蕨市の市議会議員に、平成23年(2011年)の選挙で当選させてもらって1期目がスタートしてから、そろそろ丸10年となります。
3期目であり、今は3期目(1期は4年間)のちょうど中間地点となります。
1997年に社会に出てから四半世紀が経過するわけですが、一つのジョブを10年間という長きに渡り続けるのは初めてですね。
今年47歳になりますので、残りの職業人生は、60歳で引退するならば後13年、65歳ならば後18年、ということになります。
キリがいいタイミングなので、自分としても、キャリアの棚卸しをしつつ、今後の人生設計を改めて考え直しているところです。
本業は、ネット系・IT系で、自分の会社を持っていますが、市議会議員に就いてからのこの10年間は、会社は維持しているものの、実質、休眠状態です。現場を離れて久しい上に、動きが早い業界なので、もはやこの業界には戻れなさそうです。昔みたいに、連日終電が終わる時間になってもパワポやエクセルの作業を続けたり、オフィスに何日も泊まり続けたりするような気力も体力もないですしね。
蕨市議会の議員報酬は、諸手当込みの固定制で750ほどですが、この程度の金額で(これはあくまでも売上なので、サラリーパーソンの年俸とは異なる。別途、選挙費用などの諸費用、接待交際費、組織の上納金などが発生する上に、これらの経費は税務上損金算入できない)、かつ、努力や成果に応じてインセンティブがあるわけでもなく、大きなストレスに晒されながら(しかも政治家は世間では家業とみなされているので、家族にも膨大な理不尽な負担がかかる)、過去に稼いで作った虎の子の資産を食い潰しながら生きていく将来の見えない生活は、正直、かなりしんどいです。
まあ、正直、ジョブというよりもボランティアだと思ってやっております。
時間が拘束される有償ボランティアという感じですかね。
報酬は、時間の拘束への対価だという認識です。
言わば、「本業のジョブそっちのけで、ボランティアだけやっている」、みたいな感じですね。
それなりの資産があって、時間が余っているリタイアした方や、資産家のボンボンならばいいかもしれませんが、そうでなければ、しんどいですね。
そう言えば、話変わりますが、
私が初当選の頃、引退する先輩議員(かなり年上の方)がいて、引退の挨拶の中で、
「自分は、議員を永年やらせてもらって、皆様に大変お世話になりました。これからお世話になった皆様に恩返ししていかなくてはならないと思っています。」
という趣旨の内容があり、仰天したことがあります。
「当該引退議員 →→ 地域社会
経験・ノウハウを投じ、労力を費やして、地域社会に対して粉骨砕身して貢献をしてきた」
ということではなく、
「地域社会 →→ 当該引退議員
とてもお世話になりました」
という解釈なわけですね。
本気でそう思っていたのかどうかは分かりません。方便かもしれません。
お世話になっていなくて逆にお世話していたとしても、「お世話になっております、株式会社○☓の☆★です」と挨拶するのが、正しい大人のマナーですから。
真逆じゃん、と思うとともに、これはとんでもない世界に足を踏み入れてしまったのだなあ、と思ったものです。
引退した先輩議員についての余談ついでにもう一つ余談を。
最近、気がついちゃったんですよね、黄金の法則に。
引退した昔の先輩議員たちについての、街の声・評価を耳にする機会がありますが、だいたいにおいて誹謗にまみれているのです。
曰く、
・あいつは大した仕事はしなかった。
・あいつは頼んでも動いてくれなかった。
・あいつを応援して損した。
・あいつは何もしなかった。
・あいつは恩知らずだ。
などなど。
基本的に、この種の話を耳にしても、その場では反応せずに聞き流しますし、実際に個々の先輩議員がどのような仕事をしたのか、能力がどうだったのか、ということは詳細に至るまで把握しているわけではなく、その中には実際に無能で何もしなかった人もいたのかもしれませんが、改めて思い返してみると、かなりの数の先輩議員方について、この法則が当てはまるのですよ。
元国会議員は別です。国会議員なんて、だいたいにおいて、中央で何をやっているかなんて、地元からは見えないので、批評しようがないのです。
地元密着の地方議員は、扱っているテーマが身近であるがゆえに、批評しやすいのです。
結局のところ、種々雑多な「地元の御用聞き」の全てを叶えることは出来ないので、上記のような評価になってしまうのではないかと。
「引退した地方議員は誹謗される」は、某半島国家の歴代元大統領は、「退任後に逮捕されるか自殺する」というのと同じくらい黄金の法則ですね。
その結果として、蕨市議会では、少なからぬ引退した先輩議員方は、会派を問わず、引退後に、蕨市を離れて、市外に生活の拠点を移しています。
自分だけがこの黄金の法則を免れることはあり得ないだろうな、と考えると、暗澹たる気持ちになりました。
現場からは以上です。