【蕨市議会】平成23年度 蕨市立病院事業会計 決算

こちらの議案質疑は、私が行ったものではなく、会派幹事長に代表質疑という形でやってもらいました。

ですので、議事録には私の名前は載っていません。
一般会計からの繰入の内訳と算出根拠
市立病院は、公営企業会計というルールで決算を行なっています。
一般会計と異なり、PSとBLが存在するので、多少は民間企業の会計に近いといえば近いのですが、よく分からない概念が「一般会計からの繰入」というものです。
※ 市の会計は、
一般会計(土木、教育、民生・・・など市の行政の中心となる部分)
特別会計(国保、介護保険、区画整理など)
公営企業会計(市立病院事業、水道事業)
から成り立っています。
「一般会計 – 特別会計・公営企業会計」の関係は、
民間企業でいうと「親会社 – 子会社」に近いのではないかと思います。
一般会計からの繰入って何?
お金の流れとしては、
一般会計 → 市立病院事業会計
となっています。
一般会計側からみたら「繰出」であり、市立病院事業会計側からみたら「繰入」となります。
この一般会計からの繰入を、民間企業でいうところの親会社から子会社へのお金の流れとして解釈すると、訳が分からなくなります。
民間企業において、親会社から子会社にお金が流れているとすれば、以下の2つのパターンしかあり得ません。
①増資
 資本金になる。つまり、BSに資本として載る。
②借入金
 長期借入金または短期借入金として、BSに負債として乗る。
 (逆に、親会社側からみれば貸付金。)
 要するに借金です。いつかは返済しなくてはならない。親子間といえど利子が発生する。
 もしくは、どこかのタイミングでデット・エクイティ・スワップするという手もある。(増資して資本に組み入れる、つまり①パターンに切り替える)
では、一般会計からの繰入は、増資なのか?借入金なのか?
これ、正直、恥ずかしながら未だによく理解できていないんですけど、単に「もらった」という扱いになるようです。
つまり、PLに売上として載ります。
当然、単にもらっただけなので費用は発生しないので、利益率100%であり、同額が営業利益に上乗せされることになります。
一般会計からの繰入は、幾ら?
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ざっくり、毎年2億5千万くらいです。
従来、日本共産党籍を持つ共産主義者の頼高英雄市長は、
市立病院を黒字化した
ということを自らの業績として誇ってきました。
私たち 保守系会派 新生会では、
毎年2億5千万の一般会計からの繰入があり、これは赤字補填と同じであり、「黒転した」というのは数字のマジックに過ぎない。
と主張してきました。
そこで、この度の議案質疑では、この一般会計からの繰入の内訳と算出根拠について聞いたわけです。
担当者から聞いたところによると、この
・緊急医療負担金
・企業債利息負担金
・子ども手当補助金
・院内保育所運営費負担金
4つの金額は、
国が定める繰出基準というものがあり、それによって自動的に算出されるものなのだそうです。
しかも、蕨市の場合は、苦しい財政事情のために、満額ではなく、減額されてしまっているとのこと。本来であれは、2億5千万ではなく、もっともらえるそうです(本来満額ならもらえるはずの金額については、ご担当者からは聞きましたが、ざっくりした数字なので、ここに書くのは控えます)。減額された分は、未収金にはならず、そのままもらうのを諦めた、ということになっています。
つまり、一般会計からの赤字補填 という性格のものではない、ということになります。
民間経営の病院であればこのようなお金はもらえませんので、事業の継続性を検討する上で、あるいはデューデリを行う際には、この一般会計からの繰入は除いて計算し直す必要があります。
22年度決算では8,713万の黒字、21年度決算では2,490万の黒字でした。
民間企業ならばもらえるはずもなく、公営企業だからこそもらえる一般会計からの繰入 2億5千万円があるからこそ、公営企業会計上は黒字になった訳ですが、仮に市立病院が民間企業であったならば赤字であったということになります。
しかしながら、私たち新生会の「病院事業会計を意図的に良く見せようとするために頼高市長は、一般会計から赤字補填をして、数字の操作をしている」という批判も、的外れであったということになります。
この点については、私見ですが申し訳なく思います。

【蕨市議会】平成23年度 蕨市 一般会計 決算 歳入②

からの続きです。)

滞納繰越分の徴収率が高過ぎることの指摘

世の中には税金を意図して支払わない人や、やむを得ぬ理由によって(手元にお金がないなど)支払えない人がいます。
期限を過ぎても納税してもらえなかった分を滞納と言い、これは市自身の努力によって徴収する必要があります。
商内をやっている人なら分かりますが、債権回収というのは、本当に大変で、精神的に消耗する辛い仕事です。
滞納繰越分の徴収額は、あらかじめ年度予算が決まっています。
言わばこれは、滞納分の徴収の目標額です。
予算(目標)に対して、収入済額(結果)が大き過ぎることを指摘しました。
それぞれの数値の差は、以下です。
23年度
市民税 +17.9%
固定資産税 +27.1%
都市計画税 +27.5%


22年度においては、
市民税 +29.1%
固定資産税 +41.4%
都市計画税 +41.4%


参考値として、国保においても、以下のような差がありました。
(国民健康保険特別会計 一般被保険者国民健康保険税 医療給付費分 滞納繰越分の、予算に対する収入済額の差)
23年度 +17.0%
22年度 +32.6%
まず、滞納分の徴収という、とても大変で辛い仕事を粛々と執行し、目標を達成した現場スタッフと市長の努力には敬意を表したいと思います。
その上で、
これだけ目標と結果に差があるのはおかしいのではないか?
そもそも目標値が低過ぎるのではないか。
日本共産党籍を持つ、コミュニストの頼高英雄市長は、公約において、
・市の滞納債権回収の体制強化と収納率向上
を挙げておられます。
この公約はもっともなことであり、市長として当然の努力だと思いますが、そもそもの目標値が不適正に低過ぎるのであれば、達成は容易に出来ることになります。
もっと適正な目標値を定めるようにと要望しました。
但し、これらの目標値は、予算という形で、市長が編成したものを議会が承認していますので、議会にも責任があります。25年度予算においては、適正な目標値を設定するように求めていきたいと思います。

【蕨市議会】平成23年度 蕨市 一般会計 決算 歳入①

先のエントリで述べたように、昨日2012年9月6日(木)に開かれた蕨市議会9月定例会において、平成23年度(2011年度)決算認定の議案質疑がありました。

私 ほやたけし(保谷武)は、一般会計 歳入について議案質疑を行いましたので、ご説明します。
税収のトレンドと、今後税収をどうしていくのか市(市長)の意志の確認
歳入は、自主財源と依存財源に大別できます。
自主財源のほとんどは、市税の税収です。
依存財源は、地方交付税、国庫支出金、市債など、外部から入ってくるお金です。
23年度は、歳入全体(=歳出全体)で225億。
内、市税は110億でした。
なお、地方交付税が17億、国庫支出金(補助金など)が36億、市債(借金)が13億です。
市税は、ざっくり大きく3種類に分けられます。
これらの税率は、国の法律レベルで決まっているので、市が勝手に動かすことは出来ません。
・市民税 個人分
 市内の個人の所得(稼いだ金額)に課税される。
・市民税 法人分
 市内の会社の所得(稼いだ金額。売上ではなく利益)に課税される。
・固定資産税、都市計画税(固都税)
 市内の土地と建物の価値に対して課税される。
まず、これらの今後のトレンド見込みについて確認しました。
・市民税 個人分のトレンド見込み
景気が悪いので、一人当たり所得は減っている。
人口は、直近の数字だと+2%の微増らしい。
しかし、wikipediaによると、1970年の77,225人(それ以前のデータはこのページには書いていない)。蕨市webサイトによると本年2012年9月現在で72,270人なので、長期的には減少しているとも言える。
他方で、高齢化は進んでいる、すなわち若い働き手の比率は減っていく。
トレンド見込みとしては、減少していくことが予想出来る。
・市民税 法人分のトレンド見込み
景気が悪いので、市内企業の利益額は減っている。
本市は空き地がないので、外から企業を誘致するというのは物理的に難しい。(駅前にどかーんと高層のインテリジェントオフィスビルを造るとか・・・出来なくもないけど)
また、余談だが、自治体によるベンチャー育


【蕨市議会】平成23年度蕨市決算について審議しています。

ただ今、蕨市議会2012年9月定例会が開かれております。

9月議会は、決算認定が行われます。
2011年度(平成23年度)分の決算がまとまって、市執行部が議会に報告します。議会はそれを精査して、認定するかどうか判断します。
適切に行政事務が行われたのかどうかをチェックすることは議会の重要な役割の一つです。
「認めるか、認めないか」といっても、既に終わってしまった過去のことですから、お金の出入りを元に戻すことは出来ません。もしも「認めない」という結論に至った場合は、それは議会の市長に対する不信任ということとなります。
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決算書というのが、けっこう分厚くて、こんな分量になります。
これを、だいたい2週間くらい前に受け取りました。
自治体の会計というのは、民間企業の会計とは別モノなので、読み解くのはけっこう大変です。
私が所属している保守系会派 新生会は8人の議員が所属していますが、決算書の精査は、分野ごとに役割分担して行うわけではなく、各議員がバラバラに行っています。
各議員のアウトプットをマージして、一人の議員が代表質疑を行うルールとなっています。
蕨市の市議会議員は、秘書やアシスタントを雇える状況ではないので、この作業は、一人で行うことになります。
ということで、まあ正直、限られた時間の中で、決算書の全部を得心が行くまで調べ尽くすことは不可能です。
今回、私ほやたけし(保谷武)は、
・一般会計 歳入
・市立病院事業会計
を取り上げて精査しました。
一般会計については、昨日2012年9月6日(木)、議会において登壇して質疑を行いました。
市立病院会計については、会派幹事長の比企議員が代表質疑を行いました。
上記2つについて、エントリを分けてご説明します。