令和6年(2014年)1月13日、葛飾区内の かつしかシンフォニーヒルズにて、江東5区広域避難推進シンポジウムが行われ、これを聴講してきました。
江東5区は、足立区、墨田区、江東区、葛飾区、江戸川区を指します。
いずれも標高が低い平地です。
洪水・高潮によって想定される浸水域内人口は256万人です。
埼玉県南地域の大規模水害時の広域避難の仕組み作りについては、力を入れて取り組んでいるテーマであります。
本年2月の県議会一般質問で取り上げる予定のテーマでもあります。
広域避難の仕組み作りの先行事例
広域避難の仕組み作りについては、埼玉県南地域では、まだ手つかずです。
水害を想定した先行事例として挙げられるのは、以下のようなところです。
・江東5区
・木曽三川(愛知県の下流域)
・利根川中流域(加須市、古河市、渡良瀬遊水地の辺り)
この3つのうち、木曽三川と利根川中流域については、国土交通省の河川事務所がリーダーシップを取っているようです。
江東5区については、各5区が対等な立場でパートナリングして運営しているようです。平成27に協議会が設けられたのが出発点でした。
他には、原子力発電所の周辺において、放射能漏れなどの事故を想定した広域避難の仕組みが設けられています。
それなりに進んではいるが、まだ啓発フェーズ
浸水域内人口256万(これは5区合計の総人口とほぼ同じ)ということで、膨大な人数です。
100%の広域避難は目指していない、とのこと。
災害予測日の3日前にアラートを発出して、目標避難人数は74万(つまり29%)とのことでした。
最長で2-3週間に渡り水が引かない可能性があるのですが、体力がある人、病気・ケガなどの理由により移動が困難な人は垂直避難によって対応する他、葛飾区では浸水対応型市街地構想を唱え、浸水しても都市機能(つまり、電気、ガス、水道、トイレを含む下水道などの都市インフラ)が死なないようにすることを目指しているとのことです。
このシンポジウムは、公開イベントではありますが、会場の前半分は、地域の自主防災団体のメンバ用に割り当てられており、啓発が目的であることが伺えました。
今まで行った訓練は、
・図上訓練
・一部の団体が、電車に乗って松戸に行くなど
といったところです。
まだまだ啓発フェーズのようです。
やはり苦労しているのは、避難場所の確保
域外に避難するといっても、大規模災害時であれば、その避難先の地域も被災している可能性が高いわけです。受け入れキャパにどの程度の余裕があるかは想定しづらいので、ウェルカムというわけにはいきません。
原子力災害の広域避難であれば、原子力発電所から遠く離れるほど、想定被害は小さくなり、やがてゼロになります。
水害の場合は、規模の大きい水害であるほど、複数の都道府県にまたがるくらいの極めて広範囲に渡って被害が生じる可能性があるため、避難受け入れ先を探すことが困難になります。
今のところ、確保できているのは、
・公的な施設
国立オリンピック青少年センター、東京ビッグサイト(東京都と民間企業による第三セクター)
・大学
上智大、東京芸大
などとのこと。
帰宅後、既に確保できている広域避難の避難先のリストを見ようとググってみたのでせすが、これがまったくヒットしないんですよ。理由は不明ですが、避難先リストが公開されていないって、どういうことなんでしょうか?
まあ、いずれにしても、それほど多くの人数分はまだ確保できていないようです。
県議会2月定例会での一般質問に活かしていきたいと思います。