蕨市議会の3月定例会が、明後日、令和5年(2023年)2月17日(金)から始まります。
ところで、自治体政府の年間予算と決算にかかわるスケジュールは、以下のようになっています。
例えば、令和4年度(R4/4~R5/3)の例で言うと、

令和3年度3月定例会で、令和4年度予算を決めます。
令和5年度9月定例会で、令和4年度決算を認定します。
ということで、令和4年度の決算は、9月にならないと確定しないのですが、実は、年度末である、この令和4年3月定例会に上程される補正予算案を見ることで、何となくどんな感じなのか、黒なのか赤なのかくらいは推測できたりします。
3月は、年度末です。
補正予算案は、四半期ごとの定例会のたびに、ちょこちょことした微修正や、年度当初には想定されていなかった新規案件の追加が出てくるものなのですが、
年度末である3月定例会に上程される補正予算案は、年度末の帳尻合わせが行われるために、年間を通じて最もボリュームが大きいものになります。
民間企業であれば、年度末においては、
売上・利益が目標に達しそうもない場合は、「お化粧」をして上積みを図ることもあるでしょうし、
逆に、
利益が出過ぎて法人税たくさん払うのいやだなーという場合は、顧問税理士に相談しながら、税務署に否認されそうもない範囲で、経費を上積みして合法的な節税策を駆使することもあるでしょう。
では、自治体政府の場合は、年度末の帳尻合わせとして、どういうことをやるのでしょうか?

この3月定例議会に上程されている、補正予算書を開いてみましょう。
この中で、基金 を見てみます。
基金というのは、自治体の貯金箱のようなものです。

大雑把に言うと、
基金にも2種類あり、
・具体的な目的のために、将来に備えて計画的に積み立てる、基金
例えば、庁舎建設基金、病院建替基金、など。
目標額と、スケジュールが、基本的には予め明確に定められています。
3年後にクルマを買うために、毎月2万円ずつ貯金しておこう、2万円x3年x12ヶ月=72万円貯まるから、これを頭金にしてローンを組もうかな・・・といったイメージです。
・年度ごとの財政調整のための、基金
要するに、
黒字の年度は、余ったお金を基金に(一般会計から)繰り出し、
赤字の年度は、足りない分を基金から(一般会計へ)繰り入れて使う、
というものです。
ここで、便宜上、「黒字」、「赤字」と書きましたが、年度末に最終的に、数字が「黒字」あるいは「赤字」となることは許されません。歳入と歳出は同額、プラスマイナスゼロでなくてはならないので、基金のお金を出し入れして、調整を図るわけです。
この、年度間のプラスマイナスの調整をするための基金を、財政調整基金といいます。
それでは、歳入のうち、
基金繰入金
(基金から一般会計へ繰り入れる=貯金箱から取り崩すお金)
を見てみましょう。

財政調整基金繰入金
公共施設改修基金繰入金
が、それぞれ全額、合わせて944百万円がマイナス補正され、その結果、ゼロになっているぞ。
つまり、貯金箱のお金を取り崩す必要がなかった、ということです。
次に、歳出のうち、
基金費
(基金へ一般会計から繰り出す = 貯金箱に、貯金するお金)
を見てみましょう。

補正前が21.8百万円だったところが、
2,208百万円増額補正して、2,229百万円になっているぞ。
22億円増額補正って、すごい増額幅ですね。
つまり、大幅に余ったので貯金箱に貯金する、ということです。
増額される22億円の内訳をみてみると、

財政調整基金 積立金として、544百万円増額
公共施設の建て替え・メンテナンスのための基金 積立金として、301百万円増額
蕨駅西口再開発のための基金 積立金として、360百万円増額
ここらへんが大きなところですね。
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この3月定例会にて新規の設置条例が上程されている、
市立病院建設基金の積立金として、10億円が増額補正されています。
ということで、令和4年度決算は、かなり好調だったようです。
なにゆえに好調だったのか、そこらの理由までは、この補正予算書からは分かりません。
※ 2023/2/18修正
繰入←→繰出の表記を、一部、逆に書いてしまっていたので、修正しました。