蕨市議会 2011年12月定例会報告(3) 一般質問 市内の特養2施設及び運営団体との関わり方

蕨市内の特養とその運営団体
市内の特養は2施設。
ともに、北町5丁目にある。
第一サンクチュアリ(80名)と、第二サンクチュアリ(34名)。
運営団体は、ともに社会福祉法人 寧幸会
蕨市内の特養の設立の経緯
第1サンクは、昭和57年に出来た、蕨市にとって初めての特養である。
市が主体となってつくった。

市は30年契約で土地を無償で貸与し、2億円の補助金を出し、1億円の長期借入金の元利償還金補助を県とともに行った。

つまり、市は、この特養に対してかなり大きなお金を投じている。



特養を経営するために、社会福祉法人寧幸会という運営団体を設立した。
この時点では、市自身で直接経営するという選択肢もあり得たのだが、どういう経緯でか、このようになった。

社会福祉法人という組織は、民間の株式会社とは異なるが、
資本金に相当するものとして、市が、100万円を出資した。(市以外の”株主”は不明)
代表取締役-取締役に近似するポジションとして、理事長-理事というものがあり、設立当時、当時の市長が理事長として、健康福祉部長が理事として経営に参画致した。



つまり、設立当初は、社会福祉法人 寧幸会及び第1サンク、第2サンクは、市が主体となってつくり、運営していた。
そもそも特養って何? 有料老人ホームとの違いは?
ぶっちゃけ、私もよく知りませんでした。
今回、かなり体系的に調べて、ざっくり把握しましたが、制度が複雑かつコロコロ変わっています。
以下、ざっくりした説明です。
特養というのは、特別養護老人ホームのことです。
老人ホームというのは、高齢者の終の棲家です。
基本的には、人生の最終章において、終幕まで過ごす場所としてご本人もご家族も認識している前提です。
老人ホームには二種類あります。
特養と有料老人ホーム。
ざっくり違いを説明すると、特養は公、有料老人ホームは民
特養は、補助金がたっぷり投入されていて、利用料も安い。だからと言って、公営という意味ではなく、公的な性格を持った民間団体経営、ということ。全国的に数が不足している。誰でも利用できるわけではなく、公的審査プロセスにおいて要介護と認定された人だけが入居資格が得られる。更に、ウェイティングリストに登録し、空きが出るまで待つ必要がある。基本的には、地元の人がその土地にある特養を利用する、という前提。
有料老人ホームは、民間が営利目的で経営している。利用料は、高いところから安いところまでピンキリ。一流ホテル並みの豪華設備を誇り、数千万円とか入居料を取るところもあるらしい。お金を積めばすぐ入居できるだろう。
平成12年に出来た新介護保険制度
介護に関わる仕組みが大きく変わった。

大雑把に制度以前と以降の違いを説明すると、
・家族の負担を、社会全体で分かち合っていく、
・官から民へ、
・医療と福祉別々であったものを、総合的に、
というものである。
蕨市における、新介護保険制度の前後の違い
新介護保険制度下で、市 と 社会福祉法人寧幸会及び特養2施設 との関係は変化することとなった。
旧制度下では、社会福祉法人寧幸会及び特養2施設は、前述のように市が主体となって設立し、経営してきた。
新制度下で、新制度が求めている通り、両者の関係は薄れつつある。
市は、寧幸会との人事交流を廃止した。
市は、平成22年、2億5百万円をかけての第1サンク大規模改修の際は、補助金支払い、債務負担などの財務面での支援をしなかった。
蕨市にとっての社会福祉法人 寧幸会は、いわゆる「外郭団体」という概念とも違うし、民間における「子会社」、「関連会社」というのとも違う。
蕨市内の既存特養の今後の課題
以上を踏まえつつ、
社会福祉法人寧幸会及び特養2施設に対しては、
・既に大金を投じており、このお金が有効に活用され続けるように監視する必要がある
・特養というのは公的な性格のものであり、健全に安定的に経営され続けるように監視する必要がある
という理由から、
今後もコミットし続けるべき、
というのが私が所属する保守系会派 新生会の主張です。
他方、社会福祉法人寧幸会及び特養2施設側も、市に対して説明責任があります。


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コミットメントの具体的プロセス
繰り返しますが、ポイントは、
・既に投じた市のお金が有効に活用され続けるようにすること
・市がつくった特養が健全に安定的に経営され続けるようにすること
です。
具体的には、順番としては、以下のようになります。
①チェックする。
②問題があれば、正す。
③お金が足りないならば、追加で投じる。
社会福祉法人寧幸会が、自ら、市から受け取ったお金を有効に活用し続け、健全に安定的に経営しているならば、①の段階で「OKです」ということになると思います。
この件については、いろいろ大人の事情があって書けないこともあるのですが、興味ある方は直接声掛けてください。私もまだぺーぺーなのでw

蕨市議会 2011年12月定例会報告(2) 一般質問 埼京線の終電延長に関するJR東日本への要望

一般質問は3件行い、そのうちの一つが、埼京線の問題であった。

「埼京線の終電が早過ぎる。もっと遅くするように、JR東日本に対して、近隣他市・県と連携して要望を出して欲しい」というのが私の主張である。
蕨市には2つの生活圏が存在
一都三県にまたがる首都圏全体で一つの生活圏とも呼べるが、より細かく見てみると、鉄道路線沿線ごとに生活圏が異なる。
それぞれ住んでいるユーザ層、ライフスタイルが似通っており、緩やかにグルーピング出来る。
私は今まで、埼京線、高崎線(京浜東北線と同じ)、常磐線、東急田園都市線のそれぞれの沿線生活圏に住んでいたことがある。
印象論だが、
高崎線沿線は、成熟した街であり、古くから住んでいる世帯が多い、すなわち複数世代同居が多い。畢竟、オヤジ率が高い。ここ10年くらいはタワマンが増え、若いファミリーも増え、若干様相が変わってきた。
常磐線沿線は、会社の寮・社宅が多く、世代を問わずコツコツと真面目に働くリーマンが多い。
埼京線沿線は、新興住宅地ゆえに若い世代が多い。しかしながら、独身一人暮らしは少なく、ファミリーばかり(子供がいない若い夫婦世帯含む)。
田園都市線は、ハイソな雰囲気が漂い、ファミリーは金持ちが多いが、独身一人暮らし社会人~学生も多い。
蕨市においては、実は
・京浜東北線生活圏
・埼京線生活圏
の2つが存在する。
京浜東北線生活圏はやはり成熟した街である。どこの駅も駅前はお店がたくさんあってごちゃごちゃしているが、すべての街が成熟フェーズを迎えている訳ではない。「埼玉のマンハッタン」と呼ばれる川口駅近辺のように、古い街ではあるが、タワマンが立ち並ぶようになり、駅前が活性化している街もある。駅から徒歩圏内に住んでいれば、買い物などの生活に困ることはなく、クルマは不必要だ。
成熟しているがゆえに、代々住んでいる世帯が多く、従って年齢層も幅広い。
埼京線沿線は、昭和60年、東北・上越新幹線とともにオープンした新しい路線ゆえに、街も新しい。新しいマンションが未だにぼこぼこ造られている。武蔵浦和などの一部の駅を除いては、駅前はだだっ広くてお店はほとんどなく、メシを食うにも日常の買い物にも困るところが多い。駅近くに住んでいたとしても、クルマがないと不便だろう。
新興住宅地ゆえに、40代以下の若いファミリーが多い。一人暮らし向けの物件が少ないために、学生~20代の一人暮らし層はほとんどいない。
埼京線を便利にするための蕨市の今までの取り組み
埼京線戸田駅、北戸田駅を利用する蕨市民は多いが、市内を通り抜けている路線ではないので、市としての取り組みは今までは手薄だった。
毎年実施している市民意識調査などのリサーチにおいても、現状の課題や要望が浮かみ上がってくるようなことはなかったし、市役所に直接届く(電話やメールなどの)声というのも、今まではなかったらしい。
当然ながら、市役所の担当部署としても、そもそも課題を認識していなかったようだ。
蕨市議会で取り上げられたことも、一度もない。
これは、埼京線生活圏における、いわゆる新住民の政治参加が少ないことも一要因。
埼京線の課題
よく言われているのが、
①終電が早過ぎる。
②通勤通学ラッシュ時の混雑がひどい。
③痴漢が多い。
というもの。

②については、りんかい線への乗り入れを含めて少しずつ改善がなされている。
③については、全国に先駆けて女性専用車両や防犯カメラを導入するなどの施策が取られている。

そこで、今回の一般質問では、①終電が早過ぎる 問題のみにフォーカシングした。
(①、②が現状で十分というわけではなく、あくまでもネタを一つに絞っただけ、ということ)





埼京線の終電時刻はどのくらい早いのか
都内向けの通勤・通学路線として競合する京浜東北線、東武東上線と比較してみよう。
上野駅からの終電は、
京浜東北線 蕨駅方面へは、 24:30発→25:01着であるのに対して、
埼京線 戸田駅、北戸田駅方面へは 23:47発→24:19着と、43分早い
池袋駅からの終電は、
京浜東北線 蕨駅方面へは、埼京線経由 赤羽駅乗り換えの場合で24:41発→25:01着、
東武東上線 和光市駅方面へは、準急にて 24:44発→24:56着であるのに対して、
埼京線 戸田駅、北戸田駅方面へは、24:00発→24:19着と、京浜東北線より41分、東武東上線より44分早い
40分の違いというのはとても大きい。
住む家を探すときに、埼京線沿線はそもそも検討対象外にされてしまう。
私自身は、埼京線の終電を逃したら京浜東北線で蕨駅まで来て、そこから歩くかタクシーを使う。タクシー乗り場は終電間際は長蛇の列で、特に雨の日なんかはかなり待たされてうんざりする。





近隣他市/県における認識
埼京線生活圏の住民が、現実的に終電の早さにどのくらい不満をもっているのか?
戸田市の平成22年度市民意識調査に参考になるデータがあった。
「公共交通機関を利用しやすくするための重要な取り組み」として、9つの選択肢の中から1つだけ選ぶ設問があり、
1位「埼京線の混雑解消のための増発」26.0% に次いで、
2位「埼京線の終電時間の延長」が17.8%
となっている。
年齢別でクロスすると、
「終電延長」要望は、20代、30代、40代(20~29歳、30~39歳、40~49歳)の3セグメント加重平均で25.9%となっており、独身世代、若い夫婦世代において、要望が多いことが推測出来る。
居住地別でクロスすると、
北戸田駅、戸田駅の沿線である新曽地区において28.4%となっている。
戸田市においてこれだけ埼京線の終電を延長して欲しいという声が大きいのであるから、蕨市埼京線生活圏においても同様であろうと推測出来る。


近隣他市/県における取り上げられ方
近隣の戸田市議会、さいたま市議会、また埼玉県議会においては、しばしばこの問題が議論されている。

これらの議会での議事録を見ると、近隣各市及び県においては、終電時刻問題を重視し、JR東日本に対して継続的に延長要望を投げかけていることが分かる。





まとめ
今回は、あくまでも市に対してリクエストしたのみです。市執行部側からも、具体的なアクションが約束された訳ではありません。また、JR東日本側の事情としても、車両基地の位置などのテクニカルな問題があるために実現は容易ではないようです。
しかしながら、継続的にJR東日本に対して、沿線自治体が団結して要望し続けていくことが大切と考えます。

このように、従来、政治参加が少なかった新住民の意見を、今後も力を入れて取り上げていこうと思っています。