権現堂調節池にて湖面浮上式太陽光発電施設の設置計画

権現堂調節池は、利根川から水を引き、中川へと注ぎ込む導水路である権現堂川そのものが広大な調整池となっているものです。

埼玉県と茨城県の県境に位置しています。

 

この権現堂調節池、別名:行幸湖の湖面に、浮上式太陽光発電施設を作ろうという計画が持ち上がっています。

久喜市の事業で、埼玉県のスーパーシティプロジェクトに採択されています。

 

権現堂調節池の下流の中川は、たびたび氾濫を起こしています。

直近では、昨年、令和5年(2023年)6月に、草加市、越谷市などで広範囲に渡り床上浸水、床下浸水をもたらしました。

 

そこで、中川下流の自治体では、この太陽光発電施設設置について心配しています。

調節池の湖面に太陽光発電施設があるということは、大雨の時に上流から流れてきた浮遊物が引っかかるなどして、雨水排水・調整機能を阻害する可能性があります。

また、雨水の流れによって太陽光発電施設が破壊され、下流に流されていく可能性もあります。

 

 

先日開かれた、県議会 予算特別委員会においては、草加市の議員より、そのような懸念が表明されました。

 

単なる杞憂なのか、現実的に雨水排水・調整機能を阻害する可能性があるのか、素人には何とも判断できず、専門家の意見を聞いてみたいところです。

 

ということで、3月16日(土)、現地を見に行ってきました。

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権現堂調節池全体は、利根川からの取水口から、中川合流地点まで、5kmに及ぶ長いものです。池というよりも太い川という印象も受けます。

 

太陽光発電施設設置計画があるのは、久喜市の部分です。

 

池(川)の中心線が、埼玉県と茨城県の県境となっており、手前側が久喜市(埼玉県)です。

 

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釣り師が2,3人いました。

対岸の茨城県側には、キュピーの工場。

 

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ちょっとした遊歩道になっており、桜並木があります。

 

 

せっかく権現堂に行ったので、権現堂桜堤公園に足を伸ばしました。

ここは県営公園です。

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河津桜はピークでした。

 

ここは、様々な種類の桜が植えられています。

菜の花も、敢えて咲く時期がずれるようにコントロールして植えてあるようです。

 

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右側が河津桜。

左側の堤の上は、ソメイヨシノ。

 

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ソメイヨシノはまだまだでした。


江東5区広域避難推進シンポジウム

令和6年(2014年)1月13日、葛飾区内の かつしかシンフォニーヒルズにて、江東5区広域避難推進シンポジウムが行われ、これを聴講してきました。

江東5区は、足立区、墨田区、江東区、葛飾区、江戸川区を指します。
いずれも標高が低い平地です。
洪水・高潮によって想定される浸水域内人口は256万人です。

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埼玉県南地域の大規模水害時の広域避難の仕組み作りについては、力を入れて取り組んでいるテーマであります。
本年2月の県議会一般質問で取り上げる予定のテーマでもあります。

 

 

広域避難の仕組み作りの先行事例

広域避難の仕組み作りについては、埼玉県南地域では、まだ手つかずです。

 

水害を想定した先行事例として挙げられるのは、以下のようなところです。

・江東5区
・木曽三川(愛知県の下流域)
・利根川中流域(加須市、古河市、渡良瀬遊水地の辺り)

この3つのうち、木曽三川と利根川中流域については、国土交通省の河川事務所がリーダーシップを取っているようです。
江東5区については、各5区が対等な立場でパートナリングして運営しているようです。平成27に協議会が設けられたのが出発点でした。

他には、原子力発電所の周辺において、放射能漏れなどの事故を想定した広域避難の仕組みが設けられています。

 

 

それなりに進んではいるが、まだ啓発フェーズ

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浸水域内人口256万(これは5区合計の総人口とほぼ同じ)ということで、膨大な人数です。

100%の広域避難は目指していない、とのこと。

災害予測日の3日前にアラートを発出して、目標避難人数は74万(つまり29%)とのことでした。

最長で2-3週間に渡り水が引かない可能性があるのですが、体力がある人、病気・ケガなどの理由により移動が困難な人は垂直避難によって対応する他、葛飾区では浸水対応型市街地構想を唱え、浸水しても都市機能(つまり、電気、ガス、水道、トイレを含む下水道などの都市インフラ)が死なないようにすることを目指しているとのことです。

 

このシンポジウムは、公開イベントではありますが、会場の前半分は、地域の自主防災団体のメンバ用に割り当てられており、啓発が目的であることが伺えました。

今まで行った訓練は、

・図上訓練
・一部の団体が、電車に乗って松戸に行くなど

といったところです。

 

まだまだ啓発フェーズのようです。

 

 

やはり苦労しているのは、避難場所の確保

域外に避難するといっても、大規模災害時であれば、その避難先の地域も被災している可能性が高いわけです。受け入れキャパにどの程度の余裕があるかは想定しづらいので、ウェルカムというわけにはいきません。

原子力災害の広域避難であれば、原子力発電所から遠く離れるほど、想定被害は小さくなり、やがてゼロになります。

水害の場合は、規模の大きい水害であるほど、複数の都道府県にまたがるくらいの極めて広範囲に渡って被害が生じる可能性があるため、避難受け入れ先を探すことが困難になります。

 

今のところ、確保できているのは、

・公的な施設
国立オリンピック青少年センター、東京ビッグサイト(東京都と民間企業による第三セクター)

・大学
上智大、東京芸大

などとのこと。

帰宅後、既に確保できている広域避難の避難先のリストを見ようとググってみたのでせすが、これがまったくヒットしないんですよ。理由は不明ですが、避難先リストが公開されていないって、どういうことなんでしょうか?

まあ、いずれにしても、それほど多くの人数分はまだ確保できていないようです。

 

 

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県議会2月定例会での一般質問に活かしていきたいと思います。


緑川拡幅工事用地が、透水性舗装になる

蕨市内を、塚越から南町にかけて流れていく緑川については、昨年 令和5年(2023年)11月に、地元の各町会長、地元の蕨市議会議員、県土整備事務所、蕨市道路公園課の方々とともに緑川に沿って歩き、課題や要望を共有したところです。

緑川拡幅工事は、平成10年(1998年)にストップしています。

しかしながら、これ以前に買収済みの土地は確保され続けていますし、平成10年以降も土地所有者から申し出があれば交渉の上で県が買い取る手続きを行っています。

 

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例えば、ここがその拡幅用地。
昨年11月時点。

塚越5丁目の丁張稲荷公園付近です。
(左後ろの木々が、丁張稲荷の敷地です)

後ろ姿は、岡田三喜男 蕨市議会議員(保守系会派:新翔会)

 

 

この時点では、フェンスで囲まれた拡幅用地は、雑草が生えてくることを予防するために、雑草防止シートで覆われていました。

雑草防止シートは完璧ではなく、シートの隙間から雑草が生えてきますし、枯れ草がかなり繁茂していました。

 

 

その後、雑草防止シートから、浸透性舗装への張り替え工事が進められました。

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本年 令和6年(2024年)1月時点。

上記写真と同じ場所(別の角度から)。

浸透性舗装が、くろぐろと光り輝いています。

 

 

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同じく塚越5丁目の、別の場所。

 

 

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こちらは、南町3丁目5番地の、三和橋の角。

看板には「ここは河川用地です」と書いてあります。

この土地は、以前は、雑草防止シートすら設置されておらず、草ぼうぼうでした。

 

 

定期的に雑草の刈り取り作業を行うコストを考えたら、いっそのこと舗装してしまった方が安上がりだ、という判断なのでしょう。


茨城県・福島県沿岸部の豪雨災害被災地を訪問

本年、令和5年(2023年)9月8日から9日にかけて、茨城県・福島県沿岸の大雨は、大規模な被害をもたらしました。
お亡くなりになった方のご冥福をお祈り申し上げます。
被災した方々を衷心よりお見舞い申し上げます。

 

マスメディアの報道によると「台風13号による大雨」あるいは「線状降水帯による大雨」と、表記の揺れが見られます。

私の理解によると、台風と線状降水帯は、気象学的にはまったく別個の現象のはずです。
このあたりは、これから詳しく分析されていくものと思います。

 

9月10日、現地の被災状況を視察して参りました。

 

 

日立市河原小地区

沿岸に近い地域です。
海には、小さな漁港と海水浴場がありますが、漁業や観光の街という感じではないですね。住宅が密集した、住宅街です。

 

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地域全域が水没したわけではなさそうです。

川の近くの、ごく一部の地域が水没したようで、道路は土砂が堆積していました。

 

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橋のたもと部分の車道、川に沿った歩道のアスファルトが激しく削られてしまっています。

 

20230910 日立市河原小町

同じ位置から、カメラを右側(川側)にパンして撮影したもの。

氾濫したのは、こんな川です。

堤防もありませんし、川の敷地にすぐ隣接して民家が立ち並んでいます。

 

20230910 日立市河原小町

泥水を被った畳が、路上に山積みになっていました。

泥水に浸水すると、基本的には乾かしてももう使えません。

 

20230910 日立市河原小町

災害ゴミが野積みになっています。

 

20230910 日立市河原小町

エアコンの室外機が冠水したようです。
家屋の壁面には、泥の後がついていません。

この地域は、全体的に、泥の量がそれほど多くないのですよ。

つまり、川が氾濫して流れ出た水は、それほど土砂を含んでいなかったのではないかと予想します。

上流部で土砂崩れが起きたわけではなく、純粋に、河川が氾濫しただけ、ということのようです。

 

20230910 日立市河原小町

この川のちょっと上流部。

せいぜいこんな川。

 

水害は、
・内水氾濫(都市型水害、マンホールやドブが溢れるなど)
・外水氾濫(河川の氾濫、いわゆる洪水)

の2種類に分類されるのですが、これは河川の氾濫なので、外水氾濫ですね。

 

日立市河原子町ハザードマップ外水

日立市ハザードマップ 洪水浸水想定区域(2023年9月時点)

河川の氾濫はまったく想定されていなかったことが分かります。

 

日立市河原子町ハザードマップ内水

日立市ハザードマップ 内水浸水想定区域(2023年9月時点)

川の氾濫と言うよりも、川に沿ったごく一部の雨水排水機能がキャパオーバになることが想定されていました。

注意書きには、以下のように書いてあります。

想定最大規模降雨(1000年に1度の雨)により、既存の排水施設で処理しきれない内水が氾濫した場合に、想定される浸水区域及び水深を表示しています。
※「水防法」に基づくものではありません。

上の、橋のたもとのアスファルトがえぐれた部分は、黄色(0.5m-1.0m未満)になっています。

今回の雨量は、千年に一度クラスだったということですね。

 

 

 

日立市役所

TV報道では、呆然とした表情の市職員達がバケツリレーをして泥水をかき出す映像が流れていました。

日立市では、東日本大震災によって被災した市庁舎を、災害に強い建物に建て直したはずなのに、その新庁舎が被災してしまった、ということです。

災害に強い新庁舎をまさに今建設中で、竣工間近に控えている蕨市民としては、ショッキングでしたね。

 

20230910 日立市役所

日立市役所の全景。

上流部(山側)から望む。

建物手前の駐車場から道路にかけて、一面が水没したようで、土砂が堆積しています。

 

20230910 日立市役所

拡大したところ。

小さな2つの川が、市庁舎敷地の上部(山側)にて合流しています。

 

20230910 日立市役所

ここが氾濫した地点のようです。

2つの川が合流した後、この川は、上記写真の左端に写っているように、暗渠に流れていきます。

川の水面から、天端までは2-3mくらいありますが、堤防はありません。
人やクルマの落下防止のフェンスが設けられていたのみです。

 

20230910 日立市役所

上記の位置から、カメラを上流部(山側)にパンさせて撮影した写真。

数沢川。

写真左側(川の右岸)の建物は、日立メディカルセンター看護専門学校の校舎。
写真右側(川の左岸)の建物は、google mapには情報が載っていないのですが、校舎か寮か何かのような造りです。

さらに川の上流は、街区が整った住宅街です。

市庁舎の上流部には、氾濫した形跡はありませんでした。

氾濫したのは、あくまでも、市庁舎の真上地点のみだったようです。

 

20230910 日立市役所

市職員が泥をかき出したり、濡れたものを干したりしていました。

 

20230910 日立市役所

移動式ポンプで排水している。

まだ地下フロアの浸水は続いていたようです。

 

市庁舎が冠水した後、日立市の災害対策本部は、消防本部に移されたそうです。

この地域で停電が発生したわけではないようですが、地下に配置された受電設備、非常用発電装置が浸水し、市庁舎は停電したそうです。

地下に電気関係の設備を置いてはいけない、ということですね。

 

日立市役所ハザードマップ内水

日立市ハザードマップ 内水浸水想定区域(2023年9月時点)

浸水がまったくの想定外ではなかった、ということが分かります。

今回の電源喪失は、想定外ではなく、想定内の出来事だった、ということですね。

 

20230910 日立市役所

市庁舎近くの、国道6号の歩道。
歩いて、消防本部へ。

 

20230910 日立市消防本部

市庁舎から、国道6号を挟んで斜め向かいに位置する、日立市消防本部。

かなりゆったりした造りの建物です。
敷地は広く、公園を兼ねた芝生が市民の憩いの場となっており、昼寝すると気持ちよさそうでした。

 

20230910 日立市消防本部

日立市消防本部の近く。

宮田川。

川がカーブする箇所で、外側が削れてしまったようです。

 

 

日立市白銀町地区

上記の、消防本部のすぐ脇を流れる宮田川を遡り、白銀町地区へ。

 

20230910 日立市白銀町

宮田川は、この白銀町地区では、局地的に氾濫したようです。

 

20230910 日立市白銀町 日立武道館

日立武道館。

大正6年、日立鉱山の福利厚生施設として建てられ、後に日立市に寄贈され、今は武道館として用いられています。

駐車場が災害ゴミ置き場となっていました。

 

 

いわき市 内郷白水町

再び常磐自動車道に乗って更に北上し、福島県いわき市へ。

 

20230910 いわき市内郷白水町

新川にかかる橋。

 

水没したクルマをレッカー移動していました。

川には、大量の木々が引っかかっています。

 

20230910 いわき市内郷白水町

この川は、堤防はありません。

川に沿った人家は全面的に床上浸水したようで、泥をかき出したり、家財道具を干したりしていました。

 

20230910 いわき市内郷白水町

折り重なったクルマ。

 

20230910 いわき市内郷白水町

橋に引っかかった木々。

 

20230910 いわき市内郷白水町

道路上を覆い尽くした土砂はまだ濡れており、ぬるぬるして滑ります。

 

20230910 いわき市内郷白水町

路面が乾いた箇所では、土埃が凄まじく、クルマが通るたびにもうもうと巻き上げられます。

 

それでは、この新川にかかる橋を中心とした、いわき市内郷白水町のハザードマップを見てみましょう。

いわき市内郷白水町ハザードマップ土砂災害

国土交通省 重ねるハザードマップ いわき市内郷白水町 土砂災害(2023年9月時点)

川に沿った谷筋の集落だけに、土砂災害の危険性は指摘されていました。

 

いわき市内郷白水町ハザードマップ洪水

国土交通省 重ねるハザードマップ いわき市内郷白水町 洪水(2023年9月時点)

しかしながら、新川が氾濫する可能性は、まったくの想定外だったようです。

堤防もないし、まさかこの川が氾濫するはずがない、と近隣住民は安心していたのではないでしょうか。

 

20230910 いわき市内郷白水町

同じ川の、少し下流部に移動したところ。

この辺りは、氾濫していません。

 

しかしながら、クルマから降りると、すさまじい異臭がしました。

腐敗臭と違う。
どちらかと言うと、排泄物の臭いに近い。
しかし、おそらく、排泄物そのものではない。

よく、土砂崩れの前触れ現象の一つとして「異臭がすることがある」と言われるが、その類だったのではないでしょうか。

 

 

水没した白水阿弥陀堂

以前に行ったことはなく、初めて訪れました。

平安末期に建てられた、国宝指定の建物です。
池水浄土庭園の奥に阿弥陀堂があります。

 

20230910 いわき市 水没した白水阿弥陀堂

浄土庭園は泥水で濁っていました。

 

20230910 いわき市 水没した白水阿弥陀堂

阿弥陀堂は水没しています。

 

いわき市白水阿弥陀堂ハザードマップ洪水

国土交通省 重ねるハザードマップ 白水阿弥陀堂 洪水(2023年9月時点)

5.0-10mの浸水が想定されていました。

標高が低いようですね。

 

 

いわき市 内郷宮町

少し北上して、内郷宮町地区へ。

内郷第二中学校では午後11時頃に体育館の床上が浸水したため、避難者の受け入れを停止した。4世帯6人がステージ上に移ったという。

避難所が床上浸水って、やばいですね。

 

20230910 いわき市立内郷第二中学校

内郷第二中学校

敷地内に入るのは遠慮しました。

 

20230910 いわき市立内郷第二中学校

敷地内は災害ゴミ置き場になっていました。

床上浸水した体育館。
決して、川に隣接しているわけでも、この集落の中で特別に低い位置にあるわけでもありません。

 

20230910 いわき市内郷宮町

避難所である中学校体育館が床上浸水したくらいですから、この地域一帯が全面的に床上浸水したようです。

 

20230910 いわき市立宮小学校

いわき市立宮小学校。

川から溢れた水・浮遊物が道路上を流れ、フェンスを押し倒したようです。

 

20230910 いわき市立宮小学校

同じく、宮小学校。

流れてきたクルマが、フェンスを乗り上げる形で押し倒しています。

 

20230910 いわき市内郷宮町

この地域に床上浸水をもたらした、宮川。

川の水面から天端までは、2-3mくらい。
堤防はありません。
川にすぐ隣接して、民家が建てられています。

 

 

それでは、この地域のハザードマップを見てみましょう。

いわき市内郷宮町ハザードマップ土砂災害

国土交通省 重ねるハザードマップ いわき市内郷宮町 土砂災害(2023年9月時点)

上記画像内で、
川は左から右に流れています。
2つある学校マーク【文】のうち、
右側が、内郷第二中学校
左側が、宮小学校。

 

集落の後背には里山があり、土砂崩れの危険性が示されています。

 

いわき市内郷宮町ハザードマップ洪水

国土交通省 重ねるハザードマップ いわき市内郷宮町 洪水(2023年9月時点)

なんと、宮川の洪水の可能性は、ハザードマップ上では示されていません。

 

 

ハザードマップは不完全

ということで、上記で見てきたように、河川が氾濫した箇所は、

ハザードマップ上で氾濫可能性が指摘され、想定浸水深の範囲内だったところもあれば、

ハザードマップ上では氾濫可能性は指摘されていなかったところもありました。

 

 

「ハザードマップがおかしい!」ということでは決してありません。

 

ハザードマップは、ある一定の前提条件の下での被害シミュレーションを示したものに過ぎません。

雨の降り方が一様ではないように、前提条件を決める要素には多くのものがあり、ありとあらゆる前提条件を想定して、ありとあらゆる全てのパターンのシミュレーションを行うことは、現実的ではありません。

 

しかしながら、分かってはいるのですが、ハザードマップが示すレベルを超えた被害が生じた、という事実は、猛烈にショッキングーであります。


風化させてはいけない、のか?

今年もまた3月11日が近づいてまいりました。

そう、東日本大震災の3月11日です。

今年、令和5年(2023年)で、12年間が経過したことになります。

 

 

毎年、この時期になると、ちらほら聞く言葉が、

災害の記憶が風化してきている
記憶を風化させてはいけない
風化させずに、次世代に伝えていかなくてはならない

等というものです。

例えば、昨日付けのY!ニュースでこんな記事があります。

「風化」がさもネガティブなものであるかのように捉えられ、努力して「風化」を防がなくてはならない、と語られています。

 

 

 

でも、そもそも「風化」って何なんでしょうね?

風化って悪なんでしょうか?

 

 

 

風化という言葉は、そもそも「岩石や鉱物が変質または分解する作用のこと」という地質学用語です。

何かが「風と、化す」という表現は、詩的な趣きもあります。

今回調べて初めて知りましたが、英語だと、weathering だそうで。

 

そういえば、新海誠アニメ映画『天気の子』の英文タイトルは、weathering with you なんですよ。

映画見た人なら分かると思いますけど、「困難を君とともに乗り越える」的なニュアンスだと思います。

 

ははは、面白いですね。

風化の直訳である、weatheringという英単語には、単に「風と化して消える」という意味合いではなく、「克服して乗り越える」という意味合いがあるのです。

そもそも、岩石や鉱物は、消えて無くなることはありません。
変質したり、分解したとしても、それは消えて無くなることを意味するわけではありません。

 

 

ちょっと話がずれてきたので戻しますが、

記憶の風化、って何だろう?
それは、悪いことなのだろうか?

 

 

 

そもそも、人の記憶は、どんなに濃密なものであったとしても、時間の経過とともに薄れ、場合によっては消えていくものなのですよ。

だからこそ、勉強するときは、 何度も反復学習するわけです。

 

 

逆に、辛い記憶、思い出は、薄れさせ、忘れさせた方がいいのです。

 

 

父親が死んだ時の体験なのですが、

様々な葬儀の手続きや、仏壇を買ったりといった雑事に追いまくられ、残された家族は、悲しむ暇もないほどでした。

ああ、これはよく出来た仕組みだな、と感じました。

古からの知恵で、家族が死んだ直後、一瞬でも悲しみを忘れさせるようにするために、敢えて雑務に忙殺させるように様々な複雑な慣習が拵えてあるのだな、と。

 

 

 

悲しみは、反芻して思い出すのではなく、忘れることも大事です。
未来に向かって進むためには。

 

 

 

私は、「記憶の風化」が悪いことだとは思いません。

悲惨な体験から得られエッセンスとして抽出された教訓や知恵が、次世代に活用されていくのであれば、記憶そのものは風化してもいいと思います。

「記憶は風化してもいいんだ」と思えば、楽になれると思います。

 

 

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2017年5月に訪れた、復興が進む大槌町の中心部と、スズキV-strom1000


秩父3ダムの石

用事があって時々、浦和の埼玉県庁に行きます。一昨日は、市議会議長充て職で議員となっている、彩の国さいたま人づくり広域連合議会へ出席してきました。

ちょっと早く着き過ぎたりした場合の時間調整で訪れるのが、県庁敷地内の南側に位置する、秩父3ダムの石です。

秩父3ダムの石

秩父3ダムの石

荒川水系の上流の3つのダム

・滝沢ダム
・浦山ダム
・合角ダム

を造る時に、湖底に沈む土地から持ってきた石です。

wikipediaを読んだ程度の情報ですが、かなり激しい建設反対運動があり、移転交渉は長期化したようです。

 

地質学的に何か特別な石というわけではなく、3つの石のどれがどこのダムのものかも表示されていません。

石は石に過ぎないのですが、しかしながら、この石を前にしてぼーっと佇んでいると、湖底に沈む集落に住む人達の故郷をなくす悲しみ、治水・水利のためにダム建設が必要だと確信し、命がけの任務に臨むエンジニアや文系職員たちの執念、使命感など、ダム建設を巡る様々な物語が胸に迫ってくるようで熱くなります。そして、これらのダムのおかげで、私達、荒川下流域に住む人々の平穏な暮らしが在るわけですね。

 

ダムって、ロマンを感じますねー。

 

ローカルの写真フォルダを繰ってみると、これらの3ダムを訪れた時の写真は、見つかりませんでしたが、二瀬ダムを訪れた時の写真が見つかりました。

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2022年6月に訪れた二瀬ダムと秩父湖。

時系列で見ると、二瀬ダムが昭和36年(1961年)に竣工し、これだけでは治水の上で不十分であったので、滝沢、浦山、合角の3ダムが建設されたわけですね。


荒川第二調節池、囲繞堤の工事が進む。

荒川第二、第三調節池については、2018年8月に以下の2つの記事を書いたところですが、

県南七市治水大会、荒川の第2,3調整池の進捗

↑「調整池」ではなく、「調節池」が正しい用語となります。

既設の荒川第一調節池と、今年度から作り始める荒川第二・第三調節池

この記事から3年半経ちますが、どう進んでいるのか、さっぱり状況が分かりませんでした。

 

ところが、先日、ちょい久しぶりに荒川サイクリングドーロを、彩湖から上流方面にジョギングしてきたところ、工事がぼちぼち進んでいました。

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この時期は、北風が冷たいんですよ。

風が強い日は、人が少ないですね。
特にチャリダーはほとんどいなくなります。

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かつて河川敷の平坦なゴルフ場だったところ。

ゴルフ場は既に閉鎖しています。

バンカーが残っていますが、芝生はダンプや重機に踏み荒らされてしまっていました。

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写真に写っていませんが、多数のダンプ、重機が走り回っていました。

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どういう工事をしているのか、素人にはよく分かりませんが、取り敢えず、ゴルフ場内を流れていた小川を埋め立てたり、凸凹した部分を整地したりしているようでした。

 

場所は、この辺です。

羽根倉橋の上流。
KM非公認教習所、カート場、少年野球場、竹林の西側。
かつてゴルフ場があったところ。今は閉鎖されています。

 

 

国土交通省 関東地方整備局 荒川調整池工事事務所:https://www.ktr.mlit.go.jp/araike/

いつの間にか、このような分かりやすいwebサイトが公開されていました。

この中の、
工事進捗 : https://www.ktr.mlit.go.jp/araike/kouji/shinchoku.htm

によると、第二調節池の囲繞堤を造る工事のようです。

 

この箇所:ゴルフ場外周の、川に沿った正辺には、かつては堤防はありませんでしたが、ここに高さ10mの堤を造るものです。

大量の雨水を溜め込む堤であり、絶対に崩れるわけにはいかないので、かなりガッチリしたものを造るものと思います。

 

その次の段階としては、囲繞堤に沿って東側に、管理用通路+池内水路を造る模様です。

 

川に沿って堤+管理用通路+池内水路を造るだけなら、ゴルフ場全体を潰さなくてもいいんじゃないのかな~?とも思いますが、そこらあたりはよく分かりませんね。

 

上記の「工事進捗」のページによると、今、工事が始まっているのは、この第二調節池の囲繞堤の築造と、荒川右岸提(対岸堤)の2箇所とのことです。

荒川右岸堤は、入間大橋~上江橋の間、入間川と荒川を隔てる、直線の区間ですね。
菜の花が左右に咲き乱れてすごくきれいで、まっすぐの直線である上に、左右がゴルフ場だったので、ちびっ子が歩いていたり飛び出してくる可能性がなく、ロードバイクだと風に乗れば時速○○kmオーバーで余裕にかっ飛ばせる区間で、トラ仲間の間では「大宮高速」と呼ぶ人もいました。
この区間は、たしか一昨年くらいから閉鎖されていたように記憶しています。