蕨市議会 2016年3月定例会の一般質問(3) 小中学校の空き教室の有効活用について

・現時点での、恒久的余裕教室・一時的余裕教室・普通教室以外の部屋における空き教室(倉庫類としての利用は除く)の、学校別の数量と具体的に空いている部屋の場所は。将来見込みは。
・余裕教室の財産区分を、教育財産から、教育財産ではない行政財産に変更して、所管を教育委員会から市長部局に移し、フレキシブルに転用・利用可能にしてはどうか。
・空き教室を、放課後子ども教室として活用し、何らかの問題は生じたか。今後の運用についてどう考えるか。
・空き教室について、今後の利用計画は。


 

これが3タイトルのうちの3つ目なのですが、正直、2つ目のファシリティマネジメント関連で時間切れ、エネルギー切れ。満足出来るレベルの仕事は出来ませんでした。

学校の空き教室の他用途転用は、ファシリティマネジメントの一環として積極的に進めていくべきと考えています。

学校というのは、教育委員会の管轄で、トップは教育長です。
教育長-教育委員会 というラインは、市長-市長部局(総務部、市民生活部・・・など)のラインとは完全に独立しているのです。
これは、教育の独立性を保つためです。
民主政は最善の政治制度ですが、原理的に衆愚政治に堕してしまう可能性を排除できず、教育が衆愚政治にかき回されてしまうと取り返しの付かない大変なことになってしまうので、敢えて独立性を高めてあるのです。

 

少子化によって子供の数は減っていて、空き教室は増えているはずなのに、これらの他用途への転用が進んでいませんでした。

他市町村の事例をみると、
・高年齢児童限定の認可保育園
・デイサービスセンタ
・世代間交流施設
・文化財/資料類の保管庫
など、他用途転用した様々な事例があります。

文部科学省 : 余裕教室・廃校施設の有効活用

「学校教育に支障がない範囲内で、地域の実情や需要に応じて積極的に活用していくことが望ましいと考えられます。
文部科学省では、学校施設が有効に活用されるために、学校施設を活用する際に必要となる手続の弾力化や簡素化を図りつつ、全国での活用事例を紹介して情報発信を行うなど、活用ができるだけスムーズに進められるような環境を整えています。」

文科省も、空き教室の他用途転用については、積極的に後押ししています。

 

それでは、何故、蕨市においては他用途転用が進まないのか?

 

一つの理由として、市長-市長部局ラインと教育長-教育委員会ラインの、内部調整が難しいからではないかと思いました。

これは、空き教室の帳簿上の財産区分を、教育財産から、教育財産ではない行政財産に転換することでクリアできるはずです。


蕨市議会 2016年3月定例会の一般質問(2) ファシリティマネジメント(公共施設等管理)について

ファシリティ・マネジメントについて

庁舎・学校・公民館など全ての公共施設の建物、その建物の中にある各種設備(什器、水道管、ガス管、電気配線なども含む)、道路・橋などの交通インフラを一元管理して最適化しようという方法論のことです。

 

「一元管理」というのがポイントです。

通常は、行政に限らず組織と言うのもは、縦割りで権限と責任の範囲が決まっています。
例えば、公民館施設なら公民館の担当部署、学校施設なら学校施設の担当部署があり、それぞれ部門最適を目指して仕事しています。公民館担当部署、学校担当部署それぞれに部門の目標設定が為されており、それを元に部門の成果評価が行われます。その部門のスタッフの人事評価も、部門の設定目標に対する成果達成の度合いに応じて為されることになります。当たり前ですね。

現在、少子高齢化の進展に伴い、急速に人口構成が変化しており、行政に求められる役割も同じように変化しています。また、公共施設の建物については、従来は、学校なら学校、公民館なら公民館というように単目的で供されていましたが、現在は、一つの建物をフレキシブルに複合目的利用していくことが一つのトレンドになっています。

そうすると、各部門における部門最適が、その自治体における全体最適にならない事態が発生してしまいます。

公民館担当部署は、現行の公民館施設維持管理コストを極小化して、利用者満足を極大化することを目的とします。学校担当部署は、現行の学校施設の維持管理コストを極小化して、教育成果の極大化を目指します。それぞれの部門からは、「学校施設の空き教室を、公民館として利用したらいいかも?」などという発想は出てきません。

そこで、その自治体全体を視る視点で、全体最適を目指していこう、というものがファシリティ・マネジメントです。

 

また、従来、公共施設の施設・設備類は、使えるまで使い潰して、寿命がきたら壊して作り直す、というのが一般的な考え方でした。
そこには、出来るだけ寿命を伸ばして、安上がりに済まそう、という発想はありませんでした。
「建物の解体」、「建物の新築」という公共事業そのものが、たとえそこに何らかのムダがあったとしても、資源の再配分であり、地域の景気対策として機能していたからです。
右肩上がりに経済が成長し続けている時代ならばそれでも良かったのですが、もはやそんな時代ではなく、今ある施設・設備類は、出来るだけ長く使い続けて、安上がりに済ませる、という発想が必要になってきました。

 

蕨市に限らず、日本全国、様々な公共施設、公共インフラは、昭和30-50年代の高度経済成長期に造られたものが多く、それらが一斉に寿命を迎えつつあります。
右肩上がりで景気が良く、人口も増え続けていた当時と異なり、現在そして将来は、経済は低成長で、人口も減少していくことが確実な状況です。
今ある全ての公共施設、公共インフラの質と量をそのまま維持することは出来ません。
何を削るか、何を優先して何を後回しにするか、身を切る意思決定が必要となります。

 

ファシリティ・マネジメントの定義は他にもいろいろあるのかもしれませんが、以上のように、私はざっくりと理解しております。

 

 

蕨市のファシリティ・マネジメントの今までの経緯

このファシリティ・マネジメントという言葉は比較的新しいものだと思いますが、概念は、言われてみれば当たり前で、別に真新しいものではありません。最近になって急に必要になったものではなく、本来は、景気が良かった高度経済成長期にも必要だったはずです。

あまり昔のことは調べきれませんでしたが、ざっくり議会の議事録の類を調べたところ、民主党が導入を唱えたようです。
私もそれに乗っかる形で、導入を唱えてきました。

だからといって「誰の成果」というものではありません。

当たり前に必要なことなので、別に反対派もおりませんでしたし、総務省が全国の自治体に計画策定を求めていることでもあります。

 

 

蕨市のファシリティ・マネジメントの導入推進の流れ

蕨市ファシリティ・マネジメントのプロセス

2015年度に、「蕨市公共施設等マネジメント白書」を作りました。
これは、一般社団法人 地方自治研究機構という公的シンクタンクと、1年間かけて共同で作ったものです。

これは、体系的に調べて現状を把握するフェーズです。
昔の建物については、設計図がないとか、新築当時の担当者は全員退職しているので様子が分からない、というものが多々あるので。

 

2016年度に、白書をもとに、「公共施設等総合管理計画」を作る予定です。
このたびの2016年3月定例議会に上程された2016年度予算案に、そのための予算が盛り込まれ、可決されました。
具体的な内容は分かりませんが、1年間かけて、具体的な計画を立てることになります。

蕨市公共施設等マネジメント白書の表紙

なお、白書は、この度の一般質問の時点では、まだ公開されていませんでしたので、内容はこの私の一般質問の内容には反映されていません。

 

 

蕨市のファシリティ・マネジメントについての、不満と問題点

・成果物として何が出てくるのか、よく分からない。
・どのように作るのか、プロセスが、よく分からない。
・途中経過が、市民に対してあるいは議会に対して、まったく公開されていない。
・市民があるいは議会が、作成プロセスにおいて、意見を表明する機会がない。

以上の4点が、私の不満でした。
要するに、
「行政当局の内部で、外部のコンサルを使って、ちょこちょこと作っているようにしか見えない」
ということです。

 

市長は、予算編成権を持っている行政トップなので、手続き的には、必ず議会に諮らなくてはならないわけではなく、審議会などの諮問機関に掛ける必要もなく、独断で決めることも可能ではあります。

 

しかしながら、私としては、そういうやり方ではなくて、もっと情報公開をしつつ、広く会議を興して、多様な意見を反映させて、作るべきと考えました。

 

ファシリティマネジメントというのは、
・今だけではなく、数十年後の将来に渡って、財政上の大きな影響を及ぼす、重要な案件だからです。
今の段階でどんな意思決定をしたとしても、将来の蕨市民の取り得る選択肢の範囲を狭めてしまうからです。

本市は、バブル期に高値掴みして買った土地がたくさんあり、その処理に、私達は未だに苦しんでおります。同じように、ファシリティマネジメントも、数十年後の蕨市の財政に大きな影響を及ぼすものです。

 

 

蕨市のファシリティ・マネジメントを進めるに当たっての大方針の必要性

そもそも計画策定に当たっては、グランドデザイン・大方針が必要なはずです。

優先順位をどう付けるか、複数ある施設をどうやって統廃合していくのか、様々な選択肢があります。そのようなパズルを組み立てていくかのような複雑な組み合わせを考えていくにあたっては、答えは機械的に自動的に決まるものではなく、何となく場当たり的に判断していくべきものでもなく、将来を見通した上でのグランドデザイン・大方針に基づいて考えていくべきもののはずです。

このような、蕨市ファシリティ・マネジメントのグランドデザイン、大方針は、今までに公の場で話し合われたことはありません。

市長の頭のなかにある、ファシリティマネジメントのグランドデザイン・大方針も、体系的・網羅的に明らかにするべきです。

 

 

 

蕨市のファシリティ・マネジメントを進めるに当たっての大方針の保谷私案

ということで、一般質問の場で市長に対して、もっと情報公開をしつつ、広く会議を興して、多様な意見を反映させて進めていくことを求めつつ、市長自身の大方針を開陳することを求めました。

同時に、私なりの、「存在感大きな街 ビッグシティ蕨を目指すための、ファシリティ・マネジメント大方針 保谷私案」として11項目を発表致しました。


 

  1. 財政負担と便益の平準化
  2. 財政負担の長期的な極小化
  3. 防災面の強化
  4. 民間への移行を進める
  5. 施設の複合化・他用途への転用を進める
  6. 受益者負担の原則の拡大
  7. 子ども関連の優先
  8. 他市町村との競争において、ハードで張り合わない、ソフトで勝負する
  9. 強力に情報公開すべし、広く会議を興し公論に決すべし、適宜見直すべし
  10. 資産を極力持たずに減らす、最適化を図る
  11. 将来の近隣市との合併論議再発の可能性を視野に入れておく

 

 

一つ一つを以下に詳述します。

 

  • 財政負担と便益の平準化

平準化」とは、要するに、時系列的に現在も未来も、等しく均してしていこう、ということです。

財政負担の平準化」は、例えば、建物を1億円で建てたとして、20年間使うならば、(金利の概念を除いて説明すると、)1億円/20年間 = 500万円/年 となりますので、20年間毎年500万円ずつ払っていこう、ということです。
まあ、当たり前といえば、当たり前ですね。
具体的には、借り入れを起こし、その借入金を20年間かけて払っていこう、ということです(当然、利息が発生します)。たとえ、手元に余ったお金があったとしても、それを使わずに、敢えて借り入れを起こして20年間かけて払っていこう、ということを、「財政負担の平準化」といいます。

その建物は、20年間使うのであれば、それぞれの年の納税者が等しく負担するべきだ、という考え方が根底にあります。今、一括して支払ってしまう(負担してしまうと)、来年以降の未来の納税者は、負担ゼロでその建物を利用できることになり、世代間の不公平が発生する、ということになります。

通常の企業会計であれば、資産計上した上で、定額法なり定率法なりで、法定償却期間(事務所用RC造なら50年間)をかけて減価償却していくわけです。

しかしながら、自治体会計では、資産計上と減価償却という概念がありません。
歳出として、建てた年に1億円全額が計上されます。
従って、「財政負担の平準化」というのが、会計上極めて分かりにくいのです。

何でこんな分かりにくい仕組みになっているのか、未だに私はよく理解できていないのですが、そういうものです。歳出と歳入という2つの項目がある小遣い帳みたいなイメージです。

 

まあ、この「財政負担の平準化」というのは、当たり前の話で、あまり反対する人もいないと思います。

 

もう一つの「便益の平準化」、これは、ちょっと別の概念です。

私が見たところ、頼高市長は、自らの公約の重点項目である「市の借金総額の縮減」を優先するあまり、現在と将来に対する、本来必要な投資を怠っています。つまり、現在世代と近い将来世代の便益・ベネフィットは、他の世代と比べると、大きく削られてしまっています。

現在の蕨市財政には、バブル期に高値掴みして塩漬けになっている土地の借金という、失政による借金があります。「子どもにツケを回さない」というとカッコいいですが、これらは、言わば「過去から現在に付け回されてきたツケ」です。既に在るものは仕方がないので、この借金の返済は、現在世代だけが便益を我慢して負担するのではなく、広く薄く現在世代から将来世代に渡って負担していくべきと思います。
ゼロ金利時代ですから、支払いを先延ばししても、追加的な利息はたいしてかかりません。

積極的に借り入れを起こして、必要な投資を行い、便益を平準化して、世代間の公平性を確保するべきと考えます。

 

  • 財政負担の長期的な極小化

各ファシリティ単体での部分最適ではなく、全体最適を目指すべきです。
そのためには、公共施設・サービスの統廃合を厭わずに進めなくてはなりません。

サービスの統廃合というのは、嫌なものです。
サービスレベルが低下するわけですから。

では、どこまでサービスレベルが下がることを許容するのか?
何を持って、「無駄」と「やむを得ない負担」とを識別するのか?
全市民が100%納得する基準を作ることは難しいのですが、市全体での議論が必要かと思います。

 

  • 防災面の強化

市内各公共施設の耐震化は順次進められておりますが、まだ完成してはいません。
引き続き、高い優先順位を与えて取り組むべきですが、財政負担の平準化・財政負担の長期的な極小化を前提とするべきと思います。

耐震化に○×円かかるので、それならばこの建物の維持は諦めて統廃合する、というものも出てくるかもしれません。

 

  • 民間への移行を進める

官がやる必要がないもの かつ 民で出来るもの は、どんどん民間セクタに移していくべきだと考えます。

時代によっても環境、条件、が変わってくるので、意外と対象は多いはずです。
昔は民で出来なかったので、官でやる必要があったものの、今はそうではなく、民で出来る、というものは、たくさんあるはずです。

そのような領域の公共施設・サービスは、
・民間への売却、
・段階的に廃止して、その穴を順次民間セクタに埋めてもらう
・既に民間セクタの豊富な供給がある領域であれば、即時廃止
といったアプローチを検討するべきです。

例えば、
・2箇所ある市営プール
おそらく昔は民間のプール付きスポーツクラブは市内に存在しなかったので、学校以外で泳ぎたければ、市営プールに行くしかなかったのだと思います。今日では民間のプール付きスポーツクラブが市内だけでも2箇所、自転車で通える範囲の市外でもさらに複数箇所ありますので、もはや市が公共プールを提供していく意味はない、と言えるかもしれません。

・市営住宅
全国各地に同じような公営住宅がありますが、民間の住宅ストックが圧倒的に不足している時代に作られたものだと思います。今はキレイな空き家が市内にたくさんあり、今後ますます増えていく状況で、もはや市が直営で住宅を提供していく意味はない、と言えるかもしれません。低所得者層への社会保障という視点では、他の制度でカバーすることが可能なはずです。

・市立病院
昔は、市内に医療機関が少なくて、交通機関も未発達で市外に行くのも不便なので、市内に市立病院を作る必要があったのかもしれません。今日では既に市内に民間の医療機関が多々あり、交通機関が発達して気軽に市外の医療機関に通えるようになったので、市が直営で医療サービスを提供する意義は薄れている、と言えるかもしれません。
産科における分娩施設のように、市内唯一の機能もありますが、これは逆に言うと、市立病院の供給が民間の新規参入を妨げている、とも言えるかもしれません。

以上3つはあくまでも例であり、結論を急ぐべきではありませんが、このような議論を深めた方がいいと思います。

 

 

  • 施設の複合化・他用途への転用を進める

市内公共施設で、大きな需給ギャップがあるのは、
中期的には、
・保育園の不足
・特養老人ホームの不足
です。

他方で、長期的には、少子高齢化の流れは止まりませんので、
・人口減少
・子どもが減り、高齢者が増えるという人口構成の変化
が起こるので、
・保育園は供給過剰
に転じる可能性があります。

このような、本市を取り巻く環境を踏まえると、
公共施設は、単目的ではなく、複合目的利用するべきで、フレキシブルに部屋ごとに他用途に転用できるようにするべきだと考えます。
今後、新築・改築の際も、複合目的利用・他用途への転用を前提とした造りにするべきだと考えます。

これは、世の中全般的な公共施設の流行りでもありまして、お隣りの戸田市に目を転じてみると、
・芦原小学校
・あいパル上戸田地域交流センター
は、この考えに基づいて造られています。

 

 

  • 受益者負担の原則の拡大

少子高齢化の進展により、人口構成が大きく変わりつつあります。

「世代間の助け合い」を原則とする年金制度は人口構成の変化にうまく対応出来ておらず、多くの国民が不信感を抱いています。
団塊世代は逃げ切り世代とも呼ばれ、右肩上がりで景気がいい時代に家を買って一資産築いて、年金もしっかり受け取って豊かな老後を過ごしています。私が属する団塊ジュニア世代は、年金については払い込んだ分+利息分は、返ってこないと言われています。住宅ローンを組んで家を買ったとしても、右肩上がりに確実に値上がりすることは見込めず、逆に負債になるリスクに怯えながら暮らしていくことになります。今の子どもたち、更に将来の子どもたちの世代はもっと大変です。

また、高齢者層は、数が多い上に投票率も高いので、この世代の意思が政治に反映されやすく、シルバー民主主義とも揶揄されています。

少子高齢化による人口構成の急激な変化によって、世代間の不公平感は拡大しつつあり、これは社会の分裂を招きかねない危機的状況です。
(蛇足ですが、選挙権18歳引き下げは、この危機を小さくするための一つのアプローチです)

これらの危機に対処するためには、
・もっと社会保障を厚くして、世代間の資源の再配分を進めなくてはならない
という考え方もあるのかもしれませんが、そもそも今現在の、そしてこれからの問題は、
・世代間の資源の再配分が、うまく機能していない
あるいは、それどころか
・世代間の資源の再配分が、逆進的に機能してしまっている
ということです。

貧しい現役世代、将来世代の稼ぎが、豊かなリタイア世代に再配分されてしまっていて、シルバー民主主義が覆らない以上は、この流れを止めることは出来ない、というのが、現役世代・将来世代の不満の元です。

これらは一朝一夕には解決できませんが、、一つの考え方として、私は、過度の社会保障、肥大化した民生費を適正化して、かつ、受益者負担の原則を拡大するべきだと考えます。

私は、小さな政府を好みます。
政府の役割は、出来るだけ小さくあるべきです。
コミュニティバスとか市営プールとかは嫌いですね。
ついでに言うと、個人的には公民館も嫌いです。あんなものは、大東亜戦争敗戦後にGHQが勝手に作ったものです。そもそも「公民」などという言葉は、日本語にはありません。何だ公民て?現在の公民館が担っている地域コミュニティ機能は、かつてはお寺や神社が果たしていたはずです。蛇足ですけど。

 

 

  • 子ども関連の優先

首都圏内の他市町村と競争して、子育て世帯をぶん取ってきて、人口増・税収増を実現していくためには、限られた市の経営資源を、教育・子育て支援関連に重点的に優先配分するべきだと考えます。

子どもに「重点的に優先配分」する、ということは、「相対的に非優先される」領域が出てくるということですね。大人の事情で、敢えて詳しくは書きませんけど。

 

 

  • 他市町村との競争において、ハードで張り合わない、ソフトで勝負する

蕨市は決して貧乏な市ではないのですが、周りの市が相対的に豊か過ぎるのです。

人口たったの7万3千、一般会計予算233億の蕨市が、ハード面で競り合っていくのは厳しいです。

ソフト面、コンテンツで勝負していくべきだと考えます。

小中学校で言うならば、ピカピカな校舎、最新式の設備ではなく、教師の質・教育の中身に投資していくべきだと考えます。

コレはとても難しいことです。

ハードへの投資は、楽チンです。
ハコを作るだけ、整えるだけです。
お金を出して、然るべき時間をかければ、必ず出来上がるんです。
だからこそ、安易なハコモノ行政が未だに蔓延しているわけです。楽チンだから。

他方、ソフトへの投資は、茨の道です。
お金だけではなくて、知恵を絞って注ぎ込まなくてはならないわけですし、結果が出るのに時間がかかります。
教育分野であれば、場合によっては、子どもたちが大人になって、10年後、20年後にようやく結果が出てくる、というものもあるかもしれません。

 

 

  • 強力に情報公開すべし、広く会議を興し公論に決すべし、適宜見直すべし

繰り返しになりますが、未来に大きな影響がある以上、強力に情報公開し、広く議論をすべきです。
適宜見直すというのは、技術の革新、法制度の改正、人口動態の予測と実態のズレを適宜反映させていく必要があるだろうということで、当たり前のことなのですが、これは組織においては、時に前任者の否定になってしまうので、なかなか難しいことです。

だからこそ、3年毎とか5年毎とか、定期的に評価して見直すことを仕組み化しておくべきと考えます。

 

 

  • 資産を極力持たずに減らす、最適化を図る

土地を持っていればいずれは必ず値上がりするという時代ではなく、今後、人口減少時代を迎える中で、ハコモノの新設・拡充を迫られることはほぼあり得ません。
今は利用目的がないが、将来もしかしたら何かに使うかもしれない、ということもあり得ません。

将来に渡っても有効活用の見込みが無い、遊休土地・施設は、どんどん売却するべきと考えます。
昔は存在意義があったもの、今は無く、何となく他用途転用しているような、例えば西口連絡所のような施設も同様です。

蕨市北町1丁目26番地の日本車輌社宅跡地について、社宅取り壊し後にしばらく空地になっており、市が買い取ってはどうか?という話がありました。私の会派は、買い取り賛成派で、私自身も何となく賛成していたのですが、今は間違っていたと思いますね。

何か利用計画があって、そのためにその土地を買う、というのならいいのですが、
取り敢えず売りに出ているまとまった広さの土地だから買い取って、然る後に使い道を考える、
というのは、本末転倒です。

かつてバブル期に使い道もないのに高値掴みして土地を買いまくった失政の二の舞いですよ。
利用目的もないのに取り敢えず借金して土地を買うことは、将来への投資とはいいません。

 

 

  • 将来の近隣市との合併論議再発の可能性を視野に入れておく

2000年から2004年にかけて川口市、戸田市、鳩ヶ谷市との合併交渉が進められて、破談になりました。

将来、再び他自治体との合併交渉を行う事態が出来する可能性があります。
為念、私が望んでいるわけではありません。あくまでも可能性の話です。

その時の、後輩たち、子供世代、孫世代、ひ孫世代の意思決定の足枷になるようなことは出来るだけ避けるべきだろうと考えます。

ファシリティマネジメントにおいては、何をやっても、あるいはやらなくても、いずれにしても将来に影響を及ぼすものなのですが、将来世代の取り得る選択肢の範囲は出来るだけ幅広く残しておくべきと考えます。


蕨市議会 2016年3月定例会の一般質問(1) わらびりんご公園の環境整備・改修について

ただ今、蕨市議会の2016年3月定例議会が行われているわけですが、昨日、2016年3月17日に、私の一般質問(各議員が、持ち時間の範囲で、行政側に対して質問をする形で、好き勝手なことをしゃべれる仕組み)がございました。

3題を取り上げたのですが、順番に説明してまいります。


1つ目は、掲題の通り「わらびりんご公園の環境整備・改修について」でした。

毎回、3~5題のうちの1つは、地元ネタを織り込むようにしています。

↓前回の2015年12月定例会では、富士見公園(野球場)を取り上げましたが、今回はわらびりんご公園です。

hoya_t blog 2015/12/8 : 蕨市議会 2015年12月定例会の一般質問

 

公園は、使っていくうちに設備が壊れたり劣化したりしますので、日々のメンテナンス、絶えざる改修、改善が必要です。

また、平成22年度にオープンしたこの公園は、オープン前に地元の人たちを交えて何度も議論を重ねて詳細を詰めていったそうですが、リリースした後は、やはり「追加であそこをああしたい」、「ここが問題なので、こうしたい」というような意見が出てくるものですね。

 

要望については、地元の方々の意見を集約して、合計3件申し上げました。

 

201602 わらびりんご公園

公園敷地の東側角と、西側角に2箇所ある、駐輪場です。
せいぜい10台くらいの小さなものです。

頭から突っ込んで停める仕組みになっています。

駐輪場の横面には、緑と白のパイプが常設されています。
奥面には、何もありません。

心ない人が、この奥面から公園中央部へと出入りするために、植え込みが荒らされてしまっています。

地元の方々が、トラロープを張るなどの対策を施しているのですが、効果はありません。

新規にパイプを設置するなどの対策を講じて欲しいと思います。

 

 

201602 わらびりんご公園

2点目は、公園中央部の築山・小山の表土、表面についてです。

小山の北半分はコンクリート製スロープとなっていて、南半分の土部分に芝生が植えてあります。

子どもが走り回ることによって、南半分の土部分の表土が剥げてきています。周囲の人家に向かって風で土が吹き飛ぶことがしばしばあります。風が強い日は洗濯物を干せない、という家もあるようです。

また、コンクリート製スロープと土部分の境界に、表土が剥げることによって段差ができてしまい、遊び回る子どもたちにとって危険です。

201602 わらびりんご公園

その上、小山の表面は不規則に表土が剥げているために、ボコボコの穴ができてしまっています。

今までにも何度か、土を盛るなどしてメンテナンスしているのですが、まあ、子どもに走り回るなとも立入禁止とも言えないし、仕方がないですね。

時々補修することが必須です。

 

3点目としては、公園全面の芝生を侵食している、雑草のシロツメ草対策です。

シロツメ草は見た目はきれいですが、芝生を駆逐して繁殖してしまうので、要するに雑草なのです。地元の方々が、いろいろな除草剤を試してみたらしいのですが、芝生には効かずにシロツメ草にだけ効果がある除草剤というものもなかんかあ見つからず、苦労しているようです。

おそらく、わらびりんご公園だけではなく、全国津々浦々の公園で、同じようにシロツメ草の繁殖に苦労しているのではないでしょうか。

 

1つ目と2つ目については、来年度(28年度)予算で取り組んでもらえるみたいです。


0206台南大地震の倒壊ビル現場

先日、2016年2月6日に台南において、大地震が発生した。

ハフポスト 2016/2/6 : 台湾南部で大地震、台南市では7つのビルが崩壊などの被害

報道によると、一つのビルが完全に横倒しになった他、複数のビルが傾いてしまったらしい。

 

倒壊したビルの現場映像は、ドローンで撮った、↓これが状況が分かりやすい。

youtube : 台南市永康區, 永大路上維冠金龍大樓倒蹋空拍現場怵目驚心
(embed無効になっている)

 

3月定例議会開会中の忙しい折りではあるのだが、年頭に、今年のテーマを「防災」と定めたので、先日2016年3月8日に、0206台南大地震の倒壊ビル現場を見に行ってきた(私費)。

 

倒壊したビル、維冠金龍大樓は、台南駅からバスと歩きで30分くらい。
台南に行くのは4,5年ぶりくらいかな?

地震発災からちょうど一ヶ月のタイミングだったが、市内一面が瓦礫の山・・・なんてことは全く無く、市内はすっかり平常通りの生活に戻っているようだった。

20160309 台南大地震 ビル倒壊現場

維冠金龍大樓 跡地。

すっかり整地されていた。

三陸の東日本大震災の現場は、規模が大き過ぎて片付けるのがたいへんだったという物理的な事情もあるが、震災遺構を残そう派と、辛い思い出だから早く撤去したい派で意見がまとまらずに、被災現場が数年間放置されていたような場所も多かったが、この地では、事情が違うみたい。

何か落としものを探すかのように、下を向いて延々と歩きまわっているご婦人の姿に、胸が締め付けられる思いが致しました。

20160309 台南大地震 ビル倒壊現場

被害に遭われた方々のご冥福をお祈り申し上げます。

20160309 台南大地震 ビル倒壊現場

3月5日には、大規模な追悼法要が行われたようです。

20160309 台南大地震 ビル倒壊現場

この記事の上の方で紹介したyoutubeのムービーを見れば分かるように、倒壊したビルは、横倒しになってすぐ横の幹線道路の上に覆いかぶさり、更に道路の向かい側の敷地(googleストビューの画像によると、平屋建てのメシ屋と中古車販売店があったようだ)にまでのしかかるようにして倒れていた。

ここは、その、幹線道路挟んで向かい側の敷地。

既に調査の類は終わっているようで、瓦礫の撤去作業が行われていた。

 

当地の報道によると、倒壊したビルは、手抜き工事によって構造上の問題があった、例外的な事例らしい。

建物の耐震基準と設定と、その普及の度合いについては、我が国の方が遥かに進んでいる。

 

台灣は時々大地震が起こるが、津波の心配はまったくないみたい。

尋ねてみても「ん?津波?そう言えばどうだったっけ?」みたいな反応が返って来て拍子抜けした。


国会における、くだらない揚げ足取りやヤジ

先日、安倍首相が参議院本会議における答弁において、「保育所」と読むべきところを、「保健所」と読み間違え、大炎上する事案がありました。
野党からの非難のヤジで騒然としたそうです。

産経新聞 2016/3/11 : 安倍首相、「保健所」誤読で議場騒然 「子供の苦労ないから…」と共産委員長

本会議での答弁なので、その場で考えながら話すわけではなく、予め練りに練って作られた原稿を読み上げているものと思います。

普通は読み間違えるようなものではありませんし、待機児童問題についての答弁なので、内容的にも「保健所」では通じないのですが、まあたまにこういうこともありますわね。

日共の某氏による「子供を保育所に預けた経験があり、苦労した経験がある、あるいはそういった苦労している人の声に耳を傾けたことがあれば、保育所を保健所と言い間違えることはない」という発言は言語道断で、グローバル・スタンダードに晒されて仕事している人ならば、こんな発言をしたらキャリア的に終了してしまうので、あり得ないでしょう。

 

 

それはともかくとして、地方議会では(少なくとも蕨市議会では)、こんなくだらない揚げ足取り、ヤジは絶対に起こらないですね。

 

その理由は、各議員間の距離感が違うからだと思います。

数百人の議員がいる国会では、会派が異なると、お互いに接点を持ちにくく、話したことが無いどころか、お互いに顔と名前が一致しない人もいるでしょう。

だからこそ、品性のないヤジがあふれる動物園の状況になってしまうのだと思います。

地方議会では、多くてもせいぜい50人くらい(かな?)、蕨市議会なら18人ですので、お互いに接点が多く、視察の類で一、二日間一緒に過ごすこともあるし、仲がいいかどうかはともかくとしてお互いに敬意を払う人間関係が出来上がっているので、バカみたいな下らない揚げ足取り、ヤジの類を発する人はいません。

 

国会が上位で地方議会が下位ということは決して無いのですが、
国 – 都道府県 – 市町村
という厳然たるピラミッド構造があり、他方で「地方自治は民主主義の学校」という言葉もあります。

国会があれだけ尊敬できないくだらない人たちで溢れているのだから、地方議会はもっと酷いのだろう、と思っている人も多いと思いますが、まあ、そんなことは無いですw

 

ところで、以前のエントリで書いたように、私個人的には、議会におけるヤジそのものには肯定的に捉えております。

hoya_t blog 2012/7/30 : 議会のヤジは別に悪いものではない。