北海道胆振東部地震の被災地現状

今週、珍しく久しぶりに2日間の休みが取れた上に、ANAのマイルが余っていたので、2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震の被災地を見学に行ってきました。(自費)

 

蕨市内は、大部分が液状化の可能性がある

蕨市 webサイト : 蕨市地震ハザードマップ(平成28年3月改定)

蕨市地震ハザードマップの「液状化マップ」欄では、東京湾北部地震が発生した場合の液状化の可能性を、4段階で示しています。

液状化マップ
(c)蕨市

これを見れば分かるように、市内の大部分が、赤色(高い)、オレンジ色(やや高い)に色分けされています。

いざ災害発生時の対応拠点となる、蕨市役所(現庁舎の所在地であり、かつ、ただ今進めている建替え計画においても同じ場所で新庁舎を建てることになっている)の周辺も赤色です。
尚、副の災害対応拠点である蕨市消防本部(消防署)の場所は、オレンジ色と緑色(低い)の狭間になっています。

 

このように、液状化は、ある程度は、予測することは可能です。

しかし、具体的にどのような備えをすればいいのか?

家や建物をこれから建てる段階であれば、杭を深く打ち込むなどの対策が取れるかもしれませんが、既に住んでいたり利用している家・建物であれば、対策の取りようがないのではないかな???

 

神戸新聞NEXT|総合|インドネシア地震、液状化被害を現地調査 神戸のNGO

消えた道路、見渡す限りのがれき-。液状化現象による地滑りが1キロ以上に及ぶ。地震と津波で3400人以上が死亡・行方不明となったインドネシア・スラウェシ島を、神

2018年9月28日に発生したインドネシアのスラウェシ島の地震では、詳細は未だ不明ですが、液状化によって人家が傾くどころではなく、人家や人が地盤に飲み込まれて被害が拡大したのではないか、という仮説もあるようです。(詳細不明)

 

液状化って怖いな。

しかし、液状化って、実際のところどんな感じなのか、写真で見たことがなかったので、実物を見たいと前から思っていました。

 

 

札幌市清田区の液状化現場

こちらの場所、地質、過去の開発の歴史的経緯、現場の写真についての詳しいレポートは、

土木学会 委員会サイト : 北海道胆振東部地震による液状化被害 (PDF)
(公社)地盤工学会 平成30年北海道胆振東部地震による地盤災害調査団/(公社)土木学会 平成30年北海道胆振東部地震 緊急調査団

こちらが極めて詳しいです。専門家の熱意溢れる詳しいレポートを読んでいると、胸が熱くなります。

私もこれを参考にして、同じ場所を訪れました。
札幌市清田区は、市南部の郊外住宅街、といった感じのエリアのようです。幹線道路沿いには、全国どこででも見かけるようなナショナルチェーンの店がそこかしこにあります。

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北海道を中心に展開しているコンビニ、セイコーマートまるしん店。

営業しておらず、閉鎖されています。

パッと見たところ、建物そのものが傾いているわけではないようです。

 

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「要注意」、「周辺地盤の沈下が見られます」と書いてあります。

 

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建物の基礎と、駐車場面の境界。

 

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灯油タンク(北海道の建物では、このような屋外灯油タンクが装備されているのはよく見かけます)の下にマンホールがあり、隆起しています。

 

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セイコマのある交差点。
車道と歩道の境界が、舗装し直されていました。

 

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民家に「危険」という調査結果票が貼ってありました。

「基礎と上部構造にずれがあります。建物全体が傾斜しています。」と書いてあります。

 

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たしかに、基礎と上モノがずれてますね。

 

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マンホールが少し浮き上がり、周りのアスファルトにビキビキにヒビが入っています。

 

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別の場所のマンホール。

同じように、周囲のアスファルトにヒビが入っています。

 

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同じく清田区、別の場所へ。

ここは液状化によって、土砂がどしゃーっと流れた道路です。

道路の舗装は、既にほとんど補修が完了しています。

 

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歩道と、隣接する敷地の境界。

まだ段差が手付かずで残っているのでしょう、ブルーシートをかけただけの状態です。

道路は、おそらく市道なので、市の責任で迅速に補修されていますが、個人宅の敷地内は手付かずのところも多いようです。

 

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「要注意」の調査結果票が貼ってあります。

 

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かなり沈降したようです。
現状は、土砂を埋めてあるので、発災時にどこまで沈降したのかは分かりません。

この道路のgoogle ストリートビューを見ると、現時点では2018年5月時点の画像が最新のものとして見ることが出来ますが、完全に水平の道路です。

 

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民家の塀が沈み込んでいます。

 

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別の方向に目を向けると、あちらでも民家が沈み込んでいます。

このように、直径数百メートルの範囲内で、何箇所か沈降している場所がありますが、その傍らでは、まったく何ともない民家もあります。

 

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ここは、元々、左から右に向けて緩やかに下向きの傾斜になっています。

家は何ともない?感じですが、道路に面した塀が沈み込んでいます。
(道路は既に補修済みで、新たなアスファルトが敷き直されています)

 

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半地下の駐車場(?)が潰れてしまっています。

この家は、家の一部分は破壊されていますが、主要な部分は何ともなさそうです。
しかし、おそらく、このままでは住めないでしょうし、地盤が隆起なり沈降なりしている以上、壊すしかないのではないでしょうか。

 

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家が傾いています。

 

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それぞれの人家がめちゃくちゃな方向を向いています。

この中心の家の地点が沈降しており、ここに向かってそれぞれの家がずるずると吸い込まれるように傾いているようです。

 

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別の角度から。

 

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道路がうにゅーんと下がって、また上がるようになっています。
この道路は、google ストリートビューで最新の2016年8月の画像を見ると、水平な平地です。

 

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別の場所へ移動。

美しが丘南公園の周辺へ。

この家は、建物は何とも被害はないようですが、塀が交差点に向かって沈み込んでいます。歩道と車道は、おそらく補修途中なのでしょう。

 

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この家は、右側(主要な建屋の部分)から、左側(玄関部分)が剥がれて傾いているようです。

 

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美しが丘南公園は、閉鎖されています。

 

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公園敷地内では、今でも水が湧き出し続けていました。

 

 

札幌市清田区の液状化現場は、以上。

といことで、液状化といっても、既に発災から2ヶ月半経った今日では、噴出した砂の類は既に撤去されていたので、発災直後の様子はもはや分からず。

この札幌市清田区は、数箇所が液状化したが、被害範囲は、極めて狭い。せいぜい直径数百メートルくらい。なぜ、液状化したのがそこだったのか?そこだけで、それ以外の場所は何ともなかったのか?というのは、よく分からない。
冒頭で紹介したレポートも速報版の位置付けのレポートなので、そこまでは解説していない。

しかも、この場所は、震源である北緯42度41分24秒 東経142度00分24秒付近(むかわ町)からはかなり距離があるし、その間に横たわる膨大なエリアは、何の液状化の被害もない。

激しく傾き、もはや建て替えなくてはならないような家がある一方で、その隣りの家が何ともなかったりもする。

札幌市 webサイト : 地震防災マップ

札幌市の地震ハザードマップの中の液状化マップは、さすがに面積が広い政令指定都市だけあって、かなり大雑把なものだが(精度が低いという意味ではなく、シミュレーション単位の面積が広いという意味で)、たしかに、今回、液状化の被災をした場所は、4段階のうちで「液状化発生の可能性が高い」の一番上のランクに位置している場所だったようだ。しかし、他にも同じく最上位ランクの場所が周りにたくさんあったが、それらの場所が全て液状化したわけでもない。

こうしてみると、液状化ハザードマップもいいかげんなもんだな・・・とはとても言えないが、被災した人は、「自分は運が悪かった」と諦めるしかないのだろうか。

今回の地震では、液状化によって人生設計が狂った人はたくさんいるかもしれないが、少なくとも、液状化が直接的な原因でお亡くなりになった方はいなかったのが不幸中の幸いだ(液状化以外が原因でお亡くなりになった方は約40名いる)。

 

 

厚真町の土砂崩れ

レンタカーのVitzを走らせて、厚真町へ。

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途中の安平町で。

マンホールが激しく隆起していました。

 

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そこかしこで、小さな山が土砂崩れしている。

もう本当に、あちこちに、こんな感じの土砂崩れがある。
人口密度が低く、この現場に人家がなかったからいいけど、人がいたら大変なことになってましたよね。

 

北海道胆振東部地震: 衛星写真を公開しました

<9 月 13 日 追記> 本日 13 日に以下の衛星写真を Google 災害情報マップ で公開しました。 <地震前の厚真町周辺の衛星画像(左)と地震後の画像(右)> Google では、北海道胆振東部地震で被害にあった厚真町周辺等の衛星写真を公開します。本日、公開した写真は 2018 年 9 月 11 日に撮影されました。 <地震前の厚真町周辺の衛星画像(左)と地震後の画像(右)> KML ファイルをダウンロードし、 Google Earth で開きます。最新の画像を見るには、 Google Earth で Hokkaido Earthquake, Sept 2018 のレイヤを選択し、対象のエリア周辺にズームインします。前後を比較するには、同レイヤのチェックボックスからチェックを外してください。 またスマートフォン向けの Google Earth( Android, iOS )でも、今回公開した衛星写真を確認できます。 現地での復旧作業が進む中、被害状況の把握等の一助になることを祈念しています。

尚、厚真町を中心とする、土砂崩れの衛星写真は、google earthで見ることが出来る。これを見ると、ほんとにそこら中の山の全てが土砂崩れしたことが分かります。

 

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厚真町の吉野地区。

 

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家は手付かずでした。

 

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道路は既に啓開されています。
ガレキが道路面を多い、右側の田んぼまで達していたようです。

電柱、電線も敷き直されています。

上水道、下水道、ガスは不明。

 

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「危険」の看板。

 

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土砂崩れ面。

この地層を見れば分かるように、人工的に何かを積み上げた新しい山ではなく、何十年、何百年もかけて、自然に積み上がってきた山です。

その上に生えている木も、何十年もかけて育ってきたような大きなものです。

 

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こんな感じで、地表から2-3mくらいが、生えている木ごとズルムケして崩れてしまったのですね。

 

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道路啓開した折りに、ぐちゃぐちゃにひん曲がったガードレールが一箇所にまとめられていました。

 

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ちょっと移動して、別の土砂崩れ現場。

 

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土砂崩れした山は、すぐそこにある家の裏山、という感じです。

高さもそれほどなく、斜度もたいしてありません。

こんな山が崩れてくるとは、まさか思いもしなかったのではないでしょうか。

明治の入植以来、崩れてきたこともなかったでしょうし。

 

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道路や電線は復旧していますが、人家の跡は手付かずでした。

 

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こちらの家は、端にある建物(倉庫?)はやられてしまったようですが、母屋は無事だったようです。

 

この写真のように、そこら一帯の斜面全体が崩れたわけではなく、一部が崩れただけでそれ以外の場所は何ともなかった、という景色もたくさん見かけました。

 

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崩れた斜面。

 

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ん?

大型のコンバインで稲刈りしているぞ。
11月の、そろそろ小雪が舞い散る季節なのに?

地震への対応で忙しくて稲刈りどころではなかったのか、田んぼの主のご家族がお亡くなりになってしまったのか・・・

 

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ふと見回すと、稲刈りされずに茶色く枯れるにまかせている田んぼがあちこちにありました。

 

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厚真神社。

北海道は、小さな集落毎に、ほぼ必ず、立派な神社とお寺があります。

ここには立派な鳥居と、石の碑があったようですが、崩れました。

 

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鳥居の土台。

 

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神社の駐車場では、プレハブが建築中でした。
仮設住宅かな?

 

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神社の中へ。

ここでも鳥居が壊れていました。

 

 

高潮被害によって運休中の日高本線

以下は、地震とは関係なし。

札幌市清田区、厚真町と見学した後は、小雪舞う日勝峠を越えて帯広に投宿し、生ラム(ラムが生で食えるなんて初めて知った!北海道の男子はジンギスカンでも肉を焼かずに食べるらしい)や豚丼などのグルメ三昧の夜を過ごした後、晴天の襟裳岬(帯広の屋台村の女子は、襟裳岬なんか行ったこと無いって言ってた。日帰りで行けるやん!)を越えました。

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海の際を走る日高本線。
その、大狩部駅近く。

2015年に高潮によって地盤が流出し、運休になっています。代行バスが代わりに走っていますが、ガラガラでした。
JR北海道は、このまま廃止する方針をようやく固めました。

線路の下の地盤が波に洗われて、線路が浮いています。

 

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別の場所。

海際の鉄道橋が、橋脚だけを残して、一部が壊れ、撤去されていました。
(あくまでも自然災害による運休中なので、今でもステータスは営業中。数少ない有人駅には、しっかりと駅員さんがいて切符を売っている)


蕨市園芸品評会がございました。

本日は新嘗祭でございました。

昨日と今日(平成30年11月22,23日)、蕨市中央公民館において、蕨市園芸品評会がございました。

今年は、猛暑、台風など、悪天候が続いたはずなのですが、大きなサイズの収穫物が多い印象を受けました。

201811 蕨市園芸品評会

でかい白菜!

 

201811 蕨市園芸品評会

カブ。

 

201811 蕨市園芸品評会

カブ。

葉物と根菜類は、特に例年よりもサイズが大きく感じました。

 

201811 蕨市園芸品評会

関係者の皆様、お疲れ様でした。

新嘗祭万歳。
神州の五穀豊穣をお祝いし、永久の繁栄をお祈り申し上げます。


国策捜査を成功させるためには、世論の支持が必要

新生銀株、永久には持たず リテール路線揺らぐ

1998年10月に経営破綻し、国有化された日本長期信用銀行。2000年に米リップルウッド・ホールディングスなどがつくる投資組合のもとで新生銀行として再出発した。日本の金融を変革すると期待されたが、2

今朝の日経の記事wwww

元リップルウッドで、その後継なのか?関連があるらしいファンドのトップのインタビュ記事が載っていました。

 

長銀、シャープ、サンヨー、東芝メモリと、ちょっと外資に売り過ぎました。
現在、これらの反省を踏まえた上での揺り戻しの動きが起きています。

日産自動車の事件は、このコンテクストで説明することが出来ます。

 

国策捜査を成功させるためには、世論の支持が必要であり、冒頭の日経記事も、この流れの一部と位置付けられます。
この記事を読んだら、誰もが、長銀をハゲタカに売ったのは失敗だったよね、という感想を抱くに至るようになっています。

これは、どこかに裏のフィクサーがいてすべてをコントロールをしている的な、くだらない陰謀論ではなく、佐藤優氏が語るところの国家の内在的論理というやつです。

日産は仏国には渡さない、と、あたかも国家が意思を持っていて、各プレーヤがその意思に従って動いているかのようです。

 

 

堀江貴文氏、日産の事件に見解「フランスvs日本を考えてる奴らに愕然」 – ライブドアニュース

堀江貴文氏がカルロス・ゴーン容疑者の事件を受けてツイートした。「フランスvs日本みたいな文脈を本気で考えてる奴ら」に愕然としたという。「そういう奴ら」はAmazonが日本に税金を払わないことを批判すると指摘した

参考までに、こちらは、堀江さんのコメントです。


郷町会の防災訓練がございました。

本日、平成30年11月18日(日)、郷南公園にて、郷町会の防災訓練がございました。

20181118 郷町会 防災訓練

AEDの使い方訓練。

人がやっているのを見ているだけではなく、自分でやってみないとなかなか身につきません。

 

20181118 郷町会 防災訓練

煙体験。

 

20181118 郷町会 防災訓練

炊き出し訓練。

アルファ米のご飯に、カレーライス。

 

 

関係者の皆様、お疲れ様でした。


某市議会の海外視察への批判に関する雑感など

北九州市議会、海外視察廃止へ 昼間の飲酒に批判が殺到:朝日新聞デジタル

北九州市議が海外視察先で昼間に飲酒していた問題を受け、市政与党の自民とハートフル北九州は12日、慣例的に行ってきた海外視察の廃止を井上秀作議長に申し入れた。共産、公明も同様の申し入れをしており、来週…

海外視察報告書 – 北九州市議会

No Description

北九州市議「海外視察ツアー」謎だらけの顚末 | 国内政治

「日中の飲酒は、公務に対する信頼性を低下させるおそれがある。国外、私費でも認められない」――。9月10日、福岡県の北九州市議会(定数57)は、井上秀作議長名で「公務出張中の日中の飲酒を禁止する通知」を出…

 

九州の某政令指定都市の市議会の海外視察が、ブランドショッピングやサグラダファミリアへの観光など、遊びだらけであり、視察という制度を悪用した、悪質な無駄遣いだという批判がニュースとして取り上げられているようです。

このニュース、つい昨日、初めて知りました。

 

 

基本的にはまったくの他人事なので無責任に感想を述べます。

以下、あくまでも一般論です。
私個人の話ではなく、蕨市とは全く関係ありません。一般論です。一般論。

 

 

自治体の政策を考えるに当たっては、他者事例の研究が有効

ビジネスと異なり、自治体の経営においては、各プレーヤはお互いに地域独占であるために、基本的には競合するものでもありません(首都圏内の子育て支援策・教育環境の整備や、グローバルな大都市のベンチャー育成策といったように、競合するものもありますが)。ビジネスモデル特許のようなものはないし、各種の政策・施策には知的財産権はありません。
そこで、よそでやっている成功している政策・施策を研究して、うまく自分たちに取り入れる、ということがよく行われます。(もちろん、よそに移植してうまくいくものもあれば、失敗するものもあります。)

つまり、ビジネスと同じく、政策を考えるに当たっても、よその事例を研究することは、一つのアプローチとして有効な手法です。

ビジネスであれば、競合相手に話を聞きに行く、なんてことは出来ませんが、自治体であれば、お互いに競合という意識はほとんどないので、話を聞けば、喜んで説明してくれます。

 

 

現地に直接見に行って他者事例研究をすることも、場合によっては意味がある

以上のように、具体的に考えている政策なり何らかのアイディアがあり、その先行事例を、成功しているパターン、失敗しているパターンとを問わず、研究することは有効ですし、必要があれば現地に行って直接見ること(=視察旅行すること)は、有効であり、ムダではありません。

昔は、今と異なり各市町村のwebサイト上で各種の資料や議事録が公開されていることもなかったので、直接現地に行って話を聞きに行くしかない、ということが多かったのだろうと思います。
今は、これらはヤフーでググって検索すれば情報を一瞬のうちに閲覧することが出来ますし、その上で不明なことがあれば、メールを送るなり電話をかけるなりすれば、先方の担当者は、基本的には懇切丁寧に教えてくれますので、わざわざ現地に行く必要は少なくなった、ということは言えると思います。

 

 

総計予算主義の弊害=「予算は使い切らなくてはならない!」

他方で、そもそも市町村政府というのは総計予算主義です。

ビジネスであれば、特に未上場企業であれば、いちいち予算なんか組んでいないところも多いでしょうし、決裁権者がOKすればOKということが多いでしょう。市町村政府では、たとえ1円でも予算が組まれていない出費は許されません。
道路を補修するなり、学校のトイレを直すなり、新たに何らかの施策を行うことを決めたので、その分の見積もりを出して、その度毎にその金額の補正予算を組む、というのは手続き的に面倒であり、効率良くありません。

そこで、毎年、道路やトイレの修理を何回くらいする、と予測した上で、予め年度当初に予算を確保しておくことになります。
視察旅行も同じように、視察旅行に○回行くことを前提として、○円分の予算をあらかじめ確保しておく、ことが行われます。

そして、役所はどこもそうですが、一旦確保した予算は必ず使い切らなくてはならない、というインセンティブが働きます。これは役所(行政)に限らず議会も同じで、○回分の視察旅行の予算があるのだから、どこかに視察旅行に行かなくてはならない!という発想になりがちです。

こうして、何の問題意識もなく課題設定もなされずに、ただ予算を使い切ることが目的な視察旅行が発生するわけです。
(このような場合も、視察旅行という体裁を整えることは必要なので、たいして興味も関心もない視察先が無理やり探し出されて用意されることになります。先方にとっては失礼で迷惑極まりない話です)

 

 

かつて、旅行できることが特権でありステータスだった時代があった

おそらく、想像するに、新婚旅行が熱海か伊香保みたいな時代に、毎年何回かずつ、全国あちこちに旅行に行ける地方議員の視察旅行制度が、議員特権の一部だったのでしょう。

更についでにいうと、私が知る限り、冒頭の九州の某市のように、海外都市に視察旅行に行けるのは政令指定都市だけであり、それ以外の市町村で海外都市に行くことは無いと思います。
これもまた、政令指定都市の特権であり、ステータスだったのだと思います。

既に、大学生がちょっと頑張ってバイト代を貯めて気軽に海外旅行に行ける時代になってますので、今日では視察旅行にステータス性はありません。

 

 

飲みニケーションならぬ、視察ニケーション

視察旅行では、日頃あまり会話することもない、相対立する立場の政党・会派の人たちと行動を共にすることもあります。夜は酒の入った食事会(酒宴)となります(一般論)。

このような場で、何らかの交渉・取引が円滑に進んだり、お互いの理解が進むことはあり得るでしょう。

しかし、それはもちろん、視察旅行のおまけのそのまたおまけ的な副次的効果です。
それを目的として視察旅行をするのであれば、本末転倒です。

 

 

飲みハラならぬ、視察ハラ!?

視察旅行が特権であり、スタータスだから、遊びに行きたい!と言う人がいる一方で、お酒は飲めないし、旅行は好きじゃない、お家で愛する家族と一緒に過ごしていたい、という人もいるでしょう。家族に小さな子ども、病人や介護が必要な人がいるので、あまり家を空けたくない、という人もいるでしょう。

冒頭の某市の視察旅行は、ヨーロッパに7泊8日だったそうですが、こんなに長期間行きたくない!という人もいたのではないかと思います。

しかしながら、総計予算主義で、年功序列のタテ社会ですので、自分一人だけ行きません!と突っぱねることは、勇気が要ります。
自らが掲げる政策を実現するためには、組織内での人間関係を円滑にしておくことも必要です。

本音では行きたくないのに泣く泣く参加せざるを得ない、という視察ハラスメントは、今も昔もあちこちの地方議会でまかり通っているのではないかと想像します。(一般論)
もしかすると、参加者全員が、表面的に楽しそうなふりをしているだけで、実は心の中では行きたくなくてうんざりしていた、というお笑いコントのような状況のツアー御一行もあるかもしれません。

 

 

いずれなくなるでしょう

ということで、この記事はあくまでも無責任な一般論の雑感なので結論はないのですすが、緩やかな世代交代とともに、いずれこの種の半強制的な視察旅行制度はなくなると思います。

冒頭に取り上げたフジテレビの番組のように、視察旅行ではしゃぐ姿を面白おかしく茶化して取り上げるのは、良い試みだと思います。

逆に言うと、この種のニュース報道がなされたとしても、すぐに根絶されることは無いと思います。しばらく時間がかかるでしょう。

 

 

さらについでに言うと、個人的には、旅行大好きです!
サグラダファミリアも見に行きました!(自費)
自然災害の現場とかもよく見に行きますけど、自費です。

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2017年1月、バルセロナにて。


消防特別点検がございました。

先日、平成30年11月11日(日)、中央小学校において、消防特別点検がございました。

蕨市と戸田市の消防団による観閲式のようなイベントで、毎年この時期に行われております。会場は蕨と戸田で交代に担当しております。

尚、消防本部(プロの消防士)の観閲式イベントは、毎年1月に行われる出初式がこれに当たります。

20181111 消防特別点検

姿勢及び服装点検。

 

20181111 消防特別点検

消防車(?消防団の車両も消防車と呼ぶのだろうか??)

 

20181111 消防特別点検

ポンプによる放水シミュレーション。

 

関係者の皆様、お疲れ様でした。


浜松市の多文化共生の取り組みと、蕨市との違い

先日、2018年10月31日(水)、蕨市議会総務常任委員会の視察で、浜松市を訪れました。

 

浜松市も蕨市も、外国人市民が多い

蕨市webサイト : 各年次別人口統計 平成30年

蕨市の人口統計は、月次で公開されております。

最新の、平成30年10月1日付けのものをみると、
総人口 75,146人

この内、外国人が6,512人です。
比率でいうと、8.7%

これは、埼玉県内でも第1位の比率です。

近年の蕨市の総人口は微増傾向にありますが、内訳をみると、日本人はほぼ横這いであり、増加分は外国人であることが分かります。
従って、外国人比率も増え続けています。

 

浜松市も、伝統的に外国人市民が多い市であり、
平成30年10月1日付けデータによると、

浜松市webサイト : 住民基本台帳による人口と世帯数
総人口805,110人

この内、外国人が23,963人、
比率は3.0%です。

 

蕨市と比べると、絶対値は大きいものの、総人口が大きいため、比率は低いですね。

 

浜松市は、2大ピアノメーカであるカワイ、ヤマハ、4大オートバイメーカのうちの3社であるホンダ、ヤマハ、スズキが拠点を構えるなど、工場が多く、バブル期の人手不足の折りに、労働力として日系ブラジル人を迎え入れたことから、今日に至るまでブラジル人が多いのだそうです。

 

 

外国人へのヘイトクライムは避けなくてはならない

外国人へのあらゆるヘイトクライムは良くない。
これは議論の余地もない、絶対的な価値観です。

外国人に対するヘイト発言は、どのような状況におけるものであれ、社会的に排除されます。ヘイト発言を公の場で行った場合は、ビジネスマンであれば左遷されたり取引停止されたりするでしょうし、学者や政治家ならば辞任必須ですし、その人はもはや社会的に終わりです。

そこで、外国人へのヘイト感情は、心の中で呟かれ、陰にこもりがちです。

高等教育を受けたまともな人の口から、ふとした拍子にポロッと外国人へのヘイト発言が飛び出してきてビックリすることがあります。

これは、極めて危険なことです。

陰にこもった感情は、社会的に蓄積して、どこかで爆発する可能性があり、大きな社会不安を呼び起こします。
我が国においては、関東大震災直後に、この種の外国人に向けた爆発的なヘイトクライムが発生しました。

 

 

ヘイトクライムは一切是認できませんので、いわゆる「ガス抜き」も出来ません。

また、国レベルが、ビザの発給要件をいじったりすることによって、外国人の流出入をコントロール出来るのに対して、市町村レベルでは、やってくる外国人を政策的に拒否したり制限したりしてコントロールすることが出来ません。

これらの点に、市町村レベルが外国人政策を考えることの難しさがあります。

 

 

人口動態の急激な変化は危険

そもそも、あらゆる種類の、人口動態の急激な変化は危険なのです。

 

分譲マンションが急激に立ち過ぎると、上下水道、電気、ガス、小中学校などの公共インフラの供給が追いつかなくなります。

ワンルーム物件が急激に立ち過ぎると、入居する若者たちのゴミの捨て方がひどい、夜中まで騒いでうるさい、クルマや自転車の路上駐車が迷惑だ、といった問題が生じがちです。

急激にタワマンが立ちまくった某ムサコでは、駅の改札口が渋滞するそうです。

このような小さな軋轢の積み重ねが、「旧住民」による、「新住民」に対するヘイト感情を呼び起こします。

 

さりとて、新住民に対する公共インフラ、行政サービスの提供を政策的に急激に増やしていくと、
これがまた、旧住民による、
「俺たちの税金を、新住民に対して使うなんてけしからん!」
という、新住民に対するヘイト感情を呼び起こします。

 

 

従って、市町村経営をする上で、人口動態の変化は、緩やかであることが望ましいのです。

 

 

外国人とて同じことであって、急激な外国人の増加は軋轢を生み、ヘイト感情を呼び起こしがちです。
分譲マンションやワンルームマンションと異なり、市町村政府自身が、前述のように、外国人の流出入を政策的にコントロール出来ないことが、この問題の最も難しい点であります。

 

 

 

浜松市の多文化共生の取り組み

そこで、バブル期という、かなり早い時期から外国人市民が増え続けている浜松市では、どのようなことをやっているのか興味がありました。

なお、「多文化共生」という言葉は、要するに、「外国人受け入れ政策」全般のポリティカリーコレクトな言い方です。

 

・浜松市多文化共生都市ビジョン(5ヶ年計画)を策定したり、
・英語版、ポルトガル語版の市の広報誌、避難マニュアル、転入時ウェルカムパック(一連の書類)を作成したり、
・相談センターを設けたり、
・日本語学習支援施設を運営したり、
・外国人集住都市会議を開催して、外国人が多い他の市町村と情報交換したり、

といったように、それはそれはお金と人手をかけて、外国人市民を受け入れていく仕組みを整えています。

特にこれらの多文化共生政策に対する、ヘイトな反対意見(俺たちの税金を外国人に使うなんてけしからん!的な)も無いようです。

 

 

浜松市と蕨市の条件の違い

結局のところ、浜松市における外国人市民は、浜松市の工場で働くためにやってきてくれた労働力であり、浜松市の経済に貢献しており、既存市民の間に外国人住民受け入れを積極的に歓迎する感情と、外国人に行政資源を投下することへのコンセンサスがあるようです。

ここが、蕨市との大きな条件の違いですね。

少なくとも現下の蕨市においては、既存市民の間に外国人住民受け入れを積極的に歓迎する感情と、外国人に行政資源を投下することへのコンセンサスは、あまりありません。

 

2017年3月定例会の一般質問で主張したように、まずは蕨市においては、定住外国人の実態調査が急務です。

まずは実態を把握した上で、次なるアプローチを考えたいと思います。

【蕨市議会】2017年3月定例会一般質問(2) 定住外国人実態調査について

 

 

おまけの写真

201810_東海道新幹線浜松駅構内のジムニー

東海道新幹線浜松駅の構内に、新型ジムニーが展示してありました。
かっこいい!
この新型ジムニー、バカ売れしてるみたいですね。