蕨市議会 2011年12月定例会報告(1) 市長提出議案

さて、このシリーズ、全5回で行きます。

まず、市長提出議案について。
(一部は私が所属する教育まちづくり委員会に付託されており、以前のエントリと重複します)
市長提出議案は、
条例案 10件
補正予算案 1件
その他 3件
報告 2件
尚、議案については、タイトルのみ市議会webサイトのこちらに、タイトルと結果のみアップされています。内容については、載っていませんね。
これは不便かつ不親切なので、このたび設置された議会改革推進特別委員会で話題になってくるものと思います。
条例案
9月定例会と同様に、「上位の国の法律が変わったので、連動する市町村の条例も変える」というものが多い。
単なる文言レベルの修正もあります。
例えば、
国レベルで外国人登録制度が廃止されることに伴い、連動する蕨市の条例を変えるために、「住民基本台帳法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係条例の整備に関する条例」を定める、
など。
えっ?なになに?と思わず聞き返してしまいそうですね。
鳩ヶ谷市が川口市に吸収合併されたことに伴う、既存条例から「鳩ケ谷市」という文言の削除
人事院勧告に基づく、市職員の給与テーブルの変更
議会に話を乗せてくる前に、既に組合とは交渉済み。
具体的には、ミドル層の給与がごくわずかカットということになっております。
市民Sさんからの1億円寄附の基金条例
大きなニュースになった寄附1億円で基金を作るための条例。
「基金」というのは、市の会計の中に、特定の目的のための特別な財布を一つ作る、というイメージ。
ご本人の「北町の子どものために使ってほしい」というご要望に応える形で使い道を検討中とのことです。
補正予算案
交流プラザさくら2階に地域子育センターを設置したことに伴うLAN工事、什器など。ファミリー菜園整備工事など。
尚、前述の外国人登録制度廃止に伴うシステム改修には、なんと16,632,000円もかかるとのこと。
ぐはっ! どんなシステムはちょっと分からないが、けっこうしますね。
債務負担行為の設定 3億6,855万円
これは、中学校へのエアコン導入のため
10年リースのための、10年分の金額。
「債務負担行為」というのは、要するに、10年なら10年分の予算を先に確定してしまう、ということです。普通は、予算は単年度主義なので、1年分しか決められないのですが、2年以上に渡って支払い続ける契約の場合は「債務負担行為」を設定する必要があるのです。
この金額がエアコンとしてリーズナブルなのかどうかはともかく、なぜ購入ではなくてリースなのか?というのがよく分からなかった。
リースするか?購入するか?
購入の場合は、これだけの大きな金額なので、全額ニコニコ現金払いという訳にはいかず、借入れを起こすことになる訳だが、市債を発行するのであれば、金利はかなり有利な条件となるので、せいぜい1%とかそんなもん(?たぶん)
リースの場合は、もちろん金利換算すると圧倒的に割高となる。
それでもリースするメリットというのは、民間企業における場合は、一般論としては、借入れを起こさずに与信枠を残すため、あるいは現預金を寝かせないため、BSを軽くするため、損金算入額を多めに取って節税効果を大きくするため(業務用エアコンの税法上の耐用年数は13年間)、ということになろうかと思う。
これらは、市の会計の場合は、まったく関係ないはずだ。
市債は、(詳しくはよく分からないが)起こそうと思えば3.7億くらい起こすことはそれほど大変ではないだろうし、そもそも市は税金を払わないので節税効果なんか無関係だし。
つまり、リースよりも「借入れを起こした上で購入」した方がトクなのではないか、と私は考えた。
ここで、市長公約で「市の借金総額を4年間で10億円以上削減」が掲げられており、
もしかしたら、数字上の「市の借金」を増やさないようにするために、敢えて「借入れを起こした上で購入」ではなく、「市の借金」には乗ってこない「リース」を選択したのではないか?と考えた。
この疑問を、担当部署の部長にぶつけてみた。
回答内容には、正直ちょっと理解出来ない部分もあったのだが、
「数字上の市の借金を増やさないようにするために、敢えて損な方法を取ったという訳ではないんですよね?」
と尋ねたら
「違います」
とのことだったので、取り敢えず信じました。
尚、リースアップ後は再リースではなく、無償譲渡を受けるとのことです。
市が何かをリースする場合は、このパターンが一般的なようです。
その他
以前のエントリで書いたように、中学校の部活のボールで怪我した方への損害賠償など。
以上の市長提出議案は、全て、原案通り可決されました。

裁判の傍聴に行ってきた。

『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』というマンガがあったけど、あれ読んで以来、本物の裁判を見に行きたいと思っていた。


今までは機会がなかったけど、弁護士の悪友の手引きで、今日、ふと思い立って行ってきた。
さいたま地裁へGo!
浦和の県庁の目の前に裁判所がある。
まともな人なら、赤キップをくらったときくらいしか行くことはなく、一生縁がない場所かもしれませんね(為念、冗談です)。
建物は、いかにも役所とか公官庁関連という感じ。内部は、暖房の設定温度を抑えているためにかなり寒い。
直接行くと、当日の裁判がどこの部屋で何があるかが貼り出してある。
傍聴したい人は、直接勝手に裁判をやっている部屋に入っていけばいい。
いちいち何のために来たのか? 平日の真昼間からおまえそんなにヒマなのか?とか聞かれることはないし、名前を書いたりする必要すらない。
途中入場、退場も自由。
但し、私語は厳禁。ダボダボジャージの刑事被告人の友達らしい人たちがこそこそ傍聴席で話していたら、裁判長に注意されていた。
ビジネス案件、損害賠償請求
民事のビジネス案件は、基本的には裁判の場が開かれる以前に、弁護士同士で話し合ってほぼほぼ結論が出ているものらしい。
裁判の場で行われるのは、儀式的な書類のやり取りが中心となり、見ていて面白いものではない。
今日見た案件は、一件当たり4,5分で終了し、流れ作業で次から次へと処理されていた。
(それぞれの案件が一回で終了する訳ではなく、何回かに渡って行われる)
裁判長はぼそぼそしゃべるし、各席にはマイクが付いているけどスピーカと繋がっているわけではなく単なる録音用のようで、よく聞き取れないし、そもそも事前に書類を読んでいることを前提としたやり取りなので、書類が手元になく読んでもいない傍聴人には中身はよく分からない。
当日裁判リストによると、被告が消金のものが多く、未だに過払い金返還請求ブームは続いているようだ。
離婚
これはなかなか面白かった。
40代後半くらいの夫婦。思春期の子どもが2人いるらしい。
ビジネス案件と同じく事前情報は配布されていないのだが、30分くらい聞いているだけでも何となく全容が類推出来る。
奥さんが原告(離婚したいと申し出る)、旦那さんが被告。
どうやら双方ともに離婚すること自体に問題はないようで、親権か慰謝料か条件面を争っているような感じ。
離婚の原因となった「奥さんの不倫」が事実か否かが争点となっている。
奥さんが「私は不倫した」と旦那さんに告白したことが、離婚が決定的になったポイントだったようだ。ここまでは双方認めている。
しかしながら、奥さん側は「不倫告白は、どうしても離婚したかったため、相手に離婚を決意させるためにでっち上げた話だった」と主張する。
旦那さん側は「トイレにこもってずっとメールを打っていたり、定時に終わる仕事のはずなのに帰宅が24時過ぎることが急に週2回以上になったりしたし、5人と不倫した旨の告白を本人から聞いた。うち2人については名前も聞いている」と主張する。
どろどろしてて気分が悪くなりそうだったので、ここで退場しました。
刑事 タイヤ窃盗
レゲエ頭のアフリカ系外国人が被告人。
日本国内で中古車を買い付けて海外に卸す商内をやっているらしい。
案件は、タイヤ20個、五十何万円ぶんだかを盗んだ、というもの。
警察官(かな?)に常に付き添われていた。
日本語話せないようで、英語の通訳がついていた。通訳は裁判所事務員の隣りに座っているので、被告人のコストではなく、裁判所の運営コストの中で賄われているらしい。
今回は、最終回の判決。
執行猶予付きの懲役刑がついていた。
刑事 窃盗 + 公務執行妨害
たまたま見たのは、(おそらく)取り調べをした刑事さんが証人として立っているシーン。
検察官と弁護側弁護士がそれぞれ代わる代わる質問をしていた。
どんな公務執行妨害をしたのか分からないが、取り調べの様子を明らかにすることが主眼となっていた。
刑事さんは取り調べのプロなのだろうけど、証人台に立ち、左右から検察官と弁護士に挟まれ、前から裁判官に見下ろされ、事務員に凝視され、質問に対してなかなか応えが口から出てこず、しどろもどろだった。
まあ、そんなわけで、何の教訓もないのですが、かなり楽しい体験でした。
ヒマ潰しに最高のエンタテインメントだと思いました。
(私はヒマではありませんが)

蕨市議会 2011年12月定例会が終わりました。

2011年12月定例会、先週12月16日(金)に終わりました。

定例会は、3ヶ月毎、3の倍数月に開催されます。
12月定例会のみは、11月下旬に始まり、12月中旬に終わるというように、少し前倒しして開催される慣習のようです。
幾つかのエントリに分けて、12月定例会の中身についてレポーティングします。
章立ては、以下です。
・市長提出議案
・保谷武 一般質問(1) 埼京線の終電延長に関するJR東日本への要望
・保谷武 一般質問(2) 市と、市内の特養2施設及び運営団体との関わり方
・保谷武 一般質問(3) 中央プール建替等進捗と、老朽化した公共施設の建替計画
・請願 TPP関連/子ども・子育て新システム関連
・来年2012年 保谷武 一般質問 予告 生活保護の不正受給
次の定例会は、来年2012年3月で、慣例によると2末~3末に開かれるようです。
新年度の予算がメインになるので、かなりヘヴィーになると思われます。

12月定例会の教育まちづくり委員会

本日は、2011年12月蕨市議会定例会における教育まちづくり常任委員会がございました。

尚、同委員会に所属する議員は6人。
構成は、公明党から議長を出し、委員は私が属する保守系会派新生会から3人、日共、無所属から各1人となっております。
案件は、
・請願 1件
・市長提出 条例案 3件
・和解案 1件
  • 請願:大雨による水害対策の更なる推進を求める
無所属議員の紹介による請願です。
内容は、「現状での水害対策は不十分である。更なる対策の推進を求める」というものです。
全文は、こちら
(今時点ではまだアップされてません)
尚、請願とは、市民から提出され、議員が紹介する、という手続きを踏むもので、それなりの重みがあります。まず担当委員会において、採択するかどうかを採決します。採択されたら、本会議(議員全員が出席する本会議)において再度、採択するかどうか採決します。但し、採択されたとしても、市長及び市執行部がこれに縛られることはありません。
水害対策の現状
蕨市では8月に、一時間当たり79.5mmというゲリラ豪雨があり、市内各所で道路冠水、床下/床上浸水がありました。
近年、ゲリラ豪雨は多発しております。
もちろん市が何もしないで手をこまねいている訳ではなく、限られた予算の中で、雨水調整池や分流式雨水排水管を造ったり、土のう配備などの対処をしたりしております。
保守系会派 新生会の考え
本請願は、「○△地区に雨水貯水池を造ってほしい」といった具体的な提案をしている訳ではなく、「更なる対策を求める」という、今更当たり前のことを改めて求めているだけであり、わざわざ議会で採択する意味がありません。
請願紹介議員の単なる政治的パフォーマンスに過ぎません。
以上の理由から、私が所属する保守系会派新生会は反対しました。
私 保谷武(ほやたけし)が会派を代表して反対討論を行い、紹介した無所属議員と日共の議員が賛成討論を行いました。採決の結果、反対多数のため、不採択となりまし