「議会、いつから?」あるいは「議会、いつまで?」等

蕨市内の、ご支援者の方、あるいはそうではない方々とお会いして挨拶を交わすときに、

「よぉっ!議会、いつから?」
「こんにちは!議会、いつまで?」

等と言葉をかけられることがあります。

 

私は、手帳なりノートなり辞書なりgoogle先生なりのページをめくって調べれば瞬時に分かるようなことはいちいち記憶しない、というのがポリシーなので、明日以降の自分のスケジュールはいちいち覚えていないので、

「あ、ども。ええとですねぇ・・・」
等と言い淀みつつ、ポケットからスマホを取り出し、スケジューラアプリを立ち上げて議会スケジュールを確認し、

「あっ、えと、○月△日からですね。」
等とご説明することになります。

 

 

 

「ふーん。で、いつまで?」

あっ、えと・・・・(再びスマホを取り出して)
「9月28日までですね。」

 

 

 

このようなやり取りを繰り返すたびに、
「議会の日程なんて気にして、どうするんだろう?」
と常々、疑問に思っていました。

国会であれば、議会日程は、それを決めることそのものが、政局の帰趨を示すこともあります。
例えば、賛否が大きく揺れる新しい法案を巡って、与党が強引に可決しようとし、野党がこれを防ぐために審議拒否をするなど、議会日程が政争の焦点となる状況が、しばしばあります。

しかしながら、地方レベルでは(少なくとも、県レベルは存じませんが、市町村レベルでは)、議会の年間スケジュールは、年度当初にはきっちりかっちり決まっているし、これが与野党間あるいは、行政側と議会側との間で争点となることは、ほぼあり得ません。

もしあるとしたら、
・突発的に浮上した新たなテーマに関する、臨時議会を開く
・議会内で生じた何らかの不祥事を処理する
等の、かなりイレギュラーで、数年に一回あるかないか程度の状況に限られます。

 

 

要するに、年に数回の定例議会の開会と閉会なんていうものは、淡々とした日常の一つの形式的なイベント程度のものに過ぎないわけです。

せめて、傍聴に来てくれるつもりがあるとか、そうでなくとも、web配信を見てくれる予定なのであれば、とてもありがたいことなのですが。

同業の方であるとか、傍聴してくれるとかならともかく、そうではないのならば、議会スケジュールを尋ねてどうするんだろう?

 

 

 

と、いうことが、永年の疑問ではあったのですが、

最近になってようやく、

あ、これは、

「こんにちは。今日は暑いねー!」
「まいど!儲かりまっか?」
「お疲れー!メシ食ったー?」
「カバオくん、お父さんの入れ歯めっかった?」
というのと同じくらい、当たり障りのない共通の話題を用いた挨拶の一つに過ぎないのだな、ということに思い至りました。

つまり、今日の暑さとか、相手の商売が順調かどうかとか、メシを食べたかどうかとか、カバオくんのお父さんの入れ歯が見つかったかどうかなんていうのは本当はどうでもよくて、単なる挨拶に過ぎないのと同じように、別に本気で議会スケジュールを確認したいわけではないのですね。

 

 

 

いやーコミュ障なので、この真理に到達するまでに、初当選から11年間かかってしまいました。

 

 

 

なので、最近は、

「よっ!議会いつから!?」
等と尋ねられても、

「あっ、こんにちは。たぶん来週くらいですね!」
とてきとうに即答するようにしています。

 

 

 

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ちなみに、この令和4年(2022年)9月定例議会は、たぶんですけど、昨日、9月1日(木)から開会しておりますね。


蕨市議会:6月定例議会の一般質問では物価対策が多く取り上げられる。

さて、蕨市議会6月定例会も閉会致しましたが、この6月定例会における一般質問の傾向をざっくり振り返ってみますと、

 

・コロナ禍対策について取り上げる議員は減った

足元の感染状況は、下げ止まりつつあるものの、取り敢えず落ち着いてはいますので、取り上げる人は減りました。

 

・急激な物価高騰対策を取り上げる議員が増えた

これは、3ヶ月前の3月定例会ではゼロだったことと比べると、大きな変化です。
概ね、
・行政は、市内の事業者を支援せよ。
・行政は、市民の生活を支援せよ。
という方向性の政策提案が多かったように思います。

 

 

物価高騰は、初めての体験

私も新卒で社会に出た頃は既にバブルは崩壊していて、失われた30年が始まっていましたので、物価高騰って、人生初の体験です。

国を挙げてインフレ率2%を目指し続けてきたところですが、これだけ急激に環境が変わって、一気にコストプッシュインフレが起こるとは、まさにびっくり事態であります。

 

ざっくりいうと、1992年前後にバブルは崩壊していますので、ちょうど30年経ったのです。

当時、新卒、すなわち22歳で大学を出て社会に出た人が、今は、52歳です。
まあしかし、20代前半のペーペーの頃なんて、目の前の仕事を覚えてこなすのに必死で、社会や経済全体を見渡すようなマクロな視点なんてなかなか持ち得ないでしょうから、実感としてインフレを経験している世代は、せいぜい50代半ば以上、ということになるのではないかと思います。

つまり、今、ほとんどの社会人は、インフレを人生で初めて体験しているわけです。

 

 

 

そもそも、物価対策って、自治体政府がやることだろうか?

なので、多くの人は、目の前で起こっている急激なインフレに、どのように対処していいか分からないのです。

初めての体験だし。
聞ける人もおらず、かつてのインフレ時代のノウハウは、まったく継承されていないし。

 

自治体政府として、このインフレとどのように向き合っていくか?

そもそも、インフレに対して、一国全体のマターなのに、自治体政府が関わるべきことだろうか?

 

このあたりの、言わば、インフレとの向き合い方、態度、立場、哲学を、まずはよく考えて明確にすべきかと思います。

これをはっきり考えないと、

取り敢えず、目の前に物価高騰で困っている人がいるから、補助金とか助成金とかをバラ撒け!とにかくバラ撒け!という、バラ撒き政策案しか出てきません。

 

 

 

国政府は、インフレ対策としてやるべきことをやっているか?

今になって、今さら改めて考えるのは、ああ、大学の時にもっとマクロ経済学やっとけば良かったなー!ということであります。

大学1年生の時の教養レベルでお茶を濁したのみで、教科書を通して読んだこともありません。当時の教科書は捨てずに取っておいてありますが、今となっては数式がよく分からなくて、読み込める自信もありません。

まあ、分からないことは分からないなりに、考えてみるしか無いのですが、

 

まず、この物価高騰の原因は、コストプッシュであります。
ウクライナの戦争、コロナ禍による生産、物流の停滞によって引き起こされました。

この環境変化は、我が国だけではなく、諸外国も同様です。

そこで、諸外国がどうやってこの事態に対処しているかというと、

・利上げ
・金融引き締め

です。

これは、もちろんメリットばかりではなく、デメリットも大いにあるのですが、我が国以外のほとんどの国が、一気にこの方向にシフトしました。

結果として、円安が止まらず、我が国にとっては更にコストプッシュ要因となっています。

 

諸外国がやっている、利上げ、金融引き締めを、我が国は、やっていない。

これは、もちろん、デメリットもあるために、総合的な判断として、そのような結論に至っているわけですが、国政府レベルで、やれることがあるのに、それをやっていない、という言い方も出来ます。

 

 

 

原油高への対策

アブラがないと生きていけない我が国としては、原油高は、ほとんど全てのモノ・サービスのコストプッシュ要因です。

 

ところで、2011年の東日本大震災以来、我が国の多くの原発が止まったままです。

 

再稼働については、様々な反対の意見、不安の声があります。

反対意見や不安の声を押し切って再稼働の判断をすることは、政治的には大いなるリスクです。
要するに、次の選挙で負けてしまうかもしれない、ということです。

その結果として、国政府は、再稼働の判断を自ら行わず、原発立地自治体に判断を委ねています。
安全性が確認された原発も、地元自治体の承認がない限りは再稼働されず、放置されています。

 

エネルギー問題が国家の一大事であるであるならば、再稼働するか否かは、地方レベルではなく、国レベルで判断するべきです。

我が国の現下の状況で、原発再稼働が必要であるならば、政治的リスクを取ってでも、国政府は再稼働を進めなくてはならないのではないでしょうか。

 

この度の参院選の自民党公約集を見ても、原発再稼働については一切触れられていません。
この点は、大いに失望します。

 

エネルギー問題についても、国政府は、やるべきことをまだやっていません。

 

 

 

そもそもインフレの何が悪いか?

インフレは悪くない。

そもそも、我が国は、ずっと2%を目標に、インフレを目指してきたわけだし。

 

問題なのは、コントロールされていない、急激なインフレ。

そして、賃金が上がらないこと。

 

 

 

地方政府レベルで、インフレとどのように向き合っていくか

という、「国政府レベルでやれるべきことをやっていない」という状況を踏まえた上で、地方政府レベルで、インフレとどのように向き合っていくか?

(続く)


蕨市 令和4年度予算を解説 その3 歳出編(2)

「その2」からちょっと時間が経ってしまいましたが、その3です。

 

以下、元となる資料は、↓こちらにあります。
この資料の各ページにそって解説します。

蕨市webサイト:当初予算書について
https://www.city.warabi.saitama.jp/shisei/zaisei/kouhyo/1002880.html

ダイジェスト版が↓
蕨市webサイト:令和4年度 蕨市当初予算(案)概要 (PDFファイル)

 

画像はすべて(c)蕨市
(クリックすると拡大します)

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ここから先のページは、個別の「事業」のピックアップですね。

ここでいう「事業」というのは、自治体経営における、行政サービスの一つの単位を指します。

一般的な言葉の使い方、規模感としては、例えば、ソニーという会社の「エレキ事業」、「ゲーム事業」、「音楽事業」のように使いますが、自治体が用いる場合は、まったく違います。

 

自治体経営においては、例えば、
・新庁舎建設事業
・生活保護扶助
・健康長寿事業
・塵芥処理事業
・徴収事務
などのように使います。

単発の案件もあれば、半永久的に続くような経常案件もあります。

蕨市においては、億円規模のものもあれば、数十万円程度のものもあります。

「○☓費」と名付けられたものもあります。

一般的な言葉の感覚でいうと、「○☓案件」あるいは「○△プロジェクト」みたいなイメージの方が近いかもしれません。

行政組織から見ると、一つの課が、一つ ないし 複数の事業を抱えている、というイメージです。逆に、一つの事業が、複数の課にまたがることは、(私の理解では)あり得ません。

 

 

ここに取り上げられている項目は、全ての「事業」ではありません。
蕨市の全「事業」の、ごく一部に過ぎません。

金額規模が大きいものが取り上げられているわけでもありません。

主に、

・新規案件
・既存案件を大きく変更した案件
・市長公約に関連があるなど、目玉の案件

のうちの、ごく一部がピックアップされています。

つまり、この「令和4年度 蕨市当初予算(案)概要 」(PDFファイル)に取り上げる案件の選択に、そもそもバイアスがかかっています

 

 

 

では、いよいよ中身を見ていきましょう。

それぞれの項目について、資料の中に書いてあることは繰り返しませんので、まずはそちらを読んで下さい。その上で、これまでの経緯、背景、今後どうなるか、議会でどのような話し合いが行われたのか、個人的な意見等を、私なりの視点で解説していきます。

 

 

 

  • 市役所新庁舎建設 2,251百万円

建て替えの継続案件です。

昭和三十年代築で、耐震診断結果が不合格だった古い庁舎を取り壊し、同じ場所にて、現在、建設工事が進められています。

素人目に見たざっくりした工事スケジュールとしては、令和3年度に基礎工事が終わったようです。本年度、令和4年度は、上モノの工事が進められています。

竣工(建物建設が完成すること)は、令和5年6月で、令和5年秋から使い始める予定です。

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建設工事中の仮住まいとして、今はプレハブの仮設庁舎を使用しています。(2020年撮影)
新庁舎への移転後は取り壊し予定です。

 

 

市庁舎建設といえば、ちょっと苦い思い出がありまして、

コンセプト案のパブリックコメントに市内の中学生が応募を寄せてくれた中に、

「自分たちの学校の建物はボロボロだ。大人が、自分たちのために市庁舎の建物の建て替えを優先するのではなく、学校を優先してほしい」

という意見がありました。

市庁舎の建て替えは、「古くてボロいから、新しい建物に建て替えて、新築で気分良く過ごそう」というのが理由ではないんです。

旧庁舎は、耐震基準を満たしておらず、大きな地震が起きたら使えなくなる可能性がありました。市役所の庁舎は、単なる事務作業のためのオフィスということではなく、災害発災時は、市民の生命と財産を守るための災害対応拠点となります。地震が来たから使えません、では困るのです。

市内小中学校の校舎は、既に耐震工事は完了していますので、建て替えは必要ありません。

件の中学生も、もちろんちゃんと説明すれば理解してもらえたのだろうと思いますが、そもそも、このようなパブリックコメントが出てきたということは、市議会、そして行政当局の広報活動が不十分であったという証左であります。

 

 

  • 橋梁改修 298百万円

先のエントリで解説した通り。

 

 

  • 公設留守家庭児童指導室の保育開始時間繰り上げ 0.5百万円

留守家庭児童指導室とは、いわゆる学童保育のことです。
保育園とは別モノです。

留守家庭児童指導室は、学期中は授業終了後に開かれるわけですが、夏休み等の長期休暇中は、朝から開かれています。

朝の時間は、どこの家庭でも忙しく、1分、2分の差が極めて重要だったりするわけですが、「保育開始時間を早めてほしい」という要望は以前からありました。

 

 

  • 留守家庭児童指導室の増設 48百万円

保育園の待機児童問題については、以前よりマスメディア等でも大きく取り上げられ、自治体ごとの待機児童数などが話題になったりしますが、同じように、留守家庭児童指導室も不足が続いており、近年、蕨市内では増設が続いています。

 

 

  • 民間認可保育園の増設・運営 1,009百万円

保育園は、依然として恒常的な不足状態であり、民間の認可保育園の増設が続いています。
これは、概ね、全国的なトレンドです。

子供の数が減っていて、かつ、保育園を増設しているのに、なぜ、保育園不足が続いているの?
と素朴に疑問を抱く方が多いでしょう。

要するに、供給が増えているにもかかわらず、需要がそれを上回るペースで増えているからです。

需要の増、とは、すなわち、その背景にあるのは、「働く女性が増えている」ということです。

これはもちろん良いことで、私達の社会は、長い年月をかけて、女性の社会進出を増やしていこう、女性の人生における選択肢を増やしていこう、という方針を掲げて、政策的、社会的に努力してきたわけですから、その成果が上がってきている、ということであります。

 

保育園には、民間経営と公営(市営)のものがありますが、蕨市では、公営の増設は近年は行われていませんし、これからもありません。
近年、新規に開設された保育園は、全て民間経営のものです。

 

 

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  • 幼稚園における0-2歳児の預かり 24百万円

正直、まったく詳しくないので、コメント飛ばします。

 

 

  • 18歳までの入院に係る子供医療費無料化 1.5百万円

子供医療費無償化の

・対象年齢の拡大
(例えば、乳幼児だけ→小学生まで→中学生まで→18歳までという流れ)

・対象の条件の拡大
(入院のみ→通院も)

については、近年の全国的なトレンドです。

この流れは更に推し進められていくことと思いますが、最終的には、「18歳まで、通院も含めて」ということなるでしょう。

 

今、世の中的には、

・子育て支援策の一つ
・シニア世代から若い子育て世代への、世代間の資源の再配分の一つ

と捉えられています。

 

裏の理由として、「子育て支援に手厚い街」であることをアピールするために、無償化の拡大を自治体間で競い合う雰囲気も背景にあります。

 

他方で、バラマキとして否定的に捉えられる場合もあります。

所得制限を設けない場合もあり(例えば、世帯年収1億円の家庭の子供医療費を無償化する必要があるのか?という議論があります)、また、完全に無料であることによって無駄な医療費が発生する可能性もあり(例えば、自費であればわざわざ医者に行かないほどの軽度のケガであっても、無料なので医者に行き、薬を処方してもらう、等。不正ではないが無駄と言える)、バラマキと言えなくもありません。

 

  • 学校体育館空調設備の整備 104百万

空調設備、というのは、要するにエアコンのことです。

「学校にエアコンを設置する」と言うと、未だに出てくる意見が、
「昔はエアコンなんて無くて当たり前だったんだ!
子供にエアコンなんて贅沢だ!
そんなもの要らん!」
という意見です。

エアコンは、もはや贅沢品ではありません。
温暖化が進展し、昔と比べると真夏日が増えましたし、屋内にいたとしても場合によっては熱中症になり生死に関わる危険性があることが分かってきました。

また、学校施設は、いざ災害発災時には、避難所となり、大勢の人が自宅を離れて仮の住まいとして生活を共にすることになります。災害はいつやって来るか分からず、それは真夏かもしれません。ストレスを抱え、体調が弱った人がひしめき合う避難所にエアコンは必須です。

 

ということで、数年間に渡って、順次、小中学校体育館へのエアコン設置を進めています。

令和4年度は、北小学校と中央小学校の設置工事を、夏休みに行う予定です。

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2021年、蕨二中の体育館エアコン。

一般家庭やオフィスにあるような対流式(空気をかき混ぜる方式)ではなく、輻射式という、広い空間においては効率がいいものです。

休日にスポーツ団体が利用する場合は、コイン式で使用することが出来ます。

 

 

尚、小中学校の教室には、既にだいぶ前に全てエアコンは設置されています。

順次リースアップしており、無償譲渡を受けた後もまだ使えるので使い続けております。

 

 

  • 学校トイレの改修 23百万円

学校設備は、全て耐震化は完了しておりますが、老朽化はそれぞれ、それなりに進んでおります。

今の蕨市のファシリティ・マネジメント方針は、「長寿命化を施して、可能な限り長く使う」というものです。

 

ところで、近年の学校トイレのトレンドとしては、

トイレのウェット床のドライ床化

というものがあります。

 

清潔衛生という観点から、特に感染症対策のために、ドライ床化が有効とされております。

 

また、議会において学校トイレが取り上げられる際は、

「和式トイレの様式化を!」

と訴える議員が多いです。

近年、各家庭のトイレは洋式が標準となり、和式トイレを使えない(?)子供たちが増えているのだとか。
確かに、和式便座は、座る際に独特の足腰の筋肉の使い方をしますしね。

また、前述のように、災害発災時の避難所となることを考慮すると、足腰が弱った方やお年寄りが避難所として使うことを想定すると、洋式の方が良い、と。

それぞれ一理あります。

 

しかしながら、個人的には、私は別の考えも持っていまして、
「和式トイレ」といいますが、決して本邦独自のものではなく、広く世界のあちこちにこの種の「和式便座」は存在します。

子供たちが、将来、世界に羽ばたく際に戸惑わないようにするために、幼時より「和式トイレ」に使い慣れてもらうという教育もある程度は有効なのではないかと思料します。

ということで、和式トイレも多少は残しておいてもいいのではないでしょうか。

 

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2010年、共産中国の新疆ウイグル自治区の公衆トイレ。

 

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2009年、カンボジアのシエムリアップの、そこそこちゃんとした外人ツーリスト向けメシ屋のトイレ。

 

 

  • 公共施設内感染対策の強化 12百万円

コロナ感染対策の一つです。

今後、公共施設に限らず、民間の建物も含めて、「触らなくていいように」なっていくのが、世の中の流れです。

例えば、
・ドアの自動化
・洗面台の水栓の自動化(蛇口をひねらずに、手をかざすと水が出てくる仕組み)

など。

 

 

  • 新型コロナウイルス自宅療養者への支援 1百万円

保健所の指示による自宅療養者は、自ら買い物に出かけることができないため、食べ物、飲み物などを、県が支給します。

従来は、保健所(県の予算で、県が運営している)が行っていましたが、全国的に保健所がキャパオーバーなので、市が下請けしています。

費用は全て、県負担です。

 

 

(続く)


蕨市 令和4年度予算を解説 その2 歳出編(1)

先のエントリ:その1 歳入編に続いて、歳出を見てまいりましょう。
詳しく書いていくと際限がないので、簡単な解説・コメントのみにとどめて一気にいきます。

 

以下、元となる資料は、↓こちらにあります。

蕨市webサイト:当初予算書について
https://www.city.warabi.saitama.jp/shisei/zaisei/kouhyo/1002880.html

ダイジェスト版が↓
蕨市webサイト:令和4年度 蕨市当初予算(案)概要 (PDFファイル)

 

画像はすべて(c)蕨市
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款別リストです。

「款」とは、要するに、大項目のことです。

予算決算の項目の体系は、款 – 項 – 目 – 節という4段階のピラミッドとなっております。
言葉そのものに大きな意味はなく、「大-中-小-もっと小」程度の意味です。

 

さて、ここでも、その1 歳入編の時と同じ手法を用いて、令和3年度 → 令和4年度で増減の変化率が大きく、絶対額がそれなりに大きい項目をピックアップして見てみましょう。

総務費 -14.4%
土木費 +17.4%
公債費 +12.3%

この3項目です。
それでは、一つずつ、どのような理由で前年比1割以上の増減が生じたのか、中身を見ていきましょう。

 

 

  • 総務費の減

7.6億円の減のうち、大きな増減があったものは、
・市役所新庁舎整備事業 +4.2億
・職員退職手当 -0.6億
・土地開発公社経営健全化 -12.2億
と内訳が示されています。

新庁舎建設整備事業は、令和5年秋竣工を目指して着々と進められているところですが、議長室から工事現場を眺めつつ、素人判断も交えて推測すると、令和3年度に基礎工事が終わり、令和4年度から上モノの工事が始まるといったところかと思います。それぞれの工事の種類が異なるので、費用が年度ごとに平準化されるわけではなく、年度ごとに大きく変動するものです。

職員退職手当は、その名の通り、市職員の「退職金」です。
20代で退職して転職していく方の退職金額は微々たるものですが、三十数年勤め上げた定年退職者の退職金額はそれなりに大きなものになります。令和4年度は1名の退職が予定されており、予算計上されました。
なお、民間企業では、退職者の年度ごとの増減に備えて、販管費を平準化するために、退職給付引当金を計上しておくことがあり得ますが、同じように、市の一般会計においても、職員退職手当基金というものがあります。令和元年度末残高は189百万円となっています。

 

土地開発公社経営健全化は、バブル期に高値掴みして市が買った土地の借金の精算です。
バブル期に地価が上がり続けたわけですが、「今後もっともっと上がり続けるに違いない」と予測して、取り立てて使い道がないのに市が土地を買ったのです。購入資金の原資は、市の余剰資金ではなく、全額が借り入れです。
当時の市政の失敗ですね。

ちょっと分かりにくいスキームなのですが、
当時、土地を購入した主体は、市(市の一般会計)ではなく、市の100%子会社の土地開発公社というペーパーカンパニーです。この土地開発公社が全額借り入れを起こして、土地を購入しました。当然、土地開発公社は借入金の利息を支払わなくてはならないのですが、この利息分は、全額を市が補填し続けてきました。
バブル崩壊後、地価が下落し、土地開発公社は含み損を抱えることになりました。土地開発公社が高値掴みした土地は、売却するならば簿価よりも遥かに低い金額でなければ売ることが出来ず、その場合は、損失が発生してしまいます。あまりにも膨大な金額であるために、一気に損失を処理することが出来ず、毎年度、少しずつ処理し続けております。

この、損失の処理が、土地開発公社経営健全化です。
市(市の一般会計)が、土地開発公社から、土地を簿価で買い取る、という形を取ります。土地開発公社は、購入資金の借り入れを金融機関に返済します。土地は、簿価で、市の資産に移ります。
これで、借り入れはなくなります。
(しかし、簿価で資産計上しているので、含み損はそのまま残るのですけど)

土地開発公社の保有土地は、様々なサイズのものが多々あり、金額もまちまちなので、経営健全化の金額は、毎年度、大きく変動します。
金額を年度ごとに平準化しようとすると、土地を切り分けて登記せねばならず、余計な費用が発生するし、将来売却したりする時に面倒なので、現実的ではないのです。

 

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  • 土木費の増

4.0億円の増のうち、大きな増減があったものは、
・駅西口地区市街地再開発事業補助金 +1.9億
・橋梁改修事業 +1.4億
・中央第一地区まちづくり事業 +0.6億
・公園等整備事業 -3.4億
と内訳が示されています。

一つずつ見ていきましょう。

 

駅西口地区市街地再開発事業補助金は、名前の通り、蕨駅西口再開発への補助金です。

ここしばらくは、再開発事業の主体である再開発組合の合意形成などに時間が費やされていました。目に見える形で工事が行われていたわけではないので、何も知らないと止まっているようにみえたかもしれません。

再開発事業が、いよいよ目に見えて動き始めます。
既存の建物の取り壊しがほぼ完了し、令和4年度は、高層建築物の建設が始まります。
令和7年度の竣工予定です。

 

橋梁改修事業
平成24年(2012年)に、中央道笹子トンネルで天井板落下事故がありました。この事故により、高度経済成長期に大量に造られたインフラの老朽化が深刻な課題であることが顕在化しました。
平成26年(2014年)には、国交省により、トンネル・橋梁を5年に1度定期点検することが義務化されました。

蕨市内にトンネルはなく、橋梁もそれほど大きなものはありませんが、5年に1度というのはけっこうな頻度であり、
定期点検後に、問題点を改修工事するだけで5年間くらいはあっという間に経ってしまうので、常に点検か工事かどちらかをやり続けている、といったイメージです。
直近では、令和3年度に定期点検が行われました。

 

中央第一地区まちづくり事業は、蕨駅西口~中山道のエリアの古い町並みを整備していくものです。細い路地が多く、防災面で危険があります。道路工事などの費用です。

 

公園等整備は、毎年あちこちで改修工事を行っているのですが、令和3年度に、塚越の蕨市民公園の木製遊具設置工事という大きなものが行われたため、減少しております。

 

 

  • 公債費の増

公債とは、市の借入金のことを指します。
市債とも呼びますが、同じものです。

公債費は、借入金の元本返済と利子払いの合計です。
ここしばらくは、トレンドとして元金返済額が増加しています。
利子払いは、低金利の長期化を反映して、今のところは微々たるものです。
借り入れの金利は、全て固定金利です。今後、起債する(=新たに借り入れることをこのように呼びます)時は、金利は上がっていくでしょうね。
なお、民間の借入金と異なり、繰り上げ返済やローン借り換えは出来ません。一度、起債すると、その固定金利が完済するまで数十年間続きます。

 

ちょっと長くなったので、一旦、ここで切ります。

続く。


蕨市 令和4年度予算を解説 その1 歳入編

さて、4つ前のエントリで述べたように、先月の蕨市議会 令和4年(2022年)3月定例会にて、令和4年度予算が確定しております。

蕨市webサイト:当初予算書について
https://www.city.warabi.saitama.jp/shisei/zaisei/kouhyo/1002880.html

 

ダイジェスト版が↓
蕨市webサイト:令和4年度 蕨市当初予算(案)概要 (PDFファイル)

 

以下、ページごとに解説していきましょう。

画像はすべて(c)蕨市

 

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一般会計予算が「過去最大」という点が特徴です。
令和3年度の時点で既にかなり巨大化しており、令和3年度→令和4年度の比較でいうと、微増といったところです。

令和3年度、4年度と、突出して大きくなった理由は、コロナ対策です。
ワクチン接種、経済対策など。

国からの言わば下請け事業もあれば、国の補助金によって市の独自の判断によって行う事業もあるし、市自らの財源による事業もあります。

大きいことが良いことか?というと、そうではありません。

コロナ禍のような災害の渦中あるいは事後には、予算規模は大きくなるものです。

 

 

・一般会計
・特別会計
・企業会計

という3種類があります。

一般会計・特別会計は、単式簿記。
企業会計は、複式簿記。

それぞれ、歳入と歳出の部があります。

一般会計は、行政経営の基本的な部分に関わるもの。
特別会計は、独立性が高く、会計を単体で切り出して管理した方がよいとみなされるもの。
企業会計は、更にもっと独立性が高く、それなりの採算性が求められるもの。

 

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歳入の大項目別リスト。

 

この種の数表を見せられても、初めて目にした時は、どこにポイントを置いて見ればいいのかちんぷんかんぷんな気持ちになりがちですが、

見るべきポイントの一つは、

・令和3年度→4年度 大きく変化した点
・よその市との比較

です。

 

ここでは、前年度との比較のみ見ていきましょう。

 

大きく変化したと言っても

・金額の増減ではなく、変化率に注目
・ベースの金額が小さいものは、小さな要因で増減しても変化率が大きくなってしまうので、あまり注目する要なし(例:法人事業税交付金は、233%増ですが、60百万円に過ぎません)

です。

 

それでは、
令和3年度→令和4年度で、金額がそれなりに大きく、変化率が大きいものをピックアップしていきましょう。

 

・市税 市民税 法人分
339百万 前年比+36%

・地方交付税
1,600百万 前年比+16%

・市債
2,659百万 前年比ー35%
市債というのは、市の債務、すなわち、市が金融機関等からその年度に新たに借り入れるお金のことです。

 

ここらあたりが、大きな変化と言えるかと思います。
尚、「繰入金」は、前年度決算の余りですので、当年度予算を評価する上では重要なポイントではありません。

 

次のページをめくってみましょう。

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主な増減内容について解説されています。

法人市民税の増加については、「経済活動の活性化のため」という議会答弁がありました。コロナ禍で落ち込んだ市内経済の回復を見込んでいる、ということです。

地方交付税の増加については、今ひとつこの解説を読んでも分からないし、また議会答弁の中でも詳らかにされていません。
というよりも、そもそも、地方交付税の計算はかなり複雑で、限りなくブラックボックスに近い、というのが実態のようです。
(基準財政需要額 – 基準財政収入額)という計算式によって算出され、それぞれの数字は明らかにされているのですが、その内訳は国から明示されるわけではなく、複雑な計算式を経てアウトプットされた数字だけがポンと示されるだけ、という仕組みのようです。

市債の減少については、内訳をみると増えた項目もあるのですが、減った項目については、市庁舎建設のための借入金、臨時財政対策債とで半分ずつといったところです。

市庁舎建設は、ただ今、建設工事が進められており、令和5年(2023年)秋に竣工予定です。後に見ていくように、令和3年度よりも令和4年度の方が多額のお金がかかるのですが、総合的なやり繰りの結果、新たな借り入れ額は減る予定である、ということになります。

臨時財政対策債は、これは奇怪な仕組みなのですが、本来は国が為すべき借金を、地方自治体が便宜上、代理で借金をしているという制度で、後に利子負担も含めた全額が国から地方自治体に支払われることになっています。つまり、この金額が幾ら増えようが減ろうが、最終的には、市のフトコロが痛むものではありません。

 

さて、歳入は以上です。

次に、歳出を見てみましょう。

(続く)


蕨市議会:3月定例会が終わりました。

先週、蕨市議会の令和4年(2022年)3月定例議会が終了しました。

市議会の定例議会は、3,6,9,12月と、年に4回開かれます。
各回は、ほぼ一ヶ月間に及びます。

このうち、3月定例議会は、その翌年度の予算案を審議して決めるために、最も重要であり、忙しいものとなります。

 

 

蕨市webサイト:当初予算書について
https://www.city.warabi.saitama.jp/shisei/zaisei/kouhyo/1002880.html

3月定例議会で確定した、令和4年度(2022年度)予算は、↑こちらのページに掲載されております。

 

 

ボリュームが多いので、これ全部に目を通すのはなかなか大変なのですが、

ダイジェスト版に相当するものが↓

蕨市webサイト:令和4年度 蕨市当初予算(案)概要 (PDFファイル)

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※注 上記では「予算案」と表記してありますが、3月定例議会によって確定しておりますので、「案」ではありません。

ダイジェスト版と申しましたが、新規案件を中心に記載したものです。
継続案件は、重要かつ大規模なものであっても書いていないものもあります。

 

 

それでは、次のエントリ以降で、令和4年度(2022年度)予算のポイントについて解説していきましょう。


蕨市議会:ロシアによるウクライナへの侵攻に対する抗議決議

蕨市議会からのお知らせ

当サイトではJavaScriptを使用しています。検索機能を利用するためには、JavaScriptをonにしてください。 本文へ移動 ロシアは、我が国を含む国際社会が強く自制を求める中、本年2月24日、ウクライナに軍事侵攻した。 …

令和4年(2022年)2月24日の、ロシアによるウクライナへの侵攻を受けて、3月2日、蕨市議会では全会一致により抗議決議を行いました。

 ロシアは、我が国を含む国際社会が強く自制を求める中、本年2月24日、ウクライナに軍事侵攻した。
ロシアの力による一方的な現状変更は、ウクライナの主権と領土への重大な侵害であり、国際社会の平和と秩序、安全を脅かし、かつ明らかに国際法・国連憲章に違反する行為であり、断じて容認することはできない。
よって、本市議会はロシアによるウクライナへの攻撃や主権侵害に対し厳重に抗議の意を表するとともに、ロシアに対し、ウクライナからの即時撤収、国際法・国連憲章を遵守した対応を強く求める。
以上、決議する。

 

私個人的にも、改めてロシアのウクライナ侵攻を非難致します。

 

 

 

ところで、以下、私見ですが、

「ロシアによるウクライナ侵攻は、プーチン大統領ただ一人が悪いのだ」という論調を目にすることがあります。

ロシア国内にも戦争反対の声がソーシャルメディア上に投稿されていたり、デモ活動が行われていることを傍証として、ウクライナ侵攻はロシア国内では支持されておらず、プーチン大統領ただ一人が暴走しているだけだ、というロジックです。

先の私のエントリで述べた通り、この度のウクライナ侵攻は、「緩衝地帯を求めて、ウクライナのNATO加盟を阻止する」という、ロシアの論理に基づくものであって、それなりのロシア国内の世論の支持を得ているのではないかと、私は分析しております。仮にプーチン氏に変わる次なる政権が出てきても、大きな方針は変わらないと思料。

この戦争の落とし所をどうするか?これはけっこう難問です。

ロシアを追い詰め過ぎると、ほんとに彼らは戦術核使いかねません。

「いかにしてロシアに戦術核を使わせないようにするか」というのが、ロシア制裁を考える上で、かなり重要なのではないかと思います。