではなく、道路の所属です。

 

 

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大雨のときに、道路上に水が溜まりやすい箇所があり、道路から緑川に向かって雨水を排水できる小さな排水口が設置されています。

地元町会長が、直接、さいたま県土整備事務所に要望して、付けてもらったとのこと。

逆に、緑川の水量がいっぱいになった時には、道路側に水が流れてこないように、逆止弁が付いているとのこと。

 

 

塚越地区の水害の被害状況

産業道路を渡って、塚越6丁目町会会館の脇へ。

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このように、緑川に対して流れ込む土管が幾つも設けられています。直径20cmくらいから、5cmくらいまで、太さはまちまちです。

上の写真のように、しばらく水が流れが途絶えているのか、雑草が生えて詰まっているようなパイプもあります。

おそらく雑排水が流れ込むパイプなのだろうが、それぞれがどこからどのように流れているのかは、県土整備事務所でもいちいち全ては把握していないようでした。

 

 

この塚越地区では、大雨の時に、川の天端ギリギリまで水面が上がってくることは、しばしばあるとのこと。

溢れて越水することもたまにある、と。

しかしながら、元々それほど太い川ではないために、越水したところで大した水量ではなく、道路の表面が冠水する程度で、家屋に被害を及ぼすほどではないとのことです。

 

 

腐食した鋼矢板の改修工事

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ただ今、改修工事が行われています。

緑色のパイプで、水の流れをバイパスさせています。
この区間を乾燥させてから工事を行う、という仕組みのようです。

 

 

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こちらが、改修工事前の状態。

緑川の横面は、波打った鉄板が、川の表面から道路に対して潜り込むようにして設置されています。
これが、鋼矢板。

この鋼矢板が腐食してきており、これを改修する工事を行っています。

これが壊れてしまったら、上部の道路にも影響が及びかねません。

 

 

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こちらが、改修工事後の状態。

コンクリで補強されています。
その分、川が狭くなってしまっています。

 

 

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緑色パイプによって水の流れをパイパスさせ、ドライ化している区間。

川底に捨てられていた自転車でしょうか。
あり得ないくらいぐにぐににねじ曲がっています。

 

 

川を囲むフェンス問題

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塚越地区の緑川のほとんどの区間が、このような緑色のフェンスで覆われています。

目が詰まっている網なので、子どもの目線の高さでは、角度によってはフェンスの先が見通しづらくなっています。

(例えば、この写真では、川の左側はフェンスの向こう側は透けてよく見えますが、川の右側はよく見えません。)

緑川に面して小学校、中学校、高校もあり、通学路となっているために、たいそう危険です。

 

 

そもそも、フェンスを取り払って、蓋をして、暗渠化すればいいのでは?

→ここは川なので、川はオープンが原則だ、とのことです。
世の中にある多くの暗渠は、川ではなく下水です。
下水ならば暗渠化することも可能ですが、川である以上、オープンであるべきだ、というのが河川管理者の発想です。

なるほど、そういうものなのか。

 

 

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川の左右両岸に沿って、それぞれ一方通行の道路が走っています。
川に橋が掛けられている箇所。

このような箇所は、交通安全上、見通しが悪い緑色フェンスだと危険です。

上記写真においては、交差点付近のみ、目の荒い、白色フェンスに付け替えられています。

 

 

過去に、市と県との話し合いの中で、このような付け替え工事が行われたようどえす。

 

確かに、目が荒い分だけ、見通しが良くなりますので、道路交通の上では安全ですね。

しかしながら、目が荒いが故に、子どもが登ったりしやすいために、子どもの安全という観点では、別の危険があるとのことです。

 

 

拡幅工事の予定地

塚越5丁目へ。

この辺りから、休止中の緑川拡幅工事のための買収済みの用地が現れてきます。

今現在、事業休止中のため、県としては、積極的な用地買収は一切行っていません。

地主から、買い取ってほしい旨の交渉要望があれば、交渉を行い、買い取る場合もある、とのことです。現実的には、金額面で折り合いがつかずに合意に至らないこともあるようです。

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写真の左手奥の木々の敷地が、丁張稲荷公園。

緑色の雑草防止シートをかけ、黒フェンスで覆われた区画が、買収済みの敷地です。

雑草防止シートをかけているといえども、夏には隙間からかなりの量の雑草が生えてきてしまうとのことで、この11月という季節にも、枯れた雑草の姿が残っています。

さいたま県土整備事務所としては、今後、雑草防止のために、浸透性舗装工事を行っていく、とのことでした。

 

 

このような買収済み敷地については、上記写真のように空き地となっているところもあれば、市に貸し出した上で、ちびっこ広場として供されているものもあります。

(蕨市におけるちびっこ広場とは、都市公園法上の公園ではないものの、事実上、公園と同じように提供されているものです)

 

 

事業休止している以上、空き地にしておくのはもったいないし、事業再開まで(いつになるか分からないが)の間、ちびっこ広場にするなり、コインパーキングにして小銭を稼ぐなりしておけばいいのでは?という気もしますが、

県としては、積極的に何かに利用する考えはないようです。

ちびっこ広場にするにしろ、コインパーキングにするにしろ、隣接・近隣の民家の住民の理解が得られることが大前提かな、とも思います。

 

 

塚越5丁目町会では、年に2回、自主的に掃除している

本来であれば、管理者は県であって、県が適切に浚渫するのがスジではあるのですが、地元の方々が、自主的にきれいにしているとのことでした。

次は、12月のゴミゼロの時にやる予定とのこと。

12月の寒い時期に、川に入って掃除するのは大変なことと思いますが、夏は夏で臭気があるのでもっと大変だ、とのことでした。

 

 

水面に生える菖蒲

JR京浜東北線・高崎線をくぐって、南町3丁目へ。

川は、線路をくぐり抜けていきますが、人は、大回りして跨線橋を渡って行くことになります。

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蕨一中の東南側。

ここまでくると、川幅はかなり広くなります。

川底はコンクリではなく、土です。
蕨一中の校庭の砂が、多少は流れ込んでしまっているようです。

 

この辺りも、川の天端ぎりぎりまで水がいっぱいになることは、しばしばあるようです。

川の天端よりも、周辺の民地の方がかなり標高が低くなっており、越水して道路冠水することもあるようです。
民家の被害状況については正確には分かりませんでしたが、この緑川沿いはそれほど大きな被害は過去には生じていないようです。

 

 

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埼玉県道110号 川口蕨線にかかる三和橋を越えて、更に下流へ。

この区間には、菖蒲が大量に繁茂しています。
南町3丁目町会の長老が、2,30年前に、水質改善のために植えたものが繁殖した、とのこと。ある程度の効果は上がったとのことです。

今は11月なので、それほどもしゃもしゃ生えている、という感じではありませんが、夏には、かなり大量に繁茂して、水の流れを阻害するほどになってしまっており、菖蒲を撤去してほしい、という要望の声も近隣から上がっていました。

市から県に要望し、県土整備事務所では、今年度中に、菖蒲ごと川底を浚渫する工事を行う予定です。

 

 

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南町桜並木の暗渠からの流れが、緑川に合流する地点。

桜並木の暗渠は、河川ではなく下水道であり、蕨市が管理しています。
こちらはしばしば氾濫するようです。
この地域の下水道は合流式なので、ひとたび溢れると、かなり汚い水が道路や民地に流れ出てしまいます。
昔は、トイレットペーパーがプカプカ流れている姿を見た、といったこともあったようです。

 

合流式下水道では、雨水と汚水(お風呂、台所、トイレから流れ出てくる水)が混ざり合って一緒に処理されています。

大雨のときには、下水処理設備の処理能力を超えると、処理せずにそのまま川に放出される仕組みです。

最近は、全くそのままという訳ではなく、大きなゴミは取り除く程度の、簡易なろ過は行われているようですので、「トイレットペーパーがプカプカ」ということは今日においては無いのではないでしょうか。

 

 

これにて、緑川を歩くツアーは終わり。

お疲れ様でした。

 

 

緑川拡幅工事再開に向けて、蕨市民の声

今日においても、川の天端ギリギリまで水量が上がることは多く、越水して道路・民地が冠水することもしばしばあります。

近年の気候変動による大雨の増加を考えると、拡幅工事を進めてほしい、というのが、ほぼすべての方の意見であります。
少なくとも、近隣町会の役員レベルの方々は、概ねそのように考えています。

しかしながら、個別に一軒一軒の家を訪ねて意見を聞いてみたわけではありませんが、拡幅工事の用地買収の対象地に家を建てて住んでいる人の中には、反対する方もいるでしょう。

古い家ばかりではなく、ここ10年以内くらいに建ったと思われる、新しい物件もありました。

 

 

下流の戸田市

別の日に、緑川下流の戸田市を一人で歩きました。

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戸田市喜沢2丁目。

堤防補強工事が行われていました。

 

 

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拡幅工事のために買収済みの敷地。

 

 

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同じ土地を別の角度から。

川のフェンスに物干し竿のスタンドをくくりつけている、のどかな風景。

 

 

上流の川口市

このたびのツアー出発地である中田橋の上流を、一人で歩きました。

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ちょっとした遊歩道のようになっており、ちょうど草刈り作業中でした。

この辺りは、水質はきれいです。

 

 

緑川説明図3

更に上流へ。

緑川と堅川が十文字に交差する地点。

 

川がクロスする、という状態は、素人には分かりにくいものです。
川っていうのは、下流に流れていくに従って、幾つもの川が合流して、流れが太くなっていくものなのではないの?

 

昔は、緑川と堅川は伏せ越し、つまり、一方の川が他方の川をくぐり抜ける仕組みになっていました。

今は改修され、流れが混ざり合っています。

水の流れは、上図のようになっています。

 

 

緑川の上流から流れてきた水は、全て竪川に流れ込んでいます。
つまり、緑川の流れは、緑川浄化施設を境に、完全に分断されています。

緑川は、戸籍上は、緑川浄化施設の上部と下部では一つのものなのですが、水の流れはまったく別モノです。

 

 

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緑川浄化施設

上流から撮影したものですが、水の流れは、手前に向かって、つまり上流に向かって流れ、堅川に合流しています。

川の水が、下流から上流に向かって流れているなんて、なんとも不思議な感じがします。

 

 

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写真右側が、堅川の上流部。
写真奥が、緑川の下流部。その先が緑川浄化施設です。上述のように、水は手前に向かって(上流に向かって)流れてきています。

 

 

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緑川浄化施設の排出部。

水はここから左右に分かれ(いや、上下に分かれ、と言うべきか)、それぞれ、上流と下流に向かって流れていきます。

そもそも、この浄化施設の水は、元はどこから取水したのか?
水の流れがよく分からず。

 

 

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写真奥が、堅川の上流部。
写真右側が、緑川の上流部。

 

 

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堅前橋ポンプ場

これは埼玉県ではなく、川口市の施設ですが、どのような役割を果たしているのか、よく分からず。

別途調べてみます。

 

 

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堅前橋ポンプ場と、竪川。
川の流れは、写真では、右から左へ。

竪川の横面に、ポンプ場の取水口が見えますが、水面が取水口よりも下にあります。
この水量では取水できませんね。

 

 

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竪川下流部。

ここも汚いですね。

 

 

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緑川を更に上流へ。

イオンモール川口前川の西側辺り。

 

川表はコンクリで固められていますが、隙間から雑草が生え、川面にはゴミが流れています。

 

 

緑川説明図2

上記地図の、青色が交差する地点が、緑川の戸籍上の起点です。

 

 

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ここが起点。

住宅街です。

 

 

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緑川は再び細くなっていますが、水量は豊かです。

 

 

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緑川起点から、西側の水の流れ。

 

緑川の起点と行っても、泉があって水が湧き出ているわけではありません。

起点の上流は三方に分かれ、別の川に繋がっています。

これもまた、昔の六ヶ村用水の一つなのでしょうか。

 

 

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緑川起点から、北側の水の流れ。