この項目は書きづらい。
一般論として、公職選挙法は、複雑である上に、解釈がグレーな部分も多く、なおかつ、事実上有名無実と化している部分も多々ある。
私自身、公選法に詳しい訳でもないし、関係者の皆様にご迷惑をかける訳にはいかないので、以下、差し支えなさそうな範囲で書く。
震災に伴う自粛選挙
世の自粛ムードと、各党の申し合わせにより、選挙運動の時間帯を絞ったり、選挙カーの数とボリュームを制限していた。
平時の選挙は、もっとガンガンうるさかったらしい。
実際に私がやったこと
公選法により、ブログやソーシャルメディア上に記事をアップすることは出来ないし、スピーチの原稿は私が選挙運動にジョインした時には既に確定していた。
私がやったことは、体力勝負の仕事が中心だった。
選挙運動中は、背中に須賀候補のキャッチコピーである「蕨の新鮮力!!」と背中に書かれたお揃いの緑色のジャンパーを着ていた。
駅であいさつする
「駅立ち」と呼ばれる。
蕨市民が利用する駅は、京浜東北線蕨駅、西川口駅、埼京線北戸田駅とある。その中でも蕨駅、特に西口がほとんどを占める。
夕刻のラッシュ時に、須賀候補+複数人で、駅の出口にて標旗を持って立ち、肉声であいさつする。
トークは、シンプルで、
「こんばんは。須賀敬史です」
「県議候補の須賀敬史です」
「よろしくおねがいします」
「若い力を応援してください」
ほぼこの繰り返し。
尚、私は期間中、午後だけしか手伝わなかったのだが、駅立ちそのものは朝のラッシュ時も行っていたようだ。
市内を自転車であいさつしながら回る
この自転車巡回は、とても重要な活動と位置付けられていて、日中はほとんどこれをやっていた。候補+複数人で、自転車で市内を挨拶しながら回る。
場合によっては、選挙カーを先頭に、自転車で後ろをついて走ることもある。このとき、選挙カーには、運転手、ウグイス嬢の他、応援の政治家(市議、自民党第15選挙区支部長など)が同乗する。
コースは、それこそドブ板を舐めるように、市内のありとあらゆる路地を制覇するかのような意気込みで走り回った。
手を振ったりしつつ、声を上げて、呼びかける。
「こんにちは。須賀敬史です~」
「須賀敬史が自転車でご挨拶に伺っております~」
「県議候補の須賀敬史です、よろしくお願いします~」
駅立ちと同じく、複雑なトークはない。
駅立ち、自転車巡回ともに、名前を連呼して名前と顔を覚えてもらうのが目的。
候補自身の知人や、ちょっと視線があったり、ニコッとして手を振ってくれたり反応がよかった人には、すかさず候補が近づいて、ガッチリ握手をする。
選挙権がない子供にも丁寧に声を掛ける。
「お父さん、お母さんによろしくね!」
シーズンだったので市民公園でシートを広げて花見をしている人も多かったのだが、全てのグループを挨拶して回った。
隣りの市の方にも「蕨にお知り合いの方がいたら、よろしくお伝えください!」
昼の街頭集会
自転車巡回中、公園などで自転車を止め、適宜、街頭集会を行う。
これは、目の前に聴衆がいる場合もあるが、いない場合もある。
標旗を立てて、ハンドスピーカーで候補がスピーチをする。ここでは、主に公約を訴える。同行の政治家が応援スピーチをすることもある。一般人が応援スピーチをしても意味が無いので、私がスピーチしたことはない。
また、自民党の大物政治家が蕨にやってきて、大規模な街頭集会を行ったこともあった。
蕨には、佐藤ゆかり参議院議員と片山さつき参議院議員がやってきた。このときは、市議や第15選挙区支部長やその他の運動員は、可能な限り勢揃いする。
片山さつき議員は、個人的にはとてもチャーミングな方だと思いました。
夜に公民館で行った集会
夜には、各地区の公民館で集会を行った。
集会の参加者は、その地区の住民であるが、お年を召した方が多いようだった。19時くらいからスタートするために、どうしても、都内に通勤するビジネスマンが参加するのは難しい。結果として、新住民は少なく、顔なじみの旧住民が中心となっているようだった。
候補本人以外にも、応援の政治家が応援スピーチをする。
参加者は基本的に、候補を応援している身内ばかりなので、ちょっと飛ばし気味に対立候補を批判するような言葉が出ることもあった。
最後に「ゲキ」
これって、何だか本当に分からなかった。余興としてなんか人形「劇」か何かをやるのかと思ったが、さにあらず。その地区の有力者の音頭によって、「ガンバロー!ガンバロー!ガンバロー!」と声を上げてコブシを振り上げる。会場が高揚感、一体感に包まれる。
個人的に感心したこと
須賀候補のみならず、政治家の皆さんそうなのだが、顔と名前をよく憶えている。
街中で出会った方にすかさず走り寄って
「あ!○△さん、どうもどうも~、先日は△□でお会いしましたね~。そう言えば、今朝、駅で旦那さんと挨拶しましたよ~」
という具合だ。
そして、挨拶は、必ず、握手。出来れば、右手だけではなくて、左手も添える。
もちろん、そうやって候補に頭を下げられた方は悪い気はしない。
「ここで会ったのも何かの縁だか、あんたに投票するよ」
と言う方はけっこういた。
自転車での巡回、スピーチにおける候補のトーク術
よく使っていたトークが
「あと一歩、あと一歩です」
「現職の背中がようやく見えてまいりました」
「現職はやはり強い。新人には辛い選挙ですが、ようやく横に並びました。あと一歩です」
というようなものだ。
選挙戦において現職議員が有利なのは当然としても、上記のトーク術は、それに対して、何かを頑張って努力して追いつき、追い越すものである、というのが前提となっている。
その頑張って努力するという内容が、本来の県議の仕事とは関係がない、駅立ちや自転車巡回という、純粋に選挙だけのための選挙活動である、といのはおかしなものだ。
更に言うと、大規模な国政選挙や知事選挙と異なり、一地方選挙なので、マスメディアが世論調査をしたり期日前投票の出口調査を行っている訳でもない。どの陣営も、具体的にどこがどのくらい勝っているのか、負けているのか、というのは体感値以外は分からなかったのではないだろうか。
(続く)