さて、先のエントリで述べたように、昨日、蕨市総合防災演習がありました。
演習において、市議会議員が何をやっていたかというと、「行政のチェック」であります。具体的に演習の中で作業をしたり、会議をしたり、ということは全くありませんでした。
非常時における市議の役割
そもそも非常時においては、実は、市議の役割はオフィシャルには何もありません。
非常時には、行政においては、予め決められたルールに従って、非常時の体制が動き出します。
市長以下スタッフは緊急に呼び出され、緊急対策本部のようなものが組成されることと思います。
対策本部は、まずは市役所内に設置されますが、市役所庁舎が壊滅した場合は消防署に設置されることになっています。
このような非常時においては、オフィシャルには市議の役割は何もありません。
行政から市議に対して何らかの特別な情報伝達ルートが敷かれている訳でもありません。市からの情報は、市webサイト、防災無線、広報車などによって知るのみであり、この点は市議もそれ以外の一般市民も何らの違いもありません。
そもそも、市議は平時においては(行政のチェックに関わるもの以外の)何の予算も権限も持っておりませんし、これは非常時においても同様です。
「市議は、地域の代表者なのだから、行政から特別に情報を教えてもらえるべきだ!非常時においては、何らかの特別な役割を果たすべきだ!」という意見もあるのですが、他方で、私は以下のように考えています。
・非常時には、首長に権限を集中するべき。
非常時においては、迅速な意思決定が必要です。
時間をかけて十分な検討をしている状況ではないのです。
場合によっては、首長が自らの権限を超えて、超法規的措置を行う必要も出てくるかもしれません。
平時であれば、補正予算を組むためには「議会の議決」が必要ですが、そのような余裕がないような非常時(議員の過半数が災害で死亡して、議会が開催できない事態などを想定)には、首長が独断で「議会の議決」を経ずに補正予算を組まなくてはならないかもしれません。
このような非常時においての市議の役割は、「首長・行政のジャマをしないこと」です。
その際に、首長は、自らの信念に従って、腹を切る覚悟で、本来の権限を超越してでも、正しいと思うことを行わなくてはなりません。事後的に「議会のチェック」を行うことはもちろん必要です。事後、「間違った意思決定だった」と議会が判断すれば、首長は腹を切る必要があります。
ご参考:【佐藤優の眼光紙背】国家翼賛体制の確立を!
3.11大震災・原発事故の際に、元外交官の佐藤優氏は、暫定的な国家翼賛体制の確立を唱えましたが、これは地方自治体においても同様です。
※ 以上は、首長というファンクションについて一般論的に論じたものです。日本共産党籍を持つ、共産主義者である頼高英雄現市長に権限を集中することの是非を論じたものではありません。
逆に、私は、首長は非常時に権限が集中されるべき存在であるからこそ、共産主義者を首長にしておくことは危険であり、3年後の次の選挙では市政を保守の手に取り戻さなくてはならないと考えます。
・非常時には、行政と各地域との情報伝達ルートはシンプルであるべき。
市議一人ひとりは、市内各地域に地盤を持ち、地域内のネットワークを持っています。
他方で、町会という地域ネットワークが存在します。
もちろん、地域ネットワークは、これ以外にも様々なものが存在します。
非常時においては、行政と各地域との情報伝達ルートはシンプルであるべきです。平時のように多重化した状態だと、効率も悪く、混乱を招くおそれもあります。
現状では、町会が、最も網羅性が高く、堅固な組織でありますので、行政との情報伝達ルートはここに一元化すべきと考えます。
復旧・復興フェーズにおいて市議がなすべき仕事は山ほどあります。
これについては、別の機会に論じたいと思います。